相変わらず、トレーナーが不憫です
俺がトレーナーをしているウマ娘は二人いる。
一人はダイワスカーレット、もう一人はアグネスタキオンがあるんだけど、まぁ、その説明はもう要らんだろ、だから、今感じている悪寒、いや、嫌な予感について話そう。現在、俺はトレセン学園の廊下に立っており、前方方向からタキオンが歩いてきていた。そして、タキオンの腕の中にはどう見ても人参の服を着たダイワスカーレットっぽい赤ちゃんが収まってあるのを見つけてしまった。
「お、おい、タ、タキオン、お前、今度は何をやったんだよ」
「ん?あぁ、モルモットくんか、また、スカーレットくんに薬飲ませたんだ」
声を掛けて足を止めたタキオンがこちらを見上げそう返される。こ、こいつ、また、やったのかぁ……
「ま、まーた、凝り性もなく何やってんだよ、お前、どうせ、その赤ちゃんがスカーレットとでも言うんじゃないよな?」
「あぁ、その通りだが?」
キョトンとした顔で首を傾げたタキオンに自然と頰が上がるのを感じる。つい先日も幼女化したスカーレットが元に戻って半裸状態になったと言う事があった。あの後、流石にやられはしなかったもののタキオンと一緒に怒られ、数日間は罵倒が続いたと言う事もありあまり良い記憶はない。
「なーんか、嫌な予感しかしないんだが、つか、つい先日もそれで、酷い目にあったの忘れたのか!タキオン!」
「あぁ、それは知ってる、だから今回はそんなことが起こらないように伸縮性の服を着せているんだ」
ムスッと自慢げタキオンがドヤ顔を決めてくる。ま、まぁ、それは、それでいいけど、いや、良くはないけどさ……取り敢えず、一つツッコミをさらせろ……
「じゃ、タキオン、なんで、人参の服着させているんだよ」
「え、可愛くないかい?」
「いや、否定はしないけどよ……」
視線をタキオンが抱えている人参の服を着ているスカーレット(赤ちゃん)の方に向ける。こちらの視線に気がついたのかスカーレット(赤ちゃん)が、赤い純粋な目でこちらを見て手を伸ばしてくる。
「可愛いだろ?」
た、確かに、可愛いっちゃ可愛いな……
「あぁ、まぁ、そうだな」
「どうだい、抱っこしてみるかい?」
スカーレット(赤ちゃん)をタキオンは差し出して来る。嫌な予感はするけどいいか……
「あ、あぁ、しても良いか?」
「勿論いいさ」
タキオンからスカーレット(赤ちゃん)を受け取る。手をこちらの頬に伸ばしてきた赤ちゃんスカーレットに自然と頰が緩むのを感じ、ボンッと煙が立ち込める。
「え……嘘だろ!?またこれかよ!」
煙が晴れ元に戻ったスカーレットがこちらの頰に手を伸ばした状態でお姫様抱っこされていた。ただ、今回は逆に服が破けなかったと言う事が仇となりザ・人参マンみたいな見た目になっていた。お姫様抱っこしているはずなのに、何もこう、キュンッとしないし、代わりに笑いが込み上がってくる。
「ブフォ、ご、ごめん、スカーレット、さ、流石に、その格好は卑怯だ」
思わず吹き出すと、スカーレットは手を下ろし自身の服装を見て頰を真っ赤にさせる。それから、顔を伏せながら体を震わせ始める。
「と、」
「と?」
首を傾げると、自分の腕の中で顔を上げ目尻を上げながらも腕や足を使いスカーレットは暴れ出す。
「とぉれぇなぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「待て待て待て待て待て、暴れるなって!」
慌てて膝をつけて下ろすと、後ろに胡瓜を置かれた猫のように飛んで距離を取り口を大きく上げながらもこちらを睨んでくる。
「ダ、ダスカ、怒ったのはわかるけど、言葉は発しろや!」
フラッと立ち上がったスカーレットの殺気に本能的な危機を覚え立ち上がり後退る。あっあっ待って、なんで、自分の方にその殺気が向くんだ、その殺気を向ける先は普通タキオンだろ!なんで、なんでこっちなんだ!
「さぁ、前回と同じように私の研究室にスカーレット君の制服がある早く取ってくるんだ!」
楽しそうな顔のタキオンが彼女の事を後ろから羽交い締めにする。
「あーもう!すぐにこうなるし、タキオン絶対、この状況楽しんでるだろぉぉぉ!」
スカーレットを羽交い締めにしているタキオンから背を向け彼女の研究室に向かって走り始める。
「ぜっっったいに、今度こそ、やってやるんだからぁぁぁぁぁ!!」
「そのやってやるは違うやってやるだろぉぉ!つーか、やっぱりオチはこれじゃねぇかぁぁぁぁ!!」
今日も今日とてトレセン学園の廊下は騒がしいのだった。