三玖の手を取って足早に立ち去った純。
三玖「えっと・・・ジュン。」
すると、三玖の声を聞いて
純「あっ・・・」
純はハッとして手を離し
純「わ、悪い。痛かったよな?」
頭を掻いて謝った。
すると
そっ
純「三玖?」
三玖「ううん、大丈夫。全然痛くなかったよ。」
三玖は純の手を優しく握って、柔らかい笑みを浮かべながら言った。
それを聞き
純「・・・そっか。」
純はそっぽを向きながらそう答えた。
純「・・・あそこで少し休もっか?」
すると、純は少し照れ隠し気味に言いながら指を差すと、そこは茶屋で、縁台があった。
二人はそこに腰を下ろし、純は腰に差してある大小のうちの長い刀を抜いて立てかけた。
この時、なんとか純達に追い付いた一花達は、告白の邪魔をされないように、路地に立て看板を置いて通行止めにした。
一花「これで良し。」
二乃「良い感じのようね。」
そう言った二乃の言葉を聞き視線を変えると、二人とも雰囲気良さそうに並んで座っていた。
その後ろの茶屋の中に身を潜め様子を伺っていた四葉と五月、そして風太郎らは
風太郎「これからどうすんだよ・・・」
四葉「あ!三玖のパン拾ったのにホテルに忘れてきちゃった!」
五月「パ、パンですか?」
風太郎「何だ、パンって?」
そんなやり取りをしていた。
風太郎と五月に至っては、パンと言われて何が何やら分からなかった。
すると
一花「大丈夫だよ。これを三玖に渡せば良いんだね。」
一花が三玖の手作りパンが入った紙袋を持ちながら入ってそう言った。
その頃
三玖「目まぐるしくて、あっという間だったね。」
純「だな。」
三玖「私は実質二日間、純は三日間だったけど・・・良いんだ。最後にジュンと過ごせた・・・それだけで。」
純「三玖・・・」
可憐なお姫様の格好で足をもじもじさせながら、三玖は嬉しそうに素直な気持ちを伝えた。
その時
純「ん?んだそれ?」
純が縁台の端にある何かに気付いて三玖に言うと
三玖「え!なんで私のパンがこんな所に・・・」
三玖も稲荷山の頂上で落としたと思っていたので、何故今ここにあるのか知らず、驚いていた。
純「へぇ、お前が作ってきたのか?」
三玖「そう・・・だけど・・・」
三玖(これは二日目に無くしたはず・・・何でここに・・・)
そんな事を思っていると
純「丁度良いや。腹減ったし、貰うな。」
純は遠慮なく紙袋に手を突っ込み、中のクロワッサンを一つ取った。
三玖「あっ、それはもう・・・」
これに、三玖は止めようとしたが、純は構わず口に入れた。
そして、それを咀嚼して飲み込むと
純「・・・美味ーな。」
三玖「!」
純は一言そう呟いた。
そして
純「俺、頭良い方じゃねーから碌な感想言えねーんだけど・・・」
純「お前の努力。それだけはスゲー伝わった。」
純「よく頑張ったな。」
純は優しい笑みを向けながらそう言い、三玖の頭を優しく撫でた。
それを聞いた三玖は、嬉しそうにして、次第に目に涙を浮かべながら
三玖「・・・うんっ。私、頑張ったんだよ。」
両手で顔を覆い隠して言った。
その頃茶屋の中で
一花「届けてきたよ。あのパンって、三玖が作ったんでしょ?」
一花は三玖のパンについて聞くと
四葉「うん・・・修学旅行の二日目に安達さんの為に。私もずっと味見役をやってて・・・」
四葉がパンについて言った。
風太郎「そういえば、三玖は紙袋を大事そうに持ってたな・・・」
四葉「はい。だから、あんな事がなければ・・・」
四葉「ってごめん!一花を責めてるんじゃなくて・・・」
四葉はそう慌ててフォローしたが
四葉「とにかく、ごめん。私、全員が幸せになって欲しくて、いつも消極的になってる子を応援してたのかも・・・こうなるって少し考えたら分かるはずなのに・・・だから一花の本当の気持ちに気付いてあげられなかった。」
四葉「だから、ごめん。」
四葉はそう言って一花に謝った。
これに一花はグッと胸が詰まり
一花「私・・・謝られてばっかだ・・・一番謝る必要があるのは私なのに・・・」
顔を伏せてしまった。
風太郎「・・・それは後だ。取り敢えず、あの二人を見守ろうぜ。」
風太郎がそう言うと
二乃「アンタにしては珍しく気を効かせるんじゃない。」
風太郎「うっせ。」
二乃が茶化した。
格子窓の外では
純「・・・俺さ、ピッチャーとバッター両方やるか、どちらかに絞るかで今迷っててさ。」
純「俺史上メッチャ悩んでる。だから、時々思うんだ。」
純「もし親父だったら、俺になんて言うかなって・・・」
純が、自身の悩みを三玖に話していた。
三玖「ジュンのお父さん・・・」
三玖は、顔を上げて純を見ると、純は空の彼方を見つめていた。
純「今思えば、親父はいつもここって時にメチャクチャ良い事教えてくれたなって思って。」
純「だから、本当に今生きてたらどんな事を言うかなってな。」
純「まぁ、俺個人としては、俺以上にすげーバッターが現れたらピッチャーに、ピッチャーが現れたらバッターに絞ろうかなって・・・」
そこで言葉を切った純は
純「って、俺の話なんてどうでも良いし、つまんねーよな。」
苦笑を浮かべながら言うと
三玖「ううん!全然つまらなくないし、もっと私に悩みを言って欲しい!」
三玖は、純の方に身を乗り出し
三玖「こんなに一緒にいるのに、そんな深い悩みを抱えてたなんて全然知らなかった!ずっと自分の事ばかりで、知ろうともしてなかった。」
三玖「もっと知りたい、ジュンの事全部!もっと私に悩みを言って欲しいし、分かち合いたい!そして・・・私の事も全部知って欲しい!」
そう言うと、立ち上がって
三玖「あれ!」
と堀割の向こうにある立派な門を指差し
三玖「お奉行所として時代劇にも使われてる名スポット。今日はあそこを見れただけでも満足。Dコース程じゃないけど、ここにも私の好きな物が沢山ある。」
純「そうだろうな、知ってる。けど、俺も結構好きだぞ。」
三玖「さっき走って渡った大きな橋も好き。」
純「またドラマか?」
三玖「うん。それとね、あれも好き。あれも好き。これも好き。」
次々と指差し
純「スゲー多いな。知ってっけどな。」
そして
三玖「好き。」
三玖の指が純の鼻先でピタリと止まり、そう一言言った。
その時、ふわりと風が吹き、三玖の髪を靡かせたのであった。
投稿出来ました。
内容をまとめるのに苦労しました(汗)
変な内容じゃなければ良いのですが・・・。
三玖のこのシーン、本当に感動しました!
これを横浜アリーナでの生アフレコで聞いて、思わず涙が出そうでした。
本当に素晴らしいシーンです!!
そ、それでは・・・また!!