アンリミテッド・ブレード・ライブ   作:夢物語

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それだけで俺は救われた気がしたんだ【中篇】

 琴里は強く目を瞑った。

 得体のしれない存在からもらった訳のわからない力の暴走で一つの街を飲み込み、そして沢山の人々を殺した。そしてついには、自分の大好きなおにーちゃんを、その焔で焼き殺してしまいそうになったのだ。

 そんな場面など琴里は見たいと思うはずがない。たとえそれが現実逃避だったとしても。

 それでも琴里は士道に助かってほしいと、必死に声を絞り、士道に、おにーちゃんに逃げてほしいと叫んだ。

 だが、それはもう遅い。膨れ上がった焔は際限なく膨れ上がり、士道に襲い掛かった。

 たとえ現実から逃げるために目を瞑ろうとも、琴里の宝石かのような綺麗な眼を開けたのなら、認めたくない士道がいない世界のせいで二度とその瞳の輝きは取り戻すことはなくなるだろう。

 

 ――そう、普通ならば。

 

 

熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)!」

 

 

 そこに響いた聞き覚えのないその声は力強く、しかし朗々と読み上げられた一つの呪文だった。 

 琴里はゆっくりと目を開いた。

 

「――ッ!?」

 

 士道と琴里の間にある空間にたたずむ赤い少年が一人いた。その少年は右手を突き出し、掌を広げ、掲げていた。

 それだけではない。琴里の今の姿形や、その能力も大概だが、その現象も士道と琴里の理解を越えた現象が、赤い少年――衛宮士郎によって引き起こされていたのだ。

 

 そこにあるのは紅色に輝く半透明な七枚の花弁。アイアースが持ったとされる、その花弁一枚一枚は古の城壁に匹敵し、投射物に対する絶対の防御力を持つを持つといわれる法具。

 “熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)”が展開されていた。

 

「はてさて、俺は何しろ無知なものでね。いったい何がどうなっているのか教えてくれないかね?」

 

 

 

 

 

「――綺麗」

 

 五河琴里の声が響いた。

 琴里は理屈なしに、ただそう思ったのだ。

 アイアースの名前を持つ盾は、その言葉をきっかけに、まるで砂時計が少しずつすきまを縫って落ちていくように、少しづつ解け、消えていった。

 

 士道と琴里は、士郎の問いの意味が解らなかった。

 当然だ。二人は、得体のしれない“存在”の罠にはめられ、このような状況に陥っているのだ。

 琴里は、自身が強くならなければ士道に嫌われてしまうとそそのかされた。そして“存在”は琴里では到底扱えきれないとわかっている精霊の力を渡した。それは琴里を触媒に精霊の力を暴走させるためにだったのだ。

 

 当然、琴里も士道も、そんなことは知らない

 士道は琴里のためにプレゼントを買いに行っている間に、町は大火事になり、琴里の暴走した力に食い殺されそうになったのだ。

 そもそも、今は何が起こっているときなのかを明確に判断し、分析できるような年齢に達していない幼子に『いったい何がどうなっているのか』を聞くのは間違っている。

 

 本来ならば、士郎も同じように、このような状況にいながらも落ち着いた態度で、尚且つ堂々と居れることは、異常を通り越して明らかに異質だ。

 まぁ、そもそも中身はすでに成人に達しているので、例外といえば例外なのだが……

 

 兎にも角にも、少なくとも士郎は幼い士道と琴里にこの状況を聞こうとは思っていない。少なくとも、今眼に映る範囲のこの子たちには……

 

「なになに、まさか聞こえなかったとでもいうのかね。姿がはっきりしない貴様は難聴の気でもあるのか。それはすまなかった。それならば、私もの貴様のふざけた耳にとどめることができるように分かりやすく聞くとしよう」

 

 それまで張り付けていた笑顔の仮面を外し、鋭く左斜め前の、琴里の少し奥の空間をにらみつける。

 

「私には貴様が視えるぞ。いつまでこそこそ隠れているつもりだ!」

 

 あたり一面の空気が震えるような大声があたりに響いた。

 まるで、その小さな体に宿る怒りの激流を、塊にして外に吐き出すかのように。

 その眼は強く吊り上がり、睨む先には殺気がこもる。最早それだけで人のことを殺すことができるのでは、と錯覚してしまうように……

 

「返事はなしか? ならば私は貴様を屠りに赴こ『いや、こっちに来なくてもいいよ』……」

 

 男性なのか、女性なのか、幼子なのか、青年なのか、それとも老人なのか、老若男女判断つかない声が響いた。

 その声は、先ほどの様な弾むような、楽しそうな響きなどが微塵も残らず消え去り、代わりに不機嫌さと嫌悪感を隠そうともしないような絡みついたねっとりとしたものだった。

 そんな声が静かに響いたのち、士郎がにらみつける空間が歪み、そこから何かがにじみ出るように真黒な何かがにじみ出てきた。

 

『君さぁ、何やってくれてるのさ。せっかく実験が途中まで成功していたのにさぁ、君のせいで台無しだよ』

 

 その何かは、唯一感情の起伏を眼で見ることのできる口元はへの字にしながら士郎にぼやいた。

 そう、声の主の正体は、先ほど琴里のことをそそのかした張本人、得体のしれない“存在”であった。

 

「なるほど、この状況が実験が故の結果だというのなら、それはずいぶんと狂った実験だな」

 

『別に狂ってなんかないよ。実験というものは犠牲がつきものだからね』

 

「そんなふざけた思想に反吐が出るな。それでは何か、貴様からしたら、この子供たちは宛ら、実験動物かね」

 

『そうなんだけどさぁ、それだけじゃなくって自分(僕、私、俺、己、わたくし)からしたら、君もある意味実験動物みたいなものなんだけどね?』

 

「……なに?」

 

 士郎は過去(前世)のことを考えるに、心当たりは多々あった。それは士郎の魔術師としての特性である剣の属性が関係している。

 士郎は、はっきり言って何の才能もない凡人だ。剣の才能などなく、魔術をどれだけ学ぼうとも一流には届かず、そのくせ“正義の味方”などという身不相応な夢を実現しようとしている壊れた人種だ。

 確かに、才能は無かろうが成長することや技術を身につけることはできるだろう。だがそれはあくまでも二流どまりだ。せいぜい行けたとしても、限りなく一流に近い二流にとどまってしまうだろう。

 だが、そんな士郎にも許された唯一のものがあった。

 そう、この身は所詮作る者。作は無限。無限にして一つ。その体は剣に特化し、それ以外はできなかった。

 故に封印指定にされてしまった。ゆえに最愛の彼女と離れ離れにならなければいけなかった。

 

 そして今現在は世界を飛び越え、今こうして生きている。

 

 故に、士郎にとって心当たりがあるといえば前世のことだけだ。

 となると、一つの可能性が浮上してくる。

 ということは何か? この得体のしれないこいつは俺の過去を知っているということか? 

 士郎は鋭い獲物を狙う鷹の様な眼をさらに険しくして“存在”をにらみつける。それに気が付いた“存在”は、何が面白いのか、さっきまで下げていた口角を釣り上げた。

 

自分(僕、私、俺、己、わたくし)はねぇ、君みたいな力を今まで見たことがないんだよ。精霊は女しかなることができないし、もしかして突然変異? みたいな何かかなとも思ったけど、にしては君の力、異質すぎるんだよねぇ」

 

「……」

 

 士郎は“存在”の言に対し、沈黙で答えた。

 どうやら士郎が危惧していたようなことはなかったらしい。だが、“存在”は士郎の魔術の本質に気が付き始めている様子だった。それが本当であれフェイクであれ、士郎は絶対に反応することはしない。それはつまり、答えを言っているようなものだからだ。

 だが、そんなものは所詮、問題の先送りだ。答えないということは正解でもないし不正解でもない。どちらとも取れないとい側面がある。そんなあやふやな答えは、他人にとってすっきりしないものだ。

 “存在”もその例に洩れることはなかった。

 

 口角を釣り上げ、ニヤニヤしたその口元は突然への字に曲がった。

 

『まぁ、いいや。今は君に構っているような時ではないからね。実験は一度始めたんだったら結果を出さなくちゃだめだよね? まだ結果は出てないし、一度士道君には死んでもらわないといけないしね』

 

「――っ、何だと?」

 

『言葉の意味、分からなかった? 自分(僕、私、俺、己、わたくし)は、自分(僕、私、俺、己、わたくし)の実験がまだ終ってないって言ったんだよ?」

 

「……させると思うか」

 

 若干ではあるが、少しだけ士郎に焦りの色が見えた。その隠し切れない焦りを感じ取った“存在”は、その様子を見て面白そうにけらけらと嗤った(わらった)

 

『できると思うよ? 自分(僕、私、俺、己、わたくし)としては、君のその在り方に凄い興味があったんだけどね、今はそれはどうでもいいや。だって、そんなものよりもさらに興味深いものは、ほかにあるんだもん。そう、たとえば――』

 

 途端に激しい爆発音が士郎の後方から響き渡った。

 

「――っな!?」

 

 いったい何があったのかと士郎はいまだに残響が残る音源へと顔を向けた。

 そこは激しい焔に覆われていた。熱風は激しく、物が焼ける独特な音と匂いがする。

 琴里はいつの間にか士郎の後方に()り、眼の焦点があっておらず、まるでこの世すべての絶望が詰まっているかのような、強い恐怖を描いたような表情だった。

 そんな琴里が見つめる先には死にかけの……いや、もうほとんど死んだのと変わらないような状態でかろうじて生きている五河士道がそこに倒れていた。

 

「お……にいちゃ、ん?」

 

「――な……なんだと?」

 

 そう、一見するだけで、もう助からないのだと、この命を救うことができないのだとすぐに分かるほどの死に体だった。

 皮膚は焼けただれ、臓器は歪み、ねじれながらはみ出し、あちこち炭化した体からは異様な臭いが漂ってくる。

 こんな姿を、士道の肉親である琴里が見たら正気を保っていられるはずもない。

 

「ぃ……ぃゃ…………――いやあああああああああああああああぁぁぁああぁあああ!!!!!」

 

「貴様! いったい何をした!!」

 

 絶叫。

 響きわたる琴里の声は辺りに木霊した。

 それと同時に士郎は再び“存在”を睨みつけ怒声をぶつける。

 

『だから言ったでしょ? これは実験なんだよ。種明かしをするとね? 琴里ちゃん……あぁ、そこにいる女の子ね? その子に精霊の力を与えたのは自分(僕、私、俺、己、わたくし)なんだよ。けどね、その力はまだその子には定着していないんだよ。

 いうなれば、そう、これは暴走なんだよ」

 

「暴走? その割には出来過ぎているな。これが暴走なのなら、俺たちがこうして話している間にも犠牲が拡大してもよかったはずだ。それがピンポイントにことが起こった。

 俺からしたら貴様が仕組んだようにしか見えんな!」

 

 “存在”は口開させ、驚いたかの様なしぐさをする。しかしそれは一瞬。すぐに口角を上げて人を不快にさせるように笑い出す。

 

『へぇ、やっぱりわかるの? うん、そうだよ? 正解だよ。自分(僕、私、俺、己、わたくし)は琴里ちゃんを使って士道君を焼いたんだよ。

 自分(僕、私、俺、己、わたくし)がしたかった実験っていうのはねぇこんなところで終わりじゃないんだよ。さらにももう一行程あるんだ』

 

「ふざけるな。人の命をもてあそぶような貴様だ。そんな奴が行う実験に何の意味があるというのだ」

 

『ふぅん。そんなことを言うんだ。それはいいんだけど、それじゃぁ君に、そこの男の子のことを助ける手段はあるっていうの? もう虫の息で危篤状態の子供をねぇ』

 

「――ある」

 

 士郎は間髪入れずに言い切った。

 

 全て遠き理想郷(アヴァロン)

 それは士郎の体の一部。

 数多く存在する剣の丘にある投影品の贋作が集う世界にある唯一の本物。全て遠き理想郷(アヴァロン)のそのランクはEXでありながら、士郎はそれをまるで呼吸するかのように簡単に取り出すこともできるだろう。

 本来それの持ち主であるアーサー王(アルトリア・ペンドラゴン)がいなければ、正しく言うとその魔力が存在しなければ全て遠き理想郷(アヴァロン)の法具としての真価を発揮しない。

 

 しかしどういうわけか、アーサー王(アルトリア・ペンドラゴン)がいなくても全て遠き理想郷(アヴァロン)が士郎の体内で正常可動しているのだ。

 

 それを使えば絶対にあの子を救うことができるはずだと思ったからこその、この答えだった。

 

『へぇ……』

 

 “存在”の雰囲気が変わった。

 それまで遊びというか、ふざけてというか、そういうニュアンスを持った雰囲気が成りを潜め、代わりに何の遊びのない姿勢へと態度が変わった。

 

投影開始(トレースオン)

 

 そんな様子を士郎は感じ取ったのか、呪文と共に両手に干将莫邪という夫婦剣を魔術で鍛え上げ、手に持った。

 

『へぇ、それが得体のしれない力の一部っていうこと?』

 

「答えると思うか?」

 

『いや、思わないよ? でもいいの? こうしている間にあの子、死んじゃうよ?』

 

「俺は貴様を倒して、あの子を助けるさ」

 

『あはは。何の根拠もないねぇ。でも残念……』

 

「何が残念だというのだ。貴様がこのような災害を起こした時点でもうすでに悲壮な結末ではないか」

 

『いや、そんなことはないよ。少なくとも今は』

 

 “存在”の気配が突然希薄になる。

 

『――人命が優先だよね』

 

 そして同時に士郎は、背後にいる琴里と士道のほかにもう一人の気配が現れたのを感じ取った。

 

「ふざけるな! 貴様が人命など語るんじゃない!」

 

 士郎は振り向きながら吠えた。

 ついさっきまで目の前にいた“存在”は、いつの間にか数メートル離れた向こう側にいた。それだけだったらまだいい。その“存在”の足元には、士道の下に膝をつきながら何度も「おにーちゃん、おにーちゃん!」と泣き叫びながら縋る琴里と、その兄である今にも死にそうな士道がいたのだ。

 

 “存在”確かに言った。殺すことが実験だと。それはつまり、第三者はともかく、五河士道は確実に死んでもらうという実験だということになる。

 そんな奴が、前世の記憶を取り戻し、その結果魔術というものを取り戻した衛宮士郎に気配を辿らせず、文字通り一瞬にして子供たちの方に移動したのだ。

 いや、これは最早移動というより転移といっても強ち間違いではないだろう。とにかく“存在”は何かしらの転移手段を持っているということだ。

 そんな奴が今年端もいかない子供たちのそばにいる。それだけじゃない。さっきは殺すことが実験だとのたまったこいつは、何を思ったのか急に『人命が優先だ』とほざいたのだ。

 それを聞いた士郎が激怒しないわけがない。士郎が子供の命を助けようとしないわけがない。

 だから士郎は“存在”という驚異を倒すために走り始めた。

 

 ――だが、もう遅い。

 

 “存在”は士道の身を案じて繰り返し自分が愛する兄の名前を必死に呼ぶ琴里の頭にそっと優しく手をかけた。

 

『だけど残念。時間切れだよ』

 

 そしてつぶやいた後、琴里の頭を強く押し付けた。士道の顔へと。

 

 

 

 

 

「お……にいちゃ、ん?」

 

 琴里は一人唖然としていた。

 

 一度目の力の暴走は琴里が唯一知っている世界を滅ぼし、二度目は最愛の家族で、義理の兄の士道を焼き尽くしそうになった。

 その時に見覚えのない赤い少年が出てきて士道のことを紅色の盾で守ってくれた。

 その盾の輝きは、琴里が先ほど見た精霊の力を宿した宝石のゆがんだ美しさは微塵もなく、その絶対の守りを見て、わたっしのおにーちゃんを絶対に守ってくれるという安心感でいっぱいになった。

 

 当然ながら琴里にとって一番の恐怖は最愛の兄を亡くすことだ。その兄を守ってくれた見たこともない少年を理屈なく信じることができた。そして少しだけ安心した。

 

 だが、その安堵感は一瞬で終わった。琴里のすぐ隣から、正しく言うと右後ろから覚えのある、まるでまとわりつくような気配を感じた。

 琴里は恐怖で震えだす。ゆっくりと後ろを振り向くと、琴里に力を与えた何かがいた。

 恐怖心に負けた琴里は走り、士道の下に向かった。

 確かに、自分の心に負けたというのもあるが、それだけではなく、士道が心配だったからということもあるだろう。気絶してしまったおにーちゃんを守るのは、私しかいないんだと思ったのだろう。その結果、大きな被害を出すことになってしまうことに琴里は気が付きもしなかったのだ。

 

 そしてふたりの会話は終わりに向かい、琴里の眼は愕然に染まり、涙を流すことになる。

 

『できると思うよ? 自分(僕、私、俺、己、わたくし)としては、君のその在り方に凄い興味があったんだけどね、今はそれはどうでもいいや。だって、そんなものよりもさらに興味深いものは、ほかにあるんだもん。そう、たとえば――』

 

 ――え? なんで? もうすべて出し切ったと思ったのに。もう何も出せないはずなのに。熱い。暑い。アツイ。これは、ダメ、抑えられない。

 

 琴里の力が膨張していく。幼い少女の体をなめるかのように焔が伝う。煙をだし、熱を発し、いつ爆発してもおかしくない。それを必死に抑え込もうと琴里は自分の体を抱きしめ、体をこわばらせる。

 

 しかし、それも限界が来た。たまりにたまった力は外に爆発するかのように大きく広がる。その規模は先ほどの様な町ひとつ滅ぼしかねないようなものではなく、明らかに少ない被害で済むようなものではあった。しかし、現状最低最悪な状況だった。

 琴里の真向いには唖然としたまま固まっている士道がいる。しかもその距離はほぼゼロ距離だ。

 

 当然、必然的に士道は琴里の暴走した力に巻き込まれ、いつ死んでもおかしくない瀕死の状態に陥ってしまった。それこそ、なぜ生きているのかすら分からないほどの……

 

「ぃ……ぃゃ…………――いやあああああああああああああああぁぁぁああぁあああ!!!!!」

 

 ――呼乞

 

 ――絶叫

 

 ――号哭

 

 感情は悲しみ一色で塗りつぶされ、鼠算式で広がりずつある黒い感情はとどまることを知らなかった。

 

 おにーちゃん!

 

 おにーちゃん! おにーちゃん!

 

 おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん! おにーちゃん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

「おにー…………ちゃん?」

 

 琴里の瞳孔は開ききり、目の終点はあっていない。一言でいうならば、その姿は正に生ける屍といってもいいだろう。

 士郎と“存在”との会話が耳に入ってくるわけもなく、ただ間もなく死を迎えるだろう己の兄の姿を見ながら、おにーちゃんと呟くことしか琴里にはできなかった。

 

 そんな状態でどれぐらい時間がたったのだろう。

 一分?

 一時間?

 丸一日?

 いや、実際にはそんなに時間がたっているわけがない。

 実際にはたった数十秒間しか時間がたっていなかった。だが、琴里にとっては、無限ともいえるぐらい時間が引き伸ばされていたのだ。

 

「おにーちゃん……おにーちゃん……………………おにーty」

 

 しかし、ただ泣いている時間が唐突に終わる。

 琴里の頭を何かが強く押さえつけた。しかし、地面にではない。

 

 

「――ンムッ!?」

 

 

 士道の顔に、それも琴里の唇と士道の唇が重なり、合わさるように押し付けられたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――琴里の世界から音が消え、唇の感触だけが鋭く脳に突き刺さった――

 




なんか、予想以上にお話が長くなってしまって、三つに分けることになりそうな……(ノД`)・゜・。
アレ? 題名変えたほうがよかったのかなぁ(泣)

ま、まぁ、それはともかく更新遅くなってすいません。
なんか知らんけど、体がボロボロなんです。
最近仕事、ほとんどできてない。体調不良で……
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