少年は、あの剣製を競い合った聖杯戦争の刻を過ごし、自分自身に打ち勝った。

 あの日からいったいどれほどの月日がたったのだろうか。

 己の信念は紛い物だと知りながらも、誰かのために走り続けることは間違いなんかじゃないと、わき目も振らず走り続け、沢山のものを捨て去りながら、ボロボロになりながらも戦ってきた。

 少年は青年となり、姿かたちは剣製を競い合ったあいつとほとんど見分けがつかなくなった。

 そして朽ち果てるは、いつか幻影で見たあの剣の丘。
 青年は満足そうに、幸せそうに笑いながら逝こうとする。

 だが運命は、青年の命をこのまま燃え散らすことを許さなかった。

 かつての仲間に助けられ、青年を逃がすために空間の狭間に穴をあけ、現世と異世界の道をつないだ。

「士郎。アンタは絶対に幸せになんなくちゃいけない。アンタはたくさんの命を救ってきたけど、心までは救えなかったんじゃないの? 幸せを知らないアンタが人を幸せにできるわけないじゃない。だから今度は、アンタが幸せになって、そして手の届く範囲でいい。お願いだから、本当に大切な人たちのことを助けてあげなさい。命だけじゃなくって、心も……ね」


 青年は少年に姿を変え、行き着いた先は精霊と災害が渦巻く世界だった。


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