五等分の花嫁と野球の天才   作:ホークス馬鹿

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30話です。


30話

三玖「ジュンのお父さんの・・・執刀医?」

 

二乃「交通事故って・・・」

 

純「そのまんまの意味だ。俺の親父はな、交通事故で亡くなってんだよ。」

 

それを聞いて、五つ子達は目を見開いて絶句した。風太郎は勿論知っていたため驚かなかったが、執刀医がマルオだった事に驚いた。

 

純「どっから話そうかな。まずは、俺が野球を始めたときから話そうか。」

 

そう言い、純は話し始めた。

 

 

 

 

 

ごく普通のサラリーマンと、母親との間に産まれた純。その家庭は、ごくごく平凡ながら笑顔に溢れて幸せだった。

そんな純が野球を始めたのは、小学2年生だった。

 

純「きっかけは、たまたまテレビを付けてやってたプロ野球を見てからだ。その時投げてたピッチャーが、斉藤○巳だったんだよ。あの人のピッチングがすげーカッコ良くて、そんな姿に目を引かれて、気が付いたら親父に野球をやりてーって言ったんだ。」

 

純「もしあの時、あの人のピッチングを見ていなかったら、俺は野球を始めてなかったと思うし、野球を好きになってなかったかもな。」

 

五月「そうだったんですね。」

 

純「ああ。俺と違って背も高くてイケメンだし、投げるボールもヤバくて、何よりバッターを打ち取った時の雄叫びがメッチャカッコ良かった。」

 

風太郎「斉藤○巳・・・かつての沢村賞投手か・・・」

 

四葉「上杉さん、知ってるんですか?」

 

風太郎「ああ。コイツに嫌という程野球を見せられたからな。」

 

純「はは。それは悪かったな。」

 

三玖「それが、ジュンが野球を始めるきっかけ・・・」

 

一花「その斉藤○巳って選手、今も現役なの?」

 

純「いや、この人怪我、特に肩の怪我に苦しんで、18年のプロ生活だったんだけど、表舞台で活躍できたのは、4年間だけだったから、もうとっくに引退したよ。」

 

一花「そうなんだ・・・」

 

一花(ジュン君の寂しそうな顔、初めて見た・・・。)

 

三玖「そんなに好きな選手だったんだね・・・」

 

純「ああ。けど、この人のファンになったことは全く後悔してねーよ。」

 

三玖「そっか・・・」

 

純「っと、話が逸れちまったな。それで、その人のピッチングを見て、野球を始めた。」

 

純「休みの日、ちょっとでも時間があれば、親父とキャッチボールをしてた。仕事が終わったら、いつも素振りなど見てくれた。それが、俺の原点だった。」

 

純「素振り用のバットが欲しいと言ったら、スポーツショップでバットを買えば良いのに、わざわざホームセンターで材料を買ってきて、手作りのバットを作ってくれた。」

 

純「親父が教えてくれたのは、野球だけじゃなかった。親父は、こんな事を言ってくれた。」

 

 

 

 

 

晋也(純の父)『純、父さんもな、悔しいこと沢山ある。でもな、決して挫けちゃいけない。決して下を向いちゃいけない。前を向いて堂々とするんだ。これから先どんなに辛いことがあっても、挫けるな。そして、母さんやお前を支えてくれる友達や周りの人達を大切にしろ。』

 

純『それって、風もなのかな。』

 

晋也『そうだ。風太郎君も、お前の事を大切に思ってくれてる。だから、決して挫けるな。』

 

晋也『これは、男同士の約束だぞ。』

 

純『分かった!』

 

 

 

 

 

 

一花「そうなんだ・・・」

 

二乃「良い・・・パパだったんだね・・・」

 

三玖「うん・・・」

 

四葉「挫けるな・・・か。」

 

五月「良いお父さんですね・・・」

 

風太郎「晋也さん・・・」

 

純「誰にでも優しく謙虚で、皆から好かれる人だった。」

 

そう言い、純も少し嬉しそうな顔をしたが

 

純「けど、俺と風の中学の入学式の数日前だった。あの日、親父はいつも通り仕事で家を出た。」

 

すぐに表情が暗くなった。

 

 

 

 

 

 

晋也『じゃあ、行って来るな。』

 

理恵(純の母)『行ってらっしゃい。』

 

晋也『うん。純も、今日の練習頑張れよ。』

 

純『ああ。』

 

晋也『じゃあ、行って来る。』

 

 

 

 

 

 

純「その何気ない会話が、親父の最後の記憶だった。」

 

純「その日、俺は小学校を卒業した後で、シニアチームに入って練習に加わっていた。」

 

純「練習時間が終わりに近付いたまさにその時だ。」

 

 

 

 

 

チームメイトA『じゃあなー、純!』

 

純『ああ!』

 

シニア監督『おい安達!俺と一緒に来い!お父さんが・・・お父さんが車に轢かれて病院に運ばれたって!』

 

純『・・・はっ?』

 

そして、純は監督と一緒に車に乗り、すぐ近くの中野総合病院へ向かった。

 

 

 

 

 

 

病院に到着すると、純の母親の理恵がいた。

 

純『母さんっ!』

 

理恵『純・・・』

 

シニア監督『容態は!』

 

理恵『かなり危ない状態で運ばれたとの事らしいです。私も先程来たばかりで・・・』

 

シニア監督『そうですか・・・』

 

それから30分後、手術中のランプが消え

 

ガラッ

 

中からマルオが出てきた。

 

理恵『先生!主人は!?』

 

すると

 

マルオ『・・・手は尽くしましたが・・・』

 

眉にしわ寄せた状態で、マルオはそう答えた。

 

理恵『ああっ・・・』

 

それを聞いた純の母理恵は、膝から崩れ落ちて泣き崩れた。

それを見た純は

 

純『テメエッ!』

 

泣きながらマルオの胸ぐらを掴んだ。

 

シニア監督『止めろ、安達!』

 

それを見たシニアの監督は、必死で純を掴んだ。

 

純『お前にちゃんとした腕があったら!もっとスゲー腕があったら!親父が助かったかもしんねーじゃねーか!』

 

それに構わず、純はマルオにそう泣き叫びながら言った。

 

理恵『止めなさい、純!』

 

すると、母の理恵は、泣きながらそう言った。

 

純『っ!』

 

理恵『そんな事しても、父さんは戻らないわ!』

 

それを聞いて、純は大人しくなり

 

純『アアアッ!!』

 

泣き叫んだ。

 

マルオ『すみませんでした・・・』

 

これには、マルオはただそれを言うしかなかった。

 

 

 

 

 

 

純「それから数日後、親父の葬式をやった。風、お前も勇也さんと一緒に来てくれたな。」

 

風太郎「ああ。その日のことは良く覚えてる。あの日、本当は理恵さんが喪主の挨拶をする予定だったってな。」

 

純「その日、母さんはずっと泣いていて、とてもじゃないが喪主の挨拶を務める状態じゃなかった。」

 

純「だから、俺が務めたんだ。」

 

 

 

 

 

親族控え室の中でも、純の母理恵はずっと泣き続けていた。そんな姿を見た周りの親族は、彼女を支えながら控え室を出た。

 

純『母さん・・・』

 

そんな姿を見た純は、ある決意を固めた。

そして、葬儀の時間

 

『ご参列していただいた皆様に、喪主よりご挨拶申し上げます。』

 

そして、純は立ち上がった。それを見た皆は、一同ざわついた。

 

勇也『純君が喪主・・・』

 

勇也『理恵さん・・・』

 

風太郎『純・・・』

 

これには、参加していた勇也と風太郎も同様で

 

マルオ(純君・・・)

 

マルオも目を見開いた。

そんな中、純は一礼して、マイクに近付いた。

 

純『親父。野球をやらせてくれて、教えてくれて、ありがとう。仕事が忙しいにもかかわらず、キャッチボールや練習の相手してくれて、ありがとう。スゲー楽しかった。』

 

そして、後ろを向いて、晋也の遺影を見て

 

純『親父。俺、プロになる。プロになって活躍して、母さんを守るから。だから・・・安心して見守ってて。』

 

そう真っ直ぐな目で言った。これには、一同の涙を誘い、普段冷静なマルオにも、目に光る物があったのだった。

 

 

 

 

 

 

純「・・・これが俺の過去だ。」

 

これには、五つ子と風太郎は、皆一同顔を俯かせた。

 

純「それ以来、マルオさんは親父の月命日になると、いつも墓参りに来てくれる。話を聞いたら、俺の親父とは学生時代の友人だとよ。」

 

一花「そうなんだ・・・」

 

二乃「・・・」

 

三玖「ジュン・・・」

 

四葉「安達さん・・・」

 

五月「安達君・・・」

 

風太郎「純・・・」

 

純「まあ何だ・・・そんなんで、俺とマルオさんの関係は続いてるんだ。暗い話で悪かったな。そんじゃあ、俺は帰るから、期末乗り切ろうな。」

 

気まずくなった純は、そう言い残して家を出たのだった。

 

 

 

 

 

 

純「まさか三玖にそんな事聞かれるとはな・・・。何か不思議な奴だな。あいつがいると・・・不思議と喋りたくなる・・・」

 

純(まあ、あの後続きがあるんだけどな・・・)

 

そう思いながら、純は葬式の後を思い出した。

 

 

 

 

 

葬式が終わって数日後、純は中学生になった。しかし、理恵はずっと塞ぎ込んだままだった。

 

純「母さん・・・」

 

その時

 

ピンポーン

 

純「誰だ?」

 

インターホンが鳴ったのでカメラを見ると

 

純「マルオさん・・・?」

 

マルオがいたため、玄関の扉を開けた。

 

マルオ「失礼するよ。」

 

マルオが入ってきた。

 

純「マルオさん・・・それと・・・」

 

しかし、マルオだけじゃなく、髪が長くヘッドホンを首に巻いている少女がいた。

 

マルオ「この子は僕の娘でね。名前は○○君と言って、君と同い年だよ。まだ他にも姉妹がいるんだけどね。お母さんと話す事があるから、純君は○○君と一緒にいなさい。」

 

そう言い、純はその子と一緒になった。

 

純「・・・なあ、キャッチボールしねえ?」

 

○○「・・・え?」

 

そう言い、純と○○はキャッチボールをした。

 

○○「・・・えいっ!」

 

純「そうそう!そんな調子!スゲーなお前!呑み込みはえーよ!」

 

○○「・・・そんな事無い。君が・・・教えるのが上手なだけ。」

 

純「んな事ねーって。お前がスゲーんだよ!」

 

○○「・・・ねえ。」

 

純「あ?」

 

○○「・・・辛く・・・ないの?」

 

純「何が?」

 

○○「・・・お父さんを亡くした事が・・・」

 

純「勿論辛いさ。けど、いつまでもウジウジしてるわけにはいかねーよ。」

 

○○「何で・・・?」

 

純「決して挫けるな。前を向いて堂々としろ。これは親父の遺した言葉だ。いつまでもウジウジしてたら、親父に怒られちゃうからな。だからだ。」

 

純「だから・・・ここから練習をして上手くなって・・・プロに行って活躍して稼いで、母さんを守るんだ。」

 

○○「・・・強いんだね。」

 

純「んな事ねーよ。お前だって、大人しそうな雰囲気出してんのに、意志が強そうな目してんじゃん。」

 

○○「え・・・?」

 

純「まあいいや。もしどこかで会えたら、そん時はお互い夢を叶えような。」

 

○○「・・・うん!」

 

その時

 

○○「○○~!」

 

純「ん?」

 

どこかで声がしたのでその方向を向くと○○と同じ顔をしたロングヘアの女子がもう一人いた。

 

純「お前の姉ちゃんか妹か?」

 

○○「ううん。私の姉。」

 

純「そっか・・・。」

 

○○「そんなところにいたんだ。お父さんは?」

 

○○「今お話中・・・」

 

○○「そっか・・・。所で、君がお葬式で挨拶した子だね。」

 

純「・・・まあな。」

 

○○「何してたの?」

 

純「見ての通り、キャッチボールだよ。○○、すぐ上達したから楽しくってよ!」

 

そう言い、純は端整な顔をはにかませた。

 

○○「そうなんだー。ねえ、私も入れてよ。」

 

純「良いよ。」

 

そして、純は新たに加わった○○にもキャッチボールを教えて、3人でキャッチボールをした。

 

暫くして

 

マルオ「待たせたね。」

 

マルオが話し終えたのか、そう言いながら現れた。

 

純「マルオさん・・・」

 

マルオ「それじゃあ純君。またどこかで。○○君、○○君、行くよ。」

 

○○「・・・うん。」

 

こうして、純とマルオ、そして○○と○○は別れたのだった。

 

 

 

 

 

 

純(あの時のキャッチボール、ちょっと楽しかったなぁ・・・)

 

純(あいつ・・・覚えてっかな・・・)

 

そう思いながら、純は家に着いた。

この後、純と五つ子達は暫く気まずかったが、すぐに改善されたのであった。




投稿出来ました。

かなり長くぐちゃぐちゃした内容になりました。

読みにくかったら申し訳ございません(土下座)

それでは、また。
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