やはり俺の恋のリベンジは間違ってはいない。リメイク 作:龍造寺
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吹寄から逃げるように出てきた八幡は、正直焦っていた。
「吹寄のヤツ、海浜に知り合いがいるのかよ…まさか去年の海浜の文化祭の画像を持ってるとはな…」
あのクラス委員長である吹寄が、クラス中に言いふらす可能性があるのだが、八幡はそれはないと思った。
あの吹寄をしばらく見ていて、人の嫌がることはしない。だが間違っていることには、ちゃんと指摘するタイプだ。そういう彼女だから八幡の事を言うとは考えにくいと思った。吹寄が八幡の容姿をどうのこうのとは、言っているところは聞いたことがない。彼女が見えないところで言っている可能性もあるのだが。
窓から見える空は、すでに夕日が西の方に沈み始めている。グラウンドからは、サッカー部の練習している掛声が聞こえてくる。
「サッカーか……。綾音がああなる前まで、雅史達とやってたな」
八幡は、中2の夏にサッカー部を辞めている。サッカー部の部長も副部長も他のメンバー達も、八幡の人の良さを理解していて、彼女の元に行けと背中を押したのだ。
八幡も申し訳ないと思っていた。なんせ夏の大会の前だったからだ。
「……今さらサッカーなんかやってもな……ブランクだってあるしな」
サッカー部の練習風景を尻目に職員室へ急ぐ。
職員室に到着し、扉を開けて中に入る。するとすぐに平塚先生がやって来て
「ぼさっとするな、比企谷、私についてくるんだ」
「ついて行くって…どこに行くんですか?」
「ついてくればわかる」
一体、どこに連れて行くつもりなのか。全く見当がつかない八幡。
どうやら特別棟の方に連れていかれてるのは、周りの景色でわかることだ。
この辺りにカップルがたむろしていることは、1年の時から把握済みである。
1年時に教室にいても退屈だったため、学校中の校舎を探検していたのだ。
そんなことを考えていると特別棟の空き教室のような場所に連れてこられた。
「ついたぞ」
「ついたって、ここ空き教室じゃないですか?何の冗談でしょうか?」
平塚先生は、八幡の問いには答えず教室の扉をあける。
その教室の端っこには、机と椅子が無造作に積み上げられている。倉庫としても使われているのだろう。他の教室と違うのは、そこまで何も特殊な内装は何もない。普通の教室とたいして変わらない教室。
だがそこが異様な感じに見えるのは、1人の女子生徒が、夕陽の光を浴びながら本を読んでいるからである。その姿が神秘的にも見えた。
それが八幡の目には、錯覚を起こす。最初の恋人だった綾音の姿に見えたのだ。
「…綾音?」
小さな声で言った。平塚先生は何か言ったか、と言ったが八幡は答えなかった。今は雫という恋人がいるのにまだ綾音の事を思っているのだと、自分自身でわかってしまっている。
彼女の方が来訪者に気づいたのか、本に栞を挟み顔を上げた。
「平塚先生、入るときはノックを、とお願いしていたはずですが」
端正な顔立ち。流れる黒髪。八幡のクラスのほとんどの女子が霞むぐらいの美少女である。
正気に戻った八幡は、綾音がいるわけがないと気を強く持った。正面にいる女子生徒は、綾音とは違うとすぐにわかった。雰囲気、オーラなどが全く違う。
それに綾音は、八幡に対していつも優しい眼差しで見ていたのだから。
だが目の前の女子生徒が八幡に向ける眼差しは、氷のような瞳。優しさとは真逆である。彼女の名前は、雪ノ下雪乃。八幡と同じ2年生でクラスは、2ーJ組。学年トップ争い上位者、八幡と何度も定期、実力テストでやりあっている。初めて八幡は、雪ノ下雪乃を見る。あれがいつも自分と争うライバルなのかと。
「ノックしても君は返事をした試しがないじゃないか」
「返事する間もなく、先生が入って来るんですよ」
平塚先生の言葉に、雪乃は不満げな視線を送る。
「それで、その目の腐った人は何ですか?」
「入部希望者の比企谷八幡だ」
「2ーF組、比企谷八幡です」
八幡は、軽く会釈をする。そして入部って何ってなる。平塚先生が八幡の疑問に答え始める。
「君にはペナルティとしてここでの部活動を命じる。異論反論抗議質問口応えは認めない。しばらく頭を冷やせ。反省をしろ」
平塚先生は、八幡に全ての反する行動を封じる。彼は無茶苦茶な教師だと思いながら、黙って聞く。
「というわけで、見ればわかると思うが、彼は中々根性が腐っている。そのせいでいつも孤独な憐れむべき奴だ」
八幡は、あんたに根性が腐ってるとか、言われたくないと。孤独は好きで孤独になってるのだから口を出さないで欲しいと考えている。
「人との付き合い方を学ばせてやれば少しはまともになるだろう。こいつをおいてやってくれるか。彼のひねくれた孤独体質の更正が私の依頼だ」
平塚先生が雪乃に向き合って言うと、彼女が物騒な物言いで言った。
「それなら、平塚先生が殴るなり蹴るなりして躾ればいいと思います」
八幡は、ぎょっとする。雪乃は暴力容認派なのかと。平塚先生もため息を吐きながら
「私だってできることならそうしたいが、最近は小うるさくてな。肉体への暴力は許されていないんだ」
八幡は更に平塚先生の言葉にぎょっとして後ろに後ずさる感じになった。肉体の暴力はやらないが、精神にへの攻撃は許されてるみたいに言ってることに。
「お断りします。その男の下心に満ちた下卑た目を見ていると身の危険を感じます」
雪乃は、そう言って別に乱れていない襟元を掻き合わせるようにして、八幡を睨み付ける。
八幡は、ため息を吐く。そして
「誰が、お前の胸なんか見るかよ。自意識過剰か?」
雪乃は、八幡にそう言われ更に睨み付ける。八幡も睨み返す。
なんせ、言われのない事を言われて正直に腹が立っているのもあるし、彼女である雫に申し訳がないからである。平塚先生は八幡に対し
「比企谷、君には異論反論抗議質問口応えは許さないと言ったが?」
「くっ…脅迫ですか?」
「脅迫ではない。君の事を思っての事だ。従ってくれ」
「…まぁ、先生からの依頼であれば無碍にはできませんし……。承りました」
雪乃はほっとうに鬱陶しそうに嫌そうに言うと平塚先生は満足そうに微笑む。
「そうか。なら、後のことは頼む」
それだけ平塚先生は、言うとそのまま帰って行く。ぽつんと残される八幡。
綾音が入院していた時に同じ状況になった事は多々ある。
彼女の寝顔を見るだけでも心は安らげた。そんな時間は、あっという間に過ぎて行った。それは雫との時間もあっという間に過ぎ去っていく。
だが今の状況は、ただ重苦しいだけだ。時計の秒針の音だけが、教室に鳴り響く。ずっと立っていた八幡に対して
「そんなところに立ってないで座ったら?気持ち悪いのだけど」
「ああ、わかった」
八幡は、雪乃にそう言われ、空いている椅子に座る。雪乃の気持ち悪いから座れ、にイラッとしたが、気にせずに平然とする。
雪乃は、八幡に気にすることもなく黙々と本を読んでいる。何を読んでるのかはわからないが、八幡には興味がない。
外の方へ向いて時間を潰そうとする。しかし時間がそう過ぎるものではなく、雪乃の方へ向いた。彼女は視線に感じなのか
「な、何か?」
「ああ、悪いな。どうしようかと思っていただけだ」
「何が?」
「大した説明がないままここに連れて来られたものだからな」
八幡がそう言うと、雪乃は舌打ちみたいなことして、勢いよく本を閉じる。そして虫ケラのように見て睨んだきた。
「…そうね、ではゲームをしましょう」
「ゲームだと?」
「そう、ここが何部か当てるゲーム。さてここは何部でしょう?」
八幡は、何部なのか当てるために教室中を見渡した。部活と言っても雪乃以外のメンバーがいない。
「部員って他にはいないのか?」
「いないわ」
雪乃以外にメンバーがいないとなると部として認められるわけがない。良くて同好会とまりだろう。八幡は、ヒントも無しで考えている。考えられるのは、1つしかない。
「文芸部か?」
「へぇー。その心は?」
雪乃はいくらか興味深げに問い返してくる。
「特殊な環境、特別な機器を必要とせず、人数がいなくても廃部にはならない。つまり部費が必要ない部活。加えてあんたは本を読んでいる。答えは1つしかない。答えは文芸部じゃないのか?」
「……ハズレ」
「違うのか?じゃあ何部だよ、ここは?」
「では、最大のヒント。私がここでこうしていることが活動内容よ」
雪乃から出されたヒント。だが、それは何一つ答えに結び付かない。文芸部じゃなければ、図書部?
図書部なら図書館か図書室だなと八幡は思っている。だからこれも違うということになる。
私以外部員がいない部活。
幽霊部員が多く存在する部活。八幡は冗談気味に
「まさか、オカルト研究部とか?」
「ハズレ。……はっ、幽霊なんていない。馬鹿馬鹿しい」
八幡は頭の知識を総集めだが、全くわからない。文芸部、図書部でなければ、何の文科系の部活?
ふと平塚先生が何か言ってなかったか?
平塚先生が八幡の更正させるために雪乃に依頼を出した。
依頼をこなす。
ここで、八幡は何か閃く。
「もしかして、何でも屋か?」
「違うわ。まあ惜しいところまではきたわね」
「じゃあ、何なんだ?」
「比企谷君、女子と話したのは、何年ぶり?」
「女子と?さっきも話したが?」
「平塚先生は、省いて」
八幡は、どうせ女子と話したことのない陰キャとでも思ってるんだろう、と思っている。
「さっき、女子のクラス委員長と話したよ」
「業務連絡とかじゃくて、ちゃんと話したのは何時?」
雪乃もしつこく八幡に聞き続ける。恋人の雫、その友達の香織、緑子、七海、折本とグループチャット以外で話したのは、春休みに綾音の墓参りの時に話した。雫とは、5日前にデートで話をした。さっきはチャット会話だから含まれないとしてそれから数えると
「…5日ぶりかな」
八幡がそう言うと、雪乃がニコッて笑い彼の前で高らかに宣言する。
「…そう。持つ者が持たざる者に慈悲の心を持ってこれを与える。人はそれをボランティアと呼ぶの。途上国にはODAを、ホームレスには炊き出しを、モテない男子には、女子との会話を。困っている人に救いの手を差しのべる。この部の活動よ」
いつの間にやら雪乃は立ちあがり、自然、視線は八幡を見下ろす形になっている。
「ようこそ、奉仕部へ。歓迎するわ」
とても歓迎されていないことを肌で感じる八幡であった。
雫編も留美の話で終わりです。次の選択肢から次に見たいヒロインか選んでください。
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1ー雪柳綾香
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2ー吹寄制理
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3ー一色いろは