一花「はい、どうぞ。」
三玖と遭遇した一花は、とりあえずベンチに座らせ、自販機で買った抹茶ソーダを三玖に渡した。
三玖「・・・ありがとう。」
それを、三玖は受け取った。
一花「それで・・・何があったの、三玖?」
すると
三玖「・・・どうしよう、一花?私・・・ジュンに嫌われちゃったかもしれない!」
三玖は再び涙を滲ませながらそう一花に言った。
一花「えっ?」
三玖「・・・先日の試合、フータロー達と一緒に観に行ったとき、様子がおかしいって言ったでしょ。」
一花「ああ。試合が終わった後、三玖ったら突然どこかに駆け出しちゃうんだから・・・。まさか・・・」
三玖「うん・・・あの後、すぐに学校に行って、野球部の監督に会ったの。そして、私が感じた違和感を伝えて、お父さんの病院に診察を受けてもらうように訴えたの。」
三玖「その後、この近くの病院っていったらお父さんの病院だったから、お父さんにすぐ電話して診察を受けて欲しいって伝えたんだ。」
三玖「今日の朝、偶然監督と再会して、監督がその事を話してくれたの。話によると、ジュンは酷く荒れたんだけど、皆が取り押さえてくれたのと、半ば無理矢理スタメンから外して病院に連れて行かせたって。」
一花「それで・・・診断結果はどうだって?」
三玖「・・・足関節側副靱帯一度損傷だって。」
診断結果を聞いた一花は
一花「えっ・・・?」
聞いた事がない怪我の名前だったため驚きの表情を浮かべたが
三玖「軽い捻挫みたいなものだって、監督が言ってた。」
三玖の言葉に
一花「・・・そっか。」
少しホッとした表情を浮かべた。
一花「それで、どのくらいで治るの?」
三玖「1~2週間安静が必要だって。捻挫もしっかり治さないと、癖が残って大変な事になるからって。」
一花「・・・そっか。」
三玖「それで、今日のお昼ジュンとその事で屋上で話して・・・」
そして、先程屋上であった事を全て話した。
三玖「・・・というわけ。」
一花「・・・そっか。」
すると
三玖「大丈夫・・・だよね。」
一花「三玖?」
三玖「ジュン・・・私の事・・・嫌いになってない・・・よね?」
三玖が更に涙を滲ませ、身体を震わせながら言った。
一花「当たり前だよ。ジュン君も、それくらいの事で嫌いになったりしないよ。三玖がジュン君の事を心配してたからこそ伝えたんだって事も分かってるはずだよ。」
一花「私がジュン君に言っておくから・・・ね?」
それを聞いて
三玖「・・・うんっ。・・・うんっ。」
三玖は涙が止まらなくなった。
一花「大丈夫・・・大丈夫だよ三玖・・・」
それを見た一花は、三玖を抱き締めて優しく囁いたのだった。
授業が終わった純は、野球部のバッグとバットケースを持って練習に向かった。とはいえ、純本人は練習には参加せず、ブルペンに入って自分以外の三人の投手陣の投げ込みの見学とそのアドバイスをするだけだった。
その道中
一花「やっ。」
一花に会ったため、下駄箱まで一緒に歩いた。
純「一花か・・・今日は勉強会参加すんのか?」
一花「うん。今日はお仕事お休みだからね。」
純「・・・そっか。」
一花「・・・三玖から全て聞いたよ。喧嘩しちゃったんだって?」
純「・・・っ。」
一花「何で、そんなに怒っちゃったの?」
純「・・・。」
一花「何で?」
純「・・・俺の不注意の怪我でチームに迷惑を掛けてしまったのが辛くて、上手くコントロールできなかったんだ・・・。」
一花の言葉に、純は申し訳ない表情を浮かべながらそう言った。
一花「・・・そっか。あの子ね、昔からあまり感情を表に出す子でもなかったし、自ら誰かのために動く子でもなかった。」
一花「けど、あの子は以前と比べて感情表現が豊かになったし、今回のようにジュン君の事を心配して自ら野球部の監督のところに行って感じた違和感を話した。」
純「・・・。」
一花「けど、あの子は今苦しんでる。それはね、伝えたことでジュン君を傷付けてしまったんじゃないか、嫌われちゃったんじゃないかってね。」
純「・・・っ。」
一花「分かってると思うけど、三玖の事責めないであげて。ね?」
そう言い、一花は純に諭すように言った。
純「・・・分かってるよ。アイツには感謝してるさ。それと同時に申し訳ねーって思ってる。今すぐにでも謝りてー気分だよ。」
一花「・・・フフッ。だってよ、三玖♪」
そう言い、一花は振り返った。
純「はっ?」
すると、柱の陰から三玖が控えめな感じで出てきた。
一花「それじゃあ、後はお二人で話し合ってね。それじゃ!」
そう言い、一花はその場を後にし、純と三玖が残った。
純「・・・っ。」
三玖「・・・っ。」
お互い、気まずそうな雰囲気を出していたが
純・三「「あのっ!」」
同時に声を出したため
純「何だ、三玖?お前から話しなよ。」
三玖「う、ううん!ジュンから話して!私は後で大丈夫だから!」
お互い譲り合った。
すると
純「・・・今日の昼、悪かった。」
三玖「えっ?」
純は頭を掻いて目を逸らしながら、三玖に謝罪した。
純「本当はスゲー感謝してたんだけど、センバツがかかってる大会で怪我をしてしまってチームに迷惑を掛けてしまった自分に腹が立ってて、気持ちに整理がつかなかったんだ。」
純「それで、お前にあんなヒデー事言っちまった。ホント申し訳ない。あんなの、ただの八つ当たりだよな。」
純「もう俺の事嫌いになっても構わねーから。その代わり、風の勉強会にはちゃんと参加してくれ。」
そう言い、純は三玖に謝罪した。
すると
三玖「・・・ぐすっ。」
三玖は両手で口元を抑えながら涙を流していた。
純「えっ!?み、三玖!?」
これには、純は慌てたが
三玖「・・・良かった。」
と三玖は言った。
純「えっ?」
三玖「良かった・・・ジュンに嫌われたんじゃないかって思ってた・・・。お昼からずっとジュンは目を合わせてくれなかった。隣同士なのに、すぐ手が届く距離にあるのに、凄く遠く感じた。良かった・・・」
そう言い、三玖は大粒の涙を流しながらそう言ったのだった。
三玖「あっ・・・」
それを見た純は、三玖の頭を優しく撫でて
純「もう泣くな。本当に悪かった。」
そう三玖に言ったのだった。
そして、三玖が落ち着くまで頭を撫でていたのだった。
暫くして
純「落ち着いたか?」
三玖「・・・うん。」
三玖は涙が止まって、落ち着きを取り戻した。
純「そっか・・・。そんじゃあ、俺は練習行って来るから。つっても、練習には参加しないで、他の投手陣の投げ込みの見学とアドバイスをするだけなんだけどな。」
三玖「・・・分かった。頑張って。」
純「ああ!勉強、頑張れよ!そんじゃあ、またな!」
そう言い、純は三玖の頭をまた撫でて、その場を後にしたのだった。
その後ろ姿を、三玖は顔を真っ赤にしつつも柔らかい笑みを浮かべながら見ていたのであった。
投稿出来ました。
今回も完全なオリジナル話で、早いけど仲直りさせました。
上手く書けたか分かりませんが・・・。
それでは、また。