ありふれた異世界で剣を振るう   作:オルフェイス

18 / 39
筆が乗って第六話
短めです


ブルックの町。しばしの休息

 ハウリアたちとの別れも済ませ、俺達は最終的な目的地をライセン大峡谷の何処かにあると考えているライセン大迷宮とし、一先ずの補給のため地図で見た町を目指していた。

 

 勿論、南雲謹製の車のおかげで道中は快適、最短距離かつノンストップで突き進み、町が見える距離にまで到達していた。

 

 流石にこの世界とは世界観が合わない車を出したまま進んでいたら目立ちすぎるので、途中で降りて徒歩で進んだが。

 

 

「ところで、シア」

 

「はい?」

 

「町に入るときはこれを付けてね。じゃないと不審に思われるから」

 

「………えっと、気の所為でしょうか。私の目には首輪に視えるんですが……?」

 

「首輪だけど。ほら付けて」

 

「い、嫌です! これじゃあ奴隷に見えるじゃないですか!」

 

「奴隷に見せるために付けるの。というか付けないと町に入れないからね」

 

「……不満はあるだろうが、シア、頼むから付けていてくれ」

 

 

 その途中で南雲がシアに首輪を付けようと一悶着あったが、首輪をつける理由を諸々説明すると渋々といった感じではあったが納得してくれた。

 

 町に入るときも何ら問題が起きることなく入ることができ、精々美少女三人組である南雲、ユエ、シアに門番が見惚れる事態が起きたくらいだ。

 

 あとステータスプレートを見せる場面もあったが、高すぎるステータスのことは途中で魔物の襲撃に合ったせいでバグった、ということで納得してもらった。

 

 

「ステータスプレートがバグるなんて聞いたことがないけど……実際にバグってるし、事実なんだろうな」

 

 

 とのこと。

 

 俺のステータスプレートがバグってることもあって、スムーズに入ることが出来た。

 

 このまま町の探索……といきたいところだが、通貨を誰も持っていないので、まずは資金稼ぎから始めることになった。といっても宛は有り、ギルドで魔物の死骸を売れば多少はだしになるだろうと皆で話し合った。

 

 そうして早速、ギルドに向かうことになった。

 

 四人でギルドに入り、ちょうど空いていた年配の女性のいるカウンターへと向かう。その途中でギルド内にいた冒険者の観察する目線が刺さったが、そのどれもが俺を除いた三人に向くと瞳の奥の好奇心が増していた。

 

 まぁ、美少女だからな、三人とも。

 

 一部、ずっと目線を反らしている冒険者もいたが、そこは気にしなくて良いだろう。

 

 

「冒険者ギルド、ブルック支部にようこそ。ご用件は何かしら?」

 

「素材の買取を」

 

「素材の買取だね。じゃあ、まずステータスプレートを出してくれるかい?」

 

「あぁ……一応言っとくが、俺達は冒険者じゃないぞ」

 

「あら、それならステータスプレートはいらないね。けど、冒険者になっておけば素材の買い取りが1割増しになるから、なっておいたほうがいいんじゃないかい? 登録には千ルタが必要だよ」

 

「じゃあそれで」

 

 

 ステータスプレートと提示された金額分を渡し、その間に素材を出していく。

 ちなみにそのお金は殺した帝国兵が持っていたものをくすねておいたものだったりする。

 

 予め南雲が〝宝物庫〟から出しておいてくれた魔物の素材を、これまた出しておいたバックの中から取り出しカウンターに置いていく。

 

 魔石、爪、牙、皮、エトセトラエトセトラ。

 

 素材を出せば出すほど、余裕の顔で見守っていた顔は驚愕の表情に変わっていった。

 

 多分、素材の質が高いからだとか、そういうことだろう。

 

 

「……とんでもないものを持ってきたね。これは樹海の魔物だね?」

 

「ああ。何か問題でもあったか?」

 

「いいや、ただ驚いただけさ。売ってくれるっていうのなら喜んで買い取らせてもらうよ」

 

 

 そういって出された素材を手早く査定して金額を提示してくれた。

 

 結構雑に置いていたと思うのだが、やはりベテランなのだろう。素早く無駄がかなり少なかったように見えた。

 

 

「あぁそれと、あんたたち、この町ははじめてだろう? この地図をあげるから、宿や店も参考にすると良いよ」

 

 

 査定が終わったのでギルドを出ようとしたところで地図を渡された。お金とかはいらないらしい。

 

 渡された地図を後ろにいた三人と一緒に見てみたが……これ、相当出来が良いのではないだろうか。

 

 精巧に情報が書き出されているし、先ほど言われたようにおすすめの宿や店の情報も書かれている。これ本当に地図だろうか。

 

 

「いいんですか? こんな立派な地図、お金を取れると思うんですけど……」

 

「いいんだよお嬢さん。趣味で描いてるものだし、書士の天職を持ってるからあたしにとっては落書きみたいなものだよ」

 

 

 落書き……これで落書きかぁ。

 

 やっぱり生産職ってすごいな。南雲とは方向性は違うが、素直に尊敬できる。

 

 

「ありがとう、参考にさせてもらう」

 

 

 受付の人に礼を言い、ギルドを出て地図を頼りに宿へと向かっていく。

 

 地図には様々な宿や店が事細かに記されており、防犯や食事の質、中には風呂に入れるという宿も存在していた。

 

 最終的に最後の風呂に入れる、という要素から南雲が強く推してマサカの宿という場所に行くことになった。

 

 その途中で男も女も関係なく視線を奪っていく美少女三人組は、大層目立った。普通にナンパを仕掛けてくる奴もいたくらいだ。

 

 最も、そういうやつは普通にふられるか、しつこい場合は威圧(物理)で追い払ったのだが。主に南雲が。

 

 まあそんなこんながありつつも俺達は宿に到着し、受付を済ませようとしていた。

 

 

「キャサリンさんの紹介ですね。何泊の予定ですか?」

 

「一泊食事付きで、風呂は……「いる!」」

 

「はい。お風呂は十五分百ルタです。今のところ、この時間帯が空いてますが」

 

「じゃあ一時間で」

 

「えっ、一時間も……!? えーと、それではお部屋の方は……申し訳ありませんが、二人部屋しか空いてなくて……」

 

「それなら二人部屋二つで」

 

「かしこまりました!」

 

 

 ……という会話を経てマサカの宿に泊まることになった。

 

 その夜のことは……まあ語ることはない。

 

 いやまあ、二人部屋を二つにしたからどういう部屋割りにするのかで少し揉めたり、俺は長風呂するタイプでもなかったので風呂を後回しにしてたら二人が乱入してきたり受付の娘が風呂を覗いていたりとか……

 

 まあ、語りたくないことはあったな。

 

 ちなみに言うまでもなく上記の二人とは南雲とユエなのだが、シアは最初こそついて行こうとしたが流石に恥ずかしすぎてやめたらしい。英断。

 

 食事も食事で二人でくっつかれていたせいでシアが仲間外れで寂しそうにしてたり……あと夜寝る時は南雲が何かの作業に入ろうとしてたのだが、ユエの夜這いを阻止しようとしたために敢え無く中断した……ということを後日教えてもらった。

 

 ……消去法で組分けを俺とシア、ユエと南雲にしてたのは正解だったかもしれない。

 

 そんなことがありつつも、ブルックでの初めての一日が過ぎていった。

 

 

 




お久しぶりです。
ちょくちょく別作品を執筆しながら生き永らえておりました。
これから続ける……予定です。多分。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。