凌辱エロゲの純愛トゥルーエンドのアフター風な、ヤンデレと泥沼な同棲ラブコメ   作:和鳳ハジメ

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がぶがぶ/10 放課後写真倶楽部

 

 

 戦前から続く伝統ある私立アングレカム学園、その写真部もまた伝統ある部活……という訳でもなかった。

 設立は一年前、幽霊部員の確保によりどうにか部室と最低限の予算は確保出来てはいるが。

 その活動内容は、文化祭の展示のみ。

 

 そんな中で、数少ないまともに活動している者。

 それこそが吉久の親友であり悪友でもある、写真部部長・根古紗楽。

 彼女の恋人であり後輩でもある、藤原兼嗣の二人であった。

 

「うーっす、邪魔するねーー?」

 

「は? 邪魔するなら帰ってくれませんか先輩?」

 

「おっけー、さよならだ」

 

「なんでキミ達は、毎回その茶番をするのだい? ボクには理解できないよ」

 

 彼氏と親友の行動に、呆れた様なため息を吐き出す紗楽。

 男二人は顔を見合わせて。

 

「紗楽さん、俺は真面目に言ってるぞ。実力は認めるが、こんなクソ男の象徴の様な先輩とは縁を切った方が良い」

 

「流石に恋人達の甘い空間に割り込むワケだからね、引けと言われたら引く心遣いなんだよ」

 

「そうか、なら帰れよ。どうせまた変な事をやらかすつもりだろう」

 

「本当に邪魔なら帰るけどね、相談があるんだよ聞いて貰えないかな」

 

「やっぱ面倒事じゃねぇかよ!! 帰れ!!」

 

 一年下の後輩、兼嗣はうんざりした顔でドアを指さした。

 彼と吉久は、単に親友の彼氏、恋人の親友という間柄ではなく。

 兼嗣が道を誤った時に救って貰った恩人という関係ではあったが。

 

「まぁまぁカネくん、折角よっしーが頼ってきてくれたんだ。お茶でも煎れるから話を聞こうじゃないか」

 

「とっとと席につけクソ男先輩、紗楽さんに感謝しろよ」

 

「うーん、相変わらず掌がくるっくるに回転してるね。僕、君のそういう所って好きだなぁ」

 

「……俺はクソ男先輩のそういう素直な所を尊敬しますが、紗楽さんとキャラ被ってるのが嫌いです」

 

 にこにこと笑う吉久に、ぶすっと告げる兼嗣。

 紗楽は苦笑しながら、指先で恋人の頬を押して。

 

「珈琲かい? それとも緑茶? お菓子はいらないよ、目の前で甘い光景を見せられてるからね。よっ、ベストカップル!」

 

「ふふん、キミは煽てるのが得意だね親友。今日は甘ったるいココアだよ、甘い幸せをキミにも分けてあげよう」

 

「とほほ、幸せのお裾分けとは嬉しいねぇ……あ、美味しい」

 

 ずずず、とココアを堪能する吉久に。

 兼嗣は紗楽を膝の上に乗せながら、訝しげな顔で問いかけた。

 

「つーか聞いたぞ竹清先輩、あの聖女様と恋人で同棲を始めたって話じゃねぇか」

 

「そうなんだよ、今朝もよっしーに会いにウチのクラスまで来てさぁ。ビックリして心臓が飛び出そうだっったんだ」

 

「うん、まぁ、その事に関係してるんだけどね……」

 

「歯切れが悪いな先輩、何を相談しようってんだ? 没落しかけてるとはいえ、この学園を経営してるんだ。一乗寺家を頼った方が良いんじゃないか?」

 

 もっともな指摘に、吉久は頬をぽりぽりかきながら。

 曖昧な表情で、苦笑をひとつ。

 

「恥を晒すみたいで恥ずかしいんだけどさ、実は借金があるんだ」

 

「キミのお父さんのかい?」

 

「いや僕の、初雪さんへの借金」

 

「……クソ男先輩? それなら返済期限を待って貰うとかすれば良いんじゃねぇか?」

 

「まぁ、向こうは借金って認識してない可能性が高いし僕の自己満足みたいなもんだけど。ちょっと問題が発生してね」

 

 昨晩、彼女から唐突に告げられた言葉。

 それを裏付けるように、彼のアルバイト先から電話があって。

 

「初雪さんがさぁ、僕ともっと一緒にいたいからってバイト先に手を回してクビにしちゃって」

 

「は!? え? あの人ってそんな事すんのか!? 先輩のフカしじゃなくて!? 本当に!?」

 

「嫉妬深い所があるのかなって、今朝は薄々思ったけど……本当の本当かい? 困った人を助けずにはいられないような優しい人が、キミのバイト先に圧力をかけたと??」

 

 信じられない、と顔を見合わせる恋人達に。

 やはり吉久は曖昧な顔しか出来ない、なにせ全ては自業自得だ。

 

「このままじゃ僕さ、ヒモ確定だから。婿入りすら決まってるかもしれないし。自由に出来るお金、とまで言わないけど借金返済の為に家庭教師のバイトでも斡旋してくれないかなって」

 

「ああ、それでカネくんに頼みに来たんだね。何せカネくんの実家はその手の派遣会社のまとめ役だもの」

 

「というワケで、ダメかな兼嗣。ホントお願いっ、多分、五万ぐらい稼げればいい筈だから!!」

 

 手を合わせて拝む吉久に、彼は難しい顔をする。

 実の所、今までも生活費の名目で家庭教師のバイトを斡旋した事がある。

 だが。

 

「――断る」

 

「そこを何とかっ!!」

 

「断るッ! つーかテメェ、俺の斡旋した先で何回もやらかしてるじゃねぇかよ!! これ以上やらかされてたまるか!!」

 

「えー、でも家庭教師の評判は良いよね僕って。相手の子に今でも勉強の質問とかされるし」

 

「そういう事じゃねぇよ!! アンタ、前回は何をやらかしたか覚えてるのか!?」

 

「うーん、教えるついでにその子のお兄さんのプライベートな悩みを解決した」

 

「あってるけどッ、あってるけどさァ!! それで何で先輩は、男の娘オンリーの風俗店の起業に絡んでるんだよッ!! どう考えてもおかしいだろッ!?」

 

「ああ……、確かその前はコスプレ衣装の制作者と某アパレルのコラボに一役買っていたっけ」

 

「アンタはトラブルを引き寄せるんだよッ、アルバイトと関係ない所でやらかすんだよッ、しかも利益でて誰も損してないから腹立たしいッ、俺なんか親父に誉められたんだぞ、良い人材を紹介したなって」

 

「怒ってるのか感謝してるのか、どっちだい??」

 

 吉久としては、良かれとやった事だし。

 偶然、その悩みを解決できる者を紹介しただけで、解決の場に居合わせただけで。

 主観としては、勉強を教えたついでにお悩み相談wしただけだ。

 

「初雪さんの真似して、誰かの悩みを解決したかっただけなんだけどなぁ……」

 

「くそう……狂信者は言う事が違うッ、俺はどうすれば良いんだッ、利益は出るッ、恩義もあるッ、だが不安でしょうがないッ!!」

 

「よしよし、可愛そうなカネくん……。ボクが付いてるよ、それならいっその事、このままよっしーの悩みを聖女様に横流ししたらどうだい?」

 

「それだッ!! 天才だよ紗楽さん!! 愛してる!!」

 

「それだ! じゃないよっ!? マジで止めて、本当に止めてっ、初雪さんに知られたら僕、どうなるか分からないなよっ!?」

 

「いやいや先輩……、聖女様ですよ? 精々が可愛い嫉妬じゃないですか?」

 

「そうだよ、よっしー。借金の事は聖女様とイチャイチャしながら話し合うのが一番だと思うんだ。あ、それからもう連絡しておいたから」

 

「何てコトをしてくれたんだいシャラっ!? 僕を殺す気かっ!?」

 

 残ったココアを慌てて飲み干し、立ち上がる吉久。

 少し口内を火傷したが、そんな些細なことに構ってはいられない。

 

(不味い不味い不味いっ、何が不味いって今の初雪さんがどうでるか分からないってコトが一番不味いんだよ!!)

 

 困ったヒト、とアルバイトを許してくれるなんてココアより甘い都合の良い夢でしかない。 

 暴力は振るわれないだろう、だが行動に制限がかけられるかもしれない。

 もしかすると、精神的苦痛を理由に借金が増額されるかもしれない。

 

(それだけじゃない、借金して買った物が、買いに行かせた内容も問題なんだよっ、ああ、初雪さんがどんな顔で何を言ってくるか今から不安だっ!)

 

 逃げなければ、少しでも時間を稼いで言い訳を作らなければならない。

 なにせ、吉久が言う借金とは。

 過去、陵辱調教していた時に、羞恥プレイの一環で痴女そのものの布面積が極端に少ない服で。

 アダルトトイやコンドームを、大声で買わせたプレイの時の代金である。

 

(――――やべっ、それだけじゃなかった。他にも借金してた……っ!!)

 

 裸エプロンで料理をさせた時の材料代とエプロン代、彼女の精神を消耗させる為に彼女の財布から万札を取り出させてトイレットペーパーの代わりをさせた事もある。

 

(はははははははっ、もう笑うしかないや。何で僕はそんなに暴走してたんですかねぇっ!?)

 

 立ち上がるなり、青い顔で震え始めた吉久に。

 紗楽と兼嗣は、不思議そうに顔を見合わせて。

 その視線に気づいた彼は、はっと我に返った。

 

「用事を思い出したから、申し訳ないけど今日は帰らせて貰うよ」

 

「――なら、私とご一緒に帰りましょう吉久君?」

 

「………………う、うーん、幻覚が聞こえたみたいだ。すまないけどソファーに横になっていいかい?」

 

「あら、お疲れですか? なら私が膝枕をしてさしあげますッ」

 

「……」

 

「……」

 

「――――――なんでもう居るのさ畜生っ!!」

 

「浮気? 浮気ですか吉久君? 私に内緒で意味不明な借金の返済? 私への借金とは? もしや私から逃げるおつもりです? 何の責任も取らずに??」

 

 頭を抱えて座り直す吉久、初雪は逃がすまいと腕を絡め取りながら顔を近づけて言い放つ。

 笑顔の筈の聖女が放つ冷え冷えとした怒気に、二人は大口を開けて驚愕し。

 吉久は己の胃が、キュウキュウキリキリと痛むのを自覚した。

 

「取りあえずさ、説明させてくれるかい? 出来れば家で、ほら、あの時の話だから」

 

「へぇ、どんな言い訳を聞かせてくれるか今から楽しみで仕方ありませんわ私の愛しい最低男さん?」

 

「ってワケだから、今度こそ本当に帰るね。じゃっ、また明日…………」

 

「ふふっ、ご機嫌ようお二方。また明日、元気な姿でお会いできると嬉しいです」

 

「その元気な姿に、僕は入っているのかな?」

 

「あら、それは帰ってから次第ですよ最愛の無責任さん?」

 

 仲良く腕を組み、と言うには背後にドナドナと聞こえてきそうな退場を。

 二人は静かに見送って、ドアが閉まった所でぷはぁと盛大に呼吸を再開。

 

「…………なぁ紗楽さん、アレどうなってるの?」

 

「聞かないで、ボクにも分かんないんだ。初雪嬢がよっしーにゾッコンラブな事は確かみたいなんだけど…………あ、そういえば忘れてた」

 

 そう言うと彼女は彼の膝から降りて、テーブルの上にあった封筒を手に取り走り出す。

 

「よっしー達に渡すものがあったんだ、少し行ってくるよ!!」

 

「オッケー、ならコップ片づけながら待ってるぜ」

 

 部室を出た彼女は、楽々と廊下の途中で追いつくと。

 

「はい、これ」

 

「なんだいコレ?」

 

「実はさ、君たちの登校風景を撮っていたんだ。二人とも良い表情してるからさ、あげようと思って」

 

「なるほど?」

 

「…………ふふっ、流石は写真部の部長ですね。嬉しい、吉久君との初めての一緒の写真です」

 

 渡された写真を、大事そうに持ち微笑む初雪。

 その光景に、罪悪感を覚えた吉久は彼女に聞こえない様に紗楽に小声で問いかける。

 

「初雪嬢から離れて内緒話かい?」

 

「ちょっと聞いてみたいコトを急に思い出したから。――ねぇ、加害者は被害者に何が出来るのかな?」

 

「そんなコトかい? 加害者が出来るコトなんて被害者の復讐を受け止めて死ぬコトだけだろう。傷ついた心は、相手に同じ傷をつけても恨みは晴れないってものさ」

 

「…………成程、興味深い回答ありがと」

 

 実の所、相談の一つはそれであった。

 吉久が初雪の為に出来る事、それは何かを探して。

 

(過激な意見だけど、そんなものだよなぁ……)

 

「――吉久君? 私をのけ者にして内緒話ですか?」

 

「いや、シャラにカメラを返してなかったのを思い出してね。ほら、アレに使ったやつ」

 

「はァッ!? あ、あれ紗楽さんのだったのですか!? ごめんなさい、明日ちゃんと持ってきますね。――吉久君、そういう事は前もって言ってください、破棄してしまう所だったでしょう!!」

 

「あ、ああ。急がなくていいよ、あのカメラは罪にたいする罰としてよっしーに預けてたものだからね。むしろ返さなくていいぐらいなんだ」

 

「…………紗楽さんがそう言うなら。けど吉久君、この件についても説明して貰いますからね」

 

「はいはい、僕は生きて明日を迎えられるかなぁ……じゃあ今度こそバイバイまた明日ね」

 

 そう告げて帰って行く二人の背中を、紗楽は難しい顔で見ながら。

 

(何があったか知らないけどさ、手遅れになる前に相談してくれよ親友……)

 

 己も恋人と帰るため、部室に戻るのだった。

 

 

 ――結論から言おう、吉久はその日の夜を無傷で乗り切った。

 反面、精力と体力は大きく消耗し上った朝日が黄色く見えたが、生命の無事に比べたらとても些細な問題である。

 それよりも。

 

「ねぇ初雪さん、今なんて言った?」

 

「ですから、今日から一緒に登校しましょうと」

 

「その前」

 

「アルバイトは許可しませんが、代わりに恋人っぽい事をする度にお金を払うという所ですか?」

 

「そうだよっ、なんでそんなヒモと同じような事になるんだよおおおおおおおおおおおおおおっ!?」

 

 登校直前、玄関にて吉久は膝から崩れ落ちたのだった。

 

 

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