オープニングテーマ「魔法使いとなったリーマン」
魔法。
あるいは魔術。
それらを知っている者が、この世界に何人いるのだろうか?
多くとも、十万人もいないだろう。
俺はそう考えている。
……無論、魔術というのは現代で流行しているラノベとかアニメなどの、馬鹿げたものではなく、イギリスにある魔術の大本山……神秘を秘匿する時計塔によって管理されているもののことである。
かくして、魔術のことを述べたわけであるが、実を言うと俺も魔術師……もとい魔法使いだ。
魔術と魔法は大分違うのだが…………まあ、ここでは置いておこう。
そういう訳で、俺は
突拍子もないことで悪いが、本当のことだ。
FGOだぜ? FGO?
プレイヤーが複数の英霊を「サーヴァント」として使役する「マスター」となり、人類史を守るため7つの「聖杯探索」……グランドオーダーに身を投じる、とかいうあのゲームだ。
転生した当時はそれはもう喜んださ。馬鹿みたいに。
前世はただの万年リーマンで、出先で事故って、あっけなく死んだ。
それが型月作品の中に入れたんだ。それはもう喜んだ。
しかも、生まれた家系が時計塔の中でも有数の貴族主義派閥の魔術家系。
正直もう、「勝った」とすら思った。
…………ここらで自己紹介でもしておこうか。
俺の名前は、クロノアス・メーガス・メイソン。
貴族主義派閥のメイソン家に生まれた、魔術師……もとい、
メイソン家はルネサンス期からの貴族主義派閥で、
理由はメイソン家の所属が
何も鉱石と植物。それだけで仲が悪いというわけではないが、以前の学部長であったエルメロイ家と昔に何かがあったとかなかったとか。
それに加え、
あのメルアステアとかいうクソ共は、中立派閥を謳っときながら、ハイエナみたいなことをする……例えば、そう、エーデルフェルト家のように。
だから皆様もFGO時空に転生したのなら気を付けてくれたまえ。
っと、話を戻そう。
メイソン家は、俺が生まれたのを皮切りにそれはもう、発展した。
だっても何も、この世界で五人目の魔法使いなのだから。
…………あれ? でも、アインツベルンの第三魔法は失われたんだっけ?
いや、大聖杯と融合しているから存命なのか?
まいっか。
で、俺はこの世界に転生してから、喜んだ…………が、それと同時にとてつもなく後悔した。
名家であるが故の、スパルタ教育や社交界や時計塔内での権謀術数。
魔法に到達したがための時計塔からの封印指定や、教会からの異端認定。
果てには亜種聖杯戦争に巻き込まれたり、アラヤの抑止力が働き殺されそうになるなど……。
一番最悪だったのは、俺の使える魔法が、宝石翁ことキシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグの第二魔法と噛み合いが悪く危うく戦闘になりかけたことと、某人形師に追い掛け回されたことだ。
創作物で見てたり、読んだりする分には良いが、対面した時の恐怖は伊達じゃなかった。
ああ、ここで勘違いのないように言っておくが、俺は俺の魔法を「第七魔法」と呼んでいるが、俺の魔法は魔術師界隈では「第六魔法」と呼ばれている。
というのも、現代の魔法では五つしか確認されておらず、使える人がいないからだ。しかも、第一魔法の使い手は既に死亡しており、この時点で四名。確認されている魔法は五つ。
本当は六個あるんだが、FGO世界線のこの世界の人々が知る余地はない。……一部は知ってるみたいだけど。
そういうことで俺の魔法は基本、「第六魔法」として認知されている。
そして、これが一番大事だが、俺は今、時計塔にも教会にも狙われていない。
この二つの組織にはメッチャ苦労した。うん、本当に大変だった。
だから俺は、
どういうことだ!? と思うだろうが、これは割と簡単だった。
以前の
はい。というわけで、そこを突けば割と簡単に崩れた。
貴族派閥は、より高貴な血と実力、そして何より根源への執着がある。
なので、根源到達=魔法なので、俺の言うことは絶対であったのだろう。
こうして俺は
現在ではロード・クロノアスと呼ばれている。
だがして、ここはFGO世界線。
FateをGOしなくてはどうするのだ!
と、転生当初の目的を思い出し……。
「どうすればいいんだ?」
ってなった。
やることが見つからなかったのだ。
FGOの本拠地となるカルデアは、国連組織の人理保証機関カルデアとして隠蔽されているし、何より
それは自分自身が魔術師となったときから、深く自覚している。
そもそも論だが、魔法使いという身である以上、何をするにも監視がついてくる。
阿呆な魔術師を筆頭に、俺の神秘に釣られた幻想種や教会の代行者連中、果てには死徒にまで追いかけられる。
前半は分かるけど、なんで死徒まで来るんだろう?
……力試しに何体も親玉殺したのが悪かったのかもしれない。
まあ、なんだ。
その……。
FGOへの参加方法が分からない。
そこで俺は、冬木市に行ってみることにした。
Fateシリーズの王道とも言えるFate/Stay Nightの舞台となった冬木市に行けば何か分かるかもしれないと思ったのだ。
例え分からなくとも、衛宮士郎か遠坂凛がいるかもしれないしな!
遠坂家と言えど、
────────―ここまでが回想。
そして、冬木に着いた訳だが…………。
「これどーなってんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!????」
たった今。
俺の目の前には、街を丸々呑み込み炎上している冬木市が広がっていた。
本当にどういうこと!!??