やはり俺の恋のリベンジは間違ってはいない。リメイク   作:龍造寺

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雫編39話です。


47ー39話ー将来の夢。

ーーー総武高校・屋上。

 

5月も中旬から下旬に入り、梅雨入り前のムシムシした暑さに覆われている。

 

今日は、陽介達と昼ごはんをすぐに食べたら、屋上に来ていた。ちょっと考え事をしたかったためでもある。

 

それは、進路についてである。

 

八幡は、大学進学は規定路線である。だがその先はまだ決まってはいない。

 

今は、綾音の夢を継ぐ考えもあるが、本当にそれで良いのかって迷いもある。

 

綾音は八幡のやりたい事をやっていいと夢の中で言われたが、それでも迷いはあるのだ。八幡自身は、まだ何になりたいのか、まだ分からないのだ。

 

だから中学で将来を見据えていた綾音を凄いと思っていた。

 

だから綾音に相応しくなるために必死に頑張った八幡。彼女の隣に立つ男としておかしくないように頑張ったんだ。

 

「俺は…何をやりたいんだろ」

 

最悪大学に行ってからも将来を考えることはできるが、それで見つかるかどうかわからない。いつまでも迷っていたら雫にも申し訳ない。

 

八幡は、職場見学希望調査票を見ながら色々な事を考えていた。すると風が急に強く吹き、その職場見学希望調査票が飛ばされる。

 

「やばっ!」

 

その吹き飛ばされた調査票は、とある女子生徒が見事キャッチする。その女子生徒は、髪が長く背中まで垂れた青みががった黒髪。リボンはしておらず開かれた胸元。余った裾の部分が緩く結びこまれたシャツ、蹴りが鋭そうな長くしなやかな脚。そして、印象的なのがぼんやりと遠くを見つめるような端気のない瞳。泣きぼくろが一層倦怠感を演出していた。同じクラスの川崎沙希である。

 

「これ、あんたの?」

 

「川崎か、ありがとう」

 

「何、ぼさっとしてんのさ」

 

川崎から調査票を受けとる。川崎が屋上のフェンスの方へ行く。彼女は、いつも1人でいる。誰かと一緒にいるのをほとんど見たことがない。好きで1人でいるように見える八幡であった。

 

「川崎っていつも屋上に来るのか?」

 

「別に、気分的に今日は屋上にいたい気分なんだよ。あんたには関係ないでしょ」

 

「まあ、そうだよな」

 

川崎は、1人にさせろ的な感じで八幡を見ている。彼はすぐにそれを理解し屋上から出ることにする。その時、風が吹いて川崎のスカートを巻き上げる。その光景を八幡は見てしまう。

 

「黒のレース、だって?」

 

川崎は、微動だにせずにこう答えた。

 

「バカじゃないの」

 

そう川崎に言われたが、彼女の黒のレースが頭に焼き付いて離れなかった。

 

 

再び八幡は、平塚先生に呼び出されることになる。呼び出されたことはわかっている。5時間目に集めた職場見学希望調査票の事である。見学希望場所を書いていなかったからだ。迷って書く事が出来なかったのだ。

 

ため息を吐きながら職員室へ行こうと思ったら吹寄に呼び止められた。

 

「比企谷君、ちょっといい?」

 

「吹寄?なんだ?」

 

「ちょっと話したいことがあるの」

 

「話したいこと?俺に?」

 

吹寄は何か頼みたい表情で見ている。八幡は平塚先生に呼ばれているので、急いでる事を伝える。

 

「わかったわ。また今度話すわ」

 

吹寄の寂しそうな表情が八幡は忘れなかった。悪いことをしたなと思いつつ、平塚先生が待つ職員室へ向かう。

 

 

ーーー職員室

 

職員室の一角には応接スペースが設けられている。革張りの黒いソファにガラス天板のテーブルが置かれ、パーテーションで区切られていた。その側に窓があり、そこからは、図書館が見渡せた。

 

開け放たれた窓からうららかな初夏の風が入ってきて、一切れの紙が踊る。

 

「もうすぐ、夏だな…」

 

「何が、もうすぐ夏だ!」

 

そこにパンツスタイルの平塚先生がやってくる。自分の机の椅子に座ると、タバコの箱から一本取り出して口元に持っていきそれを加える。

 

「比企谷、私が何を言いたいのか、わかるな?」

 

「職場見学希望調査票のことですよね、あれではダメですよね?」

 

「わかってるのなら、何故書かない?」

 

「将来…何の職種につきたいとか、まだ正直わからないです」

 

「わからないか…漠然に何になりたいとかないのか?」

 

「いえ、大学進学はちゃんと考えてます。ただその先がまだ」

 

「大学卒業の先がまだ何かしたいのかわからないのか」

 

「はい」

 

中学3年時は、いや綾音が亡くなるまでは、彼女の病気を治すために医者という選択肢も入れていた。彼女が元気な頃は、彼女と共に人々の役に立つ職種につきたいと思っていた。

 

だが、綾音が亡くなってから、そういう夢が無くなってしまった。いや抱けなくなってしまったのかもしれない。

 

雫のために頑張ろうと八幡の中で変わり始めてはいる。少しずつに。

 

「まあ、比企谷、お前は少しは成長しているようだな」

 

「どうも…」

 

「だが、まだまだ成長する必要がある!」

 

「左様ですか」

 

「それと春雪の件も頼むぞ」

 

「はい」

 

八幡は、そう返事して職員室から出るのであった。




もう間違って投稿しないように気をつけます。

雫編も留美の話で終わりです。次の選択肢から次に見たいヒロインか選んでください。

  • 1ー雪柳綾香
  • 2ー吹寄制理
  • 3ー一色いろは
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