ノルース星戦記   作:YUKANE

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実は更新していない間に艦の細かい箇所の設定が大幅に増えました。前話に唐突に出てきたサフィールS16通信システムはそれによって後付されたものなので,唐突に出てきてハテナマークが浮かんだと思います。
今話からその要素を入れていこうと思うますが,機会が取れ次第今までの話にも入れていきたいですね。

それとスマホを変えたせいだと思いますが,記号欄で半角鉤括弧(カギカッコ)が出せなくなってめっちゃ面倒くさい事になっていました。
艦名とかを表記する際には半角鉤括弧使っているので,最初は困惑しましたけど頑張って表示する方法を見つけたので良かったです。

最後に日本国召喚wikiの二次創作一覧にこの作品を入れてくださって,ありがとうございます。




実はしれっと1万字超えてます


神の名と水瓶座の名を持つCCC(トリプルシー)

海の色が反射して水色に染まった空に,明らかに自然物ではない巨大な水色の幕が出現していた。

何百メートルもの巨大な幕の端には,五角形の対角線上に5隻の艦と中央に1隻の艦が展開していた。5隻の後ろには総勢46隻の第13艦隊第3戦隊が展開しており,水色の幕と一緒に降下していた。

 

水色の幕こと波動防壁を展開しながら第2320戦隊所属のトウキョウ級武装補給母艦 5隻が五角形対角線に展開し,戦隊旗艦のアンタレス級宇宙航空母艦「GGG-145 ラス・アルゲティ」の指揮の元,第3戦隊を護りながら降下していた。

 

アンタレス級とトウキョウ級はどちらもインペリアル星系連合との大規模戦争 レヴィン戦争後に提案された「航空機動打撃艦計画」と「艦隊随伴型支援艦計画」によってドレッドノート級宇宙戦艦をベースに建造された艦で,役割は違うものの船体を延長して船体後部に航空甲板を備えている点が共通していた。

 

アンタレス級とトウキョウ級最大の違いが波動砲発射口が蓋によって塞がれている事だった。トウキョウ級はそもそも波動砲発射機構自体が撤去されており,それによって空いたスペースに艦隊全部を覆える程の波動防壁を展開できる XD-7波動防壁共鳴システムが搭載していた。

ヴァンクライト研究所によって開発された XD-7波動防壁共鳴システムによって他艦の波動エンジンと共鳴させる事で波動防壁を強化出来たり,他艦に波動エネルギーを共有する等の波動エンジンに関わるサポートを行うことを役割としていた。

 

それ以外にも多目的な任務に対応しているトウキョウ級だが,この艦は波動防壁をフル展開することで惑星降下時に敵の攻撃から艦隊を護ることを最大の役割としていた。

波動防壁フル展開を一定時間維持する為に主機も本来ドレッドノート級に搭載されているものを製造元のパラード・ツェルナイン社で出力強化改造された PNC-412次元波動エンジンを搭載していた。

 

このシステムによって艦隊は防御が甘くならざるおえない惑星降下時に,安心して降下することを可能としていた。

 

無論第3戦隊も「HHH-069 トロント」・「HHH-078 サンフランシスコ」・「HHH-143 リオデジャネイロ」・「HHH-174 イルクーツク」・「HHH-201 フランクフルト」の5隻が展開した波動防壁に守られながらノルースの大気圏に突入していた。

 

大気圏に入った51隻の艦隊の中央には地球防衛軍艦隊の中でも異様な形状をした巨大艦でもあり地球防衛軍で唯一日本由来の艦名を持つ第3戦隊旗艦 「CCC-001 アマテラス」が陣取っていた。

「アマテラス」は第4戦隊旗艦の「CCC-002 アクエリアス」と共にアンタレス級が作られた「航空機動打撃艦計画」でアンドロメダ級をベースに作られた試験艦として建造された。

建造コストを抑える為に艦橋後部に格納庫と電磁カタパルトを備えた航空ユニットを搭載しており,見た人をもれなく驚愕させる異質な外見を手にしていた。

 

その結果100機以上の戦闘機運用能力とアンドロメダ譲りの高い攻撃能力を両立する事が出来たものの,それでも改造費が高くついた為に2隻のみの建造となっていた。

その2隻は行き場を失っていたが,第13艦隊新設に伴ってそれぞれ戦隊旗艦として配備された。

 

「アマテラス」こと通称 CCC(トリプルシー)クラス最大の特徴でその巨大すぎるが故に入渠出来るドックが限られている要因でもある艦橋にエドラスト・スフィンシャー中将は仁王立ちして,正面を睨みつけるが如く見つめていた。

 

艦橋上部のディスプレイには第3戦隊が戦うべき相手 ベリメサ戦隊が写っていた。ベリメサ戦隊は14隻の艦艇で構成されており,巡洋艦や駆逐艦が大半を占めていたが,艦隊旗艦のみ航空母艦「フルメティス」が努めていた。

たった1隻の空母の甲板上には無数の機体が展開しており,カタパルトを使って次々と発艦している様子をスフィンシャーは艦長のタリオン・マクギスと共に見ていた。

 

「どうやらまずは艦載機で攻撃を仕掛けるみたいですね。」

「恐らく艦載機で混乱している隙に襲撃でも仕掛けるのだろう。」

 

2人はディスプレイを見ながらそう答えた。機動力に優れた艦載機を持ってして,第3戦隊(我々)を混乱させた隙に,残る艦で打撃を与える。

航空機と艦隊で同士討ちする可能性があったものの,戦力差が激しい現状なら最善の策かもしれなかった。

 

「それでどう対処しますか?」

 

タリオンの疑問にスフィンシャーは間を開ける事なく返答する。

 

「艦載機は本艦だけで何とかなる。それよりも「トロント」に対光学ミサイルを装填するようにと指示を出せ。」

「結構貴重ですけど、いいんですか?」

「構わん。こういう時の為に取ってあるのだから。」

「左様でしたか。通信士,「トロント」に今の指示を伝えろ。」

 

スフィンシャーの発言にタリオンが再び疑問を投げたが,スフィンシャーは動ずることなく答えた。その様子にタリオンの疑問は消え,直ぐ様通信士に指示を出した。

 

「対光学ミサイルを発射した後はどうしますか?」

「あっちが艦載機で戦うのならこちらも艦載機で戦うとしよう。アマテラス中隊は出せるか?」

「アマテラス中隊は既に出撃準備を整えて,発進を待っているだけです。」

「手際がいいこと。」

 

既に航空隊の準備を終えていた事にスフィンシャーは思わずそう言った。

直後,レーダー員の声が艦橋に響いた。

 

「敵航空隊がこっちに来ます!! 総勢52機!!」

「重力子スプレッド弾発射用意!! 発射機展開!! 艦首を下げろ!!」

 

スフィンシャーの指示で「アマテラス」の艦首波動砲発射口の少し後方から4基の箱がせり出す。横長の長方形の箱ことクワイラント工廠製のR2U重力子スプレッド発射機には真円が並列に並んでおり,真円に蒼白いエネルギーが充填されると同時に,スラスターを展開して艦首を航空隊ヘと向けた。

 

計4機の重力子スプレッド発射機から8発の重力子スプレッド弾が下の航空隊に向けて発射された。

 

8発の重力子スプレッド弾は低空から雲を突き抜けて上昇中の航空隊へと向かっていった。航空隊が重力子スプレッド弾に気がついて回避行動をしようとしたがもう遅かった。

 

重力子スプレッド弾は急激に膨張して航空隊を飲み込む。超高圧増幅装置で極限まで原子や分子を圧縮して発射する重力子スプレッド弾は,原子や分子が圧縮から解放される事で広範囲を爆縮に飲み込んで破壊する。

その爆縮に航空機は耐えきれる筈が無く,瞬く間に52機全てが文字通り消滅した。

 

役割を果たすことなく航空隊が消滅したことを確認すると,スフィンシャーは間入れずに指示を出す。

 

「対光学ミサイル発射!!」

 

艦隊を波動防壁で守っている「トロント」の多目的ランチャーから1発のミサイルが発射された。

1発あたりの製造コストが高すぎるが故に艦隊でも数えられる程しか配備されていない貴重なミサイル CL-1024対光学ミサイルが。

 

CL-1024対光学ミサイルは重力も味方につけて,速度を増しながらベリメサ戦隊へと向かっていく。

 

一定の位置まで降下していった対光学ミサイルは突如爆発した。

対空砲火も上がっていなかった為に突然の爆発は不自然そのものだったが,誰も動揺していなかった。

 

「対光学ミサイル()()!! チャフ粒子の散布を確認!!」

「アマテラス中隊出撃!!」

「アマテラス中隊出撃許可!! カタパルト始動!!」

 

レーダー員の報告を受けたスフィンシャーが即座に発した指示を艦橋の航空参謀が格納庫に伝える。

 

まもなく艦橋後部の格納庫から地球防衛軍の主力マルチロール戦闘機 コスモファルコンが次々と発艦していく。片舷12基のガルフェイオン社製 Qw-58Cv電磁カタパルトによって勢いよくノルースの空へと飛び出したコスモファルコンは各種スラスターを動かして機体を安定させると,編隊を作り出した。

 

コルスファイス・エアクラフト社が作り上げた地球防衛軍最高峰の多目的戦闘機(マルチロールファイター)4中隊 計100機は,機体後部のセルティアルム社製のSR-22Aコスモエンジンの出力を上げ,光学的な対抗手段を失ったミルメリア艦隊ことベリメサ戦隊へと突撃していった。

 

 

「航空隊が·········全滅だと!?」

 

ベリメサ戦隊旗艦の空母「フルメティス」の艦橋で戦隊の名称でもあり,司令官のベリメサ・バンル・ヘンフェルメサ少将は冷静さを失っていた。

 

本隊の第35艦隊を失った事に加え,出撃した航空隊も重力子スプレッド弾で文字通り消滅してしまった為に,彼のメンタルは尽くやられていた。

他と違ってグラ・バルカス帝国(今まで戦っていた相手)から損害らしい損害を受けていなかったのも,余計にメンタルを破壊していた。

 

「戦隊司令!! 錯乱する前に指示を出してください!!」

 

「フルメティス」艦長の言葉でベリメサは正気を取り戻した。

 

「そ,そうだな。全艦向けられるだけの主砲を上に向けろ!!」

「敵艦隊ミサイル発射!! 数1!!」

「なっ!?」

 

ベリメサが指示を出し終えると入れ違いに女性レーダー員がミサイル発射を報告した。

この報告でベリメサは困惑した。今ならミサイルによる飽和攻撃で戦隊を全滅させることも出来るだろうが,何故たった1発だけミサイルを発射したのか彼には理解できなかった。

 

加えてそのミサイルが迎撃する前に自ら爆発した事も彼をより困惑させた。

 

「自爆しただと? 何だあのミサイルは?」

 

艦隊の遥か上空で自爆した為に被害はなく,破片すら届く事は無いだろう。

何故わざわざ1発だけミサイルを発射して,それを自爆させたのか、ベリドサは理解できていなかった。

 

だがベリドサが考察する前に異変は起こりだした。

 

「ショックカノン及び対空レーザー砲のエネルギー出力が急速に低下していきます!! 」

「どういう事だ!?一体何が起きている!?」

 

唐突に起きたエネルギー出力の低下。ショックカノン等の光学兵器を中心とするミルメリア艦隊にとって,エネルギー出力低下で使えなくなるのは戦力が8割型消えたのと同義だ。

 

突如として起きた緊急事態だったが,ベリドサはある答えが浮かんだ。

 

「出力低下······まさか対光学ミサイル!!」

 

1発だけ発射されたミサイルこと対光学ミサイルで光学兵器は無効化された。数少ない情報で辿り着いたベリドサの推察は当たりだった。

 

CL-1024対光学ミサイルは弾頭にZc-1908A粒子,通称 チャフ粒子を満載している。光学兵器を無効化できるチャフ粒子だが15分弱しか機能しない上に製造コストが高すぎる兵器な為に,艦隊には数えられる数しか配備されていなかった。

 

加えて15分弱しか使えない対光学ミサイルを効果的に使える戦場は限られている為に,ミルメリア側は存在は周知していても詳細な情報は入手出来ていなかった。

 

だが答えを導き出しても現状は改善されなかった。エネルギー出力低下は止まらず,遂に対空レーザー砲発射すらも出来ない程に出力が低下しまった。

 

「対空レーザー砲も使用不能になりました!!」

「なんてことだ·······これでは我々は丸腰ではないか!!」

 

1発1発の単価が高いミサイルや魚雷等の実弾ではなく,安価で連射も効くショックカノンや対空レーザー等の光学兵器を中心に構成されているミルメリア艦にとってこの状況は絶望に等しかった。

 

加えて積んでいる魚雷とミサイルも数は限られており,艦隊全部を合わせても第3戦隊全艦を撃沈することは不可能に近かった。

 

「こんな状況になるのであれば,拡散ランチャーでも搭載するべきだった!!」

「司令官落ち着いてください!!」

「敵航空機 計100機来ます!!」

 

ベリドサは絶望的な状況に錯乱しそうだったが,艦長が抑えた事と女性レーダー員の報告で現実に引き戻された。

 

第3戦隊はベリドサ戦隊が混乱している間に航空隊を出撃させた。いつもなら脅威にはならないはずの航空機が今はとてつもない脅威へと成長していた。

 

「不味い!!·······対空ミサイルと魚雷を発射しろ!!」

 

レナドサは冷静にミルメリア艦隊に残されている最後の抵抗手段を使用する指示を出した。

 

「フルメティス」の船体両舷から計8つもの正方形のハッチが開き,片舷に8基ずつ搭載されている対空ミサイル発射管が姿を見せる。レナドサ戦隊の全艦から発射された弾頭は約100発にも及び,機体と同数の数でアマテラス中隊へと向かっていった。

 

ベリドサ戦隊が保有するミサイル全弾を発射した為に,もしこれで駄目ならばこの戦隊は抵抗手段を失ったと同義だった。

ベリドサらは祈るように見ていたが,無常にもアマテラス中隊は動じていなかった。

 

敵航空機こと コスモファルコン胴体下部が開き,ウェポンベイに格納されていたヴァルセート社製のSE-194空対空ミサイル(AAM)が姿を現す。

4発のSE-194は接続されていたアームから外され,ブースターに点火して飛翔を開始する。SE-194は1機あたり4発搭載されている為に僅か数十機程度でベリドサ戦隊が発射した対空ミサイルの総数を上回る。

 

蒼色の空に一瞬で黒の花弁の華が幾つも咲いた。ベリドサ戦隊側とアマテラス中隊の対空ミサイルがすれ違いざまに近接信管によって次々と爆発して,空を黒い花弁で埋め尽くした。

 

蒼い空を真っ黒に染めた黒煙の中を切り裂いて,ほぼ無傷のアマテラス中隊が姿を現し,ベリドサ戦隊へと向かっていた。

殆どのミサイルを使い切ったベリドサ戦隊に回避以外の対抗手段は残されていなかった。

 

「全艦回避行動を取れ!!」

 

ベリドサは回避指示を出したが,それは自暴自棄に近いものだった。アマテラス中隊は回避命令に混乱するベリドサ戦隊に引導を渡しに行った。

 

コスモファルコンの主翼についているハードポイントからVE-200空対艦ミサイル(ASM) 4発が切り離される。ミサイル後部のブースターに点火して,燃料を消費しながらベリメサ戦隊へと向かい出した。

 

最初の1機に続くように後方の機体もハードポイントのVE-200を次々と切り離して発射した。計400発の対艦ミサイルがベリメサ戦隊へと向かっていった。

いつもならば対空レーザー砲で数割が撃墜されている筈の対艦ミサイルが,1発も落とされる事なく僅か14隻の艦艇に襲い出した。

 

VE-200は外縁に展開していた駆逐艦「ビジュン」に最初に命中した。短時間で6発も被弾した「ビジュン」は瞬く間に船体を破壊され,降下する間もなく爆発を起こして沈んだ。

 

「ビジュン」を皮切りにベリメサ戦隊に次々とVE-200対艦ミサイルが命中していった。

 

「駆逐艦「ヴァーメナ」・「ベリノ」轟沈!!」

「下部艦橋大破!! 格納庫にも被弾!!」

「重巡「ファングテレア」爆沈!! 軽巡「ドレイダー」も!!」

 

僅か数分でベリメサ戦隊は崩壊し,旗艦「フルメティス」も何発も被弾した為に撃沈は免れなかった。

 

「スマンみっ······」

 

ベリメサが発した言葉は最後では話される事は無かった。10発以上のVE-200を被弾した「フルメティス」は格納庫の航空燃料やミサイルに誘爆して,船体を内部から破壊した。海に落ちる事なく「フルメティス」は爆沈し,艦橋にいたベリメサは爆発に呑まれてこの世を去った。

 

ベリメサ戦隊は過剰とも言える数の空対艦ミサイルの飽和攻撃で残骸へとなり,パガンダ島西方のヴァンテノ海へと落下していった。

 

ベリメサ戦隊の消滅を確認したアマテラス中隊は「アマテラス」に回収され,回収を終えた後にグラ・バルカス大陸(目の前の大陸)へと向かい出した。

 

 

ベリメサ戦隊が一方的に攻撃されている頃,伊豆諸島東部近海でも戦闘が始まろうとしていた。

 

海面から200m程の高度には東京等の都市圏を火の海へと変貌させたメディナ戦隊が展開していた。自衛隊と在日米軍の猛攻で半数の艦載機と数隻の艦を失っていたが,第35艦隊からの艦艇補充も受けて戦力を維持していた。

 

一時は本州の奥に逃げ込んでいたが,ヴェルズリーの挑発によって自ら戦場へと駒を進めていた。

 

そのメディナ戦隊を見下ろす様に地球防衛軍第13艦隊第4戦隊が遥か上空に展開していた。

第3戦隊と同じく第2330戦隊旗艦のアンタレス級「GGG-104 アルタイス」の指揮でトウキョウ級「HHH-071 バンクーバー」や「HHH-081 ボルティモア」等5隻が波動防壁を展開していた。

 

第4戦隊の中心には第13艦隊旗艦「AAA-013 オーシャン」と同じく蒼色に塗られた船体を持つ旗艦 「CCC-002 アクエリアス」が

 

「アマテラス」と同じく航空機格納庫とカタパルトを内蔵した特徴的で巨大な艦橋で司令官のヒエリス・グランベイン中将と参謀のヒューア・ヴァントリノ中佐はメディナ戦隊を見落としていた。

 

「どうやら艦載機は出さないみたいだな。恐らく砲撃戦で戦う気だろうな。」

「艦載機ぐらいは日本が保有している戦闘機でも落とせると思います。艦載機は出さないではなく出せないのでしょう。」

 

ヒューアの推測は正解だった。メディナ戦隊の艦載機 テレスガーベーターは国内からかき集められた航空自衛隊のF-15J/DJ(イーグル)とF-2A/B・F-4EJ改(ファントム)RF-4EJ(リコン・ファントム),アメリカ海軍のF/A-18E/F(スーパーホーネット)や海兵隊のF/A-18C/D(ホーネット),空軍のF-15C/D(イーグル)F-16CJ/DJ(ファイティングファルコン)によって多くの機体が撃とされていた。

 

日米も約8割が撃とされて再起不能レベルの打撃を受けたが,それはメディナ戦隊側も同じだった。

艦艇に関しては代わりの艦が来ていたが,艦載機は補填出来ていなかった為に戦力になれる数を揃える事が出来なかった。

 

ベリメサ戦隊とは違ってメディナ戦隊は航空機による攻撃戦力を実質的に失っていた。メディナ戦隊に残された攻撃手段はショックカノンとミサイルのみだった。

 

「流石に睨み合いも疲れて来ただろう。そろそろ痺れを切らす事だろうな。」

「既に20分。相手もイライラしてきているでしょうね。」

 

ヒエリスは敢えて攻撃を行わず,兎に角相手からの攻撃を待ち続けた。最善の策を見出す為でもあったが,これを行った最大の理由はヒエリスの性格そのものにあった。

 

彼は根っからの戦闘狂で戦闘そのものに自身の喜びを見出していた。特に彼は戦闘開始の緊張感を一気に高めてからの戦闘に快感を覚えており,実質的に1艦隊の司令官となった今は毎回の様に行っていた。

 

ヴェルズリーは彼の行為を気にしてはいるものの,第4戦隊が高い戦果を上げてくる為にあまり指摘して調子を壊すのは良くないと結論づけ,特定の事情がない限りは見逃していた。

 

今回も彼はいつも通りやっていたが,彼が予想していた以上にメディナ戦隊が耐えている事は想定外だった。攻撃を仕掛けない理由は第4戦隊は知ることが出来ないが,2艦隊は約20分も睨み合っていた。

 

常人なら20分も睨み合っていれば疲れが出てくるものだが,彼に疲れなど存在していなかった。寧ろ彼は内心で“ここまで焦らす相手は久しぶりだ”と喜びを抱いていた。

 

そして彼が望んでいた展開が遂に訪れた。

 

「敵艦隊ミサイル発射!! 数56!!」

「来たな··········右舷を下に向けろ!! ()()()()()()()()()()()展開!!」

 

この瞬間を待ちわびていたかの如くヒエリスの意気揚々と出した指示で「アクエリアス」最大の特徴でもある右舷側の重力子スプレッド発射機 6基がせり出す。

 

本来ならば舷側には舷短魚雷発射管や多連装ミサイル発射機等が搭載されているが,側面防御能力を高める為にR2U重力子スプレッド発射機を片舷に6基ずつ搭載していた。

 

これを搭載する為に魚雷発射管やミサイル発射管は撤去していたが,防御能力は格段に向上していた。

 

スラスターによって「アクエリアス」の船体は右へと傾き,エネルギーが充填されつつあった重力子スプレッド発射機がミサイルと相対した。

 

舷側の膨らんだバルジのような箇所に上下 3基ずつ搭載しているR2U重力子スプレッド発射機から12発もの重力子スプレッド弾が発射された。

 

青白い12個の光がミサイルへと迫る。ミサイルを目前にして重力子スプレッド弾が威力を解放する。

 

広範囲の爆縮によってミサイルは破片すら残さずに消え去った。

ミサイル群の消滅を確認したヒエリスは間を開ける事なく次の指示を出した。

 

「全艦ミルメリア艦隊へと主砲旋回!!」

 

彼の指示によって艦橋前に設置されているバクファック・エンジニアリング社製のO4-C 40.6cm3連装ショックカノン砲 2基が右舷へと回り出す。

 

ドレッドノート級も3基のAS-7V 30.5cm3連装ショックカノン砲を,エンケラドゥス級も 3基のTA-6G 12.7cm連装ショックカノン砲をメディナ戦隊の方へと向けた。

本来ならば砲撃戦にはあまり参加しないアンタレス級とトウキョウ級もドレッドノート級から引き継いだAS-7V 3連装ショックカノン砲を向けていた。

 

主砲をメディナ戦隊に向けると同時にスラスターによって船を傾け,主砲をメディナ戦隊と正対させた。

 

「主砲発射ぁ!!」

 

O4-C 40.6cm3連装ショックカノン砲から発射された6本もの蒼いショックカノンがミルメリア艦隊へと向かっていく。「アクエリアス」に続いて第4戦隊全艦からメディナ戦隊に向けてショックカノンが降り注いだ。

 

外れたものが大半だったが,それでも50発近くのショックカノンが流星の如くメディナ戦隊に襲いかかった。

 

小さな駆逐艦はショックカノンの直撃で瞬く間に爆発に飲み込まれ,大型な巡洋艦や航空母艦はある程度装甲があった為に耐えることは出来たものの,日米軍が損傷を与えた艦は耐えきれずに沈んでいった。

 

ショックカノンの流星群が消える頃にはメディナ戦隊の艦艇は半数まで減っていた。

 

「駆逐艦3隻,重巡及び軽巡1隻ずつに撃沈確認!!」

「敵空母被弾!! 航空甲板に被害が出ています!!」

 

観測員の報告をヒエリスとヒューアは艦橋上部の巨大ディスプレイに写された映像と共に確認していた。

メディナ戦隊の周りには撃沈された事による未だに黒煙が広がっていた。

 

「一撃で半数が消えるとは。楽な戦いかもしれませんね。」

「不吉な事を言うな。」

「敵艦隊発砲!!」

 

2人が不吉な話をしているとレーダー員からメディナ戦隊が発砲した旨が伝えられた為に2人はディスプレイを見た。

 

メディナ戦隊が発射した緑色のショックカノンは数は少なく,照準もいい加減でその場しのぎで撃ったようなものだった。事実緑色のショックカノンは当たることなく通り過ぎたが,奇跡的も軽巡「メラビアン」が発射した一発だけが「アクエリアス」の前を行く第1341宙雷戦隊旗艦 「DDD-087 エキスプレス」の補機エンジンに命中した。

 

主機であるPNC-257型次元波動エンジンを補助するために両脇に搭載されたレーベナイン発動機製のHU-32ケルビンインパルスエンジンの右舷側はショックカノンの直撃で損傷して出力が低下した為か,艦自体の角度が増した様にも「アクエリアス」の艦橋から見えた。

 

「戦艦「エキスプレス」被弾!!」

「申し訳ありません。私があんなこと言ったせいで。」

「構わぬ。どちらにしろ当たっていただろうからな。全艦に自由攻撃を許可!! 存分に暴れまわれ!! 但し同士討ちはするな!!」

 

ヒューアの謝罪も程々に聞いて,ヒエリスは各艦に同士討ちをしない範囲での自由攻撃を指示した。許可が降りて30秒も経つと各艦がそれぞれショックカノンに加えて,ミサイルや魚雷を発射し出した。

 

第1341宙雷戦隊所属の「DDD-101 ライナー」もその内の一隻で右舷に搭載されている多連装ミサイル発射機からミサイルを発射した。

 

ミサイルは主砲から発射された9発のショックカノンと共にメディナ戦隊の重巡「メルナデック」へと降り注ぐ。ショックカノンは外装を溶かして艦内に侵入し,ミサイルも艦内部を破壊する。

 

僅か1分たらずで「メルナデック」は爆発して,残骸は旧太平洋へと散った。

 

同じく第1341宙雷戦隊所属の「DDD-307 ハーメルン」もショックカノンと同じく右舷の短魚雷発射管 12基から1発ずつ魚雷を発射した。

 

12発の短魚雷と蒼色のショックカノンは緑色のショックカノンとすれ違いながら,メディナ戦隊へと向かう。

 

ショックカノンは駆逐艦「メイヘ」に命中し,短魚雷は駆逐艦「ライヴェ」と旗艦の「レパグラン」に命中した。

 

駆逐艦2隻は瞬く間に爆沈し,「レパグラン」もさっきの損傷と共に艦に大きなダメージを受けた。

 

そこに「アクエリアス」から発射されたショックカノンが命中したことが留めとなった。「レパグラン」は船体各所から爆発を起こした。

 

爆発は空母としては巨大な艦橋にも及び,戦隊名称の由来でもあり司令官のメディナや参謀のレナドサは爆発に巻き込まれた遺品すら残さずに消え去った。

 

制御を失った「レパグラン」は徐々に海面へと落ちていった。

 

「空母高度を落としていきます!! 撃沈は確実かと!!」

 

レーダー員がそう報告した直後,「レパグラン」は海面に落下して落下の衝撃で今までで一番大きな大爆発を起こした。膨大な量の海水を巻き上げて爆発はメディナ戦隊の全滅を物語っていた。

 

東京都心を崩壊させた14隻の艦隊は全てが旧太平洋へと散った。「レパグラン」の爆発が収まったことを確認した第4戦隊はそのまま進路を東京へと向けた。




・アンタレス級宇宙航空母艦とトウキョウ級武装補給母艦
外見というより全てが2205に登場した戦闘空母ヒュウガと補給母艦アスカです。細かい設定とかはいつか書きたいですね。

・重力子スプレッド弾
こいつの詳細な説明はwikiにもPixivにも書いてなかったので描写に困りましたが,たまたまYahooのQ&Aで書いてあった事を参考にして書きました。
細かく書かれていたので今回使わせて頂きましたが,公式設定では無い可能性が高いことを理解してください。

・CL-1024対光学ミサイルとチャフ粒子
対光学ミサイル自体はこの話の初期段階からありましたが,いざ書いていくと“ショックカノンを封じれるのであれば,例え高価でもガンガン使っちゃうんじゃね?”って思ったので,時間制限を設けました。
書いている際にふとガンダムの“ミノフスキー粒子”ぽいな?と思って調べたら全く違ってました。

余談ですが私はガンダムよりもマゼラン級等の艦にしか目が行きません。

・ヴァンテノ海
パガンダ島とグラ・バルカス大陸の間の海。

ヴァンテノ海はグラ・バルカス帝国近海の名称が分かんなかった為に作ったオリジナル設定です。
グラ・バルカス大陸も大陸名が原作では明記されてなかった為に名付けたオリジナル設定です。間違って使用しない様にお願いします········間違える人はいないと思いますが。

・側面重力子スプレッド発射機
銀英伝の“マウリヤ”をベースに,大幅に増備された副砲として側面に重力子スプレッド発射機を置きました。

恐らくマウリヤでヒエリスのモデルは分かった人がいると思います。

・宙雷戦隊·····
良い名前が思いつかん··········

・今話に出てきた会社及び工廠について
これを作った理由ですが,簡単に言うとスターウォーズの兵器解説動画を見てたら,付けたくなったという安直な流れです。
それに細かい設定があれば世界観が深まると思ったので。

簡単すぎる解説
ヴァンクライト研究所
ヴァンクライト・シティ(ダブリン)に置かれている地球防衛軍の研究所。波動防壁共鳴システム等を開発した。

パラード・ツェルナイン社
ツェルナイン・シティ(シドニー)に本社を置く会社。アンドロメダ級やドレッドノート級の波動エンジンを製造している。

クワイラント工廠
クワイラント・シティ(ニューヨーク)に置かれている地球防衛軍の工廠。重力子スプレッド発射機等を開発した。

ガルフェイオン社
テレシアルトア・シティ(バルセロナ)に本社を置く会社。地球防衛軍艦艇の電磁カタパルト全般を製造している。

コルスファイス・エアクラフト社
セントラル・シティ(デトロイト)に本社を置く会社。コスモファルコン等の航空機を製造している。

セルティアルム社
アンステル・シティ(コペンハーゲン)に本社を置く会社。航空機エンジンを製造している。

ヴァルセート社
クワイラント・シティに本社を置く会社。航空ミサイル全般を製造している。

レーベナイン発動機
ヴァレクアイト・シティ(ブエノスアイレス)に本社を置く会社。地球防衛軍艦艇の補助エンジンを製造している。

バクファック・エンジニアリング社
バーベニアム・シティ(サンフランシスコ)に本社を置く会社。地球防衛軍艦艇の主砲は全て製造している。


多分この話が2022年最後の更新になると思います,来年も宜しくお願いします。
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