やはり俺の恋のリベンジは間違ってはいない。リメイク 作:龍造寺
ーー家庭科室。
八幡は、結衣が作ったクッキーが載った皿を持って来る。
「由比ヶ浜、いきなり上手く作る必要はないんだ。男子ってのは、自分のために作ってくれる女子の手料理ってのは嬉しいんだよ。それが美味いだろうが、不味いだろうがな」
時間が無い八幡は、急いでクッキー作りを開始する。
10分が経過し雪乃と香織と結衣が入ってくる。
「10分しかないから、急いで作ったから、不恰好なヤツもあるかもな」
雪乃と香織と結衣は、とある皿にクッキーが載っている。八幡の作ったクッキーからは、美味しそうな匂いが漂ってくる。結衣が驚いて
「これって、本当にヒッキーが作ったの?」
「当たり前だ!他に誰かいたか?」
「結衣ちゃん、ここには八幡君しかいないから。他にいたらそれはそれで怖いよ」
「そうね、比企谷君以外がいたのなら、それはビックリね」
「…あのな、俺の他に誰がいたのなら俺も怖いわ。というかクッキーを食べてくれ」
雪乃と香織と結衣は、互いに見合ってから、クッキーをつまみ、口に入れる。
3人は言葉を失う。旨くて声が出ないのだ。どうことみたいな表情で食べている。
そして、皿をあったクッキーを全て平らげてしまう。
「どうだ?旨かっただろ?」
「ええ、比企谷君こんなクッキーを作れるのね」
「八幡君、まだ腕をあげたのね」
「こんな美味しいクッキー、今まで食べたことないし!」
八幡は、クッキー10個のうち5個が結衣の作ったクッキーの改良版である。後の5個は八幡が作ったものである。その事を結衣に伝える。すると彼女は、間抜けた声を上げる。目も点になり口を大きく開いている。
「え?え?どういうことっ!?」
結衣は、目をぱちくりさせながら、八幡と香織と雪乃を交互に見つめる。何が起こったのかさっぱり把握できていないようだ。
「比企谷君、よくわからないのだけど?説明してくれるかしら?」
雪乃はわからないという表情で八幡を見ている。香織が何かわかったようで
「これって昔、私達が作ったクッキーの時にやったのと同じことだよね?」
「当たりだ、香織。要するに愛情ってヤツだよ。愛情は、料理する上に必要なんだけどな。それにお前達は、ハードルを上げすぎた。男ってのは馬鹿だからな。女の子が、自分のために手作りクッキーを作ってくれた、それだけでも、舞い上がるものだ。美味い方が良いと思うが、不器用にカッコ悪いクッキーの方が男はときめくな」
「悪い方が良いの?」
「そうだな」
八幡は、中学時代のクラスメイト達のことを思い出していた。
誰と誰が付き合うとか、別れたとかの話をしていたことを思い出していた。
八幡が綾音と付き合うことになった時、クラスの男子達が、祝杯を上げてくれた。綾音を亡くしフリーになり、香織と付き合うことになった時も祝福してくれたのだから。
八幡が望まなくても八幡が輪の中心に自然となっていた。
八幡は、昔の記憶から導き出した答えは…。
「つまり、男心を揺らせればいい。貴方のために一生懸命に作りましたって感があった方が好感度は上がる」
「ヒッキーも揺れるの?」
「…まあ、俺も自分のために作ってくれたクッキーは嬉しいさ」
綾音も最初は下手な料理を作って来た。八幡は、悶絶しながらも食べ続けていた。でも八幡のアドバイスでめきめきと料理の腕を上げていったのだ。それは香織も同じであった。
結衣は何やらニヤニヤしながら帰り支度をしている。
「うん?もう帰るのか?」
八幡の問いに結衣は、鞄を持って教室のドアの前に立つ。そんな彼女に雪乃や香織は、
「由比ヶ浜さん、依頼はどうするの?」
「そうよ、どうするの?」
「あれは、もういいや!今度は自分のやり方でやってみる。ありがとうね、雪ノ下さん、白崎さん」
雪乃や香織にそう言った結衣は笑っていた。
「また明日ね、ばいばい」
手を振って今度こそ帰って行った。
「……本当に良かったのかしら?」
「どうなのかな?」
雪乃や香織がドアの方を見つめたまま呟きを漏らす。
「私は自分を高められるなら限界まで挑戦するべきだと思うの。それが最終的には、由比ヶ浜さんのためになるから」
「アハハ、雪乃ちゃん…」
「まあ、確かにその通りだな」
八幡も綾音にふさわしい男になるため、努力をやって来た。己の限界を目指してやって来たのだ。
全ては綾音のためにと、一生懸命努力をしたのだから。
だが、努力が必ずしも報われる訳ではない。
報われるのは、ほんの一部の人間だけ。
八幡は、自分の努力が報われたのは、綾音や香織のおかげだと思っている。もちろん雅史達も入るのだが。
「世の中って不条理だよな…」
「そうね」
「そうだね」
かくして、由比ヶ浜結衣の依頼の件は終わりを迎えた。
雫編も留美の話で終わりです。次の選択肢から次に見たいヒロインか選んでください。
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1ー雪柳綾香
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2ー吹寄制理
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3ー一色いろは