これは、にじさんじ所属のVTuber、月ノ美兎さんが2019年9月1日の「百個怖い話言うまで帰れない放送2019【後半】」にて、同じくにじさんじ所属のVTuber、ジョー・力一さんがその配信で行った怪談を文章化したものです

とある切り抜き師の動画を参考にさせて頂きました

※話口調です

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「おりる」

とある町に、大きめの駅がたっていまして

まぁ、寂れた地方にありがちな、街の規模に不釣り合いなくらい、大きな駅なんですね

 

それでその駅に、

夜の深い時間に行ってみると、人ではない

『何か』がそこにいて、それに会うことが出来る

なんて言う噂話がいつの頃から流れていたんです

 

で、その話が、果たして本当なのか、確かめる為に、その駅に言ってみた、Aさんという方がいまして

Aさんその土地の人じゃなかったもので、まぁ色々調べてみたんですね

 

それでAさんが調べたところによると

その駅にいる『何か』に会うにも、条件があるようで

まず最初に、1人で出向かないといけない

何人かで連れ立って駅に行ったとしても、何も起きない

 

それからもうひとつ

もし『それ』に出会ってしまったとしても

絶対にその姿を見てはいけない

 

不思議な表現ですよね

「出会っても、見てはいけない」

 

それでもし、その姿を見てしまったら、『それ』が住んでる世界に、連れていかれてしまう

まぁ曖昧な話なんですが、それ以上詳しい事は、Aさんにも分からなかった

 

それで、ある日の真夜中

深夜三時頃ですかね

Aさん、その駅に1人で行ったんです

もう時間が時間ですから、寂れた駅の中には、だ〜れもいない

ただ、シーンと静まり返ってる

 

じゃあ早速駅の中に入ってみようかと

まずは改札周りを見てみようとAさん思ったのですが、その駅は割と高い位置に線路が通っていて、それに合わせて改札口も割と高い位置にあるから、駅の入口から結構上に上って行かないといけないんですね

まぁ普通の建物でいえば、2階…いや3階位になるかもしれない、結構な高さがあるんですね

 

それでAさん、まずはエレベーターの方に行ってみたんですけど、これは停まっている

まぁ駅としては営業していない時間帯ですから、これはまぁ仕方がない

 

それで、ちょっと回り込んだところに階段があって、そこからどんどん上に上って行ったんです

嫌に長い階段で、でも周りが静かなもんだから、登ってくAさんの足音だけが

コッ コッ コッ

と、妙に響く

しかもその上っていく先が、どこまでも真っ暗な空間なもんだから

 

(随分雰囲気がするなぁ)

 

と、Aさん思ったんですね

 

それでその長い階段を上りきったところで、Aさん、懐中電灯があったのを思い出して、その改札口の方まで光を点けて行ってみたんです

 

電光掲示板とかもすっかり消えていて

殆ど真っ暗

改札の向こう側に、ぼんやり白い灯りが点いていたんですけど、これはただ自動販売機の光が点いてただけだった

 

それで人の気配というか、『何か』がいるような気配というのは全然感じられなくて

それで歩き回りながら、券売機の周りとか、あとは中に入ってるコンビニとか、フロアを隈無く照らしながら隅々まで回って見たんですけど

特になんにもない

ただ真っ暗で、シーンとしてるだけ

 

(まぁ、こんなもんかぁ)

 

Aさんも見切りをつけて、ちょっと残念だけど、帰ろうかと思ったんです

それで今度はまたあの長くて暗ーい階段を、今度は降りてくのかと、足元怖いな、なんて思っていると、ふと、その階段があるのとは別の方向に、エスカレーターがあるのに気付いたんですね

 

1人乗りの、幅もちょっと狭いエスカレーターが、上り用と、下り用と並んでて

でその両サイドは、ガラス張りの壁になっている

 

(あ、こっちはこんなふうになってたのか)

 

と思って

Aさん何気なくそのエスカレーターの方に近づいてみたんですね

 

そしたら、Aさんが来たのを感知したのか、下りのエスカレーターが

ヴーーーーン

と動き出したんですね

 

(おかしいな。エレベーターは止まっていたのに、エスカレーターは動くんだ。まぁ電源がエスカレーターだけ別にあるのか。いや、それとも・・・)

 

Aさんその動き出したエスカレーターに乗って降りていくことにしたんです

 

右手は懐中電灯を持っていたので、左手はエスカレーターの手すりに置いて、それで流れていく階段に自分の足を乗せて

ゆっくり

妙にゆっくりと

階段は下に進んでくんですね

 

懐中電灯で足元の先を照らしてみたけれど、特に何もない

ただ静かにゆっくりエスカレーターが降りていくだけ

それで、あんまりにもエスカレーターの進みが遅いから

 

(いいや、歩いて降りよう)

 

と思って

Aさん階段を1段降りようとしたんですね

 

その時

 

(・・・あれ?)

 

と思ったんです

その手すりに置いてた左手が、体についてこない

動かないんです。左手が

 

(あれ?なんだ?)

 

と思ったら

左手の甲に、何か感触があるんです

それは例えば、誰かが、自分の手の上に、後ろから手を重ねているような

そんな感触があったんですね

 

ゾワァーーーっと

こう…背筋に寒気が刺した途端に

ワァーーーっと肩から背中にかけて、湿っぽいような、冷たいような、イヤーな気配が襲ってくるんです

 

それで、後頭部をジーーっと凝視されてるような

そういう強い視線を感じる

 

更には首筋に

スゥーーーーーーー・・・

っと冷たい息がかかってくる

 

(あ、これ、誰かが自分の真後ろにピタッとくっついて立ってるんだな)

 

と確信して

Aさん、あっ・・・と思ったんですね

 

「出会っても、姿を見てはいけない」

っていうのは、「こういう事」なんだと、ようやく気付いたんです

 

今、この状態から、振り返って何がいるのか見てみたり、手すりの上の左手がどうなってるか見ようとしたりしたら、今、後ろにいる『誰か』に、連れていかれる

 

それでなくても、例えばちょっとチラッと横を見ただけでも、その横にあるガラス張りの壁に『何か』が映っていて、それを見てしまうかもしれない

 

だから、今もうAさんに出来ることは、ガラスに『何か』が映り込むのも嫌だから、Aさん慌てて懐中電灯も消して、とうとう、辺りは真っ暗になった

 

今Aさんに出来ることは、後ろにいる『誰か』の気配を、ずーーっと感じながら

ただ、とにかく、真っ直ぐ前だけを見て、下まで降りるまで、耐えるしかないんです

 

懐中電灯を消して真っ暗になったエスカレーターはもう、動いてるんだか止まってるんだか分からないくらいゆっくり降りてって

だんだん水に沈んでいくような感覚で

一秒一秒が耐えきれないくらいに長くって長くってしょうがない

そうしてる間にも後ろに立っている『誰か』のイヤーな気配ってのがどんどんどんどん増していく

 

増していくっていうか、近づいて来てるんですね

どんどん

どんどんどんどん近づいて来てる

また

スゥーーーーーーー・・・

っと首筋に息がかかる

 

手すりの上の左手に重なっている『何か』

これもどんどん冷たく

ズッっと重たくなって

もう、手をすり潰されていく感覚なんですね

 

スゥーーーーーーー・・・

 

Aさんは

 

(・・・もう嫌だ・・・もう嫌だ!)

 

っていう風に思うんですけど

でも何も出来ない

何にもしちゃいけない

ただ、何にも分からないまま、下に着くまで、じっと立ってるしかないんです

 

もう不安でたまらない

これから自分は、後ろにいる『それ』に、何をされるんだ?どこに行ってしまうのだろう?

ずっと頭の中でぐるぐる巡ってるんですね

 

それでもうAさんが

何も見ないように、目をギュッと瞑って

ただただ時間が過ぎるのを待っていると

 

突然

ガクッ!

っと足が前に躓いた

 

(わっ!)

 

と思って目を開けると

もうエスカレーターの下まで着いてて

手すりに置いた左手も、離れてるんです

体も自由だし、さっきまでの嫌な気配も無い

 

(あーー、ようやく終わってくれたんだ・・・)

 

っていう風に、Aさんが安心した瞬間

エスカレーターがあって、その真後ろから

 

ブチッ!ブチブチブチブチブチブチッ!パキパキパキパキブチッ!

ブチブチブチブチブチッ!

 

という風に、何かが乱暴に壊れていくというか

ちぎれていく音がしたんですね

 

その

 

パキパキパキッ!ブチッ!ブチブチブチッ!ブチブチブチブチブチッ!

 

っていう音が、真っ暗な空間に嫌に大きく響く

 

パキパキパキッ!ブチッ!ブチブチブチッ!ブチブチブチブチブチッ!

 

Aさんね、もうこれ以上何にも分からないまま耐えるのが不安で不安でしょうがなくなって

思い切って、さっきまで乗ってたエスカレーターの方向に、振り返ってみたんです

 

パッと見てみると・・・

 

誰もいない

 

(いないぞ?)

 

と思って

懐中電灯を点けて、まだ動いているエスカレーターを照らしてみると・・・

 

Aさん見てしまったんですね

 

エスカレーターの階段がだんだん平らになって

地面に吸い込まれていってるのと一緒に

何メートルもある長ーーい髪の毛が

 

ブチブチブチブチブチッ!ブチブチブチブチブチッ!ブチッ!ブチブチブチッ!ブチブチブチブチブチッ!ブチッ!ブチブチブチブチブチッ!

 

と音を立てながら、一緒に地面に吸い込まれていってるんです

 

ブチブチブチブチブチッ!ブチッ!ブチブチブチッ!ブチブチブチブチブチッ!ブチブチブチブチブチッ!ブチッ!ブチッ!ブチブチブチッ!

 

(うわぁっ!)

 

と思った瞬間

 

また、あの頭の後ろに嫌な気配が帰ってきて

 

スゥーーーーーーー・・・

 

っと冷たい息を吐く音が聞こえたと思ったら

 

Aさんの耳元で、『それ』が囁いたんです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっと見てくれた」

 

終わり


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