PENTAGON
二乃「・・・。」
タワーマンションの玄関で、二乃はマルオの帰りを待っていた。
二乃(駄目・・・思い出しちゃ・・・駄目・・・)
そう思えば思うほど、純の顔ばかり思い浮かんでしまう二乃。
二乃(彼は私の事なんて・・・だから、彼にはもう・・・会わない・・・)
そう思っていると、二乃の前に車が停まり、後部座席のドアが開いて出てきたのは
マルオ「帰ってきたか、二乃君。」
マルオだった。
二乃「パパ。その『君』付け、ムズムズするからやめてって言ってるでしょ。」
マルオ「悪かったね。先程全員赤点回避の連絡貰ったよ。君達は七人でやり遂げたわけだ。おめでとう。」
すると、マルオがそう二乃を褒めた。
これには
二乃「あ、ありがとう・・・」
二乃も戸惑いを隠せなかった。
マルオ「どうやら上杉君を認めざるを得ないようだ。だから明日はこの家で彼と純君と一緒に・・・」
そう言ってる途中
二乃「安達君とはもう会わない。」
二乃が言葉を遮り
二乃「それと・・・もう少し新しい家にいる事にしたわ。」
と真っ直ぐ見つめて言った。
マルオ「何だって・・・?」
二乃「当然、一花にだけ負担はかけない。私も働くわ。自立なんて立派な事したつもりはない。正しくないのも十分承知の上。でも、あの生活が私達を変えてくれそうな気がする・・・少しだけ前に進めた気がするの。」
そう、マルオに真っ直ぐな気持ちを言った。
しかし
マルオ「・・・理解出来ないね。前に進むなんて抽象的な言葉に何の説得力も無い。」
そう冷徹に返し
マルオ「君達の新しい家とやらを見せて貰ったが・・・」
いつの間にか今住んでる家を見に行ったのか、そう言うと
二乃「え・・・?」
二乃は驚きを隠せなかった。
マルオ「僕には寧ろ逆戻りに見えるね。五年前までを忘れたわけではあるまい。」
二乃「・・・っ。」
マルオ「もうあんな暮らしは嫌だろう?いい加減我儘をかけ純君に・・・」
そう、二乃がマルオに圧倒されていっているその時
キキーッ
後ろからの何かのブレーキ音が聞こえ、それと同時にライトが二乃とマルオを照らす。
二乃「何・・・?」
眩しそうに目を細めたその先には、一台の自転車が現れ目の前で停まった。
その者は
純「やっぱここにいたか、二乃。けーるぞ。」
純だった。
二乃「え、えっと・・・!?何それ!?」
これには、二乃も頭が追い付かなかったが
純「四の五の言わずに早く乗れ。風のバイトが始まる前に帰んなきゃなんねーんだ。」
そう有無を言わさずに純は後ろを指差した。
すると
マルオ「二乃・・・これ以上彼を巻き込んじゃいけない。こちらに来なさい。」
マルオが二乃に手を差し出した。
マルオと純の間で板挟みになった二乃だが
二乃「・・・パパ、私達を見てて!」
強い眼差しで言うと、純の乗ってる自転車の後ろに跨がり
二乃「行って。」
そう言った。
純「・・・マルオさん。ちょっと二乃を預かりますわ。」
と純はそうマルオに言い、自転車を走らせたのだった。
それを見たマルオは
マルオ「・・・江端。めでたいことに娘達全員、試験を突破したらしい。僕は笑えているだろうか。」
江端にそう尋ねると
江端「勿論でございます。」
と江端は答えた。
それを聞いたマルオは
マルオ「そうか・・・父親だからね。それに、純君は僕にとって、『息子』同然だからね。」
冷徹な顔を少し崩したような表情を浮かべていたのだった。
夜の道路で自転車が疾走していた。
二乃「・・・君にはサヨナラって伝えたんだけど。」
そんな中、二乃が後ろで純にそう言うと
純「馬鹿野郎。勝手に自分で決めてんじゃねーよ。」
純「確かに、あの馬鹿の家庭教師の仕事も一区切りになった。つまり、もうアイツと俺は用済みになる。」
純「けどな、んな別れ方しちまったら、大切な何かを失っちまうだろーが・・・」
二乃「っ!」
純は、そう二乃に諭すように言った。
純「んな事より、しっかり掴まれ。って俺ちょっと必死こいてチャリ漕いでたから、汗くせーかもしんねーけど。」
純は、二乃に気を遣ってそう言った。
それを聞いた二乃は
二乃「・・・別に良い。」
そう言って純にくっついた。
二乃(心臓の音・・・凄い・・・相当必死に漕いでたんだ・・・こうなるまで・・・)
そう思うと、どんどん思いが募っていった。
すると
純「・・・でも、やっぱ寂しくなるな。」
背中越しから少し切なそうな声が聞こえたが
純「けど、こういった経験も何かに繋がるんだろうな。」
と、二乃に言った。
二乃「っ!」
そんな声を聞いた二乃は
二乃「君はずっとそうだったね・・・何があってもいつも私達を励まし支えてくれて・・・いつも優しかったし・・・」
二乃(もう会わないって・・・忘れようって・・・決めたのに・・・駄目・・・思いが・・・溢れちゃう・・・!)
二乃(駄目なのに・・・もう・・・我慢出来ない・・・!)
胸に溢れてくる気持ちを抑えきれず
二乃「後は・・・そう・・・」
二乃「・・・好き。」
そう、純の背中で、一世一代の告白をした。
そして、そのまま沈黙して、二人を乗せた自転車が夜の街を駆け抜けていったのであった。
投稿出来ました。
竹達彩奈さんの演技凄いですね!
あの人って本当二乃みたいなツンデレキャラがマッチしてます!!
今後も頑張ってほしいですね!!
それでは、また!!