ロケット団のハイバラさん   作:みるちー

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 __ポケモンの二次作品って、”レッドとグリーンは不動の最強!”みたいなものが多くてあんまり不遇に扱われるのってないなぁ__



 そう思って書き始めた作品です。といっても、そこまでボコボコのフルボッコにアンチするわけではないのでご安心を。


プロローグ
幻のチャンピオン


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数年前、セキエイ高原で行われたバトルが一時話題になった。

 最強の四天王として長らくその座に君臨してきたドラゴン使いのワタルが一人のトレーナーに敗北したからである。

 

 

 そもそもポケモントレーナー達がしのぎを削り合う場であるセキエイリーグだが、たった一人の最強のチャンピオンというものは存在しなかった。ジムバッジを手に入れたトレーナー達が集い、トーナメント戦を行って勝ち残った一人が四天王達を交えたマスターリーグ戦に進むのだが、四天王全員を打ち倒すようなトレーナーは今まで現れなかったからだ。四天王達もお互いに勝ち負けを与えあっている状態であり、文句なしにカントー最強のトレーナーは存在しなかった。いるとするなら最上位に位置する四天王の中の誰かだろう、世間もそんな認識だった。

 

 

 しかし、そんな状況を打ち破るトレーナーが現れた。ジムバッジを8個集め、トーナメント戦、マスターリーグ戦共に全勝するというとんでもない人物だ。

 

 名前を”ハイバラ”という。

 

 相棒のハクリューと一緒に、華麗に勝利するその姿から一躍有名トレーナーとなった。カンナも、シバも、キクコも、そしてワタルすらも打ち倒し、名実ともにカントー最強となった時には多くのポケモンファンが沸いた。

 

 

 

 

 __だがその熱は、他ならぬポケモンリーグを主催していたポケモン協会によって水を差されることになる。というのも、その試合終了後に協会はこのような宣言を出したからだ。

 

 

『ハイバラ選手と四天王ワタルの試合は、ハイバラ選手の不正によりワタルの勝利とする』

 

 

 これには多くの人がどよめいた。ハイバラとワタルの試合は誰がどう見ても文句なしにハイバラの完全勝利だったから。一体ハイバラがどのような不正を行ったというのか、リーグ本部へ問い合わせが殺到したが、教会は終ぞ不正の内容を明かすことはなかった。

 

 

 一般には明かされないものの、協会がこんなことをしたのには理由があった。主に二つ、ハイバラというトレーナーを思ってのものとカントー地方の利益を考えた政治的なものだ。

 

 前者の理由にはハイバラ選手の生い立ちが関わってくる。実は彼の両親は、裏社会で幅を利かせるポケモンマフィア、”ロケット団”に所属する構成員だったのだ。すでに二人は亡くなり、ハイバラとロケット団の繋がりは薄い。とはいえ、彼が優れたトレーナーだと判明すればどこから魔の手が迫ってくるか分からない。そして他の者に”ハイバラ選手はロケット団と繋がりがある”と知られるのもマズイ。それは彼の今後の人生に関わってくる。

 優秀なトレーナーとして表彰できないのは残念ではあるが、ハイバラの身を守るための苦肉の策だったのだ。

 

 

 そして後者の理由だが、こちらはリーグ本部の政治的な思惑が強い。

 本部は、カントーリーグの頂点の椅子が空いているという状況をビジネスチャンスと捉えていたのだ。長い間頂点が決まっていないが故に、その頂点に誰かが登り詰めた時大きな話題となる。ではその椅子に誰が座るのがふさわしいのか、本部は日々議論を重ねていた。

 

 そして目を付けたのがマサラタウンに住むグリーンという少年と幼馴染のレッドである。

 グリーンはカントー地方におけるポケモン研究の権威ことオーキド博士の孫であり、ポケモンスクールでも優秀な成績を収めている天才だ。レッドもまたグリーンと同等の成績を収めているライバルであり、血縁をよく調べてみると他地方のリーグで優勝経験のある優れたトレーナーを父に持つ。

 

 両者血筋、話題性ともに抜群である。この二人がライバルとして競い合い、ポケモンリーグへ挑戦してチャンピオンになればカントーリーグは最高の盛り上がりを見せるだろう。憧れが憧れを生み、トレーナーの数も増えてバトル産業は一気に活性化するに違いない。ゆくゆくはポケモンバトルの中心地として発展し、最強を目指す全世界のトレーナー達の聖地となることも夢ではない!

 

 

 

 ……そう考える本部にとって、ハイバラは邪魔な存在だった。

 数年後にトレーナーとしてデビューするグリーンとレッドを全力でサポートするために色々手回しをしているところなのに、どこの馬の骨か分からないぽっと出のトレーナーにチャンピオンになってもらっては困る。

 確かにその強さは認めよう。それなりの人気もある。だが、本部がグリーンとレッドに期待するような、経済を一気に潤してくれるような話題性は彼にはない。所詮各地のジムも、ポケモンリーグも、経済を回す一つの歯車に過ぎない。大きなタネが後ろに控えている以上不要な雑草には退場してもらうしかない。

 幸いハイバラには、両親がロケット団構成員だったという薄暗い過去がある。名目上は”彼の命を守るためにやむなしに処置を施した”とすれば何も問題はない。

 

 

 

 

 

 __こうしてハイバラ選手はひっそりと舞台から姿を消すことになった。彼のセキエイ高原での試合記録はすべて削除され、トーナメント戦やマスターリーグもすべて最初から参加してなかったことになった。そしてその理由は本部や協会といった一部の面々を覗き、永久に闇へ葬られる。彼の華々しい戦果や活躍は人々の記憶の中にのみ残り、”幻のチャンピオン”と呼ばれるようになった。

 

 

 

 

 

 そしてそれから数年経った今日、マサラタウンのグリーンとレッドはオーキド博士からポケモンを貰い受け、チャンピオンを目指して旅に出る。大人達の重い期待を知らず知らずのうちに肩に背負って……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 __だが本部と協会は二つ、ハイバラ選手について誤解をしていた。

 

 一つは彼がゲームとしてのポケモンをやり込んだ転生者であり、オーキド博士以上の豊富なポケモンの知識と不当な扱いを受けたくらいでは泣き寝入りしない精神力をもっていたこと。

 

 

 そしてもう一つは………彼がすでにロケット団に所属しており、ボスであるサカキへ忠誠を誓っていたことである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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