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「グギッ! タダノニンゲンゴトキガッ!」
耳障りな声で
アサシンとはいえ、ただの雑魚ではないようで、
呪腕のハサンは、作品毎に不遇な処置を受けているため弱く見えるが、その実、ランサーのクー・フーリンともそれなりに正面戦闘が行える能力を有している。
特に呪腕のハサンに関しては、対抗策を持たない相手に対しては最強格の宝具を有しているため、まあまあ強いのである。
「フ──―ッ!」
走行状態から軽くワンステップ。
着地の体重移動を切り込みに組んでダークを打ち払う。
「“
反撃に小瓶を警棒で打ち出す……が、
「ダメか」
やはりそこは流石のアサシン。
身軽な身のこなしで避けられる。うーん、肉弾戦なら兎も角、素早さ勝負なら分が悪い。
あの魔術当たれば、相手の内側から蕾が開花して相手ごと魔術触媒に変える魔術だったんだけどなぁ……。
「キサマ……ホントウニニンゲンカ?」
「ははっ、死にぞこないの死霊に言われたくはないな!」
「ホザケッ、マジュツシゴトキガ!」
遂にインファイトの距離感までもつれ込む。
俺は警棒による刺突と打ち払いでダークを弾き、魔術での決定打を狙う。
逆にハサンはダークによる牽制と攻撃を行い、宝具での決定打を狙う。
速度重視のハサンとでは相性が悪いのか、中々決まらない。
アニメとか映画で見た、ハサンvs言峰綺礼ではここまで泥沼化していなかったが、あれは相性の問題だろう。
まず、戦場が教会内だったので、いくら早くとも行動が制限される。対してここは屋外だ。英霊の素早さで逃げられたら、強化魔術だけでは相性が悪い。
二つ目に、言峰綺礼が霊体のスペシャリストだったということだ。言峰綺礼は教会の元代行者であり、教会由来の対霊体技術と言峰綺礼特有の洗礼詠唱もあった。だが俺は肉弾戦と植物魔術が基本。自慢ではないが、俺は「
「やっぱ魔法切るしかないかな……」
「カンガエゴトガ! ヨユウダナ!」
「うっせえ……“
戦闘前に放り投げたスーツケースから触媒を手繰り寄せる。
左手に収まったのは麻布に入った俺製の植物種子。
「ブチかます! ──────“
フィンガースナップ。あるいは指弾の要領で肥大化した種を弾く。
放たれた種子は緑黄色に変色して一条に飛ぶ。
参考にした魔術は“
「ヌギッ!? コレハッ──―」
「やっぱ引っ掛かったな、間抜けが」
ガンドやワンドは攻性に秀でてはいないが、その本質は「行動阻害」。
ゲームでもそうだったが、サーヴァントがガンドを食らう理由はその攻撃性の低さにあるんだろう。現にハサンは俺のワンドの攻撃力を舐めてわざと食らった結果、硬直しているのだから。
距離は二メートル少し。
俺製のワンドだし、カルデアのガンドよりも硬直時間は長い。
……ほんじゃ、面倒だしそろそろ決めるか。
「魔術回路、全門起動。起源主張、覚醒開始。想定神秘、許容超過──────“■■■■”」
俺は刹那に──―いいや、もっと早く、更に遅く。それでいて、
ハサンの頭頂に、顔に、首に、肺に、胃に、右腕に、左腕に、右手に、左手に、鳩尾に、肝臓に、股間に、内腿に、右足に、左足に。
俺は剣戟ならぬ警棒の打撃を叩き込む。
気分は修羅。叩き込む本数は無数。
「…………タイムアップだ」
俺の魔術……魔法の効果が解ける。
「ナ──────」
ハサンは、
残ったのはグチャグチャにされ肉塊が霊体粒子に変わる様。
「……オーダー終了ってトコかね」
キャスターの方を見ると、ちょうどルーンで止めを刺しているところだった。
武蔵坊弁慶は耐久に強みがあるサーヴァントだ。宝具を使わずに倒したのは運が良い。
「よう、マスターも丁度ってところか」
「まあな」
キャスターはニヒルに笑い、俺の肩に腕を回す。
ケルト勢はフレンドリーで良いよな。そのコミュ力を社交界の時の俺に一分でもいいから寄越しやがれってんだ。
──────ドォォォオオオオォォォォォォォォ……
俺はそんなことを思ってる矢先、何かしらの破砕音が聞こえてきた。
場所的にはそう遠くない。恐らくだがビルを二つ三つまたいだらすぐだと思う。
俺とキャスターは顔を見合わせた。
キャスターはニヤリと俺に笑い、俺はゲンナリと溜息を吐く。
「さっきの話の続きだがよ、実は他にも生きてる奴がいるみたいでよ──―」
「ああ、もう分かった。その先は言わなくても良い。何となく言いたいことは分かった」
どうせ主人公たちとランサーのメドゥーサが戦っている音だろ?
こちとら連戦続きで疲れ……てはないが、精神衛生上あまりよくない。
「……少しは休ませて欲しいものだ」
「何言ってんだよ、これだから人生ってのは楽しいんじゃねえか」
「脳筋め……」
言うや否や、俺とキャスターは走り出した。
魔法についての解説や理論は次話以降に行いたいと思っております。