第七魔法の使い手になりました   作:陸神

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あ、あれ?

沖田さんは?

フォウは?


エピローグテーマ「繋がれた手と手」

 オルガマリー嬢の手を握り、離さないようにしっかりと握る。

 

「少し揺れるぞ! “Growing up(延び給えよ)”!」

 

 本来の詠唱を省いた簡易詠唱。

 

 詠唱破棄された魔術は、投げられた種子を急速に成長させ、俺の空いている方の手と地面を繋げた。

 魔力は多少食うが、問題はない。

 

 カルデアへの裂け目が閉じるまで、腕の中でオルガマリー嬢を抱き続ける。

 

 

「クソったれが……!」

 

 

 俺の本質はエネルギーの消失。

 

 ヘラクレスを倒すレベルとなると固有結界並みの範囲に及ぶが、元々は一部の限定空間に及ぼすもの。

 俺はオルガマリー嬢の霊体の周りのエネルギーを消失させ、オルガマリー嬢への指向性エネルギーを省いたのだ。

 

 その代わりと言っちゃなんだが、生身の俺へ振り返しが来るんだけどネ。

 

 

「…………よし」

 

 

 一先ずは耐えきった。裂け目は周囲の瓦礫を粗方吸い込んだ挙句に閉じる。

 

 …………良かった。FGO始めたての頃、このイベントで心が折られたのが懐かしい。

 俺は克服したぞ! このイベントを! 

 

 

「オルガマリー嬢、大丈夫かい?」

 

「────―え、ええ、大丈夫です……! ありがとうございました」

 

 

 俺はオルガマリー嬢を背中に隠し、奴と相対する。

 

 そう、FGOプレイヤーならば誰しもが知っている、モジャモジャヘッドの悪魔────―ソロモン七十二柱・素材用悪魔のバルバトス君だ! 

 

 

「君は君は君は君は! 毎度毎度邪魔してくれるな! クロノアスッ!」

 

「おいおい、落ち着き給えよ、レフ・ライノール教授。折角のダサダサヘッドが台無しだぜ?」

 

 

 一も二もなく煽る。

 

 あらかじめ言っておこう。俺はコイツが大っ嫌いだ。

 

 

「……良いとしよう。貴様もかの御方に掛かれば木っ端な存在と等しいのだから。では、私もこれぐらいで去るとしよう」

 

 

 レフはカッコつけてターンして、嗤う。

 

 

「残念だが聖杯は私が貰ってい────―なっ!?」

 

 

 俺は思わず笑ってしまう。

 

 驚愕した表情で振り向くレフに俺は懐から()()を見せびらかすように出す。

 

 

「貴様ッ! それは!」

 

「ははっ、余裕面が剥がれて来たな?」

 

 

 冬木の大聖杯はさっき俺が空間を封鎖した時にさっさと貰ってった。

 

 無駄にスケールのデカい大聖杯は、エネルギーの五割を消失させ、小振りな杯になって俺の手元にある。

 

 

「頂いてくぜ?」

 

「──────クロノアアアアァァァァァァァアァァァァァァァァスッ!!!」

 

 

 レフは激情に呑まれた表情のまま消えていった。

 

 俺はやっと一息つく。

 

 

「ふぅ……耐えきった、な」

 

「ロアさああああああぁぁぁん!!」「ロアさん!」『ロード・クロノアス!』「マスターさま!」

 

 

 終わった途端、俺の背に二つの衝撃が襲った。

 

 リッカちゃんとマシュが突撃してきたのだ。

 

 めきメキメキっというおおよそ人体から鳴ってはいけない音がするが、俺はなんとか持ち応える。あと、ロマニお前はいらん。

 

 

「痛たた……落ち着け」

 

「ロアざあ゛あ゛あ゛あ゛ん゛!!! 良かったよおおお、所長が死んじゃうかもってええええ!!」

 

「分かった。分かったから離れてくれ。鼻水とか涙とか涎とか、婦女にあるまじき姿だぞ」

 

 

 女子に囲まれるのは良いが、今はそれどころではない。

 背中と腰が悲鳴を上げている。ヘラクレスと戦った時よりダメージが入っている……かも。

 

 

「あ……これって!」

 

 

 リッカちゃんの身体が透ける。マシュやゴッホちゃんもだ。

 

 俺とオルガマリー嬢は……まあ、そうだろうな。

 

 

「強制退去だ。俺とオルガマリー嬢は残念だがレイシフトで来てる訳ではないからカルデアへは帰れない」

 

「そんな! ロアさんは! 所長はどうなっちゃうんですか!」

 

 

 マシュが叫んだ。だがその間も刻一刻と強制退去は進んでいる。

 

 このままでは俺もオルガマリー嬢もサクッと死ぬだろう。

 

 ──────()()()()()()、な。

 

 

「大丈夫だ。俺とオルガマリー嬢にはこいつがあるからな」

 

 

 そう言って俺は小さくなった聖杯を掲げた。

 

 

「こいつは俺の魔法のせいでリソースが不足している。が、スケールダウンしていようと願望器であることには変わりない。俺がほんの少し(大量)魔力を注ぐだけで……」

 

 

 うっわw魔力の四割も持ってかれた。

 

 なけなしの魔力も持ってかれたが、聖杯は白色の聖気を取り戻し、発光を再開する。

 これが真の聖杯だ。

 

 

「ロマニ、約束は忘れていないな?」

 

『──―え? あっ、ああ! カルデアはロードを歓迎するとも!』

 

 

 うん、その言葉が聞けて良かったよ。

 

 

「リッカちゃん、マシュ、ロマニ、ゴッホちゃん……またカルデア(向こう)で会おう」

 

「「はい!」」『待ってるよ!』「えへへ、また呼んで下さいね、マスターさま」

 

「あれ、沖田は?」

 

「真っ先に脱落しました!」

 

 

 最後に笑って四人は強制退去した。

 

 なんだかなぁ……締まらない。

 

 残ったのは俺とオルガマリー嬢。

 粒子へと崩壊していく冬木の中、俺はスーツケースを持ち、ネクタイを直した。

 

 

「お嬢さん、お手を拝借しても?」

 

「ええ。お願いします、ロード」

 

 

 俺はオルガマリー嬢の手を掴み、聖杯へと願った。

 

 

 

「聖杯よ! 彼女を受肉させ、俺と彼女をカルデアへ転送しろ!」

 

 

 

 身体が暖かな……春の陽気に包まれたかのような感覚がして、意識はぶつ切りに途切れた。

 

 最後まで確かだったのは、オルガマリー嬢は俺の手を握って離さなかったということだけだ。

今回の話のゴッホの宝具のように、特殊タグを付けた「揺れ」や「色付き」はあった方がいいでしょうか?それともない方がいいでしょうか?

  • あった方がいい
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