転生狼のテラ生活   作:ゆっくり妹紅

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お気に入りと高評価してくださった方々がいらっしゃったので続きました。(本当はお気に入り1個着いた時点で書く予定でした)

というわけで最終回です。


最終回:ホワイトデーで奮闘する転生狼

 

──ホワイトデー。

 それはバレンタインデーに貰ったチョコをお返しするイベントだ。だが、これは前世では俺が生まれ育った日本だけの風習であり海外には馴染みがないそうだ。

 

 では今世のアークナイツの世界であるテラではどうなってるのか、というと意外と広まっている。というか知らない奴が少ないというレベルで浸透している。元ネタ的に前世の世界でいうポーランド、そうじゃなくても「騎士」という文化があることを踏まえるとヨーロッパ方面に該当すると考えていた今世の生まれ育った地であるカジミエーシュでもバレンタインとホワイトデーの風習があった。最も、俺の家では「使用人に感謝し、子供に分け与える」という意味合いも追加されていたお陰で、妹たちや母さんといった家族含め、使用人や分家の子供達に上げるために料理を学び、そしてヒィヒィ泣きながら作ったのはいい思い出……じゃないな。

 

 ……話が逸れた。去年は悲しい事件とはいえ貰ったチョコが0個だったため、特に考える必要が無かったのだが今年に関しては6個も貰っている。

 

 いや、当初はテキトーにカップケーキでも作って返せばいいか、と考えていたのだがチョコをくれた人物の中に我らが天使ソラちゃんがいることを思い出し、直ぐにそれを却下した。いやね?推してる人に自分の手作り渡すとか流石にギルティすぎる。どれぐらい罪が重いかと言うと、ほかの同志たちから呪い殺されるより前に罪悪感で自殺できるレベルで。そもそも、チョコを貰ってしまった時点で俺の罪悪感は限界突破してて自害しようとしたんだけど。

 

 ……また考えが逸れたが、「それならソラちゃんだけ高級店のチョコ買って、ほか手作りでええやん。もしくは同じお店のチョコを渡す」という考えに最終的に至ったのだが、ここで1つ問題……というより面倒臭い奴がいることを思い出したのだ。

 

 そう、へそ出しクレイジーサイコループスことラップランドだ。これは以前、とある件であいつと二アールさんら他のオペレーターにお礼として市販のお茶菓子を買って渡した。そしたらあのやろう──

 

『ねえ、ルーク。なんでボクも他の奴らと同じものなんだい?』

 

 なんてことを言いやがった。あの時、ラップランドが出した声があまりにもやばくてお菓子もらってワイワイ話してたメンバーが黙って固まった時は本当に申し訳なくなった。一応、あの後望まぬ対話(物理)を経て、『他の奴らと同じものはなんか嫌』ということが分かり、後で別のやつを買ってプレゼントをして事なきを得た。いや、お前面倒臭い彼女か何かかよ。

 

 まあ、そんなことがあったのでこいつだけ他の奴らと別のものを買わねばならんのだが、それはそれで面倒臭いことになりそうだ。特にこれを知ったクロージャあたりがこれを見て、「ルークはラップランドのこと特別視してるー」なんて噂を流した挙句尾ひれはヒレ付いて「ルークはラップランドと付き合っている」なんてなったら目も当てられない。万が一、あいつの耳に入ったら俺はもちろんのことこんな噂を流した人物もミルフィーユにされてしまう。そのため、それだけはさけたいのだが……

 

「マジでどうしよ」

 

 心のうちで呟きたかったことが俺の精神の許容を超えたのか外へ出る。ラップランドに他の人と同じものを渡したら地雷起爆、かといってラップランドだけ違うのがバレたら俺と騒いだ奴らが希望の花を咲かせることになる。

 

「あー、どうすればいいんd「ぐー」……」

 

 部屋の中で空腹を訴える自分のお腹に若干恨めしく思いつつも、時計を見ればお昼時。そして手元を見れば俺の使う武器の一つである、トンプソンコンテンダー・アンコールの点検は分解された状態のままであり、長いこと思考に費やしていた事が分かる。

 

「はぁ……飯でも食って気分転換するか」

 

 けど、その前に「はよ組み立て直せや」と言わんばかりの状態のこいつを組み立て直さないとな。

 

 俺は戦いを支えてくれる相棒の1人を元の姿に戻すために、道具を片手にすぐに作業に取り掛かった。

 

 

 

 

 *****

 

 

 

「……つまりバレンタインの返しに困っていると」

 

「そう、だからアドバイスくれると助かるんだわ」

 

 食堂にてたまたま会ったミッドナイトとご飯を食いながらホワイトデーの相談をしていた。原作知識で分かっていたとはいえ、この人本当に頼りになるんだよなー。ん?シルバーアッシュ?あの人はオーラ的に近寄れないから無理。

 

「あのさ、話聞いてたから考えてたんけど皆違うやつにするとかはどうなんだい?手間だとは思うけどさ」

 

「あっ……」

 

 ミッドナイトとから言われて初めて気がついた。確かに普通に考えればそうした方がいいに決まってる。もしかして、実家で全員に同じもん作って配ってた弊害か?もしくはバレンタインの経験が……いや、この考えはやめておこう。勝手に傷ついて泣くだけだからな。

 

「ふふっ、ルークって普段はしっかりしてるけどたまに抜けてるよね」

 

「え?俺って抜けてる時あります?」

 

「うん。色んな人から聞くよ」

 

「えぇ……」

 

「でも、そこが逆に他の人からしたらとっつきやすいんじゃないかな?ルークって基本的に人と話す時敬語で固い印象あったし」

 

 こうやってちゃんとフォローを入れてくるあたりミッドナイトは本当に良い奴だ。もしこれがラップランドの場合、フォローなんてせずに逆にどんどんダメージを与えてくるからな。

 

 それにしても……

 

「俺ってそんなに固いイメージだった?」

 

「初めの頃は俺もそう思ってたよ。基本的に礼儀正しい態度しか見れなかったし、タメ口なんて全然なかったからね」

 

「そっかぁ」

 

「でも、ラップランドさん相手にキレ散らかしたり、ケルシー先生に向かって土下座で謝ってたりしてるのを見るとそうでも無いのかなって思えたよ」

 

「そっかぁ……(遠い目)」

 

 よりによってあの2人のおかげかい!いや、ケルシー先生への土下座に関しては俺が100%悪いから仕方ないんだけど……そっかあ、あれミッドナイトに見られてたのかぁ。……ん?これって話的にもしかしたら他の人にも見られて……?……この先を考えるのはよそう。クトゥル○でもアイディアロール全て成功すればいいってわけじゃないからね、時には気づかないことも肝心。

 

「相談乗ってくれてあんがとね。今度、なんか奢るよ」

 

「別にこれくらい大したことないから別にいいよ……って言いたいけどルークはこっちがどんなに断っても絶対に礼を渡しに来るからね。うん、ちゃんと受け取らせてもらおうかな」

 

「俺のこと、よく分かってんじゃん。それじゃまたあとで」

 

 やはり持つべきものはまともな友人だな、と俺は改めて実感した。

 

 

 

 

 *****

 

 

 

「はい、ポデンコちゃん。バレンタインのお返しね」

 

「うわぁ!ルークさん、ありがとうございます!」

 

「あと、ラナさんも日頃のお礼ってことでこれどうぞ」

 

「あら、態々ありがとう」

 

「いえいえ、お気になさらず。それでは失礼しますね」

 

「はい、ルークさん!また遊びに来てくださいね!」

 

 そして来たるホワイトデー当日。ポデンコちゃんにカップケーキを、ラナさんにクッキーを渡し、そのポデンコちゃんの癒されるような笑顔を見て心が穏やかになるのを感じつつ次の人物へ渡すために部屋を去る。今のところ、渡し終えたのはあのヤベー奴以外のメンバー。因みに、ソラちゃんはチョコで有名な『○ディバ』のやつを、テキサスは同じ店で値段があんまり変わらない物を。アカフユは手作りの栗羊羹、ゾフィアは手作りの()()()()()を渡した。

 

 ……ゾフィアにマドレーヌ渡した時、それを見たソラちゃんが凄い目してたけど、あれなんだったんだろうか?逆にゾフィアは柄になく照れてたし……まっ、いっか(思考放棄)

 

「さてと……残るはあいつか……」

 

 ラストに1番やべーやつを残してしまったのはもう何も言うまい。いや、初っ端からあいつは流石にキツいっす。緊張とストレスからの胃痛で倒れる自信しかないっす。けど、最後に回したら回したでお腹が痛い。さっきからキリキリと痛い……実家から抜け出すためにこそこそ動いていた時ぐらいお腹痛い。

 

「……他の人に渡すのだけお願いす──」

 

「やあ、ルーク」

 

「おわあああっ!?」

 

 背後から聞こえたラップランドの声に、俺はタイミングの悪さに変な声を上げてしまいつつも、急いで後ろを振り返ると。

 

「ふふっ、予想以上の面白い反応をありがとう」

 

 いい笑みを浮かべるラップランドの姿。うん、殴り倒したいほど清々しい笑顔だ。だが俺は紳士でありながら戦闘狂ではない、いくら殴りたい衝動に駆られても耐えられる程の強靭で優しい精神を持ってる──

 

「あ、さっきのやつ動画で撮ったんだけど拡散していい?」

 

「はっ倒すぞお前」

 

 と言ったな、あれは嘘だ。

 流石にそれだけは阻止したいのでこの不届き者に向かって飛びかかるも、予想通りと言うべきかあっさり躱された。……うん、冷静に考えてみればこいつとの模擬戦の成績負け越してるんだから無理だわな。てか、こいつ強すぎるんだよな。原作の設定じゃ、ヘラグさんや観光客C、スカジの上司らしいグレイディーアといったヤベー奴らと同等レベルの数少ない戦闘技術の『卓越』の判定貰ってるだけあってクソ強い。

 

 まあ、それはともかく動画の拡散を物理的に止めるのは不可能なのは分かった。それなら俺に出来る手段はたった一つだけ。そう、とっておきの──

 

「お願いしますからそれは本当にやめてください」

 

 土下座だ。

 

「……本当に、無駄に無駄のない滑らかな動作でそんな流れるような土下座できるね。もはや1種の芸術だよ、無駄だけど」

 

「おい、そんなに無駄無駄言うな。泣きたくなってくるだろうが」

 

「……キミって、図太いのか繊細なのか複雑でよく分からないよね」

 

 少なくともお前の行動原理及び思考回路よりは複雑じゃねえよ。

 

「一言多いわ……まあ、ちょうど良かった。ほいバレンタインのお返し」

 

「あ、ちゃんと手渡しでお返しくれるんだ」

 

「お前は俺の事なんだと思って『他の人に渡すのだけお願い』すみませんでした」

 

「分かってくれてボクは嬉しいよ」

 

 なんでこいつは俺をからかったり、注意する時もこんなに全力なのか。お願いだから全力で挑むのはお仕事関連か、テキサス関連にだけしてくれ、もう俺のSAN値もたないから(白目)

 まあ、とりあえずホワイトデーに渡すべき人には全員渡し終わったし、何か余計に突っ込まれる前にさっさと逃げ──

 

「それでルーク、もちろん手作りだよね?」

 

「え?有名な菓子店で買ったやつだけど」

 

は?

 

「え?」

 

 ──瞬間、地雷を踏み抜いてしまったということに俺は気がついた。

 

 嘘だろおい。今のどこに地雷要素あった!?やばいやばい、今回に限っては何が地雷だったのか全然わからねえぞおい。問題文なし&ヒントなし&選択肢なしの状態で解答だせとかただの運ゲー、しかも間違えればサンドバッグ、もしくは俺の命が無くなるというゴミのような仕様。前世やったファイナルソー○よりひでえぞ、おい。

 

「あのー、もしかして手作りの方が良かった?」

 

「いや、そういう訳じゃないよ」

 

「?じゃどういう──」

 

「でもね、常識的に考えれば仲が深い相手には手作り。そうでなくても手作りで渡されたら手作りで返すのが普通だと思うんだよね」

 

「えぇ……」

 

 えぇ……。手作りの方がアウトだと思ったのになぁ……本当に女心、いやこいつの感性は分からねえや。

 

「それで?中身は一体なんだい?中身によっては──」

 

()()()()だけど」

 

「……今なんて?」

 

「だからマカロンだって。しかもそれは食べたら顔がニヤけるほど美味いって噂のやつだからな」

 

「……」

 

 ?なんだこいつ、何買ったか答えたら急に黙って……まさか、マカロンってアウト!?馬鹿な、前世の友人曰く「マカロンはセーフ」って言ってたぞ!?まさか、この世界のマカロンは前世のマシュマロ先生的なポジなのか!?アカン、死ぬぅ!!

 

「あー!あの、これは、その、これがいいかなって思っただけで、その」

 

「……今回は許してあげるよ」

 

「へ?」

 

「マカロンはそんなに嫌いじゃないしね……来年は手作りのマカロンを頼むよ」

 

 必死こいて言い訳しようとしたところで、ラップランドはこちらに背を向けた状態でそれだけ言うとさっさと歩き出していった。

 

 うーむ、どうやら助かったみたいだが……

 

「なんで助かったかわからねぇし、あいつちゃっかり来年のお返しのリクエストしやがって……」

 

 仕方ない、あとでマカロンの作り方調べるかぁ……面倒くさくないといいんだけど。

 

 

 ──それと、俺に背を向けて歩く前に見えたあいつの頬が若干赤く染っていたのは恐らく幻覚だろう。

 

 

 

 ****

 

 

 ~後日談~

 

 

 

「ねえ、ルーク。また聞きたいことがあるんだけどいいかな?」

 

「なんですか?」

 

「ルークって、ウィスラッシュとラップランドどっちが好きなの?」

 

「なんて恐ろしいことを言うんですか」

 

「え?この前ソラから『ルークさんってウィスラッシュさんとラップランドさん、お2人のことを特別視してるみたいです!』って興奮気味に言ってたから」

 

「どうして……」

 

「それでどうなの?」

 

「まあ、特別視してるっていうところはあってはいると思います」

 

「じゃあ「でも!!」ん?」

 

「あくまで異性としては見てないです!ゾフィアは向こうにいた時それなりに世話をかけたからで、ラップランドは……気を抜いたら酷い目にあう、という点で特別視してるだけですから!」(鬼気迫る表情)

 

「そ、そう」

 

「大体、あの二人は……」(部屋のドアの方を見る)

 

「どうしたの、急に後ろ振り向いて」

 

「いや、前回の二の舞をしたくないので確認しただけです。っていうか、またサンドバッグになんかされたくないのでこの先は黙っておくことにし──」

 

「やあ、ルーク。ドクターと楽しそうな話をしてたみたいだね」(ガチャ)

 

「私達も混ぜてくれない?」

 

「……うそん」

 

 ルークは死んだ。ルークに女心を理解するには、まだ人生経験が足りなかった。次のルークはもっと上手くや……れないと思うが上手くいくことを祈っておこう。

 

 

 ~fin~




エイプリルフール編は書きません(フラグ)

キャラ紹介&解説

ルーク:前世込みでホワイトデーにあんまり深い縁がなかったせいで色々やらかしてる転生ループス。因みにこいつの中ではラップランド>>>>>>>テキサスというふうにラップランドがテキサスへクソデカ愛情もってると思っているため、「ルークとラップランド恋人説」がラップランドの耳に入ったら殺される、とビビっている。因みに家出してからも実家のお母さんと妹たちから、トランスポーターからバレンタインのチョコを貰っていて、最初は恐怖を感じていたが次第に考えるのをやめた。前世は銃オタで海外で銃の射撃をした経験もあったり。

ソラ:ルークが死んだのは大体この娘のせい。

テキサス:ルークのことはラップランド請負人だと思ってる。

ポデンコ:癒し枠。

ラナさん:実はルークの好みに結構当てはまってたり。

ラップランド:ヒロイン。手作りじゃないことに憤慨しかけたが、マカロンの意味を知っていたため引き下がった。テキサスに向けるクソデカ感情と同じぐらいのクソデカをルークに持っている。つまり手遅れ。

ウィスラッシュ(ゾフィア):競合騎士時代色々あり、ルークとは腐れ縁みたいな感じ。ロドスではルークを教導の手伝いとして呼んだり、2人で酒を飲んで愚痴大会を開いたりと仲は良好。ホワイトデーにマカロンを送られる意味を知っている。

クトゥル○のアイディアロール:何でもかんでも成功すればいいってわけじゃない、ということをTRPGプレイヤーに教えてくれる優しい先生。授業料はプレイヤーキャラの命と安い()

ファイナルソー○:一時話題に上がった伝説のゲーム。やる際はご自分の責任で。

全然筆が進まなくて死んでます()

貴方が想像するラップランドは……

  • 愛が激重なヤンデレ系
  • 愛は重いけど甘々系
  • 愛は重いけど可愛い子犬系
  • 愛は重いけどカッコイイスパダリ系
  • 愛が激重インフェルノですぐ嫉妬する系
  • 普通にやべーやつ
  • 可愛い(脳死)
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