絶望した男がまた夢追いかける話


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おっす、これ書くのにめんどすぎて半年以上かかったで
需要無かったら続かんしあっても多分続かん


何も無い背中

小さい頃天才だった奴ってのはどこにでもいる、かくいう俺も将来は輝かしいものだと思い早く大人になりたいと思っていた、空だっていくらでも飛べると思っていた、俺に才能というものがあることを勘違いしていた

 

だって親も兄弟も先生も皆が私には期待していたのだから

今となっちゃお察しの通りなんもない

 

「クソが、くたばれたら楽なのによ」

 

暗い部屋の中で酒で喉を焼く、紫煙で肺を壊す

演者としてやっていいラインを超えている飲酒、喫煙それらに抵抗感を表すこと無くやるその男は

 

「声優なんてクソ喰らえだ、夢なんて……」

 

<鷲鷹 鷺>(わしたか さぎ)声優になっただけの男である

 

「なんで俺には才能が無いんだろうなぁ、いっその事くたばりてぇ」

 

オーディションに受からずバイト生活をただ数えるのも面倒になる日を続けて過ごしていた男の日課とも言える独り言、ホントに惨めだ

 

「思えば専門校の頃から俺はクソだったな、なんであそこで事務所受かっちまったんだよ俺なんか落としてくれたらもっと早く、くたばれたのによ」

 

クラクラとヤニとアルコールにやられた頭は何度も口に出しながら実行することが無かったことに…

 

「そうだ今なんて意味ねぇじゃん、何もねぇし」

 

……近づこうとした

 

「痛てぇのかな、まぁ痛てぇか

なんか無ぇかね死ねそうなやつ、瓶でいいや」

 

パリィン、酒瓶を床に向けて乱雑になげて割る

 

「あっ月だ」

 

暗い部屋に月明かりが酒瓶の欠片が反射する

 

「………何馬鹿やってんだよ……俺……アホみてぇ、うぷっ」

 

酩酊しきった頭が月明かりで少しは正気に戻る

 

「トイレ、トイ……オェ」

(間に合わんはこれ)

 

そして酒瓶の欠片とゲロが撒き散らしてある部屋に晴れて相成った

 

「ホントにクソだな俺の人生いやゲロだわ、はぁ掃除しねぇと」

 

立ち上がろうとした次にズルっと足が滑り月がくるりと回る次に形容し難い音が鳴り首から何かが零れる

 

「え?」

 

転けたのはわかった、でもこの音はなんだジャク?それともギャッ?何かわからない、でも妙に寒くて暖かい

 

なんでもないある日に酒とタバコと瓶の破片そしてゲロまみれの部屋に『カラン』とその命はまるで伽藍堂であるかのような音がしてそして命もぶちまかれた

 

 

 

 

ピピピピピピピピピピピピピピピピ!!!

 

「うるせぇ」

 

ピッ

 

「バイト行かねぇと、行きたくねぇくたばりてぇなぁ…ん?」

 

男の目には妙に綺麗な部屋がある、あの汚部屋が片付けられたとかではなく、まるで入居したばかりのそんな部屋があった

 

「………………???」

 

プルプルプル

 

「えっまだバイトの時間じゃねぇはず、時計壊れた?」

 

画面を見ると<上風 廻>(かみかぜ めぐる)専門校時代の同級生、付け足すなら唯一俺らの中で成功したクソイケメンの天才様

 

「朝から気分悪ぃな、ゴミがくだらねぇ話だったらどうしてくれようか」

 

ガチャ

 

「もしもし、何の用だ」

 

「今日はダンス授業のテストのための練習兼舞台練習だろ、バカが来いや」

 

???

 

「??????」

 

「寝ぼけてんのか?サギ?」

 

何言ってんだ何年前の話だ、こいつイカれたのか

 

「んな授業いつの時代の話だタイムスリップでもしたかぁ?」

 

「そんな面白くも無い冗談にはのらんぞ、お前今日空いてるって言ったろ遅刻だはよ来いや、いつもの場所で」

 

ブチッ ツーツーツーツー

 

「あんのクソ野郎なんだよ、面白くない冗談?こっちのセリフ、つかタバコ何処だ」

 

どこにもないタバコも酒も、というか何もかも新しいもしくは無くなっている

 

「……俺がタイムスリップってこと???」

 

ー思考停止ー思考停止ー思考停止ー

 

「いや違ぇ、んな事有り得んタチの悪いくそドッキリか、なんの意味があんだよあんのクソミソカス野郎、部屋は昨日の俺が頑張ったそれで終わり」

 

ー現実逃避ー

 

風呂に入ろうと立ち上がる酒を飲んでいたとは思えない程の健康的な感覚、呼吸が軽い、そして目はよく冴えているまるで若い時みたいに

カレンダーがふと見えた

 

「はっ??!!?!」

 

カレンダーは2010年6月2日を示している

よく見ると携帯はRINGO8ではなく2辺りの造形

 

「ちょまっえ????今冬??2022!??」

 

テレビはどうかとつけると

 

『もう暑くなってきましたね、この前までいい感じの春だったのに〜』

 

若くなった有名アナウンサーがいる

 

「はっ?俺昨日何した????」

 

ー思考中ー

 

「まとめると死のうとして刃物がなかったから瓶の破片で死のうとしてやめてゲロ吐いてゲロで滑って破片が首に刺さってぽっくりって事になる」

 

え?

 

「え?血迷った小説家でもこんな死なせ方しねぇぞなんだよクソ展開じゃねぇか、つか俺マジにタイムスリップ???」

 

現状把握を漸く完了した

 

「あっ、廻のとこ行かねぇと」

 

〜移動中〜

 

「おせぇあと少しでも遅れたら殴ろうかと思った」

 

マジなんだなホントに戻ってるてか相変わらず態度でけぇなこの野郎

 

「悪かったよゴミカス、でどんな振り付けだっけか?」

 

少し面食らったような顔をする廻

 

「んだよ」

 

「そんな口悪かったか?」

 

昔の俺ってどんな奴だよもう覚えてねぇって

 

「ちとの休みの間に変わったのさ」

 

「……そうか、てか覚えてねぇのかよ振り付け」

 

「1回やりゃぁ、思い出せるだろたぶん」

 

あぁなんも思い出せんてマジで

えぇっと確かターンそしてステップ後は……

 

「こんなんだった?」

 

「覚えてんじゃねぇか」

 

脳みそ若返ったからかね、何となしにはわかるな

 

「てかもう踊れんだからいいだろ俺は帰る」

 

「待てよ、中間発表の台詞は覚えてんのか?」

 

中間発表?なんだそれ?

いい思い出だったらいいな、思い出したくねぇ

 

「………………」

 

「おい、まさか」

 

「えと確か、【目覚ましは夜に鳴く】だったよな」

 

「タイトルじゃなくてお前の台詞な、ちゃんとやれよ主役、奴隷ハインケルの台詞」

 

…ハインケル……そうだ俺が人生ではじめての主役の舞台

そんで成功らしい最後の成功こっから調子乗り始めたんだんだっけ

 

『ただ泣くことしかやりたくないんだ

四肢があり目があり耳がある、それなのに藻掻くこともせず私は蹲りただ泣く私はお前と違う私には勇気がない怖いんだ、だからもうほっといてくれないか疲れたもう何かを想う事すら疲れたんだ』

 

そんでハインケルの主人のガルリクが

 

『そうかでは死ね』

 

「そんでガルリクが軍刀をハインケルに向けて…って感じよな」

 

「なんだ心配して損した初舞台が無様になるかもと思ったもんだからお前のこと呼び出したのに」

 

んだとこのやろ

 

「はぁ?お前はどうなんだよ覚えてんのか??」

 

『今なぜ私の攻撃を避けた、それについて明日の朝まで考えよ明日の朝私はお前を殺しに行く』

 

「だろ、舐めんな」

 

生意気言いやがって恥じ掻かせてやろじゃねぇか

 

「じゃぁ45ページの………

 

ー時間経過ー

 

「もう時間だし、掛け合いのシーンはバカほどやったろもう終わろうや」

 

チッこいつめ無駄に早い段階で覚えていやがる

 

「今度覚えてろなんかで恥じ掻かせてやるからな」

 

「へぇへぇそうですかぁ」

 

ぶっ殺すぞガキがァ

ん?

 

「どうした間抜けた面しやがって」

 

今度ってなんだよ、せっかくタイムスリップしたんだ

この学校やめちまえば少しはマシになるだろ人生

 

「なぁ」

 

本当に?

 

「んだよ間抜け」

 

もしかしたら、今ならこいつに追いつけるかな?

 

「俺本当に声優なれんのかな」

 

夢に追いつけんのかな、諦めなければ

 

廻は心底疑問に思ってるような顔で俺が今まで求めてた言葉を吐いた

 

「は?僕とお前がこのクソ学校の中で唯一のマトモな演技できるんだから、お前がなれんかったら僕もなれねぇよ今の時点だかな」

 

「そっか」

 

「どしたんよ、ホントに馬鹿面しやがって」

 

俺は……まだ期待されてたんだな……

 

「いや……ありがとう」

 

「お、おう…」

 

「《また》会おうや廻」

 

「おうまたな」

 

 

 

なんだこの気持ちは

俺があの天才様に認められてたってマジかよ

あぁなんだ……なんだよあんなバカみてぇな言葉に俺が触発されたってか?

 

「あ」

 

降りる駅にバスが止まり降りた

周りは暗くなり小雨が降っている街灯がそんな道を照らしている

 

「はははははははは」

 

気分が昂る、足が浮つく、声が弾む、頬が緩む

 

「しゃぁ!!!なってやんよ!!単純で悪いかったな昔の死んじまったクソッタレな俺よぉ!!!!くたばるのは随分と先になりそうだ!!!!!」

 

こんなんで俺はまた立ち上がったよ

 

いつの間にか土砂降りになった雨を気にせず走り出す

 

「運命は俺を愛しているようだ!!」

 

誰も期待することを諦め己さえ諦めた者は背負っていたものは何処にもないと思っていたが、たった一つの物が背中にある事が解った途端に死んだ男は本当の意味で蘇り夢に向い愚かに、また助走をはじめた

 

いつの日か羽ばたく為に




サギ君単純やね
ルックバックっていう藤本タツキ様の短編漫画見て触発されたで
マジ名作すぎてヤバいから全クリエイター見ろ
まぁ名作に触発されたと言っても触発された奴が名作とは限らんのやけどね、自分で書いてて文才の無さに震えたね

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