冬の寒空に落ち葉が舞う。
約束通り駅伝大会に出場した四葉は、陸上部を優勝に導いた。
そして、二学期の残りの授業が終わり、12月22日に終業式を終えた。
純達野球部も、終業式と同時に冬合宿を始めた。
その2日後の24日。
ピピピピッ
純「んっ・・・」
スマホのアラーム音に純は目を覚ました。
純「ふぁあ~。」
そして、あくびしつつ、着替えた。
そして、外に出てメンバーと合流し、朝のランニングを始めた。
その後、サーキットトレーニングを初め、素振りを行い、朝の10時に朝飯を食った。
純(やはり・・・朝から見ていたが1年にはこの合宿は堪えるだろうな・・・かく言う俺も、去年は死ぬかと思ったがな・・・)
その際、純は飯を食いながら1年の様子を見ていたら、まだ2日目ながら少し疲れている1年を見てそう思ったのだった。
食後、午後の1時から内外野のノックを始め
3年生「サード!」
チームメイトA「お願いします!」
午後の3時からはフリーバッティングを始めた。
純「んっ!」
カキーン!
純「ふっ!」
カキーン!
チームメイトB「おおーっ!相変わらず気持ち良く飛ばしやがんなー、純は!」
純「はは!お前ほどじゃねーよ!」
そして、午後の5時になり、日が落ちた。そこからは、地獄のランメニューだ。
純達は5キロの重りを持って走る。
西辺「背中を曲げるな!頭を上げろ!」
その後も地獄の練習が続き、午後の7時に晩飯を食った。
晩飯を済ませた後、再び各班に別れ、ウェイトトレーニング、ロングティーを行った。
純「ふぅー。」
ウェイトトレーニングを終え、少し風に当たっていた純。
その時
??「すみません。」
純「はい。・・・えっ?」
声をかけられたので振り返ると、五つ子と風太郎がいた。
純「お前ら・・・」
五月「図書室で勉強していたらこんな時間になってしまったので、家まで送って欲しいのですが。」
純「はぁ!?んなの、風がいるんだからコイツに頼めば・・・」
その時
西辺「安達。彼女らを送ってあげなさい。」
後ろから西辺監督が純にそう声をかけた。
純「し、しかし監督・・・!」
西辺「安達。」
西辺監督の一押しに
純「・・・はぁ。分かりました。」
純も折れ、五つ子達を送った。その途中、クリスマスケーキを買い、そのケーキを作ってるお店は、風太郎がバイトで働いている所だった。
暫く一緒に歩いていたら
純(ん?コイツらの家はここじゃねーだろ・・・てか、何で風はそれを言わねーんだ?)
何故か川沿いの堤防の低い部分であり、タワマンとは別の方向に歩いていた。これに風太郎は何も言わない事に疑問を抱いた。
純「おい、お前らの家はこっちの道じゃねーだろ。」
しかし
一花「違うよ~。」
三玖「こっちこっち。」
一花と三玖はそう言い、歩き続けた。
純「あのさ・・・黙って去った事は悪かった。だがもう俺は、お前らと一緒に・・・」
すると、不意に五つ子と風太郎が足を止め、五月が
五月「見て下さい。」
と履歴書を差し出した。
五月「この人が新しい上杉君のサポート役です。安達君に見せておきたくて。」
純「ふーん・・・意外と早く決まったんだな。」
風太郎「まあな。」
純「見た目はアレだけど、東京の大学出身で、元教師。良いんじゃねーか。」
すると、二乃が前に出てきて
二乃「それで良いの、安達君!?」
そう純に言った。
純「・・・俺はコイツを上手くサポートしてやれなかった。だったら、プロに任せるのが正解だ。これ以上、お前らや風に迷惑を掛けられんねー。」
すると
ギュッ
純「二乃?」
二乃が純の手を優しく握って
二乃「私ね・・・コイツの身勝手でしたくもない勉強をさせられて、本当に嫌だったわ。」
風太郎「おい!」
二乃「必死に暗記して公式覚えて・・・でも、問題解けたら嬉しくなっちゃって・・・。それに・・・どんな時でも一緒にいて励ましてくれた君がいたから、ここまで来れたの。」
そう二乃は言った。そして
二乃「ここまで来れたのは、全部君のお陰!最後まで私達をサポートしてよ!」
二乃は顔を上げて真っ直ぐな目で言った。
風太郎「コイツの意見に同感だ。お前がいたから、俺はここまでやれたんだ。だから、戻ってくれ。」
純「・・・そこまで思ってくれて、本当にサンキュー。けど・・・もう俺は戻れねー。マルオさんに、もう二度とあの家には入らないように約束した。」
そう言う純に
一花「それが理由?」
と一花が聞いてきた。
純「ああ・・・早く行くぞ。」
そう投げやりに言うと
一花「もう良いよ。」
と一花がそう言った。
一花「家まで送ってくれて、ありがとう。」
純「いや、まだ・・・」
一花「ここだよ。」
そう言い、指差した場所は
一花「ここが私達の新しい家。」
川の堤防の上の道沿いに建っている、庶民的な二階建てのアパートだった。
純「は・・・?どういう意味だ・・・」
風太郎「一花が借りたんだ。」
一花「私だってそれなりに稼いでるんだから。今日から私達はここで暮らす。これで障害はなくなったね。」
純「嘘だろ・・・。たったそれだけのために・・・風、お前も関わってんのか?」
そう呆然としながら言った。
風太郎「まあな・・・」
その時
四葉「いつか、言いましたよね?大切なのは、どこにいるかではなく・・・」
四葉が手に持った五枚のカードを見せ
四葉「五人でいる事なんですっ!」
言うなり、川に向かって高く放り投げた。
純「マンションのカードキー!?」
それを見た純は、咄嗟にキャッチしようとしたが、堤防のへりでつるっと足を滑らせてしまい
ドボン!
川に落ちてしまった。大きな水しぶきが上がり、周囲に泡が立つ。
冷たい水の中で目を開けた純は、そこに信じられないものを見た。
純「っ!?」
純を囲むようにして、五つ子と風太郎がいた。
純「ぷはっ!・・・お前ら!」
純に続いて風太郎、五月、そして三玖が水面から顔を出した。
風太郎「馬鹿野郎!全員で飛び込んでどうすんだよ!」
五月「す、すみません・・・!」
三玖「ジュン!!大丈夫!?」
そんな中、肩まで水に浸かりながら、三玖が川の中を純に向かって歩いてくる。
三玖「たった二回で諦めないで欲しい・・・!今度こそ、私達はフータローと出来る!けど・・・それはジュンがいないと駄目なの!ジュンが・・・いないと・・・!」
そう、三玖は震える顔を近づけて、必死で純に訴える。
純(コイツら・・・)
その三玖の気持ちのこもった訴えに、純は目を見開いた。
その時
四葉「二乃っ、どうしたの!?」
四葉の緊迫した声に振り返ると
二乃「つ、冷たくて・・・体が・・・!」
二乃が手をバシャバシャさせて溺れかけていた。
純「二乃っ!」
叫ぶが早いか、純は体を翻し、二乃を抱き抱えた。
そして、片手で二乃を抱き抱え、もう片方の手を川岸の堤防に手をかけた。
純「上がれるか・・・?掴んでろ。離すんじゃねーぞ。」
純の顔が、息がかかる程すぐ近くにあるからか、寒さに青くなっていた二乃の顔が赤らんだ。
二乃「うん・・・」
二乃は、純の肩をギュッと掴んだ。純は、二乃の体を力強く抱えて堤防に這い上がった。
純「お前ら・・・後先考えて行動しろよ・・・。風もだ。」
風太郎「す、すまん・・・」
四人に二乃を預けた純は、深く息をついて言った。
純「何か、お前らに配慮するのも馬鹿らしい・・・。」
そう言った純は、先程五月が見せた履歴書を真っ二つに引き裂き
純「俺も出来る限りサポートしよう。最後までな。」
そう吹っ切れたように言った。それに、一花、三玖、四葉、五月、そして風太郎が笑顔で応えた。
そんな中
二乃(駄目・・・こんな気持ち・・・抱いちゃ・・・駄目・・・!)
一花に寄りかかった二乃は、うるさいくらいに高鳴る胸を必死に抑えていた。
一花「そうと決まれば、早く家に入ろ!」
五月「あ!ケーキは無事ですか?」
風太郎「あっ!」
これに
一花「大丈夫!」
一花はケーキの箱を見せた。
純「けどさ、俺と風が入ったら、五等分出来ねーんじゃねーか?」
風太郎「そうだな。どうすんだ、お前ら?」
それを聞いた五つ子達は顔を合わせると、明るい笑い声を上げたのだった。それは、まるでサンタクロースからとびっきりのプレゼントを貰った子供のような、幸せ一杯の無邪気な笑顔で・・・。
投稿出来ました。
原作とアニメを見て、アレンジして書きました。
違和感感じたらお許しを(土下座)
また、活動報告にてお聞きしたいことがありますので、時間があればで良いので、見ていただけるとありがたいです。
それでは、また。