ノルース星戦記   作:YUKANE

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辛うじて7月中に更新できました。


自衛隊 崩壊

「一発も当たらなかった·········だと!?」

 

第204飛行隊(ミステックイーグル)所属のF-15Jのパイロット 町田英介三等空佐は入ってきた通信に驚愕した。

 

実際のところは1発だけ命中していたが,100発以上発射して1発しか当たっていないので,当たっていないのとほぼ同じだった。

 

ミルメリア艦隊は未だに全戦力を有している。加えて艦隊の中には空母らしき船がいるらしく,艦載機を放つ可能性が高いだろう伝えられていた。

 

今まで日本国はロウリア王国・パーパルディア皇国と戦争をし,多くのワイバーンを墜としており,彼自身もパーパルディア皇国の首都 エストシラント郊外の基地を空爆する際に首都上空を飛んでいたワイバーンオーバーロードを撃墜していた。

 

最高時速430kmで火炎弾しか撃てないワイバーンオーバーロードと,マッハ2.5の最高速度と10発以上の百発百中のミサイルを搭載できるF-15J(イーグル)とでは負ける理由が見当たらないが,空飛ぶ船を実用化しているミルメリアならこのF-15J(無敗の鷲)を上回る性能を持つ戦闘機を持っている可能性も充分ありえる。

 

不安になりながら考えていると後方を飛んでいるE-767(J-WACS)から通信が入る。

 

『ミルメリア艦隊より艦載機発艦!! 数増えていきます!!』

 

E-767(J-WACS)からの通信が切れると入れ替わる様に,飛行隊長から通信が入った。

 

『聞いたな!! 奴らを日本上空に絶対いれるな!! それと絶対に墜とされるなよ!!』

 

エストシラント空爆でも飛行隊を引っ張った飛行隊長の掛け声で町田は操縦桿を強く握りしめた。

 

91式空対艦誘導弾(ASM-1C)を撃ち尽くして厚木基地への帰路につくP-1の上を飛び越し,14機のF-15J()は戦場へと向かっていく。

 

彼が被るヘルメットにつけているヘッドマウントディスプレイ(HMD)のJHMCSにE-767(J-WACS)AN/APY-2(レーダー)が捉えた敵編隊 第1飛行隊の情報が写し出される。

 

敵機の数は28機とちょうど2倍の差があるが,彼らは動揺していなかった。自分達がここでしくじれば,自分たちの大切な人・家族が死ぬかもしれない。そう考えると彼らに恐怖という感情はなくなっていた。

 

『日本の命運は我々に託されている!! 1機でも落とせ!! 兵器自由使用(ウェポンズフリー)!!』

 

飛行隊長のその通信をトリガーに,町田は操縦桿を前に押し倒した。

機体は機首を下に傾け降下を開始する。IHIがライセンス生産したF100-IHI-100 ターボファンエンジンも出力を増し,空を切り裂く様に突き進んだ。

 

降下してくるF-15J(イーグル)に気がついたのか,第1飛行隊も編隊が崩れたが,すぐさま迎撃すべく急上昇を開始する。

 

『FOX3!!』

「FOX3!!」

 

操縦桿のスイッチを押して,胴体下部のハードポイントに取り付けられた99式空対空誘導弾(AAM-4)を切り離す。

切り離された2発の99式空対空誘導弾(AAM-4)は固形燃料ロケットに火を灯し,慣性航法装置(INS)に従ってマッハ4の速度で飛翔を開始した。

 

そしてほぼ同時に敵機 テレスガーベーターも主翼の上に取り付けられていたミサイルを発射する。

 

計28発の99式空対空誘導弾(AAM-4)に対してミルメリア側はたった7機で同じ数に達していた。

 

28発同士のミサイルはすれ違う。ミサイル同士が接触して誘爆して,それに連鎖する様に爆発の花火が起きる。

 

だがそれぞれ10発以上が誘爆を逃れ,まっすぐ自らの目標である敵機へと突き進む。

 

町田機のコックピットにミサイル接近のブザー音が鳴り響く。町田は今まで押していた操縦桿を逆に引いた。

 

主翼のフラップが動作して,機体は急降下から一転して急上昇していく。上昇すると同時にAN/ALE-45J(チャフ・フレアディスペンサー)からチャフとフレアがばらまかれる。

 

急上昇したF-15J(イーグル)の下をミサイルは通過する。危険が去ったことを確認した町田はうっすらと視野が赤くなる状態(レッドアウト)になりかけながら,機体を水平に戻す。

 

「やっぱりミサイルはどこでも一緒かっ!?」

 

安心して声を漏らした町田だったが,安全だったのは自分だけだった。さっきのミサイルで4機ものF-15J(仲間)が墜とされ,真下では今も激しい空中戦が広げられていた。

 

テレスガーベーターの中にも墜とされた機体はいたが,F-15J(イーグル)も同じように墜とされていた。

地球では空戦で落とされたことの無い無敗の鷲がいとも簡単に墜ちていく。それは仲間が殺されていると彼に認識させた。

 

「あいつらっ!!」

 

町田は操縦桿を押して再び降下を開始する。仲間を殺された事に対する感情が彼を戦場へと向かわせた。

 

町田は飛行隊長の機体を追いかける1機のテレスガーベーターを標的に捉えた。

 

標的にされたことに気がついたテレスガーベーターは機体を左右に振って撃ち落とされない様にしていたが,町田は冷静に敵機を捉え続けた。

 

(変な形の機体だな······)

 

ミルメリアの戦闘爆撃機 テレスガーベーターは所謂無尾翼機で,機体上部にはあまり凹凸の無い空気抵抗に優れた機体だったが,町田には奇怪な形の機体だと認識していた。

 

ロックオンされない様に回避を続けるテレスガーベーターだったが,機首のAN/APG-63(V1)(火器管制レーダー)に捉えられた。

 

「FOX2!!」

 

町田の掛け声と共に操縦桿のボタンが押され,両翼のハードポイントから04式空対空誘導弾(AAM-5)が1発ずつ切り離される。

 

固形燃料を燃やしてマッハ3の速度で,2発の音速の矢は突き進む。

 

テレスガーベーターは機体を大袈裟に動かしてかわしつつ,胴体上に取り付けられた涙滴型のでっぱりから緑色のレーザーをばらまく様に連射するが,04式空対空誘導弾(ミサイル)には全く当たらない。

 

2発の04式空対空誘導弾(AAM-5)はそれぞれ胴体と左翼に突き刺さり,弾頭を爆発させる。

左翼に搭載されていたミサイルが誘爆して,左翼は真っ二つに割れる。片翼を失い,エンジンからも黒煙を上げるテレスガーベーターは重力に捕まって落下を開始する。

 

海面へと落下し続けるテレスガーベーターだったが,海面に触れる前に機体は爆発四散した。

 

「まず1機!!」

 

町田は敵機撃墜に士気が上がる。そこに通信が入ってきた。

 

飛行隊長(ライエン)より町田(クロノス)へ。助かった。ありがとうな。』

町田(クロノス)より飛行隊長(ライエン)へ。大したことではありませんよ。」

 

飛行隊長と言葉をかわしていると,E-767(J-WACS)から切羽詰まった通信が入ってきた。

 

E-767(J-WACS)より全機へ!! 50機以上の敵機が向かってきている!! 気を付けろ!!』

「なっ!?」

 

現状でもかなりギリギリなのに,更に増援が来るという連絡に一瞬恐怖を感じたが,彼は恐怖を振り切って戦う意志を固めた。

 

『聞いたな! 墜とされるなよ! 町田(クロノス)!!』

飛行隊長(ライエン)も!!」

 

飛行隊長と言葉をかわすと,機体を翻して敵機へと向かっていく。14機いた味方は既に半分以下になっているが,第1飛行隊の機体も少なからず墜とされていた。

 

状況は不利だが,抗えないことはない。そう町田は思っていたが,コックピット内に響くブザー音に驚かされた。

 

直ぐ様チャフとフレアをばらまいて機体を右に旋回させたが,既に遅かったらしく機体後方から爆発音と衝撃がコックピットに届いた。

 

コックピットへの直撃は免れたが,ミサイルが直撃したF100-IHI-100エンジンからは黒煙が上がり,推力を失った機体は落下を始める。

 

町田は緊急脱出(ベイルアウト)を試みたが,被弾の影響か正常に動作しなかった。

 

「どうやら·······もう駄目みたいだな····」

 

町田が自分の運命を察したと同時に,海面へと落下し続けていた機体は盛大な花火となって空に散った。

 

第3飛行隊が合流して40機以上の機数になったテレスガーベーターは勢いを取り戻し,町田が墜とされてから約10分後にはその空域からF-15J《イーグル》の姿は消えていた。

 

 

第204飛行隊が数の暴力で落とされている中,ミルメリア宙軍第35艦隊メディナ戦隊第2飛行隊は第8飛行隊/第3航空隊を墜とすべく突き進んでいた。

 

24機のテレスガーベーターは白い大きな主翼の下に機体と同じくらい大きな物体を搭載しており,物体の後方のノズルからはテレスガーベーターのエンジンと同じように噴流を発生させていた為に,機体重量が重くなっているにも関わらず,マッハ2を越える速度で飛んでいた。

 

その様子はE-767(J-WACS)にも捉えられていた。機体上部のAN/APY-2(レーダー)は正確に敵機を捉えていたが,正確に捉えていたからこそ自分達への恐怖がより強く感じられた。

 

現に本来迎撃を担当する第204飛行隊(ミステックイーグル)は50機程の敵機に袋叩きにされている為に,自衛用に90式空対空誘導弾(AAM-3)を装備している第8飛行隊(ブラックパンサーズ)が急遽迎撃に向かっていた。

 

やがて双方の編隊は敵機の姿を捉えたが,そこには第8飛行隊のパイロットの視線には奇妙なものも写っていた。

 

『あれが敵機かっ··············!?』

 

第8飛行隊の飛行隊長が見ている奇妙な物体から,1機あたり20発ものスプレッド()が発射される。

合計で約800発もの光が一直線に自分達へとへと向かっていく。光の正体がなんだか分からないが,何かしらの攻撃だと言うことだけは頭が理解していた。

 

『全機回避!!』

 

飛行隊長の指示でF-2Aは回避しようと動き出す。IHI/GE F110-IHI-129 ターボファンエンジンが唸り,速度を増す。ミサイル相手ではないがAN/ALE-45J(チャフ・フレアディスペンサー)からチャフとフレアがばらまかれる。

 

P-1もフレアをばらまくが,発射された弾丸のようにただただ飛んでいくスプレッドには無効だった。

 

回避が追い付かず,2機のF-2Aがスプレッドに巻き込まれて墜とされたが,残る機は回避に成功した。

 

刹那青白い光を放っていたスプレッドに更に光が増す。90式空対空誘導弾(AAM-3)より小さかったスプレッドは一瞬でF-2Aを飲み込む程の大きさに膨張する。

 

『な!? なんだこれ!? うわぁ!?』

 

一瞬で膨張したスプレッドにF-2Aは回避する間も無く,巻き込めれる。第8飛行隊は瞬く間に全機が飲み込まれていき,青白い光の中で幾つもの爆発となって散っていった。

 

そしてスプレッドは第3航空隊とE-767(J-WACS)ですらも飲み込もうとした。

 

『来るな!! 来るなぁぁ!!』

『神様ぁ!!』

『やめてくれぇ······』

 

隊員の悲鳴や懇願も虚しく,機体は無慈悲に膨張するスプレッドに飲み込まれていく。

主翼は軽々と折られ,胴体も引き裂かされる。光の中でP-1とE-767(J-WACS)は乗組員と共に爆発に飲まれて消滅していった。

 

たった一瞬でこの空域から自衛隊の機体は消滅した。飛行隊を全滅した事を確認した第2飛行隊はスプレッドポッドで艦隊の露払いの役割も兼ねて,東京へと進路を向けた。

 

 

横須賀基地所属の第1護衛隊群第1護衛隊と第2護衛隊群第6護衛隊の計8隻の艦隊は紺碧の海を突き進む。

 

本来ならばそれぞれ違う艦隊に所属しているが,今回の事態を受けて緊急で編成された艦隊だった。

 

「こんなことがあっていいのか·········」

 

臨時艦隊旗艦の「DDH-183 いずも」の戦闘指揮所(CIC)で第1護衛隊群司令の荒木 正次郎海将は艦橋上部に設置されたOPS-50(対空レーダー)が捉えた情報を見て絶句した。

 

F-2AやP-1による攻撃は全く効かず,逆に奴らの艦載機でF-15J(イーグル)E-767(J-WACS)ごと全滅させられた。

 

軍隊では3割がやられたら全滅とか言われているが,目の前の全滅は言葉本来の意味を示していた。

 

演習でも見たことがない状況に艦長の山本光邦一等海佐やCICの隊員も苦い顔をする。

 

「第4護衛隊群は間に合わない。我々だけで戦うしかないのか·········もう二度と日本には帰れないかもしれんな······」

「司令。そのようなことは我々も承知です。私達の犠牲で国民を守れるなら,私はこの命を捧げましょう。」

 

荒木が漏らした言葉に,山本がそう返事を返す。周りの隊員も覚悟を決めた顔つきになっている事に気づいた荒木も覚悟を決めた。

 

「そうか········なら迷うことはないな。全艦両舷前進!! 戦闘用意!! 奴らを何としてでも食い止めるぞ!!」

 

例え二度と日本に帰れないと分かっていても,自分達が時間を稼ぐ事で,少しでも多くの人間の命を救うべく,8隻の護衛艦は一方通行の航海に突き進んでいった。

 

そして遂に荒木らの前にミルメリア宙軍第35艦隊メディナ戦隊の姿が見えた。

 

「いずも」の全長 248mをも上回る巨大な船が空に浮いている様子に未だに現実味を感じられないが,これは非現実(アンリアル)ではなく現実(リアル)だと荒木は自分自身に言い聞かせた。

 

「ミルメリア艦隊 主砲向けました!!」

 

先頭を進む2隻の駆逐艦の艦底に取り付けられた3連装カノン砲が動く。標的を定めた主砲から緑色のショックカノンが発射される。

 

計6本の緑色の光は「いずも」の右前を進む「DD-101 むらさめ」に集中した。砲撃戦を想定していない護衛艦の船体をショックカノンはいとも簡単に貫く。

 

ショックカノンが貫いた場所から爆発が起こり,艦中央に搭載されていた90式艦対艦誘導弾(SSM-1B)や中甲板のMk.48VLSに搭載されていた発展型シースパロー(ESSM)に誘爆して瞬く間に船体全体を包み込む爆発になる。

 

爆発の轟音が響き渡るなか,「むらさめ」は白い文字で艦番号が書かれた灰色の艦首と艦名が刻まれた艦尾を空へと向けた。

 

「「むらさめ」が········」

 

真っ二つに引き裂かれた「むらさめ」は海水に抗う間も無く海底へと引きずり込まれていく。自衛隊初の喪失艦艇となった

 

「「むらさめ」の仇を取るぞ!! 全艦攻撃開始!!」

 

「いずも」以外の6隻に荒木の指示が飛ぶ。直ぐ様艦首甲板に設置されたMk.41 VLSからSM-2(スタンダードミサイル)RIM-162(ESSM)が発射される。

 

本来はミサイルや航空機を落とす為のものだったが,空飛ぶ船に一番有効な兵器だとされた為に,本来の目標から何百倍も大きな船へと放たれた。

 

ミルメリア艦は艦底に飛び出している艦橋の脇に取り付けられた9連装対空レーザーを迫ってくる艦対空ミサイル(SAM)へと向けて放つ。

 

緑色の光がまるでゲリラ豪雨の様に降り注ぎ,ミサイルを打ち落としていく。雨粒の如き多さのレーザーに加え,主砲から放たれたショックカノンも合わさって護衛艦隊から発射されたミサイルの第一陣は既に8割が落とされていた。

 

荒木は自分達の攻撃が効いていない現状に顔をしかめたが,画面越しにある違和感に気がついた。

 

「後方の船から煙が上がっている? あの船なら撃沈できるかもしれんぞ!!」

 

荒木が指差した先には先程の攻撃で唯一被弾した駆逐艦「レウフェ」がいた。「レウフェ」は他の艦と同じく空を飛んでいたが,被弾した箇所からは灰色の煙が今も少量ながら出続けていた。

 

その事に気がついた荒木は直ぐ様判断を下した。荒木の指示は全艦に通達され,標的も「レウフェ」に絞る。

 

艦対空誘導弾(SAM)を全部打ち落としたメディナ戦隊は先頭の駆逐艦 2隻の後ろに控えていた軽巡・重巡もショックカノンを発射した。

 

先程の砲撃とは比べ物にならないショックカノンが流星の如く護衛艦隊へと降り注ぐ。

 

「「DDG-171 はたかぜ」艦首消滅!!」

「「DD-107 いかづち」被弾!! 損傷甚大!!」

「お,「DD-111 おおなみ」が真っ二つに!!」

 

1分程度で2隻の艦が沈没確定の被害を受け,1隻が大破した。この時点で艦隊の数は既に半数になっていたが,

 

「全艦艦対艦誘導弾(SSM)発射!!」

 

荒木の指示で戦闘能力を残している「DD-110 たかなみ」・「DD-116 てるづき」・「DDG-174 きりしま」の艦中央から白い爆煙を排出しながら,計12発の90式艦対艦誘導弾(SSM-1B)が発射された。

 

本来は海面に浮かぶ船に対する兵器だったが,戦う相手が200~400m程度の空飛ぶ船だと知った防衛省と護衛艦隊司令部は艦対空誘導弾(SAM)では威力不足だと判断し,短期間で製作可能かつ効果的な対処法として“高威力の艦対艦誘導弾(SSM)のプログラムを無理矢理弄って敵艦に当てる”という本当に無理矢理な物になった。

 

奇しくもこんごう型イージス護衛艦が搭載しているAGM-84(ハープーン)には高空巡航モードがあった為にこのプログラムを他の船が積んでいる90式艦対艦誘導弾(SSM-1B)に無理矢理読み込ませていた。

 

時間がないために発射試験などは行われておらず,ぶっつけ本番での使用となった。

 

固形燃料を燃やしながら進む12発の90式艦対艦誘導弾(SSM-1B)はメディナ戦隊の艦には見向きもせず,「レウフェ」に標的を定めた。

 

「レウフェ」が標的だと気がついた他の艦は主砲や対空レーザーをミサイルへと向けて放つ。碧い空に緑色の光が流星の如く飛んでいき,ミサイルを打ち落としていく。

 

12発しかない90式艦対艦誘導弾(SSM-1B)は直ぐ様全滅してしまったが,荒木は冷静だった。

 

「全艦旋回完了!! 」

「第2陣発射!!」

 

ミサイルへと対処で攻撃が少なくなった隙をついて,「いずも」・「はたかぜ」以外の3隻は旋回を行い,残っていた90式艦対艦誘導弾(SSM-1B)を発射した。

 

1回目とは違って海面に沿うように発射された12発のミサイルにミルメリア艦隊の対処は遅れた。奇しくも最初に発射したミサイルが上空を飛んだために注意を引き付け,2回目の攻撃に気づくのが遅れた。

 

艦底の主砲と対空レーザーが発射され,ミサイルを落としていくが,初期対処が遅れた為にミサイルを全滅させられなかった。

 

そして3発の90式艦対艦誘導弾(SSM-1B)が「レウフェ」に着弾した。船体と艦底艦橋・主砲に着弾した事で爆発が起こり,それが艦内へと誘爆していき,駆逐艦は力を失った。

 

艦内から連続して爆発を起こす「レウフェ」はそのまま高度を下げていく。海面へと触れた「レウフェ」は護衛艦のマストを越える程の水飛沫を上げて,海底へと沈んでいく。

 

船体の大半が海の中に沈むと,「レウフェ」は大爆発を起こした。海水がドームの如く膨らみ,爆発と共に凄まじい勢いで破裂して,海水が周囲に広がっていく。

 

爆風で円形に広がっていく海水の波で護衛艦が揺さぶられる。爆煙は噴火した火山の噴煙の様は空というキャンパスに広がっていく。

 

「やったぞ!!」

 

ミルメリア艦を撃沈出来た事に「いずも」の戦闘指揮所(CIC)の士気は一気に高まる。

あまり感情を露にしない山本も小さくガッツポーズをする。

 

「やれないことはなかったな!!」

 

荒木もミルメリア艦を撃沈出来た事に安堵したが,直後に隊員の1人が悲鳴のような声をあげた。

 

「敵艦隊多数発砲!!」

 

メディナ戦隊の全艦が「レウフェ」の仇と言わんばかりに主砲を「たかなみ」に向け,ショックカノンを放つ。数十本のショックカノンは最早1本の緑色の光線の如く集まり,全長 151mの「たかなみ」に突き刺さる。何十本ものショックカノンが船体を貫き,巨大な爆発と大量の爆煙を発生させる。

 

10本以上のショックカノンが命中した「たかなみ」は爆発の煙が薄くなる頃には船体を海の底へと沈めていた。

 

「「たかなみ」·········消滅···」

 

1分足らずで150mの護衛艦と175名の乗組員を消滅させた事実に,高まっていた士気は一気に底辺へと落ちる。

 

目の前の事実を理解しようとする前に,メディナ戦隊はショックカノンの雨を降らした。

 

「「きりしま」大破炎上!! 沈没は免れません!!」

「「DD-116 てるづき」・「はたかぜ」も同じです!!」

 

「いずも」を除く全艦が戦闘不能に追いやられた。僅かな時間で「きりしま」は転覆し,「はたかぜ」と「てるづき」も船体を海面に沈め始めていた。

 

残るのはこの「いずも」。全員がこの後起きる事を察し,絶望が室内を支配する。奇声を上げる者,手を合わせる者,運命を受け入れる者など多種多様な行動を皆がとる。

 

荒木はメディナ戦隊が自らの命を奪う攻撃を放つその時まで奴らを睨み付けていた。そして艦底の3連装砲の砲身に緑色の光が宿った。

 

「来るぞぉぉぉぉ!」

 

発射された何十本ものショックカノンをたった1隻で食らった「いずも」は艦内の燃料・弾薬に引火し,そのまま盛大な爆発を起こす。

 

爆煙が晴れた海面に「いずも」の姿はなく,乗っていた520名もの乗員に生存者はいなかった。




・自衛隊隊員について
町田さんなどはオリジナルですが、山本さんはオリジナルの名前をつけて出させて頂きました。

荒木さんは竜の伝説編で第1護衛隊群司令をしていた人で,継続する形で登場させました。
山本さんは原作1巻位しか出ていませんが,今回登場させて頂きました。
登場と共に退場となりましたが···········

・スプレッドポッド
アンドロメダ級が搭載している重力子スプレッドを参考に,開発された航空兵器。主にテレスガーベーターの主翼の下に取り付ける。

1基あたり10門のスプレッド発射口を備えており,1機あたり最大で20発のスプレッドが発射出来る。
スプレッドは発射してから一定時間が経過すると,何倍にも膨張して敵機やミサイルを破壊する。

スプレッドを発射する為にポッドには小型のエンジンを搭載しており,これをブースターとしても使用できる。

実をいうとこれは即興で思い付いた兵器。当初はミサイルポッドだったが,“ミサイルが高価で勿体無い”としているミルメリアの理論と矛盾すると感じたので,スプレッドポッドに変更しました。

ですが寧ろ艦載機の武装として搭載できるなら,軍艦にも積めるじゃんという更なる矛盾が発生しているような·······

・無理やりプログラムを弄った艦対艦誘導弾
これは空対空誘導弾(SAM)は威力不足だから,どうにかして艦対艦誘導弾(SSM)を発射できないかと考えて思い付いた兵器。

奇しくもハープーンに高空を飛ぶモードがあったから,助かった··········なんて思ってたら原作で全く同じ兵器が出た。

これマジで偶然です。原作見てから思い付いたとかじゃないですよ!!
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