ありふれた異世界で剣を振るう   作:オルフェイス

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はい十六話でーす


超克、イフリート

 

 最初に動き出したのはイフリートだった。

 

 あのミレディゴーレムすら上回るほどの巨体が持つ腕を振りかぶり、そのまま地面へと叩きつけてくる。

 

 狙いは俺か。

 

 避けることは難しくない。速度はそれほどでもないし、あの巨体だから見過ごすこともない。

 

 だが、その攻撃力は当たれば即死しかねないものだ。

 

 その場を離れ、迫り来る腕から逃れる。

 

 振り下ろされた腕が地面に激突、周辺にマグマを飛び散らせるがすぐにイフリートへと集合し吸収される。叩きつけられた場所はマグマの熱で溶解していた。

 

 ……当たったらマグマの熱で火傷どころでは済まないな。あれには当たりたくない。

 

 

「ハジメさん! 紅郎さん! 核はっ!」

 

「マグマで遮られて良く見えない! 紅郎はっ?」

 

「……嫌な報告が一つある。核と思わしきものが複数存在している。数で言えば百個くらい、それも常にイフリートの体内で動いている」

 

「……面倒」

 

 

 ユエが面倒そうにため息をつく。俺も同意見だ。しかも……

 

 〝飛刃〟を抜き放ち、イフリートの身体に斬撃の跡を残すが、しかし大して深くなく跡もすぐに修復されてしまった。

 

 

「マグマが圧縮されてるのか、思ったよりも肉厚がある。〝飛刃〟じゃ斬り飛ばすのは難しいな、っと!」

 

 

 イフリートの拳が迫る。

 

 それを空を飛び、さらに迫る二撃目を避けるべく駆けた。

 

 ……今さらっとしてたけど、俺もしかしなくても空を走ってないか? 直感でやってたが、そういえば最近ステータスプレート見てないから技能が増えてる─────

 

 思考が逸れたのを察知したのか、イフリートから迫った拳が分裂する。

 

 俺を囲むように細くなったマグマが襲い来る。

 

 だが、

 

 

「鈍いぞ」

 

 

 それを〝剣閃領域〟で切り刻み、迎撃する。

 

 お返しに強めに放った〝飛刃〟を食らわせてやったが……さっきよりは深くなったが、それでも核には一つも当たってない。

 

 〝和御喰〟はこいつには効かないし、それなら〝荒御刈〟で距離を斬るか……?

 

 いや、なんか違う気がする。なんだろう、目指すべき場所はわかってるのに行き方がわからない……みたいな感じか。

 

 空から落ちながら考えているが、未だにイフリートはこちらを狙い続けている。こいつ何を基準に狙ってるんだ? 脅威度……仮にそうだとしてどうやって判別している?

 

 

「紅郎ばっかり狙うなら、こっちを無視できなくしてあげる!」

 

「〝凶剱〟」

 

 

 イフリートが完全に四人から気を逸らしている隙を突き、ハジメがオルカンによる爆撃を、ユエが無数の重力の刃で両足を狙う。

 

 イフリートはそれを避けることもなく直撃させ、一つは爆ぜ一つは刺されて内側から重力によって無数の穴が空き体制を崩した。

 

 ……しかしこいつ、攻撃が来ること自体はわかってたのか。足にあった核を攻撃が当たる前に避難させている。

 

 ならなぜ攻撃が来るとわかっていながら避けなかった……?

 

 イフリートの持つ違和感が徐々に強くなっていく。再生能力は厄介だが、それでも脅威ではない。動きも遅く対応することも難しくない。

 

 何かあるはずなのだ。こいつを迷宮の守護者たらせる何かが。

 

 

「どりゃぁ!」

 

「久しぶりの一撃じゃ! 存分に味わうが良い!」

 

 

 シアが飛びかかりドリュッケンを振りかざし、当たる直前にギミックを発動しイフリートの一部を吹き飛ばす。ティオの両手に集まった膨大な魔力から放たれる黒竜のブレスもまたイフリートの肩を抉り吹き飛ばす。

 

 シアとティオ、二人の攻撃によってイフリートの持つ核の一部が破壊されたのが直感的に理解できた。

 

 ─────そしてイフリートから放たれる圧が、重くなったことも。

 

 イフリートの目に当たる部分が放つ光が、より強くなる。

 

 

「っ、そういうタイプかっ!」

 

 

 それを見て、俺はようやく確信を得た。こいつの特性、イフリートの特質。

 

 それは、核を壊される度に強くなる、というもの。それがどういう方向での強化なのかは不明だが、より厄介になるのは間違いない。

 

 イフリートの足は既に再生し、それでも視線は俺から逸れない。

 

 拳は構えられていない。他の身体もまた同様。

 

 動いたのは、口だった。

 

 

「やっべ」

 

 

 その場を瞬時に離れる。

 

 その瞬間にイフリートの開かれた獣の口に魔力が急速に収束、圧縮され─────放たれた。

 

 放出されたマグマのブレスは俺のいない地面に着弾、そのまま周囲に爆風を齎した。

 

 

「紅郎っ!」

 

「出ないでユエ! 吹き飛ばされるっ!」

 

「なんという威力じゃ……下手をすれば妾のブレスより強いのではないかのぅ?」

 

「言ってる場合ですかティオさん!」

 

 

 ハジメたちは……危険を察知したのかハジメが棺型の大盾を使って余波を防いでいた。あっちは大丈夫そうだな。

 

 問題なのは……

 

 今放たれたばかりだというのに、既にチャージを終えているイフリートだ。

 

 

「こいつ連射できるのかよっ!?」

 

 

 避けるのは問題ないが、それだと爆風で皆が動けない。

 

 正直受けたくない。受けたくないが……やるしか、ない。

 

 

「〝和御喰〟っ!」

 

 

 ブレスが放たれるのと俺が刃を振るうのは、ほぼ同時だった。

 

 

「ぐっ、おぉぉぉぉ!!」

 

 

 マグマのブレスを〝和御喰〟で吸収する。

 

 半ば賭けだ。マグマは当然魔力で動いているのだろうが、問題なのは〝和御喰〟でマグマも吸収出来るかどうか。

 

 そして出来たとして俺と刀、両方とも壊れることなく保てるのか。

 

 それは受け止めきったことで理解できた。

 

 

「っ、重っ」

 

 

 マグマも纏めて吸収できた。しかし、刀が重い。俺もかなり筋力があると思ってたが、全然だな。やっぱりハジメやシアクラスでもないと筋力……いやパワーがあるとは言い切れないか?

 

 いや、今重要なのはそこじゃない。

 

 刀も俺も両方無事だが、刀がとてつもなく重たい。持つだけで精一杯だ。

 

 そしてそんな俺を、イフリートは待ってはくれない。

 

 次のブレスを放つべく収束が、

 

 

「させないっ!」

 

 

 ハジメの放ったシュラーゲンの一撃が、イフリートの頭部を消し飛ばす。それによって収束された魔力も霧散し、再生するまでだが隙が出来た。

 

 打ち返したりは出来なさそうだったから、吸収した魔力は俺自身に還元する。

 

 オルクスで初めて還元した時と同じように感覚が研ぎ澄まされる。多分身体能力も増加してるのだろう。

 

 これでよし。次は……攻めるよりも情報共有だ。

 

 

「助かったハジメ! それと気付いたことがある!」

 

「核を壊せば強くなる、だよね!」

 

「話が早いな流石だ! 今の段階でこれだ! 壊すなら一気に壊したい! ユエはでかい一撃の準備を! シアとティオはその護衛っ、それが終わったらユエと合わせて攻撃! ハジメは俺と一緒にイフリートを惹きつけるぞ!」

 

 

 一息に用件を告げると、既に頭部を再生させたイフリートの目線がこちらに向く。

 

 いや、俺だけじゃなくハジメにも向かって……って目を増やしてやがるこいつ。普通に魔力感知とかじゃなくて視覚で認識してるのか? それとも両方……いや考えてる場合じゃないか。

 

 

「核はどうする?」

 

「削らないで行く。どうせ適当な攻撃は当たる前に核が避けるから気にしなくていい。とにかくユエの邪魔をさせないようにするぞ!」

 

「了解!」

 

 

 話を合わせ、互いにそれぞれ違う場所へと走り出す。

 

 イフリートの死角を補うように配置された目はハジメを、本来の両目は俺から離さない。

 

 イフリートは口に収束……させずに拳での攻撃を選んだ。それを見逃さなかったハジメが背後へと回りドンナーシュラークを構えるが、そこへ背中からマグマの触手を伸ばしハジメへと殺到させた。

 

 

「細かい操作もできるわけね!」

 

 

 迫る触手を二丁拳銃で打ち払い、時に避けながら応戦している。

 

 こちらもこちらでイフリートの拳を避けているが、先ほどよりもはるかに楽だ。ブレスの魔力で強化されているから避けるのも見切るのも容易くなっている。

 

 しかし、これは時間制限付きだ。十分もせずに強化は途切れる。その間にブレスが来て再び吸収すれば時間は伸びるが……今のところ放たれる気配はない。

 

 ハジメの妨害を警戒してるのか……まぁ、それならそれで好都合だ。ユエの準備が整うまで、時間稼ぎさせてもらう。

 

 そこで、イフリートが両腕を上げた。

 

 

「妨害!」

 

「わかってる!」

 

 

 明らかに何かしでかそうとしているのがわかっている以上、邪魔しない手はない。

 

 ハジメと共に掲げた両腕を破壊するべく攻撃する。

 

 だが直前、身体の各所に口が形成される。そしてそこへ魔力が収束されているのが見えた。

 

 こいつ……! 目を作ってたからもしや、とは思っていたがやっぱりブレスは頭部だけの専売特許じゃないのかっ!

 

 

「ハジメ!」

 

「くっ!?」

 

 

 俺は〝和御喰〟でブレスを防ぎ、ハジメも咄嗟に取り出した棺型の大盾と〝金剛〟という技能で防いでいた。

 

 幸いだったのは威力はお粗末であったこととその持続時間か。本来の口以外だと性能が落ちてしまうらしい。

 

 だがそのせいで、両腕を破壊する時間が訪れなかった。

 

 振り上げられた両腕が地面に叩きつけられる。

 

 それは凄まじい衝撃となって伝わり、間近にいた俺とハジメは抵抗する暇もなく吹き飛ばされた。

 

 

「がっ」

 

 

 壁に激突、そのままめり込んで意識が一瞬飛んだ。

 

 本当なら少しだけでも意識の回復に使いたかったが、〝直感〟の反応によって無意識的に身体は飛び出し、回避へと動かしていた。

 

 直後俺がめり込んでいた場所に放たれる無数のブレス。今回は頭部の口に加えて腹部に追加した三つの口からブレスを追加したらしい。

 

 ……とことん俺ばっかりを狙ってきてるな。俺そんなに嫌われるようなことしたか……?

 

 視界の一部が赤くなってるが、まだ許容範囲内。身体は動くから戦える。

 

 自身の頭部に触れると、液体の感触があった。手に付着した液体を見ればまぁ予想通り血液だった。頭を切ったらしい。

 

 

「……ふぅ」

 

 

 先程から攻撃が来ない。息を吐く。

 

 当たり前だ。なにせ溜めているのだから。

 

 身体中に形成された無数の口。そこに溜め込まれ収束しているブレスたち。

 

 今度こそブレスの質量で逃さず殺す、ってか。

 

 けど。

 

 

「やるには遅かったなイフリート─────ユエ!」

 

「……お待たせ」

 

 

 既に、準備は終わっている。

 

 膨大な魔力を蓄えた、速さではなく威力と範囲のみを求めた現在のユエが放つ最大の魔法。

 

 その圧は、流石のイフリートでも無視できなかったのか。頭部がユエへと向く。

 

 そうする頃には、その魔法は発動していた。

 

 

「〝死穹(しきゅう)〟」

 

 

 イフリートの胴体付近に黒い球体が発生する。

 

 それは小さな、イフリートに比べれば本当に小さなものだ。

 

 しかしその小さな球体から放たれる死の気配は……俺が感じてきた中でもトップクラスのものだった。

 

 

「ガガ、」

 

 

 イフリートの声が途切れる。

 

 そして、消えた。

 

 イフリートが消えた。

 

 代わりに先程よりも数十倍は大きくなった球体が浮かんでいる。

 

 何をしたのかはさっぱりだが、飲み込んだ……のか? だが飲み込まれた瞬間を認識できなかった。いくらなんでも速すぎるだろ。

 

 

「っ……!」

 

「ユエっ! イフリートはっ!?」

 

「今……話し、かけないで……っ!」

 

 

 未だに集中状態を解かないユエにハジメが声を掛けたが、それを拒絶したユエは視線を動かさない。

 

 ……仮に、とてつもない重力で固定し死ぬまで閉じ込める、というのがあの魔法だとして。

 

 それを維持するユエも、そして今もなお抗い生存しているイフリートも、どちらも凄まじい。

 

 だが─────球体が、一回り大きくなる。

 

 奴が、出てくる。

 

 

「……駄目、押し込めない……!」

 

「まじかよ……! ハジメ、トドメの準備だ! シアとティオも良いなっ!?」

 

「っ、わかった!」

 

「は、はい!」

 

「心得た!」

 

 

 もう間もなくユエの魔法が破られる。

 

 〝直感〟だが、イフリートも無事ではない。核の九割以上を失いつつある。それでも、殺すまでには至らない。

 

 ギリギリ、そう本当にギリギリの、核が一つ残った状態で脱出する。

 

 一番強くなったイフリートが、顕現する。

 

 奴が力を発揮する、その前に仕留めなくてはならない。

 

 もし仕留めきれなかったら……考えたくはないが、全滅もあり得るな。

 

 

「ふぅ……」

 

 

 息を吐いた。

 

 研ぎ澄まされた感覚。こいつを利用して思考を回せ。奴を、イフリートを仕留める手段を。

 

 奴を殺すには核を破壊するしかない。しかし奴の核は動き続けており狙って破壊するのは難しい。それにマグマの質量も問題だ。俺の斬撃では届かない可能性が高い。

 

 〝荒御刈〟は一つを選択して斬ることを可能とする。しかし肝心の威力が上がるわけではない。仮に距離を斬ったところでマグマに阻まれる。

 

 〝和御喰〟も、イフリートを殺すには使えない。二つを掛け合わせた〝紅刈喰〟も同様だ。

 

 可能性があるのは〝荒御刈〟だ。俺は何を〝選択〟すればいい? 何を選べば、奴を殺せる?

 

 考えろ。

 

 頭を回せ。

 

 思考を途切れさせるな。

 

 奴を殺す─────そのための方法を考え続けろ。

 

 

「……紅郎っ!」

 

「全員備えろ!」

 

 

 しかし、時間は待ってはくれない。

 

 ついに、ユエの悲鳴と共に球体に亀裂が発生し、徐々に広がっていく。

 

 全員が自身の武器を構え、備える。

 

 そして、ついに。

 

 

 ─────パキンッ

 

 

 イフリートが、顕現する。

 

 

「っ……!」

 

 

 同時に迫る凄まじいまでの熱気。

 

 身体が焼けるように熱い……いや、実際に焼けてしまっているのか。

 

 グリューエン大火山の熱さの数倍以上だ。下手に喋れば喉が焼けるな。

 

 と、熱が数段和らいだ。後ろを振り返れば氷塊を作り出したユエの姿があった。口元には血が垂れており、恐らく誰かから血を貰ったのだろう。

 

 しかし氷塊は既に半分ほどにまで小さくなっており、ユエは次々と氷塊を生成し作り出していく。

 

 

「けほっ、けほっ。ありがとうございます、ユエさん!」

 

「……残った魔力だと、このくらいしか出来ない。魔晶石のストックも尽きてる。これ以上戦うなら紅郎の血が必要」

 

「……ハジメ、すまんが余裕がないから頼む!」

 

「紅郎!」

 

 

 イフリートはまだ動いてすらいない。

 

 だと言うのに俺達は動きを止められている。

 

 すぐに動かなければヤバい、という〝直感〟に従いその場を離れる。

 

 イフリートを見れば……直ぐ側で、拳をこちらに叩きつけようとしている最中だった。

 

 

「っ!?」

 

 

 さっきよりも数段速いっ!?

 

 ギリギリだが避けられた。だが、その熱で焼かれて身体が痛い。

 

 今のこいつの温度は何℃なんだよ、くそったれが……!

 

 回避するついでに〝飛刃〟を放ったが、表面を浅く斬っただけで斬られた端から再生していく。

 

 もう〝飛刃〟じゃ駄目だ。〝荒御刈〟で斬るしかない。

 

 だが、何を斬る。何を選べばこいつを─────!?

 

 

「やっ」

 

 

 一瞬だが口を開いたことで喉が焼ける。だが、そんなことは気にしていられない。

 

 至近距離からの予兆なしのブレス。それを避けるのに全神経を使っていたからだ。

 

 爆風に吹き飛ばされ視界が回り続ける。

 

 そんな中でもイフリートに放たれる魔法と銃弾は見えた。

 

 だが……

 

 

「近づくだけで痛いですっ!」

 

「しかもさっきよりも硬いし再生も早いっ! シュラーゲンでも貫通すら出来ないなんて……!」

 

「それなら、もう一度……!」

 

「無理をするでないユエ! 先程の魔法を使った負担は、決して無視していいものではないぞっ」

 

「それでも、このままじゃ……!」

 

 

 あちらも、有効となる攻撃は検討もつかないのだろう。水属性と凄まじい熱を利用した水蒸気爆発……的なことは俺でも思いつくが、この熱気の中で蒸発せずに当てれるのかどうか……

 

 打てる手は……まぁ、俺にしかないだろうな。

 

 不思議と、世界の全てが遅く感じられる。

 

 なんだっけか、ゾーン? というには見えている世界が変わってないし……どちらかといえば走馬灯か?

 

 あぁ、俺死ぬかもしれないのか。だからこんなにゆっくりと……それでも、刀から手を離さないのは性分か。

 

 迫るイフリート。恐らく秒数にすれば一秒も掛からず攻撃してくるのだろう。

 

 どうすればこいつに勝って、皆を生かせるだろうか。

 

 こう、意図的にゾーンに入るとかしないと避けるだけで精一杯だろうし、それにしたってこいつの核が……いや、それは〝直感〟でわかるか。

 

 やっぱり、どうやって殺すかだよなぁ。

 

 俺は斬るしか能がない。だからどうやって斬るのかが問題だが……なんかこう、ヒントでもないか?

 

 俺の目に映る世界の全て。その中にヒントは─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ()()

 

 

「わかった。〝荒御刈〟」

 

 

 喉が焼けることを厭わず、呟いた。

 

 刀を持ち、()()を斬る。

 

 それで幕は閉じた。

 

 

「ガ─────」

 

 

 イフリートが、両断された。

 

 再生は、しない。することもできずに別れた身体が地面に叩きつけられる。

 

 熱気も、まるで嘘だったかのように引いていった。

 

 数秒の静寂。

 

 その数秒が過ぎた途端、イフリートの身体は完全に崩れ去り、元のマグマへと戻っていく。

 

……戻っていく?

 

 

「あ、これ俺死ぬや、」

 

「あっぶないっ!」

 

 

 イフリートというマグマの集合体が死んだことで解放されたマグマが、流れ込んでいく。

 

 ソレを前に動けなかった俺を、ハジメが急いで担ぎ上げてマグマの届かない場所まで動かしてくれた。

 

 危ない危ない、危うくイフリートは倒したのにマグマで死ぬところだったな。

 

 

「……すまんハジメ、助かった」

 

「いいよ。私、今回全然役に立たなかったし……でも紅郎、どうやってイフリートを?」

 

「……説明、してやりたいのは山々なんだがな」

 

 

 〝直感〟が、反応する。

 

 クソ、こちららイフリート戦で疲れてるっていうのに……

 

 次の敵が、上空で何か仕掛けようとしているのが感じ取れてしまった。

 

 

「どうやら、おかわりらしい」

 

「っ!」

 

 

 それをハジメに伝え、ハジメが〝宝物庫〟から大棺を取り出した直後。

 

 上空から降り注ぐ、銀色の極光。

 

 それが、俺達二人を飲み込んだ。

 

 

 

 

 

 





 恙無く原作通りに進めます。
 最後の斬撃はなんだったのかって?
 お察しの通りですよ?


 ちなみにイフリートの最終的なスペックは、

・グリューエン大火山のマグマ集合による超質量
・数値にして約20000以上の敏捷
・核が常に移動し、時間経過で一つずつ核が再生する
・常時超高熱(疑似太陽化)
・ブレス(複数掃射可能。最大威力はティオを凌駕する)
・再生能力(正確にはマグマ操作による修復)
・蓄えられた膨大な魔力による衝撃変換等
etc

 となります。
 まぁ最終的に自爆するよう設計されてましたが、その前に倒せたので自爆の出番はありませんでしたね。
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