中々書く時間が取れず間が空いてしまいました。
二次小説って書くの本当に難しいですね。スラスラ書ける人が羨ましいです。
では、どうぞ!
「.....借りだなんて思わないからな」
真由美たちがいなくなった後、森崎は達也と慎悟に向けてとても不服そうな顔でそんなことを言った。
「貸しだなんて思ってないから安心しろ」
「出来ればその偏った考えを直してくれると嬉しいけどね」
嫌味なく言った達也に対して慎悟はやや棘のある言い方をした。慎悟からすれば今回の一連の騒動の原因は森崎の極端な思考から発展したと考え、昼の事もあり森崎に対して良い印象を持っていなかった。
「僕の名前は森崎駿。お前が見抜いた通り、森崎の本家に連なるものだ」
「見抜いたなんてそんな大層な話じゃない。単に模範実技の資料映像を見たことがあるだけだ」
『森崎って誰?』
『百家支流の家系ですます。魔法そのものの技術よりCADの操作技術を研鑽することで、魔法の発動スピードを上げることを試みている一族ですますよ。ですが、最近では副業として始めたボディガード派遣の警備会社のほうが認知されているらしいのですますよ』
森崎と達也がお互いを睨み合っている横で、慎悟は森崎家についてマルカリータに聞いていた。尋ねればすぐに教えてくれるため慎悟はマルカリータによく質問をしている。
「僕はお前達を認めないぞ、司波達也、神楽慎悟!司波さんは、僕達といるべきなんだ」
森崎は慎悟と達也に指を刺してそんな捨て台詞を吐いた後、ほのかと雫を除く他の一科生とともにその場を去った。あれだけのことがあったのに全く考えの変わらない森崎に慎悟は片手で頭を抱えた。
「だから、その考えを直せって言ってるのに......」
「俺達がなにを言ったところで、自分が変わろうとしない限りは無理だろう」
「ま、それもそっか。そういえば達也、よく一瞬であんな事言えたな」
「あの状況ではあれがベストだったってだけだ。慎悟もよくアイコンタクトのみで分かったな」
「お前が俺について話したからね、流石に気付くよ」
達也が摩利に何を話すか理解した時、慎悟は思わず舌を巻いたと同時に随分といい性格をしているなとも思った。しかし、今回はそれで罰則もなく穏便にことを収められたため感謝はあっても文句はない慎悟である。
二人で会話をしていると慎悟の後ろからほのかと雫が現れ、急に頭を下げて達也に謝罪をしだした。先程対立していた一科生からまさか頭を下げられると思ってもいなかった達也は珍しく面食らっていた。
それから慎悟や深雪のフォローもあったおかげで、二人は達也達から許しをもらった。慎悟はその様子を見届けてから自分は一人で帰ろうとしたが、ほのかが達也達と駅まで一緒に行くと言っていたため断ることもできず、慎悟もそれに同行することとなった。
*********
帰り道、慎悟は質問攻めにあっていた、主にエリカから。
彼女は慎悟がいつ自分のCADを取ったのか認識出来なかった、それどころか起動中のホウキを素手で掴んで取られてしまったのだ。
他の魔法師のサイオンで作られた起動式は、魔法演算領域に拒否反応を起こしかねない。常識的に考えれば慎悟が行ったことは普通はやらないし、やったとしてもただの馬鹿だと思われる。
「慎悟君はどうやって私達からCADを取ったの?全く見えなかったけど」
「たしかにそうだな、気付いたらコイツと森崎ってやつのを両手で持ってたよな」
「あぁ、いや普通に走って取っただけだよ、あはは」
慎悟は返答にとても困った。
彼がやったことは至ってシンプル、超スピードで取っただけなのだ。嘘は言っていない。しかし、それで納得出来るほど周りの連中は馬鹿じゃない。慎悟は何かを隠しているとエリカから疑いの眼差しを向けられた。因みにエリカ達E組の人達とはすでに自己紹介を終えており、お互いに名前で呼び合う関係となった。それを聞いていたほのかと雫からも名前で呼び合うよう強制されたが......
「えー、それじゃあ納得出来ないんだけど」
「色々と鍛えてもらってたから、そのおかげで身体能力が上がったんだよ」
「鍛えてもらったって.....一体どこまですればそうなるのよ」
「身体のあちこちが勝手に判断して行動出来るようになれば.....かな?」
「それってもう人間って言えるのか......?」
慎悟としては大真面目に言ったつもりだが、エリカやレオ達には冗談だと思われたようだ。
だが、達也だけは慎悟の言った言葉を冗談だとは思わなかった。達也にとって慎悟は謎が多い人間であるため少しでも情報を無駄にしたくないと考えたからだ。先程からずっと慎悟のことをじっと観察していた。
(身体が勝手に.....そんな事が人間に可能なのか?一応調べておくか)
「じゃあ、起動中のホウキに触れて大丈夫だったのは?」
真面目に答えてくれないと判断したエリカは今度は別の気になったことを慎悟に尋ねた。達也も耳を傾け他の者達も気になったのか質問に対する慎悟の言葉を待った。それを見た慎悟は少し困った顔をしながらも話し出した。
「あれは手に気.....サイオンを纏わせたから平気だったんだよ」
「サイオンを?」
「そう、高密度のサイオンを使って起動式ごと握りつぶしたって言った方が分かりやすいかな」
「「「.........」」」
「?どうしたみんな?」
「慎悟、普通はそこまで細かくサイオンを操作はできない」
みんなが黙ってしまったため何かやらかしたかと思った慎悟であったが、案の定、達也の言葉を聞いてもはや乾いた笑いしか出てこなかった。そのあとはなんとも微妙な空気感のまま駅に着き解散となった。
あの場にいた全員の者たちの脳内に慎悟が想像以上に凄いやつだということが刻まれた。それと同時に達也の慎悟に対する警戒度が更に上がった。
そんな慎悟の一連の行動を見ていた隣の天使は口元を手で押さえ、漏れないように笑いを堪えていた。
*********
「慎悟君、今日のお昼休み一緒に生徒会室に来てくれませんか?」
翌日の朝、慎悟が教室の席に着くと近くまでやってきた深雪がそう聞いてきた。その問に対し慎悟は首を傾げながらも答えた。
「いいけど、何で俺?もしかして昨日の事でまだなにか?」
「いえ、そういう訳ではないんです。先程七草生徒会長とお会いして、生徒会について説明するので一緒にお昼でもどうかと言われまして」
慎悟は深雪の話をうんうんと聞いている。毎年新入生の総代を務めた生徒は生徒会に入るということが一高の通説であり、慎悟の目の前にいる深雪も例に漏れず生徒会に入るのだろう。それについての疑問は特にない。
だが、今の話ではなぜ慎悟も共に行かなくてはならないのか分からないため慎悟は問いをかけつつ続きを促した。
「なるほどね、じゃあなんで俺が一緒にいかなくちゃならないんだ?」
深雪は困ったような顔をしながら答えた。
「それなのですが、七草先輩はそこまでは教えてはくれず、来てから話すとしか.....」
「あの人って意外とお茶目なのかな?まぁ、いいか。深雪と二人で行くの?」
「いえ、お兄様もご一緒です」
「達也もか、昨日ので目付けられたか?」
昨日のいざこざで達也が生徒会から目を付けられと慎悟は思ったりもしたが、自分に関係することではないため即座にその考えを捨てて深雪に了承の返事をした。
そして昼休み、慎悟は深雪と教室を出たあと廊下で待っていた達也と合流し生徒会室に向かった。達也が慎悟達のところへ来た時、さりげなく慎悟から深雪を守るような位置に並んだことは言うまでもない。
生徒会室前に着くと先頭を歩いていた深雪がノックをし、慎悟達三人が来たことを伝えた。すると中から『どうぞ』と声がした。
達也がドアの取っ手を持ち三人で中へ入ると机に座っていた真由美が楽しそうに笑いながら歓迎した。
「いらっしゃい、遠慮しないで入って」
真由美に対してまずは深雪が挨拶をしたが、その姿は礼儀作法のお手本といった感じで達也以外の全員が驚き思わず見入ってしまった。慎悟の隣にいたマルカリータも深雪の礼儀作法に感心しているようであった。
「お肉とお魚と精進、どれがいいですか?」
慎悟達が席に着いたところで同じく生徒会室にいた小柄な女子生徒がそう聞いてきた。達也と深雪はそれに対し精進を頼んでいたが、慎悟は左手に持っていた手提げバッグを見せて大丈夫ですと断った。
ダイニングサーバーの操作をしていた女子生徒が席に着いたところで、真由美が主導となって話が始まった。
「入学式で紹介しましたけど、念の為、もう一度紹介しておきますね。私の隣が会計の市原鈴音、通称リンちゃん」
「..........私のことをそう呼ぶのは会長だけです」
鈴音はきつめの印象ではあるが、顔は整っており、背が高く手足も長い。美人という表現にふさわしい容姿をしていた。
(確かに『リンちゃん』ていうよりは『鈴音さん』の方が似合うな)
「その隣は知ってますよね?風紀委員長の渡辺摩利」
摩利は名前を呼ばれ軽くウィンクした。
「それから書記の中条あずさ、通称あーちゃん」
「会長.........お願いですから下級生の前で『あーちゃん』は止めてください。私にも立場というものがあるんです」
あーちゃんと呼ばれた生徒──あずさは真由美に対して抗議をしたが、その姿は彼女の童顔と小柄なこともあってかどこか微笑ましさがある。
鈴音とは違ってこちらは『あーちゃん』がとてもしっくりくる。
「もう一人、副会長のはんぞーくんを加えたメンバーが、今期の生徒会役員です」
(はんぞーくん?あの忍者の?)
『昨日七草真由美さんの横から慎悟さん達を睨んでいた男子生徒ですますよ』
いきなり出てきた有名な忍者の名前を思い出し首を傾げた慎悟にマルカリータが淡々と説明をした。
それからダイニングサーバーから料理を取り出し配り始めたが、摩利の机には何も置かれず弁当を取り出していた。それを見た深雪が摩利に話しかけた。
「渡辺先輩、そのお弁当はご自分でお作りになられたのですか?」
「そうだが.......意外か?」
「いえ、少しも」
少し意地悪気に聞いた摩利の質問になぜか達也が間髪入れずに答えた。
「普段から料理をしているかどうかは、その手を見れば分かりますから」
達也からそんな事を言われてしまった摩利は気恥ずかしさから顔を赤くして手を机の下へと隠した。そして、自分と同じく弁当を食べていた慎悟に矛先を向けることにした。
「そ、それならそこにいる慎悟君もそうじゃないか、君はどうなんだ?」
「え、俺ですか?俺は渡辺先輩のように自分で作ってはいませんよ」
「あら?それじゃあ誰が作っているの?慎悟君一人暮らしだったわよね?」
真由美の質問に慎悟はどう答えていいのか困ったが、とりあえず何か返事を返さなければと思い言葉を続けた。
「えーっと、一緒に住んでる同居人.....ですかね?」
苦し紛れに答えた慎悟であったが、その反応になにやら疑問を持った真由美が意地悪そうな顔で慎悟に質問を続けた。周りの人達も少し不思議に思ったらしく全員の目が慎悟へと向いていた。
「同居人?それって女の人?」
「はい、そうですよ。それが何か?」
「それじゃあ二人で暮らしてるってことでしょ?それってそういうことなのかなーって」
『?!』
真由美が何を言わんとしていることが分かった慎悟はそのことを否定した。
「あはは、さすがに違いますよ。向こうもそんなこと考えてはいないでしょうし」
「そういう割には随分と凝った弁当だな」
達也がぼそりと呟いた言葉に一度静かになった後、視線が慎悟からその下にある弁当に向けられた。
とても色鮮やかなその弁当は一見好きなものを詰め込んだ感があるが、栄養バランスや食べ合わせが良く考えられており一つ一つの料理が大変工夫されていた。作り手の苦労と食べる相手への思いが込められていると誰が見ても一目瞭然の弁当であった。
それにご丁寧にデザートまで付いている。
「本当ですねお兄様、ここまでのものを毎日作るのは大変なことです」
「慎悟、お前は毎日このような料理を食べているのか?」
「そうだな、いつもこんな感じで作ってくれてるな」
その言葉を最後に慎悟は真由美達から様々な質問をされることとなった。魔法師だなんだと言っても一介の女子校生である彼女達からしたら慎悟の話は興味が尽きないのだろう。
対応に困っている慎悟を横に達也は考え事をしていた。先程話に出てきた慎悟の同居人の話である。彼が調べた中でも慎悟と一緒に住んでいる者の情報など一切なかった。完全に予想外の情報である。
(一度慎悟の家に行ってみるか?いや、行くとしてもどうやって......)
しばらくの間生徒会室は騒がしい声が響いていたが、ある程度話を聞いて満足した真由美がここに来て本題を話し出した。
「本校の生徒会長は選挙で選ばれますが、他の役員は生徒会長が選任します。解任も生徒会長に一任に委ねられいます。各委員会の委員長も一部を除いて会長に任命権があります」
「私が務める風紀委員長もその例外の一つだ。生徒会、部活連、教職員会の三者が三名ずつ選任する風紀委員の互選で選ばれる」
(前世の高校とは生徒の持つ権限が違い過ぎるな......)
それから生徒会長としての任期、新入生総代を務めた生徒が生徒会役員になることが毎年の恒例なのだと真由美は丁寧に説明した。慎悟達も口を挟むことなく黙って聞き、達也がお世辞を言ったりもしていた。
言われ慣れているはずなのに本気で照れているような反応をしたため達也は彼女が何を考えているのか分からなくなり、慎悟も概ねそんな気持ちであった。
「深雪さん、私は貴方が生徒会に入って下さることを希望します」
「引き受けていただけますか?」
深雪は真由美にそう言われ下を向き俯いてしまった後、全員に聞こえるように質問した。
「会長は兄の入試の成績をご存知ですか?」
「凄い成績でしたよね、先生も驚いていました」
「成績優秀者や有能な人材を生徒会に迎え入れるのなら、私よりも兄の方がふさわしいと思います!」
深雪は感情が高ぶり、勢いよく椅子から立ち上がって縋るように言った。
自分よりも兄の方が適任であると。生徒会に加えてくださることは光栄であり喜んで末席に加わらさてもらうがそれは兄も一緒では駄目なのか。
達也の制止も聞かず自分の願いを伝えた深雪であったが、鈴音の返答によりそれは叶わなかった。
「残念ですが、それはできません。生徒会の役員は第一科の生徒から選ばれます。これは不文律ではなく、規則です。これを覆すためには生徒総会で制度の改定が決議される必要があります」
鈴音が言った通り、これは規則であるため簡単に破ることはできない。すまなそうに深雪に告げた鈴音の顔を見るに、彼女も現在の制度に対してあまりいい考えを持ってはいないのだろう。
「.......すみません、出過ぎたことを申しました」
「いえ、デスクワークなら成績優秀者はむしろ適材なので本来なら欲しいところなのですが.......生徒会が規則を破る訳にも参りませんので」
深雪が深々と頭を下げて謝罪したのを真由美は複雑そうな顔をしながら見ていた。深雪を咎める者はこの場にはいなかった。
「ええと、それでは、深雪さんには書記として、今期の生徒会に加わっていただくということでよろしいですね?」
「はい、精一杯務めさせていただきますので、よろしくお願い致します」
深雪からの返事を聞き、満面の笑みを浮かべた真由美はその視線を慎悟へと向けた。慎悟も姿勢を正して話を聞く体勢をとる。
「それと、慎悟君には風紀委員に入ってもらいたいのだけど、いいかしら?」
「風紀委員.....ですか?」
「先程風紀委員は生徒会、部活連、教職員会の三者から選ばれると言ったが、君の場合は教職員推薦枠で選ばれたんだ」
風紀委員に入ることを不思議に思った慎悟を見てか、横から摩利が説明してくれた。
どうやら慎悟は実技試験において一高始まって以来の最高記録を出したためその力を活かして欲しいとのことであった。それを聞いた慎悟はそういう事かと納得し、特に断る理由も見つからないため引き受けることにした。
「なるほど、俺なんかで良ければ喜んで引き受けましょう」
「そう言ってもらえると助かる。それと真由美、風紀委員の生徒会選任枠のうち前年度卒業生の一枠がまだ埋まっていない」
「摩利.......それは今、人選中だと言っているじゃない」
「確か風紀委員の生徒会選任枠は、二科の生徒を選んでも規定違反にはならない……だったよな?」
(あ、この流れってもしかして?)
『多分そうですますね』
真由美の目が大きく開かれ、鈴音とあずさも摩利のまさかの考えに唖然としていた。
なんとなくこの後の展開を察した慎悟は遠い目をしながら隣にいる達也を見た。そして真由美は興奮したように立ち上がって言った。
「ナイスよ摩利!」
「はぁ?」
さすがの達也もあまりにも突然なことに思わず間の抜けた声を出した。
「風紀委員なら問題ないじゃない!摩利!生徒会は司波達也君を風紀委員に指名します」
「ちょっと待って下さい!俺の意思はどうなるんですか?大体、風紀委員が何をする委員なのかも説明を受けていませんよ」
そう真っ先に反発したのは誰でもない、達也である。自分の知らない所で話が進んで行っているのだから彼からしたら黙って見ていられる状況でもないだろう。
しかし、そんな焦せるように真由美達と話す達也とは反対にどこか嬉しそうに深雪が笑っていたことに慎悟だけが気付いていた。
それからも達也は真由美達に真っ向から反論を続けていたが、突然彼の右肩に手が置かれた。達也が右を向くと慎悟がため息をつきそうな顔をしながらそこにいた。
「達也、お前の言いたいことはとてもよく分かるんだが、一旦落ち着け」
「慎悟.....」
慎悟は達也が落ち着いて黙ったのを見てから真由美達の方へと顔を向けた。
「七草先輩に渡辺先輩、達也を風紀委員に入れたいことは分かりますがさすがに急過ぎです。それじゃあ達也だって文句の一つや二つ言いたくなりますよ」
慎悟に注意されたからかはたまた自分達の熱が冷めたのかは分からないが、二人とも黙ってしまい一度部屋に静寂が訪れた。そこから数秒してから慎悟は続きを話し始めた。
「ですので、この話は一度終わりにして続きは放課後にしませんか?それなら達也も考えられる時間がありますし」
「なっ.....慎悟!」
達也は慎悟に口を開こうとしたが、その前に慎悟が一度深雪に目線を向けた。そちらを見ると深雪が期待するような目で自分のことを見ていたので達也は押し黙った。
そこで丁度よくチャイムが鳴り、今回はお開きとなった。続きは慎悟の言った通り放課後である。
*********
『なんでこうなるんだよ』
『まさか司波達也さんから勝負を仕掛けるなんて、予想外ですますね』
『いやほんと、あいつの周りって忙しそうだな』
『楽しそうでいいのではないのですますか?』
慎悟は現在、昼のメンバー+服部刑部少丞範蔵副会長と共に実技棟の第三演習室へと向かっていた。
なぜこんな事になっているかというと達也が服部に模擬戦を申し込んだためだ。服部は一科生として偏屈な考えを持っていたため達也が風紀委員に入ることにすぐさま反対し達也を馬鹿にするような発言もした。
そして、兄に対して貶めるような発言をした服部に我慢が出来なかった深雪は兄は誰にも負けない、この学校の評価の仕方が適さない等のことを言ったが全く聞く耳を持たれず、最後には身贔屓などと言われてしまった。
それまでずっと黙っていた達也であったが、深雪を侮辱されたことで少々頭にきたらしくあくまでも冷静に模擬戦を申し込んだ。服部も勿論逃げる事はせずその勝負を受けることにした。
それから真由美と摩利によってトントン拍子で準備が進められていきあとは模擬戦を行うだけである。
実習室に着くと服部はすぐに準備を完了させ開始位置へと立った。
達也は持っていたスーツケースのような鞄を床に置き、その蓋を開けた。拳銃の形をしたCADが2丁、弾倉のような形をしたストレージが6つ収められている。
その中から達也は銃型の特化型CADを取り出し服部と対峙するように開始位置へと立った。
そんな二人の様子を慎悟はつまらなそうな目で眺めていた。勝ちが既に分かっているものを見るということは慎悟からしてみたら退屈なものなのである。
「慎悟君は、どちらが勝つと思いますか?」
「普通に考えたら達也かな」
視線を二人から外さず答えた慎悟に深雪は少なからず驚いた。兄が勝つことについては微塵も疑っていない深雪ではあるが、慎悟が即答で達也が勝つと言うとは思わなかったからである。
「それは.....どうしてですか?」
「んー見れば分かるというか、達也の立ち方や動き方は戦い慣れている者と同じなんだよ。俺も色々やってきたからそういうのはすぐに分かるんだ」
「慎悟君も.....?」
「まぁ、そうだね......おっ、そろそろ始まるよ」
慎悟が指さす方を見ると摩利が今回の模擬戦のルール説明している所であり、それが程なくして終わると摩利が左手を下ろし審判として開始の合図を出した。
「準備はいいか.........始め!」
さて、結果は.....
服部は前に倒れ込んで意識を失い、達也は開始地点からは離れた服部の後ろで銃型のCADを構えて悠然と立っていた。
その試合時間、およそ五秒。
『彼、中々やるのですますね』
『勝つのは確信してたけどここまでかぁ』
「........勝者、司波達也」
予想だにしない決着に審判の摩利はどこか控え目で勝者の宣言をした。
読んでいただきたいありがとうございました!
ちょっと無理矢理ですがはんぞーくんの所までいけました。
まだ慎悟が活躍する場面はこないかな?模擬戦やらせる理由がないですし、、
ではまた次回の更新で!