今回の話、めちゃくちゃFGOアニメとロード・エルメロイⅡ世の設定を盛りました。元ネタやセリフが分かった方は感想欄に書き込んでみてください。
「あー……これ間に合うかねぇ……」
段々と近くなる剣戟……鉄の音が近付いていることを指し示している。
多分近づいてはいるんだろうが……主人公たちがやられてるなんてことないだろうな。
「なんだよマスター、もっと早く走れねえのか」
「お前なあ……。現代の魔術師に何を求めてんだか」
今の俺はキャスターにも魔力のリソースを回しているため、そこまで強化魔術にリソースを割けていない。なのにこの言い草だ。
「今のお前の速さも俺の魔力のお陰なんだからな。そこんとこ覚えとけよー」
「分かってるての。それにオレも久し振りに全盛期に近付いてるからテンション上がってんだ。これぐらいは勘弁ってことで」
溜息。
それにしても走り辛い。
倒壊したビルやら家屋やらのせいで移動が面倒だ。
「ん……? ありゃあ──―」
ビル一つを抜けた先の道に見えて来たのは石造彫刻であった。
人々がまるで何かから逃げるかのように一方向を向いている像だ。
……マジで近付いて来たっぽいな。
あれはランサーのメドゥーサの仕業だろう。
中には苦悶の表情を浮かべたまま砕かれている石像もある。
「ケッ……胸糞ワリィ」
キャスターが苛立たし気に唾を吐く。
「今の内に言っとくぜ。相手はギリシャの方の怪物、メドゥーサだ」
「ふむ……ならばこれは魔眼という訳か」
「ああ。奴さん、ランサーだからか
大丈夫、キャスター。知ってる。
ランサーのメドゥーサの強みは、卓越した身体能力と近接戦闘能力。そして、常時発動可能な解放された
魔眼は脅威だが、こっちには魔眼殺しの眼鏡があるし、最終手段の奥の手もある。心配すべき点はランサーの宝具、不死殺しの鎌「ハルペー」だ。
ハルぺーに一度でも傷付けられれば、ディルムッド・オディナの宝具「必滅の黄薔薇」と同じく、回復の奇跡であろうと治癒はしない。
「うーん……そろそろマズそうだな」
聞こえてくる戦闘音は最早、ただ鉄を殴るだけの音。
どうやらマシュは防戦一方のようだ。あとビル一個分なんだが……。
「マスター」
「なんだ」
「オレがランサーだったらまだしもキャスターだと、ちと分が悪い」
キャスターはそう言うと俺の首根っこを掴む。
……おい。おいおいおいおい! まさか! 嘘だろ!?
「だから先行っててくれや──―ッ!」
「おいちょ待てこのば──────」
馬鹿野郎。
俺がそう言い切る前にキャスターを俺をぶん投げた。
胃の中がぐるりと回る感触がして、俺は飛翔物となる。
風景が目まぐるしく変わる中、遠見の魔術で視力を強化。ひとまず体勢を整える。
廃墟となったビルの間を飛び抜けると……
「まずッ!」
なんと、銀髪の少女がメドゥーサに殺されそうになっているではないか。
しっかし、あの子どっかで……今はそんな場合じゃない。
「“
スーツケースから樫の木が溢れ、纏わり付く。
俺の持つスーツケースは収納用具以外にも、それだけで特別製の防御魔術礼装ともなるのだ。
急成長した樫の木がスーツケースを覆い、左腕に装着される。
まるで盾のように見えるそれを、前面に出して少女の前に滑り込む。
驚きに目が見開かれたメドゥーサだったが、すぐさま鎌を振り下ろした。
「甘ぇよ……!」
パリィングをして槍を逸らす。
樫の木は堅く、滑らかだ。受け流すなんて造作もない。
ただ。そこで終わりではない。
加えて二撃目を叩き込もうとするメドゥーサに対して、鎌の柄を踏むことで妨害する。
今の俺は全身に樫の木が纏わり付いている状態だ。
イメージ的には甲冑だ。手足から続々と幹が這い上がってくる感じ。
「フッ!」
「“
「くっ、キャァァァ!?」
俺が顔面への居合での一撃、遅れながらに放ったキャスターの火炎弾が胴体へ命中。
タイミングよく俺は足を離してメドゥーサに吹き飛んで貰う。
まあ、流石はランサーか、メドゥーサは空中で回転して着地する。
「──────もう少しまともな移動方法はないのか、キャスター?」
「間に合ったんだからいいじゃねぇか、マスター」
「キャスター貴様ッ! 何故、漂流者の味方をする? それにマスターまで……」
メドゥーサは 黒焦げに砂で汚れながらこちらを睨む。
おお、怖。
「────―“
「おや? 俺のことを知っているのか。立てるかい、お嬢さん?」
ふと、俺の名前を呼ぶ声がした。
背後を見下ろすと、銀髪の少女は俺の顔を食い入った表情で見つめていた。
……やっぱ、どっかで見た気がすんだよなー……。
差し当たり、俺は少女を助け起こし、マシュの元へ背を押す。
「安心したまえ。味方だ。あっちの青いのが俺のサーヴァントだ」
「おう、オレはキャスター。奴さんはオレたちの獲物でもあってな、この場はよろしく頼むぜ」
チラッと他にも見ると……マシュは大丈夫そうだ。軽傷ではないが、重症とまではいかない程度の傷だ。
他には……赤髪の少女。おっと、
「人間の貴方……何故、宝具でもない、ただの魔術で召喚しただけの木でハルぺーを防げるのですかッ!」
「おいおい、魔術は外界ではなく身の内に起こるもの程、強いんだ。知らないのか? イスタリでは常識なんだが……さてはお前、ニワカだな?」
軽い挑発だ。
相手もそこんところは分かっているのか、無暗に突っ込んでこない。
ふーむ。知性があると、厄介だな。
『君! もしかして、ロード・クロノアスかい!? 魔法使いの!?』
「ん? なんだ……む、お前はロマニ・アーキマンか」
『何で知ってるんだい!? 光栄だよ!』
なーんか、さっきからチラチラ映ってるなーって思ったが、ホログラムのロマニ・アーキマンだった。
『まさか
調子いいなコイツ。
「そこの変な霊基のお嬢ちゃん、アンタはどうする?」
キャスターがマシュに問う。
マシュはリッカちゃんの方を見て……リッカちゃんが頷くと勇み足で前線に出る。
「前衛一枚に魔術師二枚……キャスター、前に出ろ。俺は後方支援だ」
「おっ、いいのか? そんじゃ往くぜ! 遅れるなよ、お嬢ちゃん!」
「はい! マシュ・キリエライト、
二人が前線に出た。
「気にせず進め!」
「おう!」
「分かりました!」
俺は麻袋から大量に種子を握り込み、“
狙いは慎重かつ大胆に。疾走する二人の肩や脇、頭の横を抜けてメドゥーサに迫る。
「魔術師が……粋がるな!」
チッ。
思わず、舌打ちが漏れる。
“ガンド”と違って“ワンド”はイチイの種子を使う魔術。
そのせいなのか、ハルペーの不死殺しの呪いが効いてしまって、文字通りイチイが「殺されている」。
ああ、もう、なんで、これ系の武器と俺の魔術は折り合いが悪いんだ。
「いいでしょう! 数が増えても、仕留める予定が早まっただけのこと!」
メドゥーサは不敵に笑い、鎌を地面に突いた。
すると、どうだ。周囲に張り巡らされていた鎖が数十……いいや、数百数千の鎖が束になって襲い掛かってくるではないか。
「しゃらくせぇ!」
「吶喊します!」
ランサーは跳んで避け、マシュはそのまま突撃する。
俺は盾と鎧と化した魔術礼装で殴り飛ばし、迎撃。
主人公ちゃんたちの方は……銀髪少女が魔術で防いでいた。
……やるじゃん。
「大口を叩いてこの始末。語るに落ちるとはまさにこのこと。──―はあああぁぁぁ!」
視線を戻すとキャスターがメドゥーサに鎌を脳天から振り下ろされる所だった。
「キャスターさん!」
リッカちゃんが叫ぶ……が、あれは悪手だったなメドゥーサよ。
「お嬢ちゃん!」
「────―ッ」
「クソッ!」
回り込んでいたマシュがその一撃を受け止める。
キャスターは同時に空中へ指を走らせて文字を書く。
ルーン魔術だ。
「ルーンに詠唱なんざいらないっての、この能無しが! 学び直してこい!」
「にげ──―」
「逃がさねえよ! “
油断したなあ、メドゥーサ。
ガラ空きだったぜ?
俺の“ワンド”を食らったメドゥーサは動きを硬直させた。
そこに十文字にも連なるルーンの火炎弾が降り注いだ。
「なっ、く──―あああああああああああああああああ!?!?」
「終わり、だな」
最後にメドゥーサは、空を見上げて懐かしむかのような表情で消えていった。
「一丁あっがりーっと」
腰に手を当てて伸びをするキャスターに、「ありがとうございます」と律儀にお礼をするマシュ。
それに続き、リッカちゃんや銀髪少女が物陰から出てくる。
俺も樫の木の鎧を解除して服装を整える。
スーツケースから上着を取り出して羽織り、ボタンを留めた。
「さーて、こっからは魔術師同士のお話だ。──―キャスター下がってろ」
緊張した面持ちのカルデア一行。
俺はネクタイを締め直して、彼女らをぐるりと見渡した。
元ネタやなんのセリフか分かりましたか?