ようこそホワイトルームが無くなった世界へ 作:好きjaなくないない無い
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01
「会長!これは一体どういことですか!」
生徒会室の机を叩きながら南雲は堀北に接触する。いくら自分の計画の進みを妨害されているからと言って彼にとっては予想外の展開だろう。
「そのままの意味だ。一之瀬は生徒会を退会した。これからは自分のクラスに力を注いでいきたいそうだ。そう言われたら無理に引き止めることもできまい。ただ、この穴は埋めなければな.......」
そう言って彼はファイルからリストアップした生徒の名前を見る。これは会長自ら選んだ優秀な生徒が乗っている。人クラスあたり五名。計20人からなるそのファイルを眺めている中、南雲が話し始めた。
「なら会長、その穴埋めは俺に任せてくれませんか?」
「お前が?それも一体どうして?」
「現会長はあなたですがあと一月もすれば俺が会長になることは確定事項でしょ。なら俺の体制にあう人材を発掘したいのですが...。今のところ目星をつけている生徒もいますので....」
「....いいだろう。だが俺の任期が終わる前に一度こちらに確認させろ。万が一のためにもな。」
「まさかまさか、こんなところで万が一なんて起きませんよ。そんなの面白くない。」
そう言って南雲は生徒会室を後にした。
まるでゲームを楽しんでいる子どものような笑顔で.........
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早いもので今日から9月に入り二学期が始まる。夏休みが終わったばかりだからって油断している人間はこのクラスにはいなかった。目にクマがついているクラスメイトはいるな。きっと夏休みの宿題を頑張ったのだろう。
そんな今日は午後の授業は2時間のホームルームになっている。大方何をするかは予想できるためクラスのみんなが浮き足立っている。
Dクラスの担任である茶柱先生がやってくると淡々と説明を始める。
「今日から改めて授業を始めていくわけだが、2学期は9月から10月の間一ヶ月間、体育祭に向けて体育の授業が増えることになる。新たな時間割を配るためしっかり保管しておけ。それから時間割表と共に体育祭に関する資料も配っていく」
体育祭という言葉を聞いて毛嫌いする生徒、喜ぶ生徒とわかりやすく分かれる。オレはどちらでもないが須藤をはじめとする体育系の生徒は喜んでいるように見えた。
「え、ちょっと待って。」
「マジかよ!こんなことあんのか!」
クラスが騒がしくなった野が気になりオレも配られた資料を閲覧する。
大体の予想はついていたがやっぱりこうなったか.....
「もう目を通して気づいた者もいるだろうが、今回の体育祭は全学年を2つに分けて勝負する方式を採用しているお前たちDクラスは紅組に配属が決まった。そしてAクラスも同様に赤組として戦うことになっている。この体育祭の間はAクラスが味方ということだ」
それならB、Cクラスが敵となるのか...。親しい仲ではないが警戒しなくてはならない人物が何人かいる。そしてこちらには一之瀬や堀北会長、そして南雲が味方となるわけだ。
「説明はこの一回きりだ。説明の前に体育祭がもたらす結果に目を通しておけ」
茶柱先生の指示に従いしばらく黙読が続く。
体育祭に関するルールと及び組分け
全学年を赤組と白組に分け行われる対戦方式の体育祭。
・全員参加競技の点数配分(個人競技)
結果に応じて1位15点、2位12点、3位10点、4位8点が組に与えられる。5位以下は一点ずつ下がって行く。団体戦の場合は勝利し組に500点が与えられる。
・推薦参加競技の点数配分
結果に応じて1位50点、2位30点、3位15点、4位10点が与えられる。5位以下は2点ずつ下がって行く(最終競技のリレーは3倍の点数が与えられる)
・赤組白組の結果が与える影響
学年の総合点で負けた組は全学年等しくクラスポイントが100引かれる
・学年別順位が与える影響
各学年、総合点で1位を取ったクラスにクラスポイントが50与えられる。
総合点で2位を取ったクラスのクラスポイントは変動しない。
総合点で3位を取ったクラスはクラスポイントが50引かれる。
総合点で4位を取ったクラスはクラスポイントが100引かれる。
「、と言ったところだ。ここまでで何か質問はあるか?」
一呼吸入れた先生に質問の手が上がる。
「あの先生。勝った組は何ポイントもらえるんですか?記載がないみたいですが」
平田からの素朴な質問に対して先生は非常な一言を浴びせる。
「何もない。マイナスという措置を受けないだけだ」
「うげぇ、まじかよ〜。全然おいしくないじゃん」
つまり組が勝っても総合的にはマイナスになってしまうかもしれないと言うことだ。クラス一同が阿鼻叫喚する中、茶柱先生は話を続けた。
「クラス別別のポイントもしっかりと計算さレルことになっているから注意するように、仮にAクラスが飛び抜けて活躍してお前たちDクラスの総合点で最下位になれば必然的にポイントが減ってしまう。このことが意味するのは『全力で手を抜かず戦え』と言うことだ。かと言ってDクラスだけが活躍して総合点で一位を取っても白組に負ければプラスマイナスでマイナスになる。白組に負けて総合点で最下位だった場合、合わせて200ポイントのマイナスだ。そのところは肝に銘じておけ」
先生の注意を見ながら俺は資料の続きに目を通す。
・個人競技報酬(次回中間試験にて使用可能)
各個人競技で1位を取った生徒には5000プライベートポイントの贈与もしくは筆記試験で3点に相当する点数を与える(点数を選んだ場合他人への付与は出来ない)
各個人競技で2位をとった生徒には3000プライベートポイントの贈与もしくは筆記試験で2点に相当する点数を与える(点数を選んだ場合他人への付与は出来ない)
各個人競技で3位をとった生徒には1000プライベートポイントの贈与もしくは試験で1点に相当する点数を与える(点数を選んだ場合他人への付与は出来ない)
各個人競技で最下位をとった生徒にはマイナス1000ポイント。
(所持するポイントが1000未満になった場合には筆記試験でマイナス1点を受ける)
・反則事項について
各競技のルールを熟読の上遵守すること。違反した者は失格同様の扱いを受ける。悪質なものについては退場処分にする場合有。それまでの獲得点数の剥奪も検討される。
・最優秀生徒報酬
全競技で最も高得点を得た生徒には10万プライベートポイントを贈与。
・学年別最優秀生徒報酬
全競技で最も高得点を得た学年別3名には各1万プライベートポイントを贈与。
今までの試験には見劣りするものの、条件の厳しいものから手軽なものまで、幅広い特典はしっかりと用意されている。今までの試験の見劣りの代わりと言っては何だが今回の体育祭には大学などのリスクが限りなく少なくなっている。そのため特別試験とは呼ばれていないのだろう。そして注目は個人競技のメリットデメリットだ。今まで聞いたことのない項目に池が大きな声で先生に聞く。
「せ、先生先生!この1位とか2位とかを取った時の特典!筆記試験の点数を得るってなんすか!?」
その様子が少しばかりおかしかったのか懐かしかったのか、茶柱先生は少し笑った。
「お前の想像通りだ。簡単な話、体育祭で入賞して筆記試験の補填を獲得すれば、お前の苦手科目である英語や数学の点を増やすことが出来る。次回のテストでは大変役立つだろうな。もちろん上手い話には裏もある。次の項目を見てくれ」
そう言って生徒全員がプリントに目を戻す。既に見ていた生徒からは少なからず悲鳴が聞こえて来る。
・全競技終了後、学年内で点数の集計をして下位100名にペナルティを科す。ペナルティの詳細は学年毎に異なる場合がある為担任教師に確認すること。
「先生、このペナルティってどんなものなんですか?」
「おまえたち一年生に科せられるのは次回筆記試験における減点だ。総合成績下位10名の生徒は10点の原点を受けるから注意するようにな。どのような方法での原点となるかは試験が近づいた時に改めて説明する為ここでは質問を受け付けない。また下位10名の発表も同様に、筆記試験説明の際に報告することになっている」
「げええええええ!?まじかよぉ〜」
つまり仮に俺が学年最下位をとった場合、次回の筆記試験では赤点よりも10点多く取る必要があるのだろう。俺にとっては特に問題はないが、池や山内にはなかなかに厳しい展開となるだろう。
一通りの説明を終えると、次は体育祭の競技の詳細を確認していく。
体育祭の種目を分類すると『全員参加』と『推薦参加』の二つに分けられる。全員参加とは文字通りクラス内全員の生徒が参加する種目。個別で戦う100メートル走もそうだし、綱引きなどの集団競技もこれに該当する。
対する推薦競技とはクラスから選抜された一部の生徒が参加する競技。推薦と書かれてはいるがクラスで合意があれば自薦でも構わないし、1人が複数の推薦参加協議に出ても構わないということだ。
「体育祭で行われる種目の詳細はすべてプリントに記載されている。変更は一切ない」
「うげげ、コレめっちゃハードすぎない?中学の頃の比じゃないって!」
・全員参加種目
①100メートル走
②ハードル競走
③棒倒し(男子限定)
④玉入れ(女子限定)
⑤男女綱引き
⑥障害物競走
⑦二人三脚
⑧騎馬戦
⑨200メートル走
・推薦参加種目
⑩借り物競走
⑪四方綱引き
⑫男女混合二人三脚
⑬3学年合同1200メートルリレー
「安心しろ、山内。応援合戦やダンス、組体操などの種目がないからコレほどの種目をやっても夕方前には終わるだろう。あくまで体育祭、運動能力を競うものだからな」
運動が苦手な生徒にとっては苦痛だが我慢してもらうしかない。しかし今日は1、2時間目が総合だったよな?
なら後の1時間はなにをするんだ?
「他に質問はないか?よし、ならこれから全学年の顔合わせがある。15分以内に第一体育館に集合だ」
なるほどな、だから2時間分の猶予があったのか。オレは席から立ち上がり廊下に向かう。その途中でとなりのせきの堀北と誰にも聞かれないよう小さな声で会話を展開する。
「ここからだ」
「分かっているわ」
短い会話で終えた俺たちの最終確認は誰にも気付かれることなく終わった。
今回は体育祭の説明がメインでした。次回から体育祭前の挨拶や練習が始まります。
もしかしたら更新が3月ほどになるかもしれませんがよろしくお願いします。
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追記
現在のポイント一覧です。
Aクラス 1110cp↑ 一之瀬クラス
Bクラス 970cp↓ 坂柳クラス
Cクラス 635cp 龍園クラス
Dクラス 535cp 堀北クラス
綾小路 現在所持プライベートポイント
586万プライベートポイント
計算ミスがあるかもしれません。
もし見つけた場合、感想またはメッセージで教えてくれると嬉しいです。
綾小路のプライベートポイントはポイントの収入等を全て書けていないのでこのポイントで固定しようと思っています。