ノルース星戦記   作:YUKANE

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今作では補給母艦 アスカを各都市の名前をつけたトウキョウ級補給母艦としていますが、先日発表された3199に出てくるアスカ級補給母艦の艦名にバンクーバーがあってマジでビビった····しかも確認したら今作に出ていてもう一度ビビった。

あと、今回から句読点が,から、に変わります。


魔術と科学の会合

エルメ・ザフェ・ルエンベータ少将率いるエルメ戦隊はミリシアル帝国首都 ルーンポリスを破壊すべく進撃していたが、その道中でミリシアル海軍第零魔導艦隊とグラ・バルカス海軍第61任務部隊の合同艦隊やミリシアル秘蔵の空中戦艦 パル・キマイラと戦闘を繰り広げたり、先進11カ国会議の為にカルトアルパスへと集まっていた各国艦で編成された臨時連合軍を迎撃すべく、ツノアン戦隊を緊急で編成していた為に大幅に時間を食っていた。

 

マドグラ諸島沖で行われた海戦で合同艦隊は一隻残らず沈められ、フォーク海峡で行われた臨時連合軍との戦闘でも「グレートアトラクター」以外の艦が全て撃沈もしくは航行不能へと追い込まれ、パル・キマイラも駆逐艦1隻を沈めたが全ての機が破壊される惨敗で終了した。

 

だがこれらに対処した事で大幅に時間を食われたエルメ戦隊はルーンポリス攻撃前に地球防衛軍第13艦隊が到着した為に、ルーンポリスを傷一つ無く守るという大戦果を上げる事に成功した。

 

ルーンポリスに被害を受けなかった事を避難先のゴースウィールズで知ったミリシアル皇帝 ミリシアル8世は、直ぐにミルメリアの攻撃を受けたカルトアルパスへ救援物資や人員を輸送する様に指示を出した。

また、エルメ戦隊を撃破した第13艦隊第2戦隊から話し合いの打診を受けると、意気揚々と受けていていた。

 

国家創立以来の危機を無傷で乗り切ったミリシアル国内には薄っすらではあるが、希望の光が見え始めていた。

 

 

グラ・バルカス帝国海軍最大の戦艦 「グレートアトラスター」はフォーク海峡の海戦後に唯一海上に浮く状態で残っていたが、彼女自身は各所から黒煙が上がっている満身創痍状態だった。

このままでは彼女も沈没を免れないと思われたが、碧い空の先から降りてきた地球防衛軍の第13艦隊第2戦隊第2310戦隊の艦艇が次々とカルトアルパス沖へと着水し始めた。

 

着水した艦艇の中で船体後部に平らな甲板を持つトウキョウ級武装補給母艦「HHH-152 ブリスベン」と「HHH-169 シンガポール」から放たれた各種機体や小型艇は、未だに黒煙が上がっているカルトアルパス市内と海上に姿を残している三隻の元へ向かい出した。

 

250mを越える全長を持つ「グレートアトラスター」の両脇には細い葉巻型の船体に武装や艦橋を取り付けたエンケラドゥス級宇宙護衛艦の「EEE-232 ナイアド」と「EEE-235 タラッサ」が横付けし、両艦をハシゴで繋ぐとエンケラドゥス級の乗組員が医療物資を持って「グレートアトラスター」の甲板へと降り立った。

 

木製甲板へ降り立った地球防衛軍乗組員は万が一に備えて地球連邦軍の正規拳銃であるNC TYPE-DE7ブラスターピストルで自衛しながらも、自動翻訳現象を味方につけて「グレートアトラスター」乗組員の救助や治療を開始した。

治療を受ける乗組員の中には艦長であるラクスタル・フェーンドナ大佐も含まれており、傷を負った右腕に向けて発射されたジェル状の液体が瞬時に固まって傷口を防ぐ様子をマジマジと見ていた。

 

「これは凄い液体だな·······もしかして魔法か?」

「魔法なんてオカルトなものではありませんよ。こちらは瞬間固形消毒薬という物で、肌に塗ると傷口を塞ぎながら消毒を行ってくれる優れ物です。」

「とんでもない代物だな。地球はこんな物を作れる程の技術を持っているのか。」

「いえいえ、これは地球ではなくエンドアという惑星で取れる植物を元に作られました。」

 

惑星というワードを軽々と使う彼の口調から自分と世界のスケール感が違う事をラクスタルは知ったが、同時に彼らが魔法を見るとどんな反応をするのだろうかと純粋な疑問を抱いた。

しかしながら、「グレートアトラスター」の惨状とは全く関係が無い事を思い浮かべてしまう程に彼の精神は落ち着き始めていた。地球防衛軍の小型艇 コスモアローが潜水して「グレートアトラスター」の浸水箇所の対処へ当たって、船体の傾斜が戻りつつある事も彼の精神を落ち着かせる手助けをしていた。

 

瞬間固形消毒液が固まった傷口に包帯を巻かれて処理が終わったラクスタルは立ち上がって、自らの背中を預けていた「グレートアトラスター」の姿を見上げた。

 

国内は疎かノルース(この星)でもトップレベルの口径を持つ46cm砲の砲身や国内の技術を掻き集めて作られた測距儀はミルメリア艦が放ったショックカノンによって無惨にも切り裂かれており、高熱で溶けた断面が固まっていた。

ラクスタルがいる木製の甲板にも艦内の様子が見える程に大きく痛々しい傷口が幾つも刻まれており、切り裂かされた木製の傷口は高温で黒く焦がされていた。

 

「痛々しいにも程があるな·······あんなに勇ましかった艦がこんなにもなるとは······」

 

いつもの様に見ていた筈の勇ましさや美しさはボロボロに砕け散らせてしまった事にラクスタルは歯痒い思いを抱いたが、その艦を水上に浮いた状態で残せた事にラクスタルは少しばかりの誇りを持てた。

 

少しばかりの誇りでメンタルを保てているラクスタルの元に、副長のラミス・ベルリッタが骨折した右脚を支えるべく松葉杖をつきながらやって来る。

 

「艦長、無事でしたか」

「ああ、副長は脚をやられたが大丈夫だったか?」

「えぇやられました。ただグレートアトラスター(この艦)と同じく何とかなりました。」

「なら少しばかり安心だな。あちらの艦も何とかなりそうに思えるな。」

 

会話していた2人の視線は自然と「グレートアトラスター」と同じくミルメリア艦の砲撃が直撃したが、座礁する事で沈没を免れた「しきしま」と「ラ・カサミ」に向いていた。

沈没こそ免れたが大破して黒煙を上げている2隻にもエンケラドゥス級とコスモアローが近寄っており、乗組員の救助と船体の損傷箇所を応急修復していた。

 

「ミルメリアと戦って生き残った貴重な艦です。地球連邦もあの艦を見捨てるわけにはいかないでしょうね。」

「あの2隻だけじゃなく、このカルトアルパスもな。」

 

2人の視線は2隻の大破艦と同じく各所から黒煙が立ち上っているカルトアルパス上空を飛ぶコスモシーガルへ移る。臨時連合軍艦隊とツノアン戦隊の戦闘で巻き添えを食らったカルトアルパス市街の各地から炎が燃え上がっていたが、アンタレス級航宙母艦とトウキョウ級補給母艦から飛び立ったコスモシーガルが消火を手助けしていた。

 

ミリシアルの都市で唯一被害を受けたカルトアルパスだったが、臨時連合軍艦隊がいなければ被害が更に拡大していた事は明らかだった。市街から立ち上る黒煙が消えていく度に、この都市を戻そうという意思がカルトアルパス市民に出来始めていた。

 

 

ミリシエント大陸こと中央世界の半分を収めているミリシアル帝国は東西南北各方角に中心地になれる大都市を有しており、東部の大都市はゴースヴィールズが担っていた。

ベリアーレ海と大河が接する場所に形成された汽水湖 ゴースヴィールズ湖が良質な停泊地になった事で、フィルアデス大陸とロデニウス大陸方面の港湾都市として発展を遂げ、日本国との国交提携後にはミリシアルの玄関口という役割も与えられていた。

 

ゴースヴィールズはミルメリアの攻撃宣言を受けた首都 ルーンポリスの真逆となる東部に位置していた為に、ミリシアル皇帝や政権幹部が退避していた。

退避した皇帝や政権幹部はゴースヴィールズの中心に位置する東部管区庁舎でマグドラ諸島沖やカルトアルパスでの戦闘結果を聞いて頭を抱えていたが、地球防衛軍の参戦でルーンポリスが無傷だった事を知ると立場関係なく喜びに包まれた。

 

ゴースヴィールズ市内に喜びが広がっていく中、ノルース上に展開していた第35艦隊本隊とルーンポリスを攻撃しようとしていたエルメ戦隊を全滅させた第13艦隊第2戦隊が政府との会談を求めた為に、カルトアルパス支援に向かう第2310戦隊とルーンポリスへ向かう第1321宙雷戦隊を切り離した第2戦隊がゴースヴィールズへとやって来た。

 

ゴースヴィールズに着水すべく低空で市街の上空を飛んでいる艦の姿を見た皇帝ら政府幹部やゴースヴィールズ市民は、思わずミリシアルが敵としている古の魔法帝国が持っていた空中戦艦を照らし合わせた。

最も魔法帝国ことラヴァーナル帝国が残していた空中戦艦 パル・キマイラは、ミルメリアとの戦闘で呆気なく沈んでいたのを市民は知っていないが、空中戦艦の概念を知っているからこそ地球連邦の凄さを直ぐに理解出来た。

 

それは皇帝ら政府幹部も同じで、地球連邦から派遣されてきた外交官と会合したミリシアル皇帝と政府幹部はゴースヴィールズ湖に停泊している艦艇の見学を申し入れた。

戦闘で負った損傷や不具合箇所の修理を行う必要があった上に、残る3戦隊と報告という名の通信を行う為に内部の見学は断られたが、湖上からの見学を許された為に皇帝と政府幹部は皇族専用のヨットに乗って地球防衛軍艦艇見学へと赴いた。

 

「あのミルメリア艦隊を倒したのだから凄いとは思っていたが、これほどまでとは······」

 

ミリシアル8世は皇族専用のヨットからゴースヴィールズ湖に停泊している巨大艦 「BBB-001 アンドロメダⅡ」を眺めていたが、発掘されたラヴァーナル帝国の艦を復元した自国海軍艦艇とは似ても似つかない外見と艦に張り付いた装備品を興味深く眺めていた。

 

ペクラス外務大臣やシュミールパオ軍務大臣・アグラ国防省長官といった政権幹部も皇族専用のヨットから湖上に浮かぶ地球防衛軍艦艇を眺めては驚いていた。

特に空中戦艦(パル・キマイラ)海上要塞(パルカオン)といったラヴァーナル帝国が使用していた古代兵器を扱う古代兵器分析戦術運用部で部長を努めているヒルカネ・パルペは、理解が追いつかずに頭を抱えていた。

 

頭を抱えて悶絶するヒルカネに周りは引いていたが、彼を見つけたミリシアル8世は近寄っていった。

 

「そんなに頭を抱えて、一体どうしたというのだ?」

「こ、皇帝陛下!? お見苦しい姿を見せてしまって、大変失礼ました!!」

「社交辞令は良いから、お主が頭を抱えていた理由を早く教えてくれ。」

「は、はい。私は古代兵器を分析・運用を統括していたので、それらに絶大な誇りと信頼を寄せていました。

しかしながらミルメリアとの戦闘へ出撃した空中戦艦は一隻残らず沈められた上に、空中戦艦を沈めたミルメリアの空中戦艦を意図も簡単に沈めてしまった地球連邦の艦艇を目の当たりにして、自分が井の中の蛙だった事を痛感しているのです。」

 

自分の予想通りではあったが、ヒルカネが頭を抱えている理由を知ったミリシアル8世は溜息をつくと、彼に諭すように話しかける。

 

「私は長い人生の中で様々な物を見ては驚いてきたが、これら船たちを見たら思わず、空中戦艦(パル・キマイラ)海上要塞(パルカオン)を初めて見た時の感覚を思い出してしまったわい。

私も古代兵器を初めて見た時は無敗の超兵器だと疑ってもいなかったのう。」

「4000年も生きてらっしゃる皇帝陛下ですら、その様に思われていたのですか?」

「私も元を辿ればただの町エルフじゃよ。町エルフがそんな感情を抱くのはイカンのかね?」

「い、いえ、何も問題無いかと·····」

「この私ですから驚くのだからお主が驚いても何の問題も無かろう。それに表には出さずともあやつらも相当驚いているであろうから心配するな。」

 

ミリシアル8世の視線の先にいたアグラやシュミールパオらが地球防衛軍艦艇を平常な顔で眺めていたが、その横顔には動揺しているであろう事を表す冷や汗を薄っすらとかいていた。

 

「この場にいる全員がこれらの艦を目にして動揺しているのさ。こんな物を直ぐに受け入れられる方が可笑しい程にな。」

 

ミリシアル8世はヒルカネを落ち着かせる様に話していたが、ふと「アンドロメダⅡ」を見上げると再度溜息をついた。

 

「にしても、この星を救った第13艦隊には最高級の勲章を贈りたいものだな。」

「同感です。彼らのお陰で我々は生き残ることが出来たのです。他の国々だって何かしらの謝礼を贈りたいでしょうから、我が国が話を振れば話を纏められると思いますが。」

「それもありだな。まあ、世界最強の称号が無くなった我々に従ってくれる国があるか分からんがな。」

 

ミリシアル8世の独り言に加わったペクラスは、皇帝の自虐に返す言葉が無かった。




・ルーンポリスを傷一つ無く守るという···
という事で攻撃宣言を受けた四都市で唯一無傷だったのはルーンポリスでした。世界最強(自称)とか言われてる事が気に食わなかったので、世界最強の維持と幸運が混ざって無傷な展開にしました。

・NC TYPE-DE7ブラスターピストルで自衛し····
ナイト=カンセラー社が開発したレーザーピストルで、書いた通り地球防衛軍が正規拳銃として採用している。詳細は兵器解説ページに載せると思います。

・瞬間固形消毒薬
どうせなら他惑星の植物由来の存在とかも出した方が世界観的に良いかと思って登場させました。

・コスモアロー
ナーティアム・スペースプレーン社が開発した水陸両用の観測機で、元ネタは星巡る箱舟で登場したコウノトリです。こちらも詳細は兵器解説ページに載せます。

・ゴースヴィールズ
この都市は原作では言及しかされていないので、今回出てきた設定は全てオリジナルです。
ベリアーレ海は原作でも出てきましたが、第13艦隊第2戦隊が停泊した汽水湖 ゴースヴィールズ湖はオリジナルなので、いないと思いますが本作を見て日本国召喚の二次創作を書こうと思った人は注意してください。



先日投稿した話を見返してたら、200年後の地球を舞台としているのに、いつの間にかに150年後にすり替わっていた事に気づきました······しれっと修正しておきます。
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