いつもは主すみをあげてるのですが、今回はちょっとした息抜きに主真を書いてみました。
※P5R本編ネタバレ注意※
なにわろてんねん、しばきまわしたろか。
というわけでね(?)、今回は主真も書けますというやつです。
無印版では真が推しでした。いいよね、属性多いし(笑)
えぇはい、生きてますよ。ちょっくら別の作品、連載しないやつなんですがね。それを書いてまして。
息抜きに主真を書いてみました。
え? 主すみの方のリクエストだって? ……まぁそのうち書きますよ、知らんけど。
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「パシャッ!」
紙がこすれる音とシャーペンを走らせる音だけが聞こえていた静かな空間で、突然そんな音がした。
驚いて顔を上げると、私の目に映ったのはスマホを構えている彼だった。
彼がスマホの画面を見てニコッと爽やかに笑う。
私の視線に気づいた彼はスマホを傾けて「してやったり」とでも言いたげにドヤ顔をした。
その様子がなんだか可笑しくて、私は思わず表情を崩した。
「ふふっ、どうしたの? 急に写真なんて」
小さく笑いながらそう言うと、彼はスマホの画面をこちらに向けて言った。
「真の真剣な顔が可愛くて。つい撮っちゃった」
そんな彼の何気ない「可愛い」に私は顔が熱くなるのを感じた。
画面に写る自分を見ないように視線を彼から逸らした。
「か、かわい、い……なんて…………っ! もう…………」
私が少し慌てるのを見て、彼は満足気に笑った。
「…………そういうこと、誰彼構わず言ってないでしょうね。貴方はもうちょっと、自分がかっこいいことを自覚した方がいいわよ」
何だか悔しくて、ついそう言い返してしまった。
すると彼は優しい笑顔を浮かべてすぐに答えた。
「まさか、真にしか言わないし、そもそも俺は真以外の人を可愛いなんて思わない」
「……っ、あ、あらそう? な、ならいいのだけれど…………」
心のどこかで期待していた言葉が返ってきて、それなのに素直に受け止められなくて、私は鼓動が早くなるのを感じた。
「ね、そんなことより……、いま俺のことかっこいいって言ってくれたよね? 初めてでしょ、嬉しい」
彼に言われてやっと気づいた。
確かに先程放った言葉を振り返ってみれば、いつの間にか思っていたことをそのまま吐露してしまっていた。
「え? あっ、そ、その…………、それは………………」
私がまたあたふたしてしまう様子を見て、彼は嬉しそうに続けた。
「真、そっち、行ってもいい?」
そんな風に聞かれて、断れるはずない。
それでも何とか年上の体裁を保つため快諾はしなかった。
「勉強、しなくていいの? 何の為にルブラン使わせて貰ってるか分からないじゃない」
「俺はせっかく2人きりなんだから、真ともっと近くにいたいと思っただけなんだけどな。もしかして真は違う?」
「ち、違くないわ! その、…………どうぞ」
捨てられた子犬のような儚い眼差し向けてくる彼に、私は慌てて訂正した。
私がそう言って座っている位置を少しずらすと、彼は「良かった」と安心したように笑って席を立った。
彼が隣に座るとふわりと彼の匂いがして、心臓が掴まれるような心地がした。
何も言わずに静かに身を寄せてくる。
彼は私が恋愛オンチなのを分かっていてあまり積極的に来ることはないが、たまにこんな風に私を翻弄してくる。
腰に腕を回したり、私の横顔をまじまじと見つめたり、そんなことをしているうちに私は痺れを切らして持っていたペンを置いた。
ふぅっとため息に近いような息を吐くと、彼がいたずらっ子のような笑顔を浮かべて尋ねてくる。
「……? 勉強するんじゃないの、真?」
私は心を鬼にして鋭い視線を彼に向ける。
「貴方、分かっててやってるでしょう! こ、こんなので勉強できるわけないじゃない!」
「どうして?」
「ど、どうして……って、…………」
やっぱり彼は意地悪だ。
私が恥ずかしいのを分かっていながら、あえてそういうことをしてくる。
彼は静かに私が話すのを待っていた。
そうして私が彼に迫られてたじたじとしていると、彼は顔を近づけて言った。
「真……、キスしても、いい?」
時が止まったような感覚に襲われた。
彼の真剣な眼差しに貫かれて、私は何も考えられなくなった。
心臓の音がうるさいくらいに大きくなって、ぎりぎりと痛む。
キスは、別に初めてじゃない。
当たり前だけど彼と、少し前に触れるだけのキスをした。
だけどやっぱりまだどうすればいいか分からなくて、それに彼と付き合うまではキスなんてドラマの中だけの世界で、私はそれが現実で自分の身に起きてることがまだ信じられていなかった。
どうにか返事をしようとするが、何を言えばいいか分からずに言い淀んでしまう。
「何も言わないなら、していいって受け取るよ」
彼の顔がさらに近くなって、私は思わず手を前に出して彼を拒んでしまった。
気づいた時にはもう遅かった。
顔を上げると彼は見たこともないほどに悲しそうな顔でこちらを見ていた。
いや、悲しみとは、少し違う。
それが何なのかは彼が次に放った言葉で分かった。
「ごめん、こんな急に、嫌だよな…………。真のこと考えてなくて、ごめん」
少し距離を置いて酷く申し訳なさそうに小さな声でそう言った。
「違うっ! 違うの! その……、急で驚いたのはあるけれど…………、貴方と、キ、キスするのが、嫌とか、そういうことじゃ、ないの……!」
考えるよりも先に言葉が喉をついて出た。
必死で弁解しようと試みても、もう言葉では取り返せないような気がして、気が付くと私は、涙をこぼしていた。
胸が熱くなって、訳も分からずに頬を伝う涙が私の心を蝕む。
どうしていいか分からず、私は小さくえずきながら「違うの」と「ごめんなさい」を何度も繰り返した。
涙を両手で拭いながらただひたすらに謝る。
彼は何も言わない。
その沈黙が怖くて仕方なかった。
匂いで彼が私に近づいてるのが分かった。
彼が手を伸ばし、私の腕に触れた。
彼が触れた所からなんだか分からない、けどとても心が落ち着く何かが私を満たしていった。
そのまま引き寄せられて、私は彼の胸に寄りかかった。
あまりに居心地がよくて、考えることなんてやめて一生ここで生きて、いや、彼と一緒になれればもう死んでしまってもいいなどという、彼に聞かれれば怒られてしまいそうな考えまで浮かんできた。
涙と鼻水で彼の服が汚れてしまうから離れた方がいいのではないかと、一瞬頭をよぎったが体が言うことを聞かず、そのまま溶け込んでしまいそうなほどに私も彼を強く抱き返した。
いつの間にか涙は止まって、苦しさが心地よさに変わっていった。
「真…………、落ち着いた……?」
聞いているだけで落ち着く彼の声が頭に響く。
返事をしようと思っても声が出ず、私は仕方なくなるべく大げさに彼の胸に顔を押し付けたまま頷いた。
「ごめん。俺、もっと真に…………、近づきたくて……」
私の頭を優しく撫でながらそう言う。
無性に彼の顔が見たくなって、私は顔を上げた。
さっきの申し訳なさそうな表情とは少し違う、私を本当に思ってくれていることが分かるような柔らかい顔をしていた。
「………………き」
「ん?」
「…………好き、あなたのことが……、大好き」
普段であれば彼に頼まれてやっとの思いで出る言葉が、今は喉を突いて出た。
彼に早く伝えなきゃと焦っていた。
何度も、何度も、繰り返した。
彼はその度に答えてくれて、私はまた胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じた。
彼にそっと抱きしめられてからどれだけ経っただろうか。
私が完全に泣き止んで、彼の服をぐちゃぐちゃにしたころ、彼は抱きしめた時と同じようにそっと私を離した。
名残惜しくて私は彼の腕をつかんだままでいた。
「…………蓮、キス……して…………」
自分で言った言葉に自分で驚いた。
ついさっきあそこまで拒んでしまったのだから自分からねだる権利があるわけもないのに。
彼は一瞬だけ目を見開いて、そのあとすぐにいつもの優しい顔に戻った。
「……うん、わかった」
そう言って、彼は徐に手を伸ばしてきた。
私の頬を彼のごつごつした大きな手が包む。
急に恐怖が私を襲った。
彼の顔がだんだんと近づいてきて、なぜか私は怖くて動けなかった。
手の震えに気づいたのか、彼は私の手を優しく握ってくれた。
「……大丈夫だから、力抜いて…………」
彼がそう囁いて、私は先ほどとは打って変わって安心感に包まれていた。
すべてを彼にゆだねて、私は力を抜き目を静かに閉じる。
私の唇と、彼の唇が重なる。
感じたことのないような心地よさと安心感が沸き上がってくる。
初めてした時とは少し違った。
彼がそのまま私を抱き寄せる。
もう何も考えられなかった。
彼が顎を引いて、一度唇が離れる。
体が燃えるように熱く、だけどそれすらも心地よかった。
優しい笑顔を彼が浮かべて、またキスをする。
少し長いキスの後、私は彼と同じ笑顔で彼の真っ黒な眼を見て、そして静かに言った。
「大好きよ。蓮、愛してるわ」
ハハッ(狂気)