これは、とある雑誌社が民警配信者にインタビューした、その音声記録である。
記録開始――
インタビュアー(以降、佐藤)「
坂田
杉山
佐藤「では早速、インタビューの方始めさせていただきます。お二人は民警配信者をやられていて有名ですが、そもそも民警配信者とはどういったものなのでしょう?」
坂田「そうですね。民警って一般の方からすると馴染みの無い職業じゃないですか? ですので、配信者として活動することで、民警のことを知ってもらう。それが民警配信者だと思います」
佐藤「なるほど。では、どうして配信者になろうと思ったのでしょう?」
坂田「なろう、って言うより、またやりたいと思ったんですよね」
佐藤「というと?」
坂田「ガストレアが出てくる前に、やってたんですよね、配信者。ダダチャンネル、って言っても伝わらないか。ダッシュダッシュチャンネルっていうチャンネルを自分で作って、チャンネル登録者は100人ぐらいでしたけど、生配信したり、動画とか出してました」
佐藤「ダッシュダッシュ……」
坂田「やっぱりダサいですよね」
佐藤「ああいえ、そんなことは」
杉山「いやダセェよ」
佐藤「えっ、いや」
坂田「はは、気にしないで下さい。ダサいのは事実ですから」
佐藤「はあ。では気を取り直して。そのダッシュダッシュチャンネルでは、どのような事をやっていたのでしょうか?」
坂田「面白いと思ったことを片っ端からやってましたね。ドッキリとか、ゲームとか。迷惑系って叩かれたりもしました。若気の至りです」
佐藤「今出しているような動画からは想像もつかないですね。決して悪を許さない、正義の人って印象ですから」
坂田「買い被りすぎですよ。そういうことはうちのリーダーに言って下さい」
佐藤「リーダーというと、
坂田「はい。リーダーは人一倍責任感が強くて、何より強いんです」
佐藤「正直怖い印象があります(笑)」
坂田「わかります。実際怒ると怖いですよ」
佐藤「そういえば、どうやって新藤社長と知り合ったのでしょう。新藤民間警備会社は、設立した時はニペアのみで、坂田さんが加わった後は誰も入社していないと聞いていますが」
坂田「よく調べてますね。そう……ですね。リーダーが元自衛官ってことは動画でもよく話してると思うんですけど、リーダーは私の命の恩人なんです」
佐藤「命の恩人ですか」
坂田「はい。9年前、ガストレアがあちこちで出現するようになった頃ですね。私の住んでいた街にもガストレアが飛んできたんです。当時の私はどうしようもないぐらい馬鹿だったので、ガストレアの姿を生中継しようと配信を始めたんですよね」
佐藤「それは、なんとまあ」
坂田「言いたいことはわかります。あまりにも無謀です。人が死ぬのを目の前で見ましたし、当然死にかけました」
佐藤「……」
坂田「リーダーが助けてくれなかったら、私はとっくに死んでいました。リーダーの背中に憧れて、リーダーの背中を追いかけて、何日も事務所に押しかけて、それでようやくチームに入れてもらえたんです」
佐藤「なるほど……。執念の末に仲間入りできたと」
坂田「ええはい、そうです(笑)」
佐藤「では、話を変えて。杉山さんとはどのように出会ったのでしょう」
坂田「凜とはIISOの紹介で会いましたね。それ以来、私の大切な相棒です」
杉山「やめろきもちわりぃ」
佐藤「杉山さんは坂田さんのことをどう思っているんでしょうか?」
杉山「アタシ? あー、ただの相方だよ。アタシの相棒は1人だけだ」
佐藤「では、その相棒は?」
杉山「ヒミツだよヒミツ」
坂田「私にも教えてくれないんですよね」
杉山「ったりめーだ。乙女のヒミツなめんな」
佐藤「では、これは普段動画で見せている夫婦漫才の延長線ということで」
杉山「あァ? さてはテメー視聴者だな? チャンネル登録してンだろ見せろオラ」
坂田「ストップ! ステイ!」
杉山「ッチ」
坂田「一旦落ち着こうか」
佐藤「(笑)。では、次の質問に移りましょう。普段企画動画やゲーム配信だけでなく、ガストレアの討伐動画なども上げていらっしゃり、モザイク加工なども大変かと思います。編集はお一人でやられているのでしょうか?」
坂田「基本的には、はい。撮影は凜やチームの仲間に頼むこともあるんですけど、編集は私だけでやってます」
佐藤「本業が民警なのに、よく投稿ペースを保てていますね」
坂田「むしろ民警だから、ですかね。ウチはガストレア討伐専業なので、ガストレアが出現しないと暇で仕方ないんです。なので、ほとんどの時間は撮影と編集をしています」
佐藤「なるほど。ですが、海外出張も多いですよね。そのような時はどうしているのですか?」
坂田「動画のストックを投稿しているだけですね。海外に行く時は大抵ステージⅣの討伐依頼や巣の掃討依頼なので、撮影の余裕もありませんし」
佐藤「そうでしたか。ですが海外へは全員で行かれてるのですよね? 高位序列者が3ペア、その内1ペアが異名持ちともなれば、あっさり倒せそうなものですが」
坂田「ああいえ、出張は基本1ペアだけで行きます。依頼内容によっては2ペアですが、チーム全員で行くことは無いですね」
佐藤「つまり、1ペアだけでステージⅣの相手は十分だと」
坂田「そうなりますね。私の場合は、凜に助けられてばかりですが」
佐藤「場合? 他のお二方は違うのですか?」
坂田「違いますね。
佐藤「それは噂ではなく?」
坂田「れっきとした事実です」
佐藤「本当に人間ですか?」
坂田「ちょっと怪しいんですよね。2人とも人間辞めてるかもしれません」
杉山「オメーも大概だろ。視力いくつだよ」
坂田「……さあ?」
佐藤「もしや、10km先のガストレアを正確に目視できて、暗視もできるという噂は」
坂田「……事実ですね」
佐藤「スゥー。では、次で最後の質問としましょうか」
杉山「お、逃げるのか?」
坂田「哀しいですよ私」
佐藤「そういう所が夫婦って言われるんですよ」
杉山「はあ?」
佐藤「最後の質問です。今後も民警配信者を続けていきたいと思いますか?」
坂田「もちろん。民警を辞めたとしても配信者は続けると思います」
佐藤「はい、インタビューはここまでとなります。本日はお時間を頂きありがとうございました」
坂田「いえいえ。こちらこそ貴重な体験ありがとうございます」
佐藤「次の動画も楽しみに待ってますね」
杉山「テメェやっぱ視聴者じゃ――」
――記録終了