今回の話は完全に思いつきです。
俺には才能がない。いや、厳密に言えば1つの武を極められる才能がない。もっと分かりやすく言えば、某運命の主人公が言っていた「究極の1」を手に入れるために必要な才能がない。
無論こういう結論に辿り着いた理由はちゃんとある。それが実家の家族たちだ。剣……正確に言えば武技に関しては父さんと兄貴のを、アーツに関しては母さんと妹のソレを見て「ああ、自分にはないんだ」と確信めいた予感と言えばいいだろうか、そういうのを感じた。そして結果的にその予感は当たりで、俺にあったのはギリギリ戦士として戦えるぐらいの才能しかなかったし、実際に父さんとたまたま会ったとある術剣士にも言われた。
多分、父さんに関しては俺を征戦騎士にしたくなかったから敢えて言ったのだろう。もう片方の剣士に関しては……まあ、なんで言ったかは分からないが父さんや母さん以外に師として鍛えてもらったことを考えると結果オーライだったのかもしれない。
さて、ここまで長々と語ったが結果として俺は自分の限界にぶちあたっていた。そもそも俺の戦い方はハンドガンによる射撃で中距離戦をしかけてから隙を着いて仕掛け武器かコンテンダーによる一撃で相手を倒す、もしくは仕掛け武器の間合いを変えていき相手を混乱させるというものと真っ向勝負で戦っていない。前者に関しては相手の間合いより外で只管撃ってるだけだし、後者に関しては初見殺し。
そしてこの戦い方の欠点は格上に対して2度目からはあまり通用しないこと、重装備の相手への有効な遠距離攻撃手段が少ないということだ。
実を言うと俺がラップランドに勝てたあの時の戦いも、仕掛け武器による初見殺しで勝ったようなものであり、実際あれ以降俺は模擬戦という形にはなるものの黒星が大半を占めている。勝ててるやつも新しく思いついた搦手や初見殺しなどを組み合わせて何とか勝ちをもぎ取ったようなものだ。まあこの格上に対して弱い、という俺の致命的な弱点については既に開き直っている。一応対処としてはあの手この手で粘って相手のアーツや戦闘技術の情報を集めれるだけ集めて逃げる、もしくは増援に期待して時間稼ぎという風にしている。やべえ奴の相手はやべえ奴に任せるのが1番だ。
2つ目の問題に関しては正直な話、競合騎士だったころは1人だったため、アーツを武器に纏わせて攻撃したり、アーツを纏わせたパンチを打ち込んだ直後にアーツの爆発をあびせてたりと近距離戦闘での対策だけで十分だった。しかし、ロドスに入ってからは一緒に動くチームのメンバーのフォローなどを考えるとそうはいかない。無論、自分一人で全員をフォローできるなんてことは思ってないが、万が一を考えるとやはり手段はある方がいいだろう。
というわけで新しい攻撃手段について先程から考えている訳なのだが。
「俺のアーツ技術だとあと何ができるんだ……」
絶賛行き詰まっていた。一応確認として俺の現在持っている遠距離攻撃手段は、ハンドガンとコンテンダーによる射撃、剣にアーツを纏わせて放つ斬撃の3つのみだ。まず前者の銃による射撃は重装甲の相手には豆鉄砲同然だ。まあ、コンテンダーなら多少ダメージは通るが精々注意を逸らせる程度であること、連射が出来ないことを考えると目的のフォローとしてはイマイチだ。では剣によるアーツの衝撃波はどうかというと、確かに威力だけはいい。だが問題は攻撃範囲だ。纏わせて振るう武器が片手剣の形態のときならまだいいのだが、これが大剣の時となるとその大きさのせいで下手すると仲間にも被害が及ぶ可能性がないとは言いきれない。
そのため理想としてはちゃんと威力がある術攻撃でなおかつ一点集中型ですぐに出せる、というものだが……今の俺ではすぐさまにそのレベルが放てるほど練度はない。
「常にいつでも放てるようにしておくか?いや、でも今の俺だとそこまで気を回すのは難しい……そうするとアーツのナイフを作って……」
「どうしたんだい、さっきからずっと唸ってるけど」
「うおおおお!?」
急に後ろから耳元に話しかけられ、びっくりして椅子が倒れるほど勢いよく立ち上がって振り返ると、そこにはニヤニヤ笑みを浮かべているラップランドの姿。
いきなり声を、しかも息がかかる距離で囁くように言われたせいで心臓がバクバクと鳴っているが、一つだけ気になることがあった。
「……あのさ。なんでお前俺の部屋に入ってきて──」
「?そんなの合鍵使ったに決まってるじゃん」
「…………」
さも当然かのようにラップランドは言っているが、俺の記憶では合鍵を渡した記憶が全くない。そうすると考えられるのは……いや、明らかに蛇……オオカミがいる茂みをつつくのは良そう。それに、こいつの事だから悪用はしないと思うし、アーミヤCEOにチクるのは実害が出てからでいいだろう。
「それで?なんの事でずっと悩んでたんだい?」
「あー、対重装備への遠距離攻撃だよ。俺の今の手札だと、有効な手立てが剣にアーツを纏わせて放つ斬撃波しかないからさ。なるべくピンポイントで尚且つ素早く放てる手段が欲しいなあって」
「……ふーん」
自分から聞いてきたくせに急に興味無さそうな返事をすん……おい待て、何でナチュラルに棚からコップを取りだし……あれ、俺あんな柄のコップ持ってったっけ?
「ああ、いつも君のを借りるのは申し訳ないから勝手にボク用のやつ置かせてもらったよ」
「まじかよお前……ところでコップ以外に置いてるものは?」
「あとはスプーンとフォーク、服かなぁ」
「なんか見たことないシャツあるなーって思ってたけど、アレお前のかよ!!」
頼むから俺の部屋に私物をこれ以上持ち込まないでくれ……!あれ、そういえばシャツやズボンはあったけど下着はなかっ……この先を考えるのはよそう。ここで変に考えてラップランドに気取られるのだけはマズイ。100%おもちゃにされる。
「まあ、そんな細かいことは置いといて」
「細かくねえよ」
「なんで遠距離攻撃手段を増やそうと思ったんだい?」
「無視すんな」
ニヤついていた表情から一変して、どこか不機嫌そうな雰囲気で聞いてきたラップランドに対して少しだけ考える。俺はこれまでの経験からここで答えを間違えると大変な目に遭う、というのを何となく察している。とは言っても、こればっかりに関しては誤魔化しようがないから正直に言うしかないだろう。
「同じチームのやつのフォローとか援護出来たらいいな、って思っただけだよ。正直、大怪我とかされたら少なくとも良い気分にはならないしな」
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「同じチームのやつのフォローとか援護出来たらいいな、って思っただけだよ。正直、大怪我とかされたら少なくとも良い気分にはならないしな」
やはりと言うべきか、ルークからは予想していた通りの答えが返ってきた。彼とはそれなりの付き合いだからこそこう答えると分かってはいたものの、それでも実際に答えられるとあまりいい気分にはならない。その理由が、ボク以外の人へ向けての気遣いという身勝手なものだ。
だが、こればっかりは身勝手だとは思うけども許して欲しいと思う。あの日、ボクと本気で
「まあ、君ならそう言うと思ったよ」
「そ、そうか……」
ボクの返事に対してルークは少しだか困ったような表情を浮かべる。多分ルークはボクの不機嫌をさらに買わないようにあれこれ考えているのだろう。つまり、彼がボクのことでいっぱいいっぱいになっているという事実が例えようのない高揚感をボクに与える。でも、ここでそれを出してしまうとルークはそこで考えるのをやめてしまうため、表情筋に力を入れる。
「えーとだな、こう思ったきっかけなんだけどさ……ちょっと前にお前と一緒にチーム組んで動いた作戦あっただろ?」
「うん?あー、あったね」
「あの時、お前が重装備の敵に囲まれてたのに俺はハンドガンで嫌がらせするしか出来なかったろ?結果としてはお前1人で大体を片付けられたけどさ、お前でも苦戦するようなやつが出た時、せめて手傷ぐらいはって思ってさ」
確かにあの時囲まれてたけど、ボクとしては普通に余裕だったからなんとも思ってなかった。それでもこう言ったということは少なからず心配していたのだろう。実際にルークはああ言い終えた後、獣耳の方を動かしながら顔を背けたし。
……ちょっと、からかってみようか。
「要はボクのことを心配してくれてたってことなのかな?」
「…………」
「ルーク、黙ってたら分からないよ?もしくは肯定と受け取ってもいいのかな?」
「……あー!心配しましたよ!少なからずお前のこと大事に思ってるんだし、心配すんなって方が難しいんだよ!!はい、この話は終わり!!」
ルークの頬をツンツンしながら煽るように聞くと、開き直ったかのようにヤケクソ気味に顔を赤くしながら一息に言い切ると顔を赤くし、そして獣耳を動かしながらそっぽを向いた。明らかに照れているのが分かるが、今はそれよりもルークが初めてボクのことを「大事」だと言ってくれた事実がとてつもなく嬉しく、そして興奮させる。
本当はもう少しからかってあげたいけど、これ以上こちらの気持ちを昂らせるような発言を聞いたら自制できる気がしないからヒントだけ教えて……いや、その前にボクのことを喜ばせてくれたお礼もしてからかな。
ボクは椅子に座ってまたウンウン唸り始めたルークの頭を腕で抱え込むように背後から抱きつく。
「うお!?お、おま何して──!?」
「ボクもルークのこと大事に想ってるし、キミの努力家な部分や照れ屋なところ好きだよ?」
「はあっ!?」
ふふっ、ちょっと押し付けただけなのに随分と初心な反応をするね。今度はこういう方面からからかうのもありかな?でも、あんまりすると慣れちゃうだろうし今回はここまでにしておこうかな。
少しだけ名残惜しいものの顔を赤くして慌てているルークから離れ、部屋から出る直前に振り返り。
「一つだけアドバイスしとくよ。ナイフにアーツを纏わせて投擲っていうのはどうかな?」
「は?え、え?」
混乱するルークに自分になりに考えたアドバイスを告げてからボクはものすごい速さて鳴っている心臓とは裏腹に、ゆったりと部屋を出た。
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「もう、訳分かんねーよおぉぉぉぉ!」ダンッ!!←(コップをカウンターに叩きつける)
「うっわ、ルーク凄い荒れてるけど何があったの?」
「あー、なんかラップランドが自分の部屋に私物を置いたり、耳元で囁いてきたり、後ろからハグされる形で努力家なところとか好きだよって言われて、色んなものが壊れちゃったみたいだよ」
「あー、だからお酒あんまり強くないのに今日の飲み会参加して、あんなに早いペースで飲んでたんだ」
「もう、あいつ本当に訳分かんねーよぉぉぉぉ」
「……落ち着け、ルーク。普段のお前らしくないぞ」
「それじゃあ、フロストリーフの中の普段の俺って何?」
「……少なくともここまで面倒くさくはないやつだな」
「少しは取り繕って欲しかった……」
「まあまあ。とりあえずルークは吐き出せるだけ吐き出しなよ?」
「ブレイズさん……ありがとうございます。あと、俺ちょろいから優しくされると泣きそうになるし、惚れそうになるので気をつけてください」
「あはは、褒めるのが上手いねー。けどそんなこと言ってるとラップランドにつけこまれるよ?」
「……ません」
「ん?」
「そんなこと知りません!その時はその時の俺がどうにかしてくれますよ!」
「後先考えてないねぇ……」
「そうだね、それに関してはボクも同感だよ」
「「「「!!?」」」」
翌日、ルークは二日酔いの状態でラップランドと全力の模擬戦をやった。いくら酔っていとしても女性に対して惚れちゃいそうだの言うのは過ちである、ということとヤケ酒はダメというのを模擬戦終了後、ラップランドの介抱のもとルークは苦しみながらも理解したのであった。
マスターランクディアブロチャアクを鈍器運用してるチャアク使いって自分ぐらいな気がする。
キャラ紹介
ルーク:実は努力家な転生者。お酒はあんまり強くないため、普段は誘われてもソフトドリンク一択だが今回ばっかりはラップランドのアピールによって色々分からなくなりお酒に逃げた。ちなみに当初の目的である攻撃手段については、ラップランドの案を採用して試行錯誤してる最中。ラップランドのことはなんやかんや大事には想ってる。あと言わないがラップランドのは柔らかかったらしい。
ラップランド:ルークのことをテキサス並に想ってるループス。二次創作だからここは許してくださいお願いします何でも言う事聞きますから(何でもするとは言っていない)。さらっと部屋に私物を置いたり、ルークの頭に自身の胸部装甲を押し当てたりとアピールしているが、最後のやつはまあまあ恥ずかしかったり。でも本人的には満足している模様。
ブレイズ:恒例の会話のみのところで登場。この人はビールジョッキがホシグマの姉御並に似合いそうオペレータートップクラスだと思います。
フロストリーフ:推しの1人。クール系もいいゾ~(メイドコスまだー?)ちなみにルークのことはそれなりに頼れるやつだとは思ってるが、今回の件で酒を飲ませないように誓った。
p.s.大陸版の方では異格ハイビスカスが実装されましたね。ベテランっぽい雰囲気なってて個人的には良きでした。……料理の腕はどうなったんでしょうかねぇ。
ルークの秘密2:実は恥ずかしくなったりすると獣耳の部分が結構動く(知ってるのは家族とラップランド、ゾフィアのみ。ルークは誰も指摘してくれてないので知らない)
貴方が想像するラップランドは……
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愛が激重なヤンデレ系
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愛は重いけど甘々系
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愛は重いけど可愛い子犬系
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愛は重いけどカッコイイスパダリ系
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愛が激重インフェルノですぐ嫉妬する系
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普通にやべーやつ
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可愛い(脳死)