今回は追憶編となりますが、正直この話がやりたいがためにこの小説を書いたと言っても過言ではありません。
では、どうぞ!
慎悟が扉を蹴破る勢いで部屋中に入っていくと、少女の周りにいた男たちが一斉に慎悟の方へと視線を向けた。なかには下卑た視線のまま向いてきたやつもいたため慎悟は内心かなり不快であった。
「な、なんだ貴様?!どこから入って来た!!」
「黙れ、さっさとその少女を解放しろ、それならまだ許してやる」
「はっ!お前一人に何が出来る、さっさとやっちまうぞ時間がもったいない」
そう言って男たちは腕についていたり端末型だったりとデバイスを使用して慎悟に対して攻撃を仕掛けようとしたが、慎悟からしてみたら男たちの動きは遅すぎるものだった。元々慎悟は黒髪黒目の純日本人という見た目をしていたが、現在の彼は身勝手の極意を常時発動している状態であり銀髪に銀の目という出立ちになっている。
そこから慎悟は男たちが何かをする前に一瞬にして攻撃を済ませデバイスを破壊し男たちを殺さないように気絶させた。
「え....?」
手術台の上にいた少女も自分の周りにいた男たちがいきなり部屋に殴り込むように入ってきた慎悟に向かって魔法で攻撃をしようとするところが見え、ダメッと思ったが気付けば男たちは床に倒れデバイスも粉々に壊されていた。一体何が起きたんだと驚愕していると青年が自分のところにゆっくりと歩いてきて手足を拘束していたものを破壊した。
あまりにも早すぎる展開に少女はしばし放心状態になってしまい、慎吾に声をかけられてやっと現実に戻ってきた。
「大丈夫かい?もう安全だから安心していいよ」
「あ、はい、ありがとう....ございます」
「えっと、いきなりだけど君の名前を聞いてもいい?」
「......四葉.......四葉真夜です」
「オッケー真夜ちゃんだね、ここは危険だからさっさと外に出よう、立てる?」
慎悟は手を貸しながら真夜を立たせ施設からの脱出をしようとした。途中他にもこの施設の関係者だと思われる輩がいたが何人来ようと慎悟には関係なくそいつらを蹴散らしながら出口を探した。そんな慎悟の姿を真夜はキラキラとした目で見ていたが当の本人である慎悟は気が付いていない。
瞬間移動でもいいんじゃないかとも思った慎悟であったが、それを真夜に説明するのが面倒くさいとなったため却下された。しばらく進むと何やら数の多い気を感じ真夜に止まるよう合図を出した。
「なんかさっきよりも多くの人数がいるから少し気を付けて進もう」
「......もしかしたら私の救助に来てくれた人達かもしれません」
「あ、ほんと?でも、万が一があるから警戒はしておこう」
そうして団体が来るのを待っていると扉が開き外にいた多くの人が中へと入ってきた。その中でも中心で指示を出していた男が慎悟たちを見ると目を見開き血相を変えて声を上げた。
「そこにいるのは真夜か!よかった無事だったのか!」
「お父様?!!」
「お父様ってことは.....よかった救助か....」
真夜が父と呼んだ男は自分の娘の元へと行こうとしたが、その娘の隣にいる慎悟の存在に気付き警戒度MAXで視線だけで人を殺せるのではないかというレベルの眼光で慎悟を睨めつけた。そんな男の反応を見て慎悟はまぁ当然の反応だよなと思いながら目の前の真夜の父親の動きを待った。
「貴様.....何者だ、娘に何をした.....」
「俺は「お父様!この方は私のことを助けて下さった恩人です」ただの...って.....」
「助けた....だと?」
「あー大丈夫ですよ何もしませんから、ほら真夜ちゃんお父さんの所へ行きな」
慎悟はこの状況では自分が何を言っても通じないだろうと判断し、両手を頭の高さまで上げて真夜に目配せして父親のところへ行けと伝えた。真夜もその目線の意図を理解し小さく「ありがとうございました」と言って父親の方へと歩いて行った。
すると慎悟の周りが白く光出した。どうやら慎悟がお願いしたもう一つの時間2092年に向かうそうだ、慎悟はそれに気付きもう一度真夜の方を向いて笑ってサムズアップした。それを見た真夜は慌てたように慎悟に話しかけた。
「あ、あの!最後にお名前を教えてくれませんか!」
「う〜ん、名前かぁ、悪いけど秘密で!」
「えぇ!どうしてですか!」
「多分だけど三十年後くらいにまた会えると思うからその時にね!」
最後に慎悟はそんなことを真夜に伝え、彼女たちの前から消えた。
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「っと、次は沖縄か〜まさかここで戦いが起きるなんで誰も思ってないよなぁ」
目の前が白く光出した後、慎悟は次の目的地である沖縄に着いていた、慎悟の微かに残っている原作知識ではこののどかな観光地である沖縄は近々には戦火に包まれてしまう。ここでの慎悟の目標は主人公司波達也の妹の深雪、母である深夜およびそのガーディアンである桜井穂波の救出である。
深雪はまだしも深夜と穂波に関しては原作開始時点で既に二人は亡くなっている。深夜は魔法の酷使により身体を壊し今から数年後に亡くなり、穂波はこの沖縄海戦中に主人公を庇ってそのまま亡くなってしまう。
慎悟は真夜、深夜、穂波を助けることで原作ではとても酷かった達也の家族関係を少しでも良くしたいという一種の自己満足からこのようなことを行なっている。
「確か軍のシェルターで問題が起きるだよな、簡単に行ける場所でもないからてきとうにブラブラしとくか」
それから慎悟は時間を潰すために観光も兼ねて沖縄を周り目的の場所へと向かった。お金などに関してはポッケに入っていた端末にこれでもかというほどの金額が入っていたため、最初は驚き使うことを躊躇した慎悟だが神様からの餞別だと思ってありがたく使わせてもらった。
ある程度自身が生前出来なかった沖縄観光というものを楽しんだ後近くにあったベンチに座り空を眺めていた。快晴と呼ばれる空で気温も高いが、それによって時折吹く風がより一層気持ち良く感じてしまい、一言でいうととても良い天気であった。
「こんなに長閑なのはいつぶりかな、向こうじゃ天気なんて概念なかったもんなぁ」
そんな誰に話すでもない独り言を言った後、慎悟は急激な眠気に襲われてしまい目を瞑って特に抵抗することもなくその睡魔に身を任せた。
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「ハッ!....あれ、いつの間に寝てたのか......って......やべ、俺もしかしてやらかした?」
慎悟は目を覚ますと現在の状況、時間をみて顔を青くした。
なぜなら......
海岸の方でどう見ても日本人ではない武装した者たちが沖縄へと上陸しており、気を探ってみると辺りに先ほどとは比べ物にならないほどの大勢の人の気がそこらじゅうにあったからであった。
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──あ、死ぬ。私は心の中で瞬時にそう思った。
基地のシェルターの中で軍の兵士の方が部屋に入ってきた仲間の軍の方を躊躇うことなく発砲した。そして、まるでそれが合図であったかのように周りの軍の兵士の方が私達にその銃口を向けた。
突然のことで私は呆然としてしまい何もすることが出来なかったが、横にいたお母様と穂波さんは咄嗟に魔法式を構築しようとした。しかし、お母様達が魔法を行使する前に私の頭の中にまるでガラスを引っ掻いたような不快な音が響いた。
あまりの不快感に私は立っていることも難しくなってしまった。隣にいたお母様達も例外ではなく頭を押さえて苦しんでおり、魔法式の構築どころではなくなっていた。それによって私達は無防備な状態で銃弾を受けることとなった。
──助けて、お兄様!!!!
私は来たる痛みを覚悟して目を瞑り最愛の兄のことを叫んだ。しかし、いくら時間が経てど私、いや私達に弾丸が来ることはなく気づけば頭の中の不快な音も止んでいた。
恐る恐る目を開けるとそこには一人の男の人がいた。身長は高く一般の方と同じ服装をしており、特徴的な銀色の髪がとても綺麗だった。顔には何故か機械的な仮面を着けていた。
「ふぅ、危なかった。ギリ間に合ったな」
「だ、誰だ貴様は!一体どこから入ってきた?!」
「そんなのはどうでもいい、あとこれ邪魔だから壊しといたよ」
仮面の男の人の手には小さな石のような物が粉々になっておりそれを見た相手は目に判るほど狼狽えていた。どうやらあの石によって先程の現象を起こしていたらしく私と同じように起き上がったお母様と穂波さんも黙って前にいる仮面の人を見ていた。
「なっ?!アンティナイトが何故貴様の手に?!どういうことだ!」
「そんなの教えるわけないだろ、お前達はもう終わりだよ」
「?!......クソがぁぁぁぁぁ!」
狂ってしまった相手が銃を乱射したが弾丸は全部仮面の人の前で消えるように無くなっていた。そのまま銃弾を打ち尽くし棒立ちになった相手に向かって仮面の人が手のひらを向けると突然何かに吹き飛ばされたように後方へと飛んでいき壁に激突して気絶してしまった。
その後、手を下ろしてから私達の方へと振り向き声をかけてきた。
「大丈夫ですか?いや、さっきのでダメージ受けてますね。ちょっと失礼します」
「?!これは.......」
話しかけて時に何か気付いたのか仮面の人が私達に手のひらを向けると、先程まで感じていた身体の怠さなどが一気になくなり絶好調と言える状態になった。お母様達も同じようで一様に目を見開いて驚いていた。
「よし、これでもう大丈夫ですね。何か気になるところはありますか?」
「え、えぇお陰様でもう大丈夫です、お二人はどうですか?」
「私も特には......」
「だ、大丈夫です......」
「よかったよかった、いやぁほんとに危機一髪だったよ」
私達の言葉を聞いた仮面の人は顔は見えないが恐らく笑っているのだろうと思われる口調と態度で喋っていた。目の前の人のことが気になってしまった私は緊張しながらも声を掛けようとしたが、声を出す前に別の声が私の耳に入ってきた。
「深雪!!!母さん!!穂波さん!!」
「お兄様!!」
「大丈夫か!怪我はないか!」
お兄様が肩を掴んで私の安否を聞いてきたが、お兄様の顔がとても近くに来ていてとてもそれどころではなかった。すぐにお母様が間に入って私達の現在の状態となにがあったのかを説明し、それを聞いたお兄様は横でじっと私達のことを見ていた仮面の人に頭を下げてお礼を言っていた。
「妹達を助けていただき本当にありがとうございました」
「いいのいいの、気にしないで」
お兄様はその後まだ外にいる敵軍の対処のために国防軍の方と一緒に戦地へと向かって行ってしまった。本当は行って欲しくはなかったがお兄様が自分で決めたことだったため私は何も言えなかった。
仮面の人もいつの間にかいなくなっており、お母様や穂波さんに聞いてみてもどこに行ったのか全く分からないと言われてしまった。
私が今出来ることは戦場へ行ってしまったお兄様が無事に帰ってこれるよう祈ることだけだった。お母様も表立って出してはいないがとても心配そうな雰囲気で佇んでおり、穂波さんが話しかけて気を紛らわそうとしていた。
祈っている間でも私はあの銀髪の仮面の人のことが頭の片隅から離れなかった。
*********
深雪達を助けた後慎悟は今回の沖縄海戦の状況を空の上から見ていた。特に達也の戦い方を注視しておりその戦いは戦場においては異質であった。血が流れることはなくただ淡々と戦場を歩き、文字通り敵兵を
これは達也の魔法の性質上そうなってしまっているのだが実際に目にしてみるととても恐ろしいものだと慎悟は思った。
「あれは確かにやばいな、あんなのに勝つなんてこの世界の人間じゃ難しいだろ」
その後も日本と大亜連合との戦いを見続け、最後に達也が使用した戦略級魔法『
しばらくすると国防軍の方がなにやら騒がしくなったが慎悟には既にその原因が分かっていた。まだ大亜連合の別働隊が海上に残っていたのである。どうやら国防軍はその情報が今入ってきたようで彼等はまだ動けず対処出来ないでいた。
このままでは沖縄本土に被害が出てしまうと判断した慎悟は両手を腰にひき、鳥の嘴のような構えをしてから体内にあるエネルギー『気』を手に集め始めた。慎悟が今やろうとしているのは『かめはめ波』という誰しもが一度は憧れたことのあるあの技である。
「かぁ.......めぇ........はぁ.........めぇ......」
段々とその両手に気が集まっていき急速に青白い輝きが漏れ始めている。そして慎悟はその光の波動を両手を上下に開いた形で前方に突き出し、掌から気を放出した。
「波ァァーーーー!!!!!」
慎悟の放ったかめはめ波は大亜連合の艦隊へと真っ直ぐに進んでいき、艦隊をその光が飲み込み一撃で消沈させた。
そのまま慎悟は自分の放ったかめはめ波を見て満足そうな顔をしながら2092年から姿を消した。
*********
気付くのが遅れた。
戦略級魔法である『
おそらくもう一度『
『上空から未知のエネルギー反応を検知!敵艦隊に向けて真っ直ぐと進んでいる模様!発生源は不明、逆探知も出来ません!』
通信のとおり上空から青色の光線のようなものが大亜連合の艦隊に向かっていった。俺はそれを見て驚愕した.....サイオンの気配はあったが、その光線には魔法式のようなものは全く見えなかった。そのことが伝える意味──つまりあの光線は魔法ではないなにかによって引き起こされた現象だということだ。そして、光線はそのまま敵艦隊を飲み込み消滅させた。
「あれは一体なんだ.....?誰が使用したんだ.....まさか、あの仮面の男か.....?いや、判断するには情報が足りなさすぎる」
様々な可能性を考えては破棄するを繰り返したが現状では推測も立てることが難しかった。誰が何故あのようなことをしたのかまだ分からないが、なぜか俺はあれを使用した人が深雪や母さん達を助けてくれたあの人ならいいなと思っていた。
真夜:慎悟に助けてもらった日から慎悟の捜索を始める。世界中の銀髪の男を片っ端から調査したが結局は見つからず捜索は終了した。四葉の者は申し訳なく思っていたが、真夜は慎悟が言った三十年後に会えるという言葉を信じていたのでそれまで待つことにした。深夜との関係は原作よりも良好である。銀髪にはまった。
深夜:真夜が救出されたと聞いてとても安堵すると同時に真夜を助けた男に興味を持つ。銀髪と謎の仮面という特徴しか知らなかったが、沖縄で会った時にこの男だと確信した。四葉の本家に招待しようとするもその前に居なくなってしまったため真夜から質問攻めにあった。達也達のことは親としてしっかりと愛している。銀髪にはまった。
穂波:慎悟が天使の力の一部を使ったため調整体としての寿命問題が解決した。助けてもらった命は大事に使うと決めており今でも深夜のボディーガード兼良き理解者として今でも四葉にいる。銀髪にはまった。
深雪:あの銀髪の後ろ姿が忘れられなくなってしまった。もし、自分の兄が銀髪であったらと妄想し悪くないと思ったため、さりげなく達也に銀髪を勧めたりして達也を困らせた。銀髪にはまった。
達也:大亜連合の艦隊を消滅させた謎の光線についてしばらく考えたが結局なにも解明することが出来なかった。仮面の男が怪しいと思っている。慎悟にはまたいつか会いたいと思っており色々と話してみたいと考えている。沖縄から帰った後深雪があからさまに自分に銀髪を勧めて来たためとても困った。
この話は書いていてとても楽しかったです。感想と評価もお待ちしてます。