五等分の花嫁と野球の天才   作:ホークス馬鹿

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76話です。


76話

三玖「私なんかが、ジュンに好かれるわけないよ・・・」

 

そう言いながら、三玖はベッドの上で膝を抱え、大粒の涙を溢し続けた。

これに

 

二乃「何で負ける前提なのよ。そこからして気持ちで負けてるのよ。」

 

二乃はそう厳しく叱咤するように言うと

 

三玖「だって、相手はあの一花だもん。可愛くて社交的で、男子からも人気で、自分の夢を持つ強さもある。私が男子でも一花を選ぶ。」

 

三玖「ジュンも、いつも大人しくてクールだけどイケメンで、女子から人気があって、一花同様自分の夢を持つ強さがある。」

 

三玖「あの二人なら、間違いなくお似合いだよ。」

 

三玖はそう言い、二人を評価し

 

三玖「それに、二乃だって・・・」

 

二乃の事もそう評価し、涙目で見上げた。

それを聞いて

 

二乃「それはどうも・・・ま、私が可愛いなんて分かりきってた事だけど!」

 

二乃「ま、勇気振り絞って告白して返事を先延ばしにしたとはいえ、時々彼は何を考えてるのかよく分からないんだけどね。」

 

二乃はそう言った。

それを聞いて

 

三玖「告白まで・・・やっぱり凄いよ、二乃は。」

 

三玖はそう賞賛した。

 

二乃「やっぱアンタはまだしてないのね。彼は確かに何を考えてるのか分からないけど、勘が鋭いから察してると思うわ。けど、逃したらもう無いわよ。」

 

三玖「そうだね・・・」

 

三玖「テストで一番になったら、美味しいパンが焼けたら、そうやって先延ばしにしてたのは私。一花も・・・誰も悪くない。自業自得。」

 

三玖はそう言って、しゅんとなりながら俯いた。

 

二乃「あっそ。じゃあそうやって、いつまでも塞ぎ込んでいなさい。うじうじうじうじと・・・やっぱりアンタとはソリが合わないわ。」

 

二乃はそう言いながらドアに向かうと

 

二乃「それでも・・・私はアンタを、ライバルだと思ってたわ。」

 

三玖「!」

 

二乃はそう三玖に言うと

 

二乃「私が可愛いのはあっさり認めたくせに、何それ!冷静に考えなさいよ!私たち五つ子よ!」

 

二乃「アンタも可愛いに決まってんじゃん!」

 

続けて顔を真っ赤にしながらそう怒鳴るように言った。

これを聞いて、三玖は驚きのあまり目を見開いた。

そして

 

二乃「じゃあね!」

 

二乃はそのまま部屋を出て行った。

しかし、二乃の叱咤激励にも、まだ迷いを捨てきれず

 

三玖「二乃・・・ごめん・・・」

 

そう呟き、再び膝を抱えて沈み込んでしまったのだった。

その頃純は

 

純「お、おいっ!どこ連れてく気だよ!?」

 

??「良いから、こっち来て。」

 

手を引っ張られていた。

純の手を引っ張っている者は

 

純「・・・急にどうしたんだよ、三玖。」

 

三玖なのだが、三玖はホテルにいる為、彼女は三玖ではない。

三玖に変装した一花だ。

昨日の夜、一花はホテルの廊下で純と鉢合わせをし

 

一花『話したい事があるんだけど、「三玖」の話を聞いてあげてよ。』

 

そう純に言ったのだ。

その理由は、三玖が純を好きだと知られたままの状態では、自身が純に付いた嘘に矛盾が出来てしまうからだ。

そんな時、三玖がたまたま落としたボールを思い出し、それを利用しようと思い付いた。

 

一花(使える物は何でも使う。私にはもうこうするしかないんだ・・・この戦いに勝つ為に!)

 

そう決意したのだが、空はその決意とは別のどんより曇り空で、今にも泣き出しそうな状態だった。

そして、人気のない場所に来ると、一花は純の手を離してゆっくりと前を向いて歩いて

 

一花「あのさ、五年前の事なんだけど・・・」

 

純「五年前?」

 

一花「お父さんが死んじゃった後の事。」

 

純にそう尋ねた。

 

純「・・・親父が事故で死んで、葬式で母さんの姿を見て決意したんだ。プロになって母さんを楽させるって。」

 

純「それから暫くして、マルオさんがウチに来て、母さんと大事な話があるって言って、俺は一人の女の子と一緒になって、その子とキャッチボールをした。」

 

一花「・・・それで?」

 

純「暫くしたら、もう一人女の子がやって来て、その子ともキャッチボールをした。」

 

純「ほんの少しの時間だったけど、あの時の俺にとっては良い思い出だ。」

 

それを聞き、一花は思惑通りと感じほくそ笑むと

 

一花「その子は・・・」

 

振り返って言おうとしたその時

 

純「もう良いわ。」

 

一花「え?」

 

純が一花の言葉を遮り

 

純「テメェに何か意図があるんじゃねーかなと思い、話しただけなんだが、めんどくせぇ。」

 

純「テメェに付き合うのももうここまでだ、三玖・・・いや、一花。」

 

目を鋭くして言った。

これに

 

一花「え・・・?えっ、ちょっと何で急に!?」

 

一花は動揺しながら聞くと

 

純「勘。」

 

と純は答え

 

一花「ええっ!?」

 

純「これまでの事を考えたら、テメェの可能性がたけー。」

 

一花「ち、違うからハズレ!残念でしたー!」

 

純「それに、三玖はいつも青のセーター着てるし、黒のストッキングを穿いてる。」

 

純「だけど、今のテメェは黄色のセーターにみじけー靴下。これは一花のスタイルだ。」

 

そう言いながら純は一花を壁際に追い詰め、ウィッグを剥ぎ取ると

 

純「ほら、正解だ。」

 

一花の髪型であるアシンメトリーのショートヘアが現れ

 

一花「・・・っ!」

 

一花は居た堪れない表情を浮かべた。

それと同時に雷が鳴り、雨が降ってきた。

 

純「先日、学校の廊下で会った三玖もテメェだろ?」

 

一花「あ、あれは私じゃ・・・」

 

純「なんで俺にあんな嘘をつきやがった?そして、なんで三玖を泣かせた?」

 

純は、一花の言葉を遮り、いつにない怒りの表情を見せた。

これに、一花は口を閉じて項垂れてしまい、同時に雨がどんどん勢いを増していき、二人をあっという間にびしょ濡れにした。

すると

 

一花「・・・さっきの話なんだけどね、ジュン君・・・」

 

純「ああ?」

 

一花「私もその中の一人。私達、会ってるんだよ・・・嘘じゃないよ、信じて・・・」

 

一花は顔を上げ、精一杯の笑みを浮かべながら訴えた。

その目には、光が全く無かった。

それを聞いた純は

 

純「・・・そんじゃああん時、俺と一緒にボールに書いた内容を覚えているか?」

 

と尋ねると

 

一花「えっ・・・う、うん!覚えてるよ!ボールに、『じゅん』って平仮名の名前だけを書いてくれたんだよね・・・」

 

純「・・・じゃあ、俺のボールに書いた内容は?」

 

一花「えっ・・・あ、ああ!私の平仮名の名前だけを書いたんだよ!」

 

一花はそう答えた。

それ聞いて

 

純「テメェ・・・嘘ついてんじゃねーよ。」

 

踵を返し、これまで見せた事の無い非常に冷たい目で一花を見下ろし

 

純「わりいが、今はテメェを信じられねー。風邪引く前にけーるぞ。」

 

一花を置いてその場を去って行った。

二つのボールには、『じゅん』の他に『みく』って書いてあるのだ。

それぞれの名前だけが書いてあるわけがなく、ましてや一花では無い。

一花はあの時、『じゅん』しか見えなかった為、それだけしか書いてないと思ってしまったのと、純自身のボールにも書かれてあるという事は勿論知らず、咄嗟に嘘をついてしまった。

その嘘を重ねに重ねて、結局は自分で自分の首を絞めてしまい、嫌われてしまった。

そう思った一花は、両手で顔を覆い、雨の中立ち尽くしたまま肩を震わせ泣いたのであった。




投稿出来ました。

・・・何と言うか、結構無理した内容だったかなと我ながら思います。

ボールの件ですが、詳しくは69話をご覧下さい。

そして、僕自身一花の事は嫌いでは無いという事もご理解下さい。

それでは、また。
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