五等分の花嫁と野球の天才   作:ホークス馬鹿

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48話です。


48話

無言でマルオの背中を佇みながら見ている五月と四葉の所に

 

風太郎「行ったか・・・」

 

風太郎が歩いてきた。

 

五月「上杉君!?見ていたのですか?」

 

純「俺達もだよ・・・」

 

二乃「私もよ・・・」

 

五月「安達君・・・二乃・・・」

 

これに五月は驚き立ち上がった。

 

二乃「想像通りの手強そうな親父だったな。」

 

純「あれがマルオさんだよ。」

 

二乃「ええ。あの人が言ってる事は正しいわ。私達がここまで成長出来たのもパパのお陰。当然、感謝してるわ。」

 

二乃「・・・けど、あの人は正しさしか見てないんだわ。」

 

そう、二乃は非難の眼差しをマルオの帰っていった方に向けて言った。

 

風太郎「しかし、転校なんて話が出てくるとは、責任重大じゃねぇか。」

 

これに風太郎は、やれやれといった感じで首筋に手を当てた。

 

五月「我が家の事情で振り回してしまって、申し訳ありません・・・」

 

四葉「転校・・・したくないね。」

 

五月も四葉も、しゅんとしてしまっていた。

 

純「風。お前、どうすんだ?」

 

純は、風太郎にそう聞くと

 

風太郎「そんなの、決まっているだろう。俺は俺のやりたいようにやる!転校の条件とか、家の事情も、コイツらの事情もどうでも良い!」

 

風太郎「この手で全員揃って笑顔で卒業!それだけしか眼中にねぇ!」

 

そう、拳を握りしめ鬼気迫る顔で言ってのけた。

 

純「・・・ふっ。」

 

これに、純はクールな笑みを浮かべ

 

五月「・・・頼もしいですね。」

 

五月は嬉しそうに言った。

他の二人も、同時にフフッと笑ったのだった。

 

 

 

 

 

そして・・・それから二ヶ月が経った三月初頭。期末試験当日を迎えた。

 

三玖(この試験で目指すのは、赤点回避だけじゃない。他の姉妹にも負けない・・・あの日、そう決めたんだ。)

 

三玖には、心に秘めた決意があった。

それには、一月上旬まで時を遡る。

 

 

 

 

 

 

四葉「冬休みも終わっちゃったね。」

 

二乃「アンタ達のクラスも進路希望調査貰った?」

 

三玖「何書けば良いか分からない。」

 

四葉「一花はすぐ書けるね。」

 

一花「うーん、まだ学校に言ってないんだよね。」

 

五つ子達は、こたつを囲んで卒業後の進路を話していた。

すると

 

純「うーっす。」

 

風太郎「よーしお前ら、今日も授業始めるぞ。」

 

純と風太郎が現れた。

それと同時に

 

五月「やりましょう・・・是非やって下さい!!」

 

五月「そして確かめて下さい!!試験突破に何が必要なのかを!!」

 

五月が前のめりに迫りながら風太郎に言った。

 

風太郎「お、おう・・・乗り気なのは助かる。とにかく授業だ!目指せ30点超えだ!」

 

そう力強く宣言した。

 

純「それと三玖・・・まさか今日もなのか?」

 

すると、純が少しげんなりした感じで三玖に言うと

 

三玖「うん。今日も持ってきた。」

 

三玖は、種類の違う市販のチョコレートを数種類持っていた。

 

二乃「あら、ちょうど甘い物が食べたかったの。」

 

チョコを見た二乃は、そう手を伸ばしながら言うと

 

三玖「二乃にはあげない。」

 

と言われ、背を向けられた。

 

二乃「はぁ?独り占めしないでよ。」

 

そう文句を言った二乃だが

 

三玖「しないよ、まだ。」

 

三玖は目を潤ませ、はにかんだ笑みを見せながら言った。

こんな三玖の表情を初めて見た二乃は、ハッと口をつぐんでしまった。

 

三玖「って事で全部食べて感想教えて。」

 

そう言い、三玖は純にチョコを押し付けた。

 

純「い、いや・・・マジ今日は勘弁してくれよ。チョコ好きだけど・・・」

 

これに、流石の純も少し困惑した表情を見せた。

この三玖のいつになく積極的な様子を見た一花は

 

一花(あ、そっか・・・)

 

何かを察したのだった。

その日の深夜

 

シャカシャカシャカ

 

三玖は台所である物をボウルに入れてかき混ぜていた。

すると

 

一花「まだ起きてたんだ。」

 

寝室から、一花がシャツを羽織りながら出てきた。

 

三玖「一花・・・起こしてごめん。」

 

一花「どう、調子は?そろそろジュン君の好みを把握してきたんじゃない?」

 

三玖がかき混ぜているのはチョコレートだった。

 

ここ最近純にチョコを食べさせているのは、二月十四日のバレンタインに向けて好きな味を調べ、料理が得意ではない三玖は今から特訓しているためだ。

 

三玖「気付いてたんだ・・・私はジュンと違って甘いの苦手だから、よく分からなくて・・・試作品を作ってるんだ。」

 

そう言われ、一花はボウルを覗くと、中のチョコからドクロマークが出ていた。

・・・つーか、普通ドクロマーク出てくるものなのか?

 

一花「えーっと・・・ドクロマーク出てるけど・・・」

 

これに、一花がそう三玖に言うと

 

三玖「これは大丈夫な方のドクロマーク。」

 

三玖はそう返した。

・・・大丈夫って何?

 

一花「大丈夫な方とは・・・?」

 

一花、良く突っ込んだ!

 

一花「もっとシンプルなレシピで良いんじゃない?溶かして固めるみたいな。」

 

これに、一花はそう三玖に提案したが

 

三玖「・・・。」

 

三玖は顔を曇らせて黙り込んでしまった。

三玖は、純に特別な心のこもったチョコを贈りたいのだ。

その気持ちが良く分かる一花は

 

一花「うーん・・・私も料理の腕はイマイチだしなぁ・・・」

 

考えを巡らした。

すると何か閃いたのか

 

一花「あ、そだ。私の知り合いに料理上手な人がいるんだ。」

 

三玖「え?」

 

一花「その人に教えて貰いなよ。」

 

そう三玖に提案したのだった。

それから、期末試験の勉強を皆と共にやったりした。

そして一月下旬・・・

 

純「おい、部長が現れたぞ!」

 

「お、○だってよ!」

 

純「ッシャー!!」

 

「おい、キャップ!あれやろうぜ!」

 

「分かった分かった!」

 

「せーの!」

 

「「「よっしゃー!!!」」」

 

旭高校は4年ぶり23回目の選抜出場を決め、純ら野球部は揃って帽子を投げたのだった。

その日の夜

 

「「「選抜出場おめでとう!!!」」」

 

五つ子達がすんでるアパートで、風太郎と五つ子達は純の選抜出場を祝った。

 

純「サンキュー!」

 

風太郎「また甲子園で暴れろよ!」

 

純「わーってるよ!」

 

一花「応援してるね!」

 

純「ああ!」

 

二乃「今日は沢山食べてね!」

 

純「・・・この金はどっから?」

 

三玖「おめでとう、ジュン。はいこれ。」

 

純「・・・お、おう・・・サンキュー。」

 

四葉「精一杯応援しますね!」

 

純「ああ!」

 

五月「頑張って下さいね!」

 

純「バリバリ暴れまくるわ!」

 

そして、その日はお祝いパーティーで盛り上がったのだった。

それから二月に入り、勉強も佳境を迎えた。

そんな中、三玖はチョコレート作りに勤しんでいたが

 

ボンッ

 

ボロボロの黒い物体からドクロマークの煙が立った。

 

三玖(これなら・・・ジュンも食べてくれるかな・・・)

 

・・・ドクロマークが出てる物が食えると思っているのか、三玖。

 

三玖(一花の顔が広くて良かった。今日が約束の日だけど、料理上手な人ってどんな人なんだろう・・・)

 

そう思いながら待っていると

 

ガチャ

 

誰かがやって来て目を向けると

 

二乃「あれ?一人で何してんのよ?」

 

二乃がやって来た。

 

三玖「二乃・・・今日は学校で勉強会のはずじゃ・・・」

 

二乃「一花に呼ばれて戻ってきたのよ。」

 

この回答に

 

三玖「え・・・一花の言ってた人って・・・」

 

三玖は何か察した。

その時

 

ガンッ

 

外から何かぶつかる音がして

 

二乃「何よ今の・・・?」

 

三玖「?」

 

思わず手を取り合った。

暫くして特に何も無かった二乃は台所にある三玖の手作りチョコに目を向けると

 

二乃「何これ?美味しくなさそうだし、滅茶苦茶じゃない。こんなのあげて誰が喜ぶのよ。」

 

二乃「アンタは味音痴と不器用のダブルパンチなんだから、大人しく市販のチョコ買ってれば良いのよ!」

 

そうぼろくそにこき下ろし、小馬鹿にして笑いながらチラリと三玖の様子を窺ってみた。

これに、いつもならムキになって言い返してくるだろうと思ったら

 

三玖「うるさい・・・」

 

目に涙をいっぱいに溜め、消え入りそうな声を出していた。

 

二乃「ヒッ・・・!」

 

これには、流石の二乃も言い過ぎた事に気付いて、顔を青ざめ

 

二乃「で、でも料理は真心って言うし、手作りに意味があるのよね。私だって失敗する事だってあるわ。それに、少し下手っぴの方が愛嬌あるし、これなんて虫っぽくて可愛いわ。」

 

超早口でフォローした。

・・・全然フォローになってないが。

 

三玖「・・・ジュンは私の料理を食べてくれない・・・。心当たりはある・・・私が不器用なのも知ってる・・・。だけど作りたい・・・思わず食べたくなるようなチョコを・・・」

 

そう言うと三玖は

 

三玖「教えて下さい、お願いします。」

 

深々と二乃に向かって頭を下げた。

 

二乃「・・・。」

 

この三玖の熱い思いに言葉を無くした二乃。

すると、調理台の上にある三玖の作ったチョコに向き直り

 

二乃「油分と分離してるわ。湯煎の温度が高いのね。それに、生クリームを冷たいまま使ったでしょ?舌触り最悪・・・。っていうか、それ以前の問題がありすぎるわ。全く・・・面倒くさいわ。」

 

そう厳しく指摘した。

それを、頭を下げたまましょんぼり聞いてる三玖。

すると

 

二乃「準備しなさい。」

 

二乃はそう三玖に声をかけた。

それを聞いた三玖は

 

三玖「・・・うん!」

 

驚いて顔を上げ、嬉しそうな笑顔で元気よく返事をすると、二乃と並んでボウルと泡立て器を手に取った。

そんな三玖の様子を見た二乃は

 

二乃「ほんと・・・面倒な性格だわ。」

 

とフッと笑みを浮かべながらそう呟いたのだった。

そして、十四日の朝。

 

三玖「ふぁぁ・・・」

 

三玖が寝乱れたパジャマ姿のまま出てきた。

 

三玖(チョコ作り・・・朝までかかっちゃった。)

 

そこに

 

五月「あ、三玖。おはようございます。」

 

風太郎「お前も二乃も何時まで寝てんだ。」

 

純「まあそう言うなって。」

 

五月と風太郎、そして純がいた。

 

三玖「フータロー。それにジュン、来てたんだ・・・」

 

これに、三玖は目を逸らし

 

三玖「来るなら言って欲しかった。でも、ちょうど良い。」

 

ずり落ちたパジャマの肩を押さえながら台所に目を向けて言ったが

 

三玖「・・・あれ?」

 

台所に置いてあったチョコが、皿に痕跡だけ残して無くなっていた。

 

三玖「ここにあったチョコは・・・?」

 

この疑問に

 

純「それか・・・悪ぃな、先に食っちまった。」

 

純はそう言いながら立ち上がり

 

純「ちょっと苦かったけど、俺には好みの味だった。美味かった。」

 

そう端整な顔に笑みを浮かべながら言った。

その一言で、三玖の世界が一瞬で輝きだし、頬を赤く染めた。

 

三玖「あ、ありがと・・・そのチョコなんだけど・・・」

 

これに、三玖は何か言おうとしたが

 

純「んじゃあ、俺ちょっと走ってくるわ。」

 

純は三玖の言葉を遮り頭を優しく撫でると、玄関に向かった。

これに三玖は

 

三玖「むぅ・・・」

 

頬を膨らませたが、残さず全て食べてあるチョコの皿に触れると

 

三玖(私、頑張るから・・・見ててね、ジュン。)

 

そう微笑みながら心の中で呟いたのだった。

その日の夕方

 

一花「うー、さむさむ・・・」

 

一花がマフラーに顔を埋めながら階段を上っていた。

するとその上に

 

三玖「一花、お仕事お疲れ様。」

 

三玖が待っていた。

 

一花「何してるの?っていうか、今日はどうだった?」

 

これに、一花は笑顔で聞きながら階段を上りきって三玖の横に立った。

すると

 

三玖「一花は・・・ジュンにチョコあげないの?」

 

と聞かれた。

これに

 

一花「ど・・・どうしたの急に・・・」

 

一瞬ドキッとしたがすぐに笑って誤魔化し、目を逸らし

 

一花「ジュン君、クールでイケメンだから色んな女の子から貰っていそうだし、お姉さんも買ってあげてみようかなと思ったけど・・・三玖があげるなら安心だね。」

 

そう言い視線を戻すと

 

三玖「安心って、何が?」

 

眼前に三玖の顔があった。

そう言うと、三玖は一花から離れて

 

三玖「ジュンは何を考えているのか分からないけど、誰よりも格好良くて優しい人。」

 

三玖「だから決めた。この期末試験で赤点回避する。しかも、五人の中で一番の成績で・・・。そうやって、自信を持って・・・ジュンに好きって伝えるんだ。」

 

そう、決意を込めた表情を浮かべて言った。

そして、月日が流れ試験を迎え、全てが終了し結果が返ってきた。

 

三玖(私は一花を待ってあげない。全員公平に・・・早い者勝ちだから。)

 

その結果を見て、三玖は少しはにかんだのであった。

 

中野三玖、合格。

大変良く出来ました。




投稿出来ました。

長々と空けてしまい、大変申し訳ございません!!

中々頭に思い描いたのが文章に出来ず、ここまで空いてしまいました!!

本当にすみません(土下座)

少しずつですが、投稿出来るよう頑張ります!!

それでは、また!!
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