和室を隅っこに、五つ子達は顔を寄せ合いヒソヒソと相談を始めた。
二乃「どうする?安達君とアイツ、気にして無さそうだったけど・・・」
四葉「でも、このままじゃ悪いよ・・・上杉さんはともかく、私達の我儘に安達さんを巻き込むのは・・・」
三玖「何かしてあげたい・・・」
一花「お父さんには出来るだけ頼りたくないしね。」
五月「とはいえ、私達が彼らにしてあげられる事って、何があるのでしょう・・・」
五月の言葉を受けて、全員がうーんと上を向いて考える。その頭上には、四葉以外の四人は先程のドラマのキスシーンが浮かんできた。
四葉は、一等賞の手作りメダルという幼稚園レベルの物だった。
・・・てか、何で手作りメダル?
五月「ふ、不純です!」
これに、五月は慌てて頭上を手で振り払ったが
二乃「アンタも同じ事考えてたでしょ?」
と二乃に突っ込まれた。
一花「あはは・・・それでジュン君とフータロー君が喜ぶとは思えないけど。」
そう大人ぶる一花に
二乃「分からないわよ?女優なら、ほっぺにくらい出来るんじゃない?」
二乃がそう揺さぶりをかけた。
一花「じょ、女優を何だと思ってるの!で、でも、そういう事なら、三玖の方が・・・!!」
ドキマギしているのを悟られまいと、一花が三玖に話を振った。
三玖「私・・・!?私が・・・ジュンに・・・」
すると、三玖の意識が遙か遠く、宇宙空間を彷徨った。
三玖『ジュン・・・チュッ。』
三玖の唇が、純のほっぺに軽く触れると
純『三玖・・・その先を・・・俺と一緒に・・・』
純が三玖を優しく抱きながら言った。
三玖『えぇえええーっ!?』
その先は・・・。
三玖「だっ、ダメだよ、ジュン・・・。あっ、でも・・・良い・・・でも・・・このままじゃ、私・・・」
妄想が爆走し、体育座りしたタイツの爪先をモジモジさせながら、三玖は身悶えていた。
・・・中々凄い妄想力だな。
二乃「アンタが止まりなさい!」
これに、二乃の鋭い突っ込みが飛んだ。
四葉「あのー・・・皆、何の話してるのー?」
四葉だけ、蚊帳の外だった。
そんな四葉をスルーし
五月「無難に料理で良いのではないでしょうか?二乃も得意ですし。お菓子でも作ってあげましょう。」
すると、二乃の肩がピクンと震えた。
実を言うと、家出して純の家に居候した時、キッチンを借りて純の為にシュークリームを作った事があった。
それを食べた純から
純『スゲー美味ー!!マジ疲れ吹っ飛ぶわ!!』
と言われ、荒れてた心が癒やされたのだ。
それを思い出したのだろう
二乃「・・・うん・・・」
二乃(ダメ・・・ダメだよ・・・これ以上安達君との思い出を・・・思い出したら・・・)
二乃は切ない表情を浮かべ、それを五月は不思議そうに見た。
一花「取り敢えず、正直に事情を話そっか。」
そう言い、一花が立ち上がってドアを開けると
純「おお、一花。ちょうど良い。」
純が立ち上がってそう言い
純「ちょっと動かないで。」
鼻と鼻が触れんばかりに顔を近づけ、じーっと一花の顔を見つめた。
一花「えっ・・・ちょ、何・・・やめっ・・・」
すぐ目の前に純の端整な顔があり、まじまじと一花の顔を見つめていた。
その際、再びドラマのキスシーンが頭をよぎり、受け入れるべく一花は目を閉じた。
純「やっぱこれじゃね?」
風太郎「こっちじゃないのか?」
らいは「私はこっちだと思うなー。」
その時、純は一花の前から去って、こたつで風太郎とらいはと一緒に五つ子福笑いを再開していた。
純「ああ、一花。突然で悪かったな。」
その際、驚かせて申し訳ないというポーズを取って純は一花に謝罪した。
四葉「わぁー!遊んでくれてるんですね!」
それを見た四葉は、大喜びで駆けていき
純「二乃もどうだ?」
二乃「え?う、うん・・・そうね。」
二乃も純に呼ばれ、駆けていった。
一花は、突然の事に脱力し膝から崩れ落ち、三玖と五月が両脇から咄嗟に支えたのだった。
らいは「ルール変わっちゃったけど。」
純「こりゃあ、モンタージュ写真作成だな。」
二乃「フフッ・・・そうね。あっ、安達君。」
純「ん?」
二乃「ほっぺにクリームついてるわよ。」
すると、二乃が純の頬についていたエクレアのクリームを唇に押し当ててペロッと舐め取った。
この時、姉妹達に驚愕が走り
風太郎「・・・っ!?」
らいは「じ、純さん!?二乃さん!?」
風太郎も思考停止し、らいはに至っては少々刺激の強すぎる光景だ。
純「おい、二乃・・・」
流石の純も、驚きのあまり頬に手を当てて見開いたままだった。
二乃「ご、ごめんなさい!!つい咄嗟に・・・!!い、い、今のをコイツのサポート役のお礼という事で・・・」
その背後では
三玖(二乃・・・もしやとは思ってたけど・・・)
二乃(何か殺気が!)
三玖がドス黒いオーラを発し、二乃は冷や汗をかいて青ざめていた。
純「は?お礼・・・?」
風太郎「何の事・・・?」
この疑問に
五月「その件ですが、今の私達では十分な恩返しを差し上げられない状況でして・・・」
五月が答えた。
純「成程・・・それでお前らの様子がおかしかったのか・・・」
風太郎「合点がいった。」
純「俺がやりたくてやってんだ。んな事気にすんじゃねーよ。」
そう立ち上がって、純は五つ子らに言い
五月「安達君・・・」
純「風。お前も、いつも通りやりてーようにやんな。」
風太郎にもそう言った。
風太郎「ああ。ただしお前ら、純にはちゃんと出世払いするんだな。」
しかし、風太郎はそう爽やかに言い放った。
純「お、おい風・・・!」
風太郎「そうでもしないと、見合わないだろうが!」
風太郎「紙にしっかり書いとけよ!一人一日五千円純に払うんだぞ!一円たりともまけねーからな!」
二乃「そういや、コイツはこういう奴だったわね・・・」
これには、五つ子達はしらーっとなり
純「・・・はあ。ったく・・・」
純も頭を掻き、幼馴染の変わらぬ姿勢に呆れるしかなかったのであった。
投稿出来ました。
上手くアレンジできたかな・・・?
それでは、また。