ノルース星戦記   作:YUKANE

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日本国召喚7巻発売記念も兼ねて投稿します。メイン作品の“New World note in Earth”が暫く充電期間に入るので、こちらの更新が増えると思われます。

勿論作者もBOOK☆WALKERに登録して購入致しました。カバル周辺で加筆部分が多くて満足でしたが、ミレケネスの容姿が判明したのが一番嬉しかったですね。まさかあんなに容姿端麗だったとは·······


威厳な星系の都

ノルース使節団を乗せた「EX-084」の航海は、第13艦隊第2戦隊・第3戦隊に護られながら進んでゆく。

 

双子の恒星を持つワーブレッツ星系。次元の乱れが激しく、時折次元断層が顔を覗かせるシュターメイツ星域。第13艦隊の根拠地 ベルーガ有するクロス星系。

一つとして同じ形を持たない宇宙の光景は、今まで星の籠に囚われていた者達にとっては強烈だった。

 

クロス星系内に漂う小惑星帯では艦隊戦闘のデモンストレーションが行われ、ショックカノンや側方光線投射砲・司令塔防護ショックフィールドと言った光学兵器の発射を見せつけられた。ミルメリアとの戦闘に伴う残弾の問題で実弾こそ撃たなかったが、かの魔法帝国の空中戦艦が積むアトラタテス砲の如く闇夜を照らし出す蒼き光の雨霰は、地球連邦が隔絶した存在だと知らしめた。

 

数々の衝撃を伴って進んでいく航海は、ベルーガで第13艦隊第3戦隊と別れた後にインペリアル星系連合の勢力圏へ辿り着いた。

砂漠に覆われたタトゥイーンや雪に覆われたホスと言った特異な気候であっても、卓越したテラフォーミング技術によって様相を変えずに人類が住めるようになった星々を横目に、使節団はインペリアル星系連合の中核を担う惑星 コルサントへ行き着いた。

 

「なんだか変な見た目だ───まさか、全部ビルなのか!?」

「まさか星の全てが都市だと言うのか········」

 

日本とミリシアルの使節団の面々が、窓際に取り付けられた双眼鏡で眺めたコルサントの様相に驚かされた。

コルサントはその全てが“眠らない魔都”と評されたルーンポリスや東京が比較対象にならない摩天楼に覆われており、元の大地が見えなく成る程にビルが積み重なった姿は長きに渡る繁栄を象徴していた。

 

「あれがインペリアル星系連合の宇宙船······」

 

一方でムー使節団の面々の視線はコルサントの宙域に浮かぶ星系連合軍の艦艇に向けられていた。

 

鉛筆の様に先の尖った細長い船体を持つプロヴィデンス級宇宙戦艦。700mを超える巨大な戦艦を囲むのは皿をヒックリ返した船体を持つミュニファスント級宇宙巡洋艦と、刀の様に鋭く尖ったレキューザント級宇宙駆逐艦。

駆逐艦であっても300mを超える船体を持つ艦艇群は、地球連邦やミルメリアとも異なる基本原則(ドクトリン)の元で構築されているとの印象を与えた。

 

それらの裏にはノルース向けの救援物資や地上防衛を担う第65機動軍を載せたカラマリ級大型輸送艦が何隻もおり、1km超えの丸みを帯びた流線型の船体は目立っていた。

 

「あれはケイン神国の艦船!!」

 

はたまた、グラ・バルカス帝国使節団の面々はまた別の方角に視線を向け、また異なる姿の艦艇を見つけた。ただ、その艦影はグラ・バルカスの面々にとっては既知の存在であった。

 

最も太い葉巻型の船体に主砲と一体化した主砲を持ったクリーツ=ネシド級宇宙戦艦を旗艦とし、葉巻型ながらより細身なフォーランド=キスタナ級宇宙巡洋艦と、小さな船体にシュモクザメの様に艦首を持ったアルミアン=レシュードナイト級宇宙駆逐艦。

戦艦であってもレキューザント級より小さな船体は、機動力に重点を置いたドクトリンを体現していた。

 

それらの背後には戦艦よりも遥かに大きく、4枚の平べったい船体が縦並びに積まれた特異な艦が何隻も佇んでいた。それはケイン神国由来ではなく、ガミラスとの戦争中に鹵獲した航空母艦をコピー生産したノイ=ガイペロン級宇宙航空母艦。鹵獲由来ながらケイン神国唯一の航空母艦として機能しているガイペロン級だが、今回は4層の航空甲板に大量の物資を積み込んだ輸送艦として機能していた。

 

「海魔の様な船体だ····」

 

一方でアニュンリール皇国使節団の目線は、インペリアル星系連合ならびにケイン神国の艦隊と別の場所に佇むオルデランの艦艇群に向けられていた。

 

オルデランで古くから信仰されている鯨を模した丸い三角形型の巨大な船体を持つアスペフォルトス級航宙戦艦に、海洋生物を模して先端に2対の衝角を生やしたアクラティス級航宙駆逐艦。

海洋生物を模した巨大な艦影はオルデランの文化を象徴し、波動エンジンと異なる動力源は星の違いによって生み出された技術の差を具現化している。

 

地球連邦も含めればコルサントと言う惑星に4つもの勢力が誇る艦隊が集結していた。

類似点や同一要素こそあれど、一つとして同じものがない多彩な艦影には、それぞれの星が持つ価値観と機能美が現れている。そして、彼らが歩んだ歴史を学んだノルースの面々にとっては、人種や思考・価値観の異なるだけでなく、一度砲火を交えた相手同士でも、共通の敵を相手に団結出来るのだと見せつけているようだった。

 

「EX-084」含む第13艦隊第2戦隊は星系連合艦隊の基地であるギャラクティック・ベイへ停泊した。巨大ハンガーに密集して降り立った艦艇群は消耗物資の補給や点検を行い、乗組員は長旅の疲れを癒しに見回す限り広がる都市へ繰り出した。

一方でノルース諸国の使節団に休む暇は無かった。降りて早々に浮遊式のユーティル313 スカイバスに乗せられ、自らを紹介する舞台へ移動させられた。

 

◇

 

高層ビル群が密林の如く建ち並ぶコルサントの中で、低層階の建物は寧ろ目立っている。見渡す限り広がる都市の中でも、コルサントだけでなく星系連合全体の行政を司る重要区域に佇む低層ビルがその象徴だった。

根元が窄んだドーム型の低層ビルは星系連合の議事堂であり、その中には星系連合に属する星々の代表が一堂に介するアリーナ型の議会場が存在している。各星に割り当てられた議席が同心円状に配置され、発言する際に中心へと動く機構を持っていた。今回は議会を長引かせない為に使用されないが、魔導技術に長けたミリシアルやアニュンリールにすら無く、正に未来的な構造に興味関心の目線を向けていた。

 

『これよりインペリアル暦317年度第9回議会を開会する。今回の議題は皆も知っての通り、地球連邦が見つけた新たな惑星 ノルースについてだ。

この星には魔法とやらで発展した文明が栄えているだけでなく、地球より消えたとされていた日本が存在している。様々な人種が共存している素晴らしい惑星だが、生憎にもミルメリアの標的とされている。

今回の議会ではノルースに対する皆の知見を深めると同時に、ノルース防衛に対する意見を出していただきたい。』

 

議席の一つに座っていたヴェローラム議長によって、議会の開会が宣言される。

議長による説明も相まってか、各国ごとに議席を与えられたノルース諸国は常に注目の視線を浴びていた。特にエルフやドワーフ・獣人・竜人・有翼人と言った亜人は注目の的であり、議会が始まる前には参加者らによって質問攻めに合っていた。一方で人間だけで日本やグラ・バルカス、人間主体のムーには関心すら向けられず、一種の孤独感を味合わされた。

 

『ナブー代表のアミダラ議員です。ミルメリアがどれほど話を聞かず、残酷な連中かはノルースの皆も知っているでしょう。

ですが、奴らの惨忍さは想像を超えるいます。ミルメリア人至上主義の元で星々を“解放”として侵略し、星の住人を億単位で虐殺する。元の人口の半数が消された星もざらにあります。

そんな人と思いたくすらない連中が、一度の侵攻妨害だけでノルースの侵攻を諦めるとは思えません。寧ろ、更なる戦力を持って攻めてくるだろうと考えます。』

『スカリフ代表のクレニック議員だ。私もアミダラ議員の意見に同意します。もし、再度の攻勢でノルースが落ちた場合、住人に対する扱いは最悪のものになると考えられ、ジェダの悲劇の再来すらあり得るでしょう。

同胞の起きかねない悲劇を防ぐ為に、我々も護る為に力を使うのが同義ではないでしょうか!』

 

星系連合を構成するナブーとスカリフの代表議員が、先陣を切ってノルース防衛への協力を訴える。隣や後ろに座る各星の代表議員も頷いて両者の意見に同意する。

初対面ながらも協力に賛同する議員達を見せられたノルースの面々が感激しつつ安堵していると、正面に投影されていた空中投影型ディスプレイにある惑星の全景と文章が映し出された。第13艦隊が持ち込み、急遽インストールされた大陸共通言語やムーの言語、グラ・バルカスの言語で記述された文章は、クレニック議員が発言内で述べた“ジェダの悲劇”に関するものだった。

 

インペリアル星系連合の領域外に位置する星系を構成するガス惑星の衛星 ジェダ。衛星でありながら人類が生身で住める大気を持っていた為に星系間を生き来する商船の中継地として機能し、様々な星系の品々が集まる商業拠点として栄えた。

だが、この衛星に眠るカイバー・クリスタルによってミルメリアの標的となってしまった。緑色のショックカノンが都市を破壊し、対空レーザーの雨が逃げる余地の無い絨毯爆撃を浴びせる。“殲滅攻撃戦闘機”の肩書を持つテレスガーベーターは避難民を乗せて逃走する商船を次々と撃沈し、犠牲者の桁数を増やしてゆく。

星系連合がミルメリア侵攻の一報を受け取った時には、すでに時遅し。ジェダはミルメリアによって全土を焼き尽くされ、住民の9割が犠牲となった。星系連合が治める領域の近くで起きたこの悲劇は星系連合にミルメリアの恐ろしさを伝染させ、宇宙を穢す邪悪と戦う意志を確固たる物にした出来事であった。

 

説明を読んだ面々は絶句していた。民族浄化(ジェノサイド)紛いの行為すら平然と行えるミルメリア。もし、地球連邦が来ていなければ同じ所業を受けていたと考えると、類稀な幸運で間一髪で助かったのだと実感させられた。

 

「非道極まりないミルメリア見過ごす選択肢は無い。それが皆の総意で宜しいな───おや、地球連邦第26代大統領 ヨヘン・ライエンゼードからメッセージが届いた。」

 

ヴェローラム議長によって改めて協力の意思が確認されたタイミングで、わざとらしく地球連邦代表からのメッセージが来たと伝える。彼が座る議場に埋め込まれたキーボードを操ると、議会場の中心に巨大な半透明な立体ホログラムが投影された。

 

『インペリアル星系連合の皆々様お久しゅう。そして、ノルースの皆々初めまして。私が地球連邦第26代大統領 ヨヘン・ライエンゼードだ。』

「地球連邦の代表······」

「デカい······」

 

ヨヘンについては船内で発行されるデジタル新聞や書籍等で知っていたが、この様な形で相まみえるとは思ってもみなかった上に、巨大なホログラムに相対したノルースの面々は圧倒されていた。

 

『まずはミルメリア襲来に間に合わず多くの犠牲者を出してしまった事をノルースの皆に謝罪させて頂きたい。

我々地球連邦はかつての仲間である日本国が存在するノルースの復旧、ならびに防衛に全力を尽くすと宣言する。第12艦隊に続いて支援物資を積んだ船団を送り込む他、ノルース防衛の戦力として予備艦隊より抽出した3個艦隊を送り込む事を決めました。』

「なっ!?········」

「3個艦隊だと!?」

 

ヨヘンがノルースへの協力を宣言する中で、最後の発言に議会場がどよめく。地球防衛軍艦隊を知っているが故の衝撃であり、その内容を知らないノルースの一同は唐突にざわつき出した議会場に困惑するしかない。ただ、ノルース側の困惑を予測していたのか、“ジェダの悲劇”と同じく地球防衛軍艦隊に関する文章が空中投影型ディスプレイに表示された。

 

「地球防衛軍の1個艦隊はアンドロメダ級を旗艦として、10隻のドレットノート級・30隻のエンケラドゥス級・5隻ずつのアンタレス級ならびにトウキョウ級で構成されている。

半数の艦が星を打ち砕く波動砲を持っている強力な艦隊となっている────それが3つも!?」

「ちょっと待て!! その艦隊を4つで組み上げられた第13艦隊は何なんだ!?」

 

反対側が透けて見える半透明の画面に写し出された文字を読み、星系連合の議員が驚いた意図を理解すると同時に、自らも複数の意味で驚かされる。

星を壊す力を持つ艦隊が3つも配備される事実と、その艦隊を4つも有する第13艦隊の異常さ。そして、ノルースすらも簡単に破壊しかねない艦隊の存在は、反逆した場合には星ごと消せると知らしめる意思表示だと。

地球防衛軍艦隊は頼れる守護者でありながら、星を消せる死神でもあり、相反する性質が両立した不可思議な存在でもあった。

 

『これは私の私論だが、ノルース自体にも宇宙に進出し、ミルメリアと戦える力を付ける必要があると考えます。

ただ、地球連邦はミルメリアならびにガトランティス・ボラーの複数戦線を抱えており、艦艇建造は手一杯な状況が続くでしょう。故にノルース諸国へ供与する艦艇に関しては、豊富な艦種を持っている星系連合にお願いしたい。』

「その旨、承知した。貴殿の口添えが無かろうとも、良き商売相手を見つけた企業が売りたがっているだろうしな。」

 

ヨヘンの私論にヴェローラムが同意した事で、ノルースの面々は宇宙進出の力を与えると知らされる。ノルース諸国に宇宙に迎える技術はなく、科学技術を引っ張る日本ですらも現状は比較的小柄な人工衛星を飛ばすロケットまでしか持っていない。

ここに星同士を繋ぐ船がインペリアル星系連合の技術が詰め込まれた宇宙船が導入されれば、考えられる上で最も飛躍的な進歩を遂げるのは間違いなかった。加えて、ミルメリアと戦争出来る勢力の軍艦ともなれば、ミルメリアに対抗する手段を得る事にも繋がった。

 

『ノルースの皆々、安心して欲しい。我が地球連邦は貴殿らを絶対に見捨てはしない。星の防衛と発展に誠心誠意協力を行うと約束する。

では、失礼する。地球で実際に会うのを待っている。』

 

最後にノルース防衛と発展への協力を宣言して、ホログラムは切られた。その後にインペリアル星系連合との協調も正式に結ばれ、インペリアル暦317年度第9回議会は閉会した。

 

しかし、議会が終わってもノルース使節団に休む間は無い。纏って議会場を出た面々はそのまま第13艦隊第2戦隊が休むハンガーではなく、別のハンガーへ連れて行かれた。

そこには地球連邦、ケイン神国、オルデラン、インペリアル星系連合のどの艦艇とも異なる姿をした艦艇が複数並んでおり、察しの良い者はこの艦艇がノルース向けに供与される艦艇だと気付いた。

 

間もなくして、各種艦艇の製造元ならびに艦艇を導入している星々の軍人らによる解説が文明圏ごとに分けられて始められた。

並べられた艦艇は全てが同じ見た目を持っておらず、各製造元ならびに星々が求める物の違いを見せつける。ただ、全ての艦がワープ航行可能な動力を持ち、ミルメリア艦を撃沈または撃破可能な兵装類を備えている点は共通しており、最も小さなコルベットであっても軍事バランスを変えかねない代物であった。

 

ミルメリアへの対抗手段として、軍事バランスの崩壊した今の世界で生き残る鍵として日本国含む全ての国が欲しいであろう存在だったが、運用設備ならびに人員の不足と、目が眩む程の高額代金によってその場での購入は諦めざるおえなかった。

唯一リーム王国使節団の代表 カルマ・ダインルーフが独断でフリゲート艦やコルベットの購入計画を結んだのみであった。第三文明圏での優位性を獲得したいが故の決断だったが、後に艦の代金支払いを巡って王国存続すら左右しかねない大事件に繋がるだった。




・各星の登場艦船の設定やスペック
今回はお披露目的な側面が強いので、各艦の詳細やスペックに関しては本格登場時に記載いたします。一部艦に至っては出来てすらいないので······

・テレスガーベーターの肩書
別作品書いている中で、気が向いた時に作っておきました。ミルメリア艦艇についても艦級と肩書を作っております。

・ユーティル313 スカイバス
『スターウォーズ3 シスの復讐』にて元老院やジェダイの面々が搭乗した小型飛空マシン。

・インペリアル星系連合の議員
ネームドキャラは全てスターウォーズ作品の登場キャラです。この世界線はフォースも、ジェダイも、シスも無いので、全ての登場人物が何処かで平和に暮らしているでしょう。

・ジェダの悲劇
作者が最も好きな作品『ローグ・ワン』に出て来る衛星で、デススターの試射で破壊された展開を元に付け加えました。

・ノルース向けの艦艇
主に反乱同盟、レジスタンスが使用していた艦船達です。詳細とスペックは同じく本格登場時に書きます。
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