当初は日本側の回は最初の1回だけで終わるはずでした。
それが3回に分けて投稿する事になりました。全部合わせると1万5000~20000字ぐらい行くんじゃないですかね?
第2飛行隊は艦隊の露払いとして
飛行隊長 デレビア・カノ・ファンベナイアはノルースの美しく染まった空を眺めていた。ミルメリア本星の空も同じように蒼く染まっていたが,彼は
「良い空だ。綺麗で美しい。」
『見~つけたぁ!!』
「っ!?·······もう来たのか····」
彼が美しき空に心を落ち着かせていると,それを邪魔するかの如く甲高い声が無線に入る。デレビアは雰囲気を一瞬でぶち壊した犯人に該当するのは1人しかいなかった。
彼が乗るテレスガーベーターの下から,別のテレスガーベーターが上がってきて,同じ高度で並ぶ。
2機とも同じテレスガーベーターだったが,デレビアの機体は重いスプレッドポッドを下げているのに対して,隣の機体は主翼の両面にミサイルを満載していた。
見るからに機動性が自機より良さそうな機体を見て,デレビアは全部を理解した。そして答え合わせの様に,隣の機体のパイロットから通信が入った。
『どうも~もう追い付いちゃいましたよ~鈍間な鳥さん達~』
「仕方ないだろ,これでも燃費を抑えている方なんだから。それに君のせいで雰囲気が台無しだ。」
メディナ戦隊唯一の女性飛行隊長 カフィス・ポル・ロードネルシェはその甲高い声でデレビアに話す。静かな場所が好きなデレビアにとって彼女は騒音そのものだった。
デレビアは機嫌を悪くしたが,カフィスはそんな事を気にしておらず,甲高い声で話を続けた。
『でもさ~あなたがつけているスプレッドポッドって本気を出せば,もっと速度出せる筈ですよね?』
「バカか? 本当の緊急時以外ではフル出力では使うなと航空学院で習っただろ。忘れたのか?」
テレスガーベーター自体のエンジンと,
勿論これは2人の母校である パラフェライル航空学院で試験にも出る必修事項として習わされていた。そんな重要な事すら忘れていそうなカフィスはデレビアは溜息をついた。
刹那ヘルメットのレーダー画面に複数の機影が写る。機影は編隊の真っ正面にいるので,間違いなく敵機だ。
『敵機発見!! それじゃあお先に~』
そう言ってカフィスの機体はエンジン出力を上げて,前方へと去っていく。それに第3飛行隊の機体が続いていく。
第2飛行隊は再びさっきの状態へと戻った。
「五月蝿いのがいなくなった。これでまた静かに···!?」
漸く静かになった無線に入れ替わる様にミサイル接近のアラート音が響く。ミサイル接近という事実を脳が認識する前に隣を飛んでいた機体が爆発する。続くように後ろを飛んでいた2機も爆発して墜ちていく。
重いスプレッドポッドを搭載したテレスガーベーターは機動性が考えられない程低下しており,ミサイル。回避など不可能だった。
「ミサイル!? どこから!?」
『隊長!! 下に艦隊が!!』
仲間からの連絡を受けたデレビアはコックピットのボタンを操作して機首のガンカメラの画面を見る。ガンカメラが写し出した映像には数隻の軍艦の姿が写っていた。灰色の船体をした船の1隻から白い煙が上がっていた。
「あの艦か·····」
画面の先には3機のテレスガーベーターを
その周りにも同じような船が集まっており,
ただミサイルの行き先は第2飛行隊ではなく,第3飛行隊だった。下方からの攻撃に重石を積んでいない第3飛行隊の機体は軽やかに動いてミサイルを回避しようとしているが,この状態ではまともに戦闘など出来なかった。
『デレビア!! 下の艦隊を何とかして!!』
カフィスからの支援要請がデレビアの耳に聞こえる。デレビア自身も同じ部隊の仲間をやられていた為に,彼の戦闘意欲に火がついていた。
「全く要求の多いお嬢様だな。だがこっちもやられているんだ!! あの艦隊を黙らせるぞ!! 全機続け!!」
デレビアは操縦桿を倒して機体を下に向ける。重い機体の動きは鈍足だったが,デレビアは手慣れた動きで機体を操る。
残りの機体もデレビアに続くべく動き出したが,その瞬間に彼らは混乱に陥った。
『敵機反応だと!? どこから!?』
『上だ!! 上から敵機がぁ!?』
「なっ!?」
無線の混乱具合から生命の危機を本能で感じたデレビアは無意識の内にボタンを押し,ブースターの出力を一段階強くした。
ブースターの出力も相まってデレビアの機体はより一層突き進む。咄嗟の判断で状況を切り抜けたデレビアだったが,重いスプレッドポッドを搭載していた仲間は充分な回避行動も出来ないまま,ミサイルの餌食になった。
第2飛行隊を上空から奇襲をかけた
辛うじて攻撃を免れて生き残った機体も
「駄目か········」
デレビア自身も回避できない事を悟ったと同時に,|「DDG-62 フィッシジェラルド」から発射された
それから数分も経たない内に第2飛行隊の機体は1機もいなくなった。そして第2飛行隊に続くように第3飛行隊も艦隊のミサイル攻撃と,米海軍第5空母航空団
◇
東京を囲むように張り出した房総半島。水に囲まれたこの半島の洗濯に館山市は存在している。里見八犬伝の舞台となったこの町の一角に海上自衛隊の館山航空基地がある。
日本海軍の基地を前身とするこの基地には,本来なら哨戒ヘリコプター
重装輪回収車をベースにした車体に乗せられた発射装置は既に立ち上がっており,指示さえあればいつでも発射出来るように準備してあった。
発射装置に加えて,レーダー等のミサイル発射を補助する車両も多数展開している為に,館山基地の滑走路は半分以上が車両によって埋まっていた。
その内の1両 73式大型トラックに乗せられた対空戦闘指揮装置内で中隊長の立川弘美ニ等陸佐が画面と睨みあっていた。
捜索兼射撃用レーダー装置が探知した情報はレーダー信号処理・電源車を経由して対空戦闘指揮装置へと伝えられる。
発射装置と同じく重装輪回収車に乗せられたアクティブフェーズドアレイレーダーは東京に向かって真っ直ぐ突き進むミルメリア艦隊を正確に探知していた。
「まさかこうも正面突破してくるとは·······奴らはそれほどに自信があるのか?」
彼自身遥か上空から東京へ直接乗り込むか,迎撃が難しくなる陸地を通ってくると予想しており,正面から突っ込んでくる事は選択肢から除外していたが,除外した選択肢が正解だったことに驚きを隠せていなかった。
だが東京湾から来るということは,日本側もかき集めた陸海空の全戦力をミルメリア艦隊に投入できる事を意味していた。
(空自のF-2A・
そこに我々と空自の
これから戦う相手は駆逐艦1隻の損害と引き換えに、3つの航空隊と1艦隊が全滅する大損害を負わせた自衛隊処か日本史でも最強クラスの強敵だった。
だが先程の航空戦で2つの航空隊を全滅させた為に,我々でも何とかすれば抗えるのだと彼は確信していた。
「隊長。攻撃開始時間です。」
「始まったか。」
隊員の言葉で立川が左手のアナログ式腕時計を見ると,ちょうど先程通告された飽和攻撃開始の時間になっていた。
攻撃開始の通信を受け取った飛行隊と艦隊は一斉に動き出す。
空自の第3飛行隊のF-2Aと第301/302飛行隊の
海上の第11護衛隊と米軍第7艦隊に加えて海中に展開している第2潜水隊群から
加えてミルメリア艦隊を少しでも混乱させるべく,EC-1と
無論迫って来る攻撃にミルメリア艦隊も黙ってはおらず,
ショックカノンと対空レーザーは多くのミサイルを船に当たる前に墜とし,飛行隊や艦隊にも被害を与えていたが,上下同時の飽和攻撃とジャミングの影響もあるのか,徐々にミルメリア艦隊に被害が出始めた。
『第301飛行隊半数が撃墜されました!! 被害甚大!!』
『「DD-154 あまぎり」が真っ二つに!!』
『駆逐艦1隻撃破確実!! 』
『
2発の
重力に従って降下した「ライヴェ」は海面に触れる前に大爆発を起こして,海に漂うゴミとなった。
撃沈出来たのは「ライヴェ」のみだったが,重巡洋艦と軽巡洋艦 1隻ずつと駆逐艦2隻が被弾して,黒煙をあげていた。
別の場所から撮影された映像を見ながら,立川は標的を定めた。
「あの被弾している艦を中心に狙おう。1隻でも撃沈できれば優位に立てる。」
立川の指示が隊員の操作で対空戦闘指揮装置から,高機動車に乗せられた幹線無線伝送装置と幹線無線中継装置を経由して射撃管制装置へと送られる。
攻撃目標がミサイル弾頭内の誘導装置に入力され,準備が完了した事が立川に知らされる。準備完了を確認した立川は迷うことなく合図を言った。
「発射ぁ!!」
立川の掛け声でスイッチが押され,03式中距離地対空誘導弾が白煙を上げながらキャニスターの蓋を破って,飛び立つ。1両あたり6発,全車で計48発の弾頭が飛翔し出した。
数秒遅れて習志野と武山の分屯地に展開している空自の第1高射群第1/2高射連隊の
更なる攻撃にミルメリア艦隊も主砲と対空レーザーの発射機をミサイルへと向けて迎撃を開始したが,先程から続いた飽和攻撃の際にもフル使用していた為に,それぞれの発射機に不具合やら故障が出ており,まともに迎撃出来ていなかった。
拡散ランチャーを使うにも艦隊との距離が近すぎて巻き込まれる可能性が高く,ミサイルや魚雷も元からの勿体無い精神がこの危機でも作用して,発射を躊躇っていた。
その為に4割程のミサイルが迎撃網を突破して艦隊へと突き進み,次々と被弾する。
その内の2発が重巡「カルファティア」に命中する。エンジン部分と艦橋へと1発ずつ直撃し,人間で言うと脳と心臓を同時にやられた船はもはや死んだと同じだった。
「
「カルファティア」は右に傾きながら降下を始め,そのまま10階建てのビル程の水飛沫を上げて,東京湾へと滑り落ちた。
水中へと沈んだ「カルファティア」は大爆発を起こし,先程の水飛沫を軽々上回る高さの水の柱が出現する。巨大な水の柱はミルメリア艦隊に甚大な一撃を与えた証拠として立川らに写った。
「よくやったぞ。これで少しは優位に立った·····!?」
立川が安堵した瞬間,水柱を10本以上の緑色のショックカノンが貫く。ショックカノンは館山基地の上空を通って,それぞれが海を切り裂き,住宅地へと着弾した。
切り裂かれた箇所からは爆発が幾度も発生し,直撃を免れた家々も飲み込む。館山は東京から離れている事から,自主避難とされていた為に市内には多くの住民が残っていた。
安全だろうと思われていた館山は一瞬で悲劇の現場と化し,多くの市民の命が奪われた。
「やりやがった······」
立川は心髄まで動揺する。立川ら自衛隊はミルメリアが,フェン王国で観光客200名を殺害し,日本国民に
「市街地を撃ったぞ!!」
「あいつら正気か!?」
「どうするだよ!!」
隊員達もミルメリアの恐ろしさを目の当たりにし,冷静さが失われる。冷静さが失われた隊員達に畳み掛けるかの如く戦隊唯一の航空母艦であり旗艦の「レパグラン」からの砲撃が基地を切り裂く。
ショックカノンは滑走路のアスファルトを意図も簡単に抉り,展開していた03式地対空誘導弾の車両達や建物を真っ二つに裂いた。
03式の代えの弾頭を搭載していた運搬装填装置搭載車両や館山基地内の弾薬庫の
爆発は瞬く間に基地を飲み込み,燃料タンク内の燃料にも引火して激しい火柱を上げて燃え上がる。爆発と炎は立川ら第334高射中隊と館山基地の要員を一瞬で飲み込み,命を奪った。
館山基地は一瞬で機能を失い,爆発と業火に包まれる地獄の様な場所と化したが,それは館山の町も同じだった。基地の
幾つものショックカノンが地面と建物を切り裂き,町を簡単に破壊した。そもそも市民が避難していなかったことに加え,東京都心等から避難してきた人々もいたことから,数えることを躊躇うほどの一般市民が犠牲となった。
メディナ戦隊は重巡と駆逐艦を1隻ずつ失う損害を受けたが,大気圏外に待機している第35艦隊の増援と第4護衛隊群を全滅させた軽巡1隻と駆逐艦3隻が合流して一気に体勢を立て直した。
その結果館山基地に続くように艦隊と航空隊・地対空ミサイルも無力感し,障害を排除した。
そしてミルメリア艦隊は遂に東京への攻撃を開始した。
◇
茨城県中部に位置する百里基地。元々は航空自衛隊の基地だったが,2010年からは茨城空港としても使用されていた。
関東唯一の戦闘機が運用できる基地で,2つの戦闘機部隊と偵察航空隊が配備されていた。本来であればこの3つの飛行隊にはそれぞれアメリカ製の最新鋭ステルス戦闘機
機体自体が古いために日本唯一の高速偵察機である
その為に
そのたった1機だけ残っていた
パイロットの牧野浩介はコックピット内の機器を再確認しつつ,思考する。いざ出撃しようというときにエンジンが不調を起こした為に,彼の出撃は見送られた。
部隊内では“帰れないかもしれない”と言われていたが,誰も出撃拒否をする事なく,牧野以外の全員が二度と帰れないかもしれないフライトへと飛び立っていった。
そしてその言葉の通り彼が所属している第302飛行隊の被害は甚大だった。第4.5世代ジェット戦闘機の
だが彼は逃げようとはしなかった。同じ仲間達は迷わず行ったのに,自分だけが行かないという選択肢を選べる筈がなかった。
牧野はヘッドセットで管制塔へ通信を行う。
「エヴォーラから管制塔へ。状況は今どうなっているんだ?」
『管制塔からエヴォーラへ。状況は·········もう駄目だな。増援の部隊も来たらしく,かなり押されているらしい。都心部には既に甚大な被害が出ているらしい。詳しくは分からないけどな。』
「そうか·······」
牧野はそう返す。分かっていたのかもしれなかったが,こうして言われたことで彼は明確に認識できた。
そんな彼の
そこの写っていたのは巨大なミルメリア艦ばかりで,友軍機を意味する
現状を再度,そして明確に認識した牧野は管制塔に連絡を取る。
「なあ。
『おい待て。
「こんな時に帰りの燃料なんか気にしてなれるか。それにどうせここには帰れないんだろ?」
『········使うタイミングを見極めろよ。』
牧野の辛辣な発言に返す言葉もないのか,諦めたような声で管制官は容認した。確認した牧野はボタンを操作する。ジェットエンジンの排気に燃料が吹き掛けられ,更なる高推力を得た
空を彷徨う
東京都心上空に侵入したミルメリア艦隊はビル群に向けて艦上部の3連装カノン砲から発射されたショックカノンはビルを意図も簡単に幾つも貫き,そのまま斜めにずらしてビルを切断する。
真剣で切られた竹の様に切られたビル群はそのまま重力に従って地面へと落下し,土煙と共に崩壊する。
艦底の主砲も地上に向けて発射されており,土煙と共に地面が切り裂かれていった。
東京には避難命令が出ているとはいえ,1300万にも及ぶ人々を数日で避難させるなど不可能に均しく,現に大勢の人々が東京から脱出できずにいた。
この攻撃によって何人の人々が巻き込まれている等,考えたくもなかった。
「っ!?·············嘘だろ·····」
予想よるも遥かに酷い現状に牧野は感じたことのない恐怖を感じる。自分が落とされていないのは,まるで自分が
周りには
だが牧野は諦めようとはしなかった。今この場にいるのは自分だけという事は,自分しかこの状況を変えることが出来ないという事の裏返しだった。
そんな状況に牧野は逃げるという選択肢はなかったが,同時に課題も認識していた。
牧野の機体は機動性を重視する為に重い
状況は非常に厳しかったが,牧野は打開できるかもしれない手段を思い付いていた。それは同時に自分は死ぬことが確定しているものであったが。
だが牧野は東京に残っている大勢の人々の命を守るべく,百里の管制官に通信を行った。
「エヴォーラより管制塔へ。海上にいる艦もしくは海に近い艦はいますか?」
『ちょっと待て······駆逐艦が1隻いるが·········おいまさかお前!?』
「········本当に基地には帰れなさそうだな.」
そう言って無線を一方的に切ると,操縦桿を強く握りしめた。J79-IHI-17Aターボジェットエンジンの出力を最大限まで上げ,同時に
大気を切り裂きながら流星の如くオンボロの
「こんなあっさり人生が終わるなんてな······後悔なんてないぜ!!」
牧野はより一層操縦桿を押した。牧野を乗せた
艦橋という頭脳を失った「トエハ」は制御を失い,そのまま東京湾の海面へと突き進んでいった。
海面に着水した「トエハ」は海水を巻き込んで大爆発を起こした。これによってメディナ戦隊は重巡1,駆逐艦3隻を失う大損害を受けた。
だがミメディナ戦隊は撤退せずに攻撃を続行した。寧ろ艦を失った腹いせとして徹底的な攻撃を実施して被害を拡大していくのだった。
・パラフェライル航空学院
ミルメリアにある戦闘機パイロットを育成する学校。
モデルは日本国召喚に出てくる学校系。実をいうとこういう学校系好きだから“出してみるか”といった軽いのりで出したから詳細など知らん。
・ミルメリア艦隊が苦戦した理由
前々回と前回は攻撃を3段階に分けて行った事で,各個撃破されてしまいましたが,今回は一斉に攻撃を行った事で迎撃が追い付かず苦戦を強いられました。
加えて2航空隊が日米戦闘機による飽和攻撃で全滅されられ,艦隊や地上のミサイル群を無力化出来なかったことも理由の1つです。
・立川弘美と牧野浩介
この2人はオリジナルキャラクターなのですが,一応モデルがいます。日本のモータースポーツを知っている方なら多分分かると思います。
分からない人に向けてヒントを書いておきますと,立川は38とZENT。牧野は100とエヴォーラとRAYBRIGとSTANELY。
・まるで自分が
これにはちょっとした理由があります。次話ほどで紹介されると思います。
連絡?ですが,この夏休みに自動車学校に通うことになったので更新がより遅くなるかもしれません。