やはり俺の恋のリベンジは間違ってはいない。リメイク   作:龍造寺

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雫編52話です。


60ー52話ー夢と遅刻と川崎沙希。

八幡は、夢を見ていた。その夢とは、もちろん雫との思い出の一こまである。

 

そんな夢を見ながら、ニヤニヤした。

 

「……雫…俺はお前が一番…好きだ!…俺はお前に相応しい男になるから…ムニャムニャ…」

 

そんな台詞を寝言のように言った直後、彼はベッドから転げ落ちる。その衝撃で目が覚める。まだ覚醒まで時間がかかり、約10秒間で、自身が今置かれている状況を理解する。

 

「…昨日、小町に勉強を教え終わって、自室に戻ってきてそのまま眠ってしまった…時間も9時30分…完全に遅刻だな…」

 

ため息を吐きながら学校へ行く準備を始める。

 

「急いだところで、遅刻なのは変わらない。なら焦らずに行くべきだな」

 

支度を整えると、キッチンまでやってくる。するとそこには、綾香の作った朝ご飯がテーブルに置かれている。トーストとハムエッグとコーンスープが置かれていて、

 

【八幡お兄ちゃんへ。私は小町と先に行きます。私は遅刻しても構わないと思ったけど、小町がそれはダメだって。私達のせいで八幡お兄ちゃんが疲れてるのなら、ごめんなさい。朝ごはん、ちゃんと食べて下さいね】

 

綾香が書いたであろう置き手紙である。

 

「綾香、別に気にするな」

 

八幡は、そう言って綾香が作った朝ごはんを食べ始めのだった。

 

 

朝ごはんを食べ終えると、食器類を片付けてから学校へ登校する。

 

戸締まりを済ませた八幡は、自転車にまたがると、安全運転で学校へ向かう。

 

 

登校時間が遅いため、学生や社会人の姿は無い。見当たるのは、高齢の老夫婦や赤ちゃん連れの若夫婦である。

 

「…俺もあんな老後や結婚生活を夢を見てたな…」

 

綾音との未来を創造していたこともあった。綾音の闘病生活を支えながらも夢を見ていた。

 

2人で寄り添いながら縁側でお茶を飲んでいるような老後生活。

 

2人で悪戦苦闘しながらも子育てをしている未来。

 

綾音とはもう叶わない未来だが、雫といつかそんな生活をやる時が来ればいいな〜

 

「まあ…今考えても仕方がないか〜」

 

まだまだ老後は先のことだし、今ある青春を楽しむことにしようかな。

 

 

校門を潜ると学校内の静けさだけが目と耳に入る。今は授業中であり、誰も教室外には出ていないのだから。

 

八幡は自転車をクラスの駐輪場に止めると、昇降口へ向かう。校舎に入りくつ箱にて、上履きに履き替え、2ーF組を目指す。シーンとした廊下を歩きなから深呼吸をする。

 

何故八幡が深呼吸をしたのは、今の時間が誰かなのかをわかっているからである。

 

今授業が行われているのは現国。

 

つまり平塚先生である。

 

八幡は、教室の扉を開ける。そして、物言わぬ視線が一斉に向けられる。彼はクラスメイトの視線が嫌ではない。黒板側にいるただ1人の恐怖のオーラを含んだ視線を向けてくるのを除けば。

 

だが八幡の事を知らないクラスメイトもいるようで、ヒソヒソしている。そんなことを気にせずに彼は自分の席へ座る。

 

平塚先生は、教卓をコツコツと叩きながらしかし表情は笑顔だ。だから余計に恐ろしいのだが。

 

「比企谷、授業が終わったら私の元へ来るように」

 

「はい、わかりました」

 

八幡は、そう言うと、黒板に書かれている授業の内容を書き写す。授業の前半部分は、戸塚か葉山、もしくは吹寄に見せてもらうかと考えていた。

 

残りの授業時間はあっという間に過ぎチャイムが鳴る。

 

「では、本日はここまで。比企谷はこちらに来たまえ」

 

そう言って平塚先生は、ちょいちょいと八幡を招く。彼も教卓へ向かう。

 

教卓の前に平塚先生と対峙する。先生は八幡をギロっと睨んだ。

 

「さて、殴る前に一応、私の授業に遅刻した理由を聞いてやろう」

 

「言い訳はしません。殴るなら殴って下さい。遅刻した俺が悪いのですから」

 

八幡は、言い訳をしなかった。夜遅くまで、自身の勉強や綾香、小町に教えていたことにより、寝坊してしまったのだが。綾香や小町を何よりも悪者にはしたくはなかったのだ。

 

「比企谷、なんだ潔いじゃないか?覚悟は出来るようだな。なら今回は君の正直さに免じて許してやろう」

 

「は?」

 

殴られることを覚悟していた八幡からすれば、拍子抜けである。あの平塚先生が正直さで殴ることをやめるのかと。そして平塚先生から殴ることをやめた理由を聞かされる。

 

「実はな、比企谷の妹と1年の雪柳から連絡を受けてたのさ」

 

「はぁ!?あの2人からですか?」

 

「そうだ。比企谷の妹は電話で、雪柳は、職員室でな。兄に遅くまで勉強を教えてもらっていたから、とな。それに理由があるのに言い訳をしなかった。だから、殴るのはやめたわけだ」

 

平塚先生は、事の真相を話してくれた。

 

「……ただ、ここでする内容では無いですか」

 

「すまない、比企谷。ここでする話ではなかったな。それともう1人の遅刻者が今頃来たか、川崎沙希、君は重役出勤かね?」

 

川崎は、一瞬の間を置いて、黙ってペコリと頭を下げただけだった。無言で自分の席へ向かう。

 

「川崎沙希…」

 

八幡は、クラスメイトの名前を小声へ言った。いつぞやの屋上で、職場体験の紙を拾ってくれた事を思い出していたのだった。そしてスカートの中身も思い出していた。

雫編も留美の話で終わりです。次の選択肢から次に見たいヒロインか選んでください。

  • 1ー雪柳綾香
  • 2ー吹寄制理
  • 3ー一色いろは
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