ケーキ屋に戻った純は、二乃を連れて中に入った。
四葉「安達さーん!二乃を連れて来てくれたんですね!こっちですよ!」
すると、一番奥のテーブルから、四葉が手を振った。
純「おお!って、風は?」
四葉「上杉さんなら厨房ですよ!」
純「そうか・・・」
その純の後ろで、二乃は俯けた顔を真っ赤にしながら
二乃(言っちゃった・・・言っちゃった・・・!抑えきれなくて言っちゃった!!初めての告白なのに!!あー、どうしよう!)
そう混乱しつつ
二乃(っていうか・・・何でこんな無反応なの!?)
何故かいつも通りでいる純の姿に疑問を抱き
二乃「ね・・・ねぇ。」
純「ん?」
二乃「さっきの話だけど・・・」
確かめようとしたが
風太郎「おお!戻ってきたか、純。」
純「ああ。何か悪いな。」
風太郎「別に良いって。」
純「んじゃあ、ちょっと手伝おうっか?」
風太郎「良いのか?」
純「別に良いって。」
風太郎「なら頼む。」
純「ああ!」
純「悪いな、二乃。また後で。」
純は風太郎と一緒に厨房に入ってしまったのだった。
二乃「う、うん・・・」
何も言えなかったが、後でで良いかと思い、他の四人のいるテーブルに向かった。
そして
「「「「「かんぱーい!!!!!」」」」」
テーブルに着席し、水で乾杯をした。
一花「期末試験突破、お疲れ様!」
一花の言葉に
三玖「本当に赤点回避出来るとは思わなかった。」
三玖も信じられないといった感じで言う。
四葉「うんうん!答案用紙を額縁に入れて飾りたいよ!」
そう誇らしげに答案用紙を見つめながら言う四葉に
一花「それはもうちょっと良い点取ってからにしよっか。」
と一花が控えめに言った。
二乃「お祝いだからって、これだけ贅沢しても大丈夫かしら?」
二乃の言葉に
五月「店長さんがご祝儀としてご馳走してくださるみたいですよ。」
五月がそう答えつつ
五月「それにしても、私達の注文する物はやはりバラバラですね。」
それぞれ注文したケーキを見て、苦笑いを浮かべた。
四葉「まぁ、これは平常運転だね。」
これに、四葉がそう答えると
三玖「はい、四葉。」
三玖が自分のケーキを一口分を、四葉の口元に差し出し
三玖「現文の問題、四葉の予想がドンピシャ。」
そう言った。
三玖に続いて五月と二乃も
五月「そうでしたね。」
二乃「あれは助かったわ。」
と口々に言い
一花「じゃあ私も。」
と一花が自分のケーキを差し出し、五月と二乃も続いてケーキを差し出した。
これに四葉は
四葉「ししし!美味しいね!」
と嬉しそうに笑いながら食べた。
四葉「あ、でも、私も皆に助けて貰ったから、お返ししないと!」
四葉の言葉に
三玖「それを言ったら私も・・・」
三玖も続いた。
これに
五月「では、少しずつシェアしましょう。きっとこの試験も、そうやって突破出来たのですから。」
五月がそう提案した。
五月「しかも、色んな味が楽しめてお得です!」
・・・おい、本音ダダ漏れだぞ。
一花「本当はそれが目当てじゃ・・・」
そう突っ込む一花に
三玖「はい、一花。」
三玖がケーキを差し出し
三玖「ありがとう。それに、おめでとう。」
少し含みがあるような語気で言われた。
二乃「まさか一花が一番とはね。」
その横で二乃がそう言うと
一花「あはは・・・運が良かっただけだよ。」
と適当に誤魔化し
三玖「次は負けない。」
と三玖に言われ、少し気まずい感じで返事をした。
そんな中
五月「皆に話しておきたい事があるのですが・・・」
五月がそう真剣な声で切り出すと
五月「私、学校の先生になりたいんです。」
と自身の夢を語った。
これに
四葉「良いと思う!五月の授業分かりやすかったもん!ぴったりだよ!」
と四葉は目を輝かせながら言い
一花「当然、私達も応援するよ!」
一花も笑顔で言った。
三玖「じゃあ、五月は大学受けるんだ。」
そう三玖が言うと
五月「あ、進級の件、お父さんに連絡しないと。」
と五月は思い
一花「それなら私がしといたけど、返事が・・・」
既に連絡したと一花が言うと
二乃「あー、その件なら私が直接話してきたから。」
と二乃が言い
一花「やっぱりマンションに行ってきたんだね。それで、何て・・・」
二乃「良い反応は貰えなかったわ。今はまだ甘えさせて貰ってるけど、いつかけじめをつけないといけない日が来る筈だわ。」
そう決意を秘めた顔で言った。
三玖「でも、マンションに行ったにしては帰ってくるのが早かった。」
この三玖の疑問に
二乃「それがね・・・」
二乃が答えた。
「「「「ええっ!?ここから自転車で!?」」」」
四葉「す、凄いね安達さん・・・」
一花「何というか・・・」
三玖「カッコイイ・・・」
五月「え?」
これに、他の四人はそれぞれの反応をし
二乃「ええ・・・本当・・・だから・・・抑えきれなかったのよ。」
二乃はぼそっとそう呟いた。
三玖「抑えきれなかった?」
これに三玖が反応すると
二乃「あ!お皿片付けよっかな!ついでに店長さんにお礼言っとこないと!」
一花「私もお手洗いのついでに手伝うよ。」
三玖「二乃、何で焦ってるの?」
二乃は慌てた感じでその場を後にしたのだった。
その頃純は
純「おーい、何か手伝おうか?」
ちょっと一休みして、厨房に入って風太郎に尋ねた。
風太郎「ああ。悪いな手伝わせちゃって。」
純「これぐらいやらせろって。」
店長「君には本当に助かったよ。僕は少し休憩入れるから、頼むね。」
純「はい。」
店長「あ、それと・・・」
すると、店長が純に近付き
店長「君はバレンタインのお返しの予定は?」
そう凄みのある雰囲気で尋ねた。
純「え、ええっと・・・一応何人かは・・・」
これに、純は少しビビった感じで答えると
店長「や、やっぱり・・・ビジュアルの差か・・・」
店長はどんよりとした雰囲気を身に纏いながら奥に行ったのだった。
風太郎「マジ店長がスマン・・・」
純「い、いや・・・構わねーって・・・お前も少し休みな。ぶっ通しで疲れただろ?」
風太郎「ああ、スマンな。」
そう言い、風太郎は奥へ下がった。
それと入れ替わりに
二乃「ご苦労様。」
二乃が皿を持ってやって来た。
純「おお、二乃か。」
二乃「店長さんと上杉は?」
純「奥へ休憩に向かった。」
これに
二乃「あら、そう・・・少し待とうかしら。」
二乃は純と二人っきりになった状況に少し胸を高鳴らせたのだった。
その頃、一花はお手洗いで済ませ、化粧室に立って
一花「はぁ・・・上手く隠せてたかな・・・」
そう呟いた。
一花(三玖を応援してた気持ちに偽りはない・・・はず。でも、あの時一瞬・・・)
一花(三玖は一番になったら告白するって言ってたけど、今回は私が一番だった・・・)
一花「なら・・・しても・・・良いのかな・・・」
そう言う一花の顔は、上気していたのだった。
厨房では
純「悪いな、手伝って貰っちまって。」
二乃「良いの。これくらい気にしなくて。」
純と二乃が肩を並べて皿洗いをしていた。
純「もう良いぞ。店長と風には伝えとくから、席で待ってなよ。」
そう純が二乃に言うと
二乃「そ、そうね・・・そうするわ・・・」
二乃は恥ずかしそうにしており、まともに純の顔を見れず、踵を返して戻ろうとした。
しかし、途中で足を止め
純「ん?どったの?」
気付いた純が聞くと
二乃「やっぱり、自転車で言った事は忘れて頂戴。困らせちゃうのも当然だわ。突然すぎたものね。少しアクセルを踏みすぎたみたい。何やってんだろ。」
二乃が背中を向けたまま、純に言った。
純「えっと・・・二乃・・・」
しかし
純「悪い、何の事だ?」
予想外の答えが返ってきて
二乃「ええっ!?」
二乃は耳を疑い振り返った。
純「マジどういう事?悪い、あん時チャリ漕ぐのに必死だったから、聞き逃してたかもしんねー。」
二乃「え・・・ええっ!?」
純「ホント悪い。それで何を・・・」
純の言葉に
二乃「ご、ごめんね!何でも無いの!忘れて!」
二乃は逃げるように厨房を出て行った。
二乃(何だ、聞いてなかったんだ・・・)
二乃(彼は誰にでも優しいし、イケメンだし、色んな子から告られてると思うし・・・)
二乃(聞かれなくて、良かったかも・・・)
そう思いつつ、歩いていった。
純「二乃・・・何が言いたかったんだ・・・?」
純は、二乃の行動に疑問を抱きながらも、食器を片付けていた。
すると、背後から靴音が聞こえたので
純「あ、店長さん。全部片付け・・・た・・・っす・・・」
そう言い背後を振り返ると
二乃「君の事が好きって言ったの。」
片腕を組み目を潤ませながら舞い戻ってきた二乃が、純にそう告白したのだ。
これには
純「・・・は?え、どういう・・・」
純も流石に驚き、言葉が出なかったが、二乃はそれに構わず歩み寄り
二乃「返事は良い。でもね・・・私は君が好き。好きで好きでたまらないの。」
そう、上目遣いで純の手を取って告白をしたのだった。
純「・・・。」
これに純は、驚きの表情のまま二乃を見下ろしていた。
それを通りすがりに偶然聞いてしまった一花は
一花「・・・。」
両手で口を覆い、厨房の出入り口脇に立ち尽くしていたのであった。
投稿出来ました。
二乃、もう一度告白させました!!
こうなった二乃は積極的ですよね・・・。
でも、それだけ一途って事なのかな・・・。
それでは、また。