質量を持ったソリッドビジョンにより実現したアクションデュエル。フィールド、モンスター、デュエリストが一体となったデュエルで人型ロボット系モンスターにこだわる彼の事を、人は『ロボキチ』と呼んだ……。

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 マスターデュエルがクッソ楽しいという思いで初心者が筆を執りました。よろしくお願いします。



もしもLDSエクシーズコース首席がロボキチだったら

 

 遊勝塾。デュエルモンスターズのモンスターと共にフィールドを駆ける『アクションデュエル』の開祖、(さかき)遊勝(ゆうしょう)が開いたデュエル塾だが、今や存続の危機に立たされていた。

 端的に言うと最大大手のデュエル塾、LDS――レオ・デュエル・スクールとの対抗戦に負け越してしまえば、買収されてしまうのだ。

 

 LDSが引き連れたデュエリストは三人。それぞれ融合・シンクロ・エクシーズコースのエリートだ。

 

「それで、最初は誰から行くのかしら?」

 

 この褐色肌に長い黒髪を靡かせる凛々しい印象の少女。彼女が融合コースジュニアユースの首席、光津(こうつ)真澄(ますみ)だ。

 

「俺はとにかく強い奴と戦いてぇなぁ!」

 

 荒々しい茶髪のロングヘアに竹刀を携えた少年。彼の名は刀堂(とうどう)(やいば)。シンクロコースジュニアユースの首席だ。

 

「俺は別に誰でもいいよ~。満足できる……ワクワクなデュエルができればね~」

 

 大きな欠伸をかきながらそう答えるのは、寝ぐせの残る鉄色の髪をしたジュニアユースの決闘者(デュエリスト)

 機場(きじょう)鋼司(こうじ)。こんな成だが、LDSエクシーズコースジュニアユース首席である。

 

「ワクワクと言えば、遊矢のエンタメデュエルだよね!」

「分かったよ、素良。俺のデュエルで、とびきりワクワクさせてみせる!」

「おぉ~、それはありがたい~。じゃあ早速始めようか~」

 

 可愛らしい外見の少年紫雲院(しうんいん)素良(そら)に推薦され、榊遊矢(ゆうや)が名乗りを上げた。

 存続が懸かっているというのに緊張感のない様子で、二人がアクションフィールドへと移動する。

 

『二人とも! 熱血なデュエルを見せてくれ! アクションフィールド、オン! フィールド魔法、摩天楼発動!』

 

 塾長である(ひいらぎ)修造(しゅうぞう)のコールと共に、大地から天を衝く摩天楼が次々にせり上がり、あっという間に運動場は夜の摩天楼と化した。

 

「戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!」

「モンスターと共に地を蹴り宙を舞い~」

「フィールド内を駆け巡る!」

「見よ~。これぞデュエルの最強進化系~」

「アクション――」

 

決闘(デュエル)!』

 

 

 KOJI

LP4000

 

VS 

YUYA 

  LP4000

 

 

「俺が先攻か~。じゃあ手札から永続魔法《機甲部隊の最前線(マシンナーズ・フロントライン)》を発動~。《ギアギアングラー》を召喚。効果でデッキから《ギアギアクセル》を手札に加える~。この効果を使ったターン、俺は攻撃宣言できず機械族モンスターしか特殊召喚できないけどね~」

「それってデッキを機械族で揃えてる場合意味無いんじゃないか?」

「そだよ~。そしてギアギアクセルは自分フィールドに【ギアギア】と名のつくモンスターがいる時に、守備表示で特殊召喚できるのでそのまま特殊召喚~。そして魔法カード《アイアンドロー》。このカードは自分の場に機械族モンスター二体のみの時発動できる~。デッキからカードを二枚ドロ~。更に《手札断殺》~。今拾ったアクションカードと手札一枚を捨てて二枚ドロ~」

「俺は手札を二枚捨てて二枚ドロー……!」

 

 通常のデュエルとアクションデュエルの主な違いは、アクションマジックの存在の有無だ。

 アクションマジックはフィールドのあらゆる場所に置いており、いずれも好きなタイミングで拾って手札に加える事ができるが、手札に一枚しか握れないという制約を持つ速攻魔法扱いの魔法(マジック)カードだ。

 

「そんな、せっかく拾ったアクションカードを墓地に送るなんて……!」

 

 鋼司の初動を見ていた柊柚子(ゆず)は、彼のプレイングに驚きの声を上げる。アクション魔法は強力な効果を持つカードが多いため、コストにするには勿体ないという考えだろう。

 

「それに場にはレベル4のモンスターが二体。来るか……!」

 

 反応を示したのは権現坂道場の跡取り、権現坂(ごんげんざか)(のぼる)。立派なリーゼントと赤いハチマキが特徴の大柄な少年だ。

 エクシーズ召喚は、同じレベルのモンスター二体によって行われることが多い。やる気が無いのか、間延びした喋り方をする鋼司に対し、遊矢と遊勝塾のギャラリーはどんなモンスターが来るのかと身構える。しかし鋼司はそんな相手を気にする事なく手札を補充する。

 

 

 

 

「ククククク……フハハハハハ……アッーハッハッハッハ!!!」

 

 

 

 そして彼は、弾けた。

 

 

 

 

「なっ、何だ!? さっきまでとキャラがえらく違う……」

「いよいよこの時が来た……! 俺は二体のモンスターでオーバーレイッ! 出動せよ、正義の歯車! エクシーズ召喚! 《ギアギガント(クロス)》ッ!」

 

 変貌した鋼司に困惑が隠せない遊矢。フィールドに現れる、巨大な歯車を背負った人型ロボット。リアルソリッドビジョンで投影されて佇むそれに、鋼司は思わずため息が出てしまう。

 

「鋼司のやつ、まーた始まったか……」

「鋼司ってばああいうカードを召喚すると、テンション上がってああなっちゃうのよね……」

 

 同じLDSの生徒である真澄と刃が、事情を知らない遊勝塾の面々に呆れ顔で説明する。

 

「ギアギガントXの効果発動ゥ! オーバーレイ・ユニットを使いデッキからレベル4以下の機械族モンスター、《爆走軌道フライング・ペガサス》を手札に加える! カードを一枚伏せて、ターンエンドッ!」

 

 ギアギガントXの効果で、鋼司の手札は開始時と同じ5枚に戻る。そして鋼司の場には攻撃力2300のギアギガントXと、戦闘で破壊された機械族モンスターより低い攻撃力を持つ同族性の機械族モンスターをデッキから特殊召喚できる永続魔法。そして正体不明の伏せカードという布陣。

 自分はこの布陣を突破し、己が信じるエンタメデュエルを行えるのか。奇想天外な鋼司の存在への動揺もあってか、デッキトップに乗せた遊矢の指が微かに震えた。

 

「さぁ、様子見なんかせず全力でかかって来いよ! でないとペシャンコだぜ!」

 

 が、鋼司はそんな遊矢に対し檄を飛ばす。それは言外に『次の自分のターンで仕留める』と言ってるようなもの。そうなっては、エンタメどころではなくなってしまう。

 デュエルで笑顔を届ける。遊矢はそんな想いを胸に、己のデッキを信じて、勢いよくカードをドローする。

 

「俺のターン。ドロー!」

 

 ドローカードを手札に加え、フィールドを観察し考える。確かにバックの永続魔法と伏せカードは脅威だが、遊矢は今の手札から突破できる道が閃いた。

 そんな遊矢は大通りの真ん中に立つと、仰々しく両手を開く。

 

「レディース&ジェントルメン! どうぞお立合い下さい! これより行われますは、榊遊矢のエンタメデュエル!」

 

 開幕宣言に、遊勝塾の面々が沸き立つ。これからどんなプレイングを見せてくれるのかと、期待の眼差しで遊矢を見つめる。

 

「まずは本日の主役を紹介いたします! ペンデュラムゾーンにスケール2、《EMラクダウン》をセッティング! そしてもう片方のスケール8、《時読みの魔術師》をセッティング! これでレベル3から7までのモンスターが同時に召喚可能!」

 

 二本の光の柱が伸び、片方にラクダが、もう片方に黒衣の魔術師が収まった。

 

「お楽しみはこれからだっ! 揺れろ、魂のペンデュラム! 天空に描け光のアーク! ペンデュラム召喚! 現れろ、俺のモンスター達! 手札より《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》、《オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴン》、《EMカレイドスコーピオン》!」

 

 オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン ATK2500

 オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴン ATK1200

 EMカレイドスコーピオン DEF2300

 

 遊矢は召喚したオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンに飛び乗って地を駆け、アクション魔法を手札に加える。

 

「ここで私は、自分フィールドのモンスター一体を対象にEMラクダウンのペンデュラム効果を発動いたします! 相手モンスターの守備力をバトルフェイズ終了まで800ポイントダウンさせ、選択したモンスターが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ相手に戦闘ダメージを与える事ができるようになる! これにより守備表示で出てしまったモンスターには手痛い退場が待っております!」

「貫通効果……ッ!」

「更にオッドアイズ・ミラージュ・ドラゴンの効果により、私の場の【オッドアイズ】モンスター一体は一度だけ、戦闘または効果では破壊されません!」

「耐性付与もか……」

 

 遊矢のコンボに、鋼司は顔を険しくした。彼の中で組み立てていたコンボが崩れ、早急に立て直す事になったからだ。

 

「オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンでギアギガントXを攻撃! 螺旋のストライクバースト!」

「俺のギアギガントXが……」

「自分のモンスターが戦闘で相手モンスターを破壊した場合、アクション魔法《スカイスクレイパー・アタック》を発動! 戦闘で破壊したモンスターの元々の攻撃力の半分のダメージを相手に与える!」

 

 鋼司 LP4000→3800→2650

 

 お気に入りのモンスターが破壊され、目に見えて落ち込む鋼司。遊矢は彼の気の落ちようを見て僅かな罪悪感を感じつつも、このフィールドにしか現れないアクション魔法で、鋼司に更なるダメージを与えてゆく。

 

「機甲部隊の最前線の効果発動……デッキから《無限起動スクレイパー》を攻撃表示で特殊召喚……」

「EMカレイドスコーピオンの効果をオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンに使用! このターン指定されたモンスターは特殊召喚されたモンスター全てに攻撃できるようになる! 螺旋のストライクバースト、二発目!」

「……!!」

「更にオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンはレベル5以上のモンスターと戦闘する時、戦闘ダメージを倍にする! リアクション・フォース!」

 

 鋼司 LP2650→2050

 

 これで遊矢の場のモンスター全ての効果が明らかになった。

 モンスターを破壊された時点でそれより攻撃力が高いモンスターは出せず、守備表示で出してしまうと守備力ダウンに加えライフまで失う事になるコンボ。迂闊に壁モンスターを出してしまえば、ライフがあっという間に無くなり負けてしまうだろう。

 

「オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴンでダイレクトアタック!」

 

 鋼司 LP2050→850

 

 怒涛の攻めで鋼司のライフが1000を下回る。が、遊矢の場にはもう攻撃できるモンスターは居ない。

 

「仕留めきれなかったか……カードを一枚伏せてターンエンド」

「俺のターン。ドロー」

 

 この伏せカードで遊矢は手札を使いきったので、新たにアクションマジックを手札に加える。鋼司の手札は現在五枚。

 

「《スクラップ・リサイクラー》を召喚し、効果でデッキから機械族モンスター一体を墓地に送る~。そしてバトルフェイズ、スクラップ・リサイクラーでミラージュ・ドラゴンを攻撃~」

「モンスターで自爆特攻だって!? ……その永続魔法が狙いか!」

 

 ミラージュ・ドラゴンよりも攻撃力が低いスクラップ・リサイクラーで攻撃してきた事に驚愕する遊矢だったが、鋼司のフィールドを観察し彼の目的に気づく。

 

 鋼司 LP850→550

 

「スクラップ・リサイクラーが戦闘で破壊されたことによりフロントラインの効果発動~。《カードガンナー》をデッキから特殊召喚してバトルフェイズを終了~。メイン2。カードガンナーの効果を使ってデッキの上から三枚墓地に送って、攻撃力をこのターンの終わりまで1500アップ~」

「既に攻撃が終わってるのに攻撃力アップ……?」

「更に《リミッター解除》を使用~。自分フィールドの機械族モンスターの攻撃力は二倍になる代わりに、このターンの終わりに破壊される~。そして俺はターンエンド~。カードガンナーが破壊され墓地に送られた事により一枚ドローだよ~」

 

 カードガンナーは上がった攻撃力に耐え切れず、自壊してしまう。ソリッドビジョンの演出であったが、どこか物悲しいものを感じさせる。

 そして鋼司は引いたカードと墓地に落ちたカードを確認すると、晴れやかな顔つきで遊矢と向き合う。その顔に諦めの感情は入っていない。残りライフがどれだけ少なくなろうと勝利を掴み取ろうとする、熱き魂に満ち溢れている。

 

「俺のターン。ドローしてバトルフェイズ! オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンでダイレクトアタック!」

「相手のダイレクトアタック宣言時に墓地の《超電磁タートル》の効果発動~。このカードを除外してバトルフェイズを強制終了させる~」

 

 遊矢が引いたカードは《EMソード・フィッシュ》。この状況ではあまり意味をなさないカードであった為、召喚せずにバトルフェイズへ移る。

 オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンの攻撃が迫る中鋼司の墓地から飛び出したのは、スクラップ・リサイクラーの効果で落としたカード。磁石の亀が放つ超電磁のバリアで、鋼司がオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンの攻撃から守られるのだった。

 

 またも遊矢の攻撃を凌いだ鋼司。彼はデッキトップに指をかけると、興奮を抑えきれないといった感じで口を開く。

 

「遊矢のコンボ……凄かったよ……どう凌ぐか考えただけでドキドキワクワクだった……!」

「そっか……楽しんでくれたなら良かったよ」

 

 己のエンタメデュエルを褒められたので、そう悪い気はしない遊矢。

 鋼司のテンションは、またも最高潮に達しようとしている。

 

「だから……今度はこっちの番だ! 俺のターン、ドロォォォォォォォォ!」

 

 そしてまた弾けた。鋼司はありったけの気合をこめてデッキからカードをドロー。

 ギアが噛み合いフルスロットルとなった彼のデッキは、無限大のパワーを発揮する。

 

「まずは俺をワクワクさせてくれた礼だ! オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンをリリースし《壊星壊獣ジズキエル》を相手フィールドに特殊召喚!」

「なっ……!?」

 

 オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンを取り込み現れた蛇のような機械生命体が、時にその雄々しい尾で、時に口から出す破壊光線で手当たり次第に高層ビルを破壊してゆく。その様は、まるで巨大怪獣映画のシーンのよう。

 

『あいつ、やりやがった……!』

『フェイバリットカードを破壊された事を根に持ってたのかしら……』

『でも、攻撃力3300のモンスターなんかあげちゃって良かったのかな』

『奴の目は本気だ、敵に塩を送る事が目的ではあるまい。何を狙っている……?』

『遊矢……!』

 

 攻撃力3300という大型モンスターを相手に送りつけるという行為に、遊矢もギャラリーも困惑を示した。

 

「このままじゃフィールドが滅茶苦茶だ! 俺達だって危なくなる!」

「だから今から助けを呼ぶのさ! 《テラ・フォーミング》発動! フィールド魔法《超量機艦マグナキャリア》をデッキから手札に加えそのまま発動!」

 

 建物が崩れてくる中鋼司がフィールド魔法を発動すると、遥か後方に巨大な母艦がどこからともなく現れる。

 

「魔法カード《緊急ダイヤ》! デッキからレベル4の《ギアギアーマー》とレベル5の《無限起動トレンチャー》を効果を無効にして守備表示で特殊召喚する! エマージェンシー・スクランブル!」

 

 鋼司の両脇に現れた魔法陣から、大きな盾を構える歯車と巨大な電動ノコギリを携えた重機がフィールドに繰り出される。

 

「そして墓地の《無限起動トレンチャー》の効果発動! このカードを除外して墓地からトレンチャー以外の【無限起動】モンスターを特殊召喚する! 蘇れ、無限起動スクレイパー!」

 

 地下からトンネル用の掘削機が、キャタピラを軋ませ姿を現す。

 

「さらに手札からギアギアクセルを特殊召喚、ロケットスタート!」

 

 歯車が操るレーシングカーが勢いよく飛び出すと、そのままフィールドを爆走しアクションマジックを鋼司へ手渡した。

 

「仕上げだぁぁぁ! レベル5のトレンチャーとスクレイパー、レベル4のギアギアーマーとギアギアクセルでそれぞれオーバーレイ! 強大な敵の出現に今こそ立ち向かえ! 《超量機獣マグナライガー》と《超量機獣エアロボロス》! 速攻魔法《ギアギアチェンジ》発動! 墓地の《ギアギアーノ》と《ギアギアーノ Mk-II》を特殊召喚してオーバーレイ! 《超量機獣グランパルス》!」

 

 そして歯車にデフォルメされた手の生えた【ギアギアーノ】が出現すると、鋼司の場のモンスターが物凄い勢いで母艦へ入り、やがて獅子を、飛竜を、二匹のイルカを模った大型メカが母艦から発進。中でも獅子が雄たけびを上げて、鋼司のフィールドにやって来た。

 

「グランパルスの効果発動! オーバーレイ・ユニットを一つ使いフィールドのマジック・トラップを破壊する! 時読みの魔術師を破壊!」

「破壊されたペンデュラムモンスターは表側でエクストラデッキに加わる!」

 

 二匹のイルカの周囲を回る光の玉が消えたと思うと、イルカから超音波が発せられ片方の光の柱を打ち消す。

 

『嘘……!? いつの間にそんなカードが墓地に送られてたの!?』

『最初の手札断殺にスクラップ・リサイクラーとカードガンナーの効果、墓地に送るタイミングはあったからそこら辺だろうね』

『まさかそこまで計算しておったのか!? 侮れん男だ……!』

『『遊矢兄ちゃん! 負けないで!』』

 

「マグナキャリアの効果発動! このカードを墓地に送りエクストラデッキから《超量機神王グレート・マグナス》を特殊召喚し場の三体の【超量機獣】とそのエクシーズ素材を重ねてエクシーズ素材とする! 超量合体、マグナフォーメーション!」

 

 鋼司の掛け声でリアルソリッドビジョンで映された三体の【超量機獣】が浮き上がり、合体準備に入る。

 

「三体の機獣と熱き決闘者(デュエリスト)の魂がひとつになる時、全てを超越する機神の王が降臨する……!」

 

 マグナライガーは変形して胴体に。エアロボロスはパーツが分かたれ背中と両腕に。グランパルスは両足に。それぞれ接合部からバチバチと電撃を迸らせながら合体が完了し、夜の摩天楼に一体の巨大ロボが降り立った。

 

「完成ッ! 超量機神王グレート・マグナス!!」

 

 グレート・マグナス ORU(オーバーレイ・ユニット)×8

 

 サーチライトに照らされ、巨大怪獣と合体ロボが相対する。やがてどちらからともなく動き出し、特撮映画さながらの戦いが幕を開けた。だがこれはソリッドビジョンの演出であり、実際にはまだバトルフェイズへ移行していない。

 

「攻撃力3600……!?」

「グレート・マグナスの効果発動ッ! オーバーレイ・ユニットを一つ使い場のカードをデッキに戻す! 俺はEMラクダウンを選択! マグナ・エアロブラスト!」

 

 グレート・マグナスが右腕のエアロボロスの口を開くと、そこから旋風が放たれ光の柱を砕く。

 

「くっ……! 墓地に送られるわけじゃないからラクダウンはエクストラデッキに行かずデッキに戻る……」

「まだだ! まだ俺は召喚権を使っていない! 《爆走軌道フライング・ペガサス》を召喚! 効果で墓地の《弾丸特急バレット・ライナー》を効果を無効にし守備表示で特殊召喚!」

 

 ペンデュラムゾーンのカードが両方とも無くなり、実質ペンデュラム召喚を封じられてしまう遊矢。彼が顔を顰める中、鋭角なフォルムの列車が、宙を駆ける機械の天馬に引かれてやって来た。

 

「フライング・ペガサスのもうひとつの効果発動! 自分フィールド上の表側表示モンスター一体を選び、そのモンスターとこのカードのレベルを同じにする! 俺はフライング・ペガサスのレベルを10に変更!」

 

 これでレベル10のモンスターが二体並んだ。更なるエクシーズ召喚への準備である。

 

「レベル10のバレット・ライナーとレベル10となったフライング・ペガサスでオーバーレイ! 出発進行、《超弩級砲塔列車グスタフ・マックス》!」

「でっか……!」

 

 大地を轟かせやって来るは、規格外に長い砲身を携えた列車。あまりの大きさに遊矢が目を見開く。

 

「《グスタフ・マックス》の効果発動! 一ターンに一度、オーバーレイ・ユニットを使って相手に2000ポイントのダメージを与える!」

「何だって!? うわぁぁぁぁ!」

 

 遊矢 LP4000→2000

 

 グスタフ・マックスが砲口を暴れ回るジズキエルへ向け、発射。着弾の衝撃でジズキエルは怯み、遊矢は一気にライフを半分持って行かれる。

 

「まだまだァ! グスタフ・マックス一体でオーバーレイ! 現れろ、全てを粉砕し進む要塞《超弩級砲塔列車ジャガーノート・リーベ》!」

 

 グスタフ・マックスが仕事を終えたとばかりに消えると、やがて装甲を纏った要塞の如き列車が汽笛を鳴らす。攻撃力3000越えの大型モンスターの連続召喚に、真澄と刃以外開いた口が塞がらない。

 

「バトルフェイズ! この瞬間リバースカードオープン、トラップ発動! 《超量機神剣-マグナスレイヤー》ァァァ!」

 

 ジズキエルと向かい合うグレート・マグナスが赤・青・緑の三色が折り重なった必殺剣を抜刀し、勇者パースで構える。

 

「このカードをグレート・マグナスに装備する事で、マグナスは貫通効果を得て攻撃力を自身のランク分上昇させる!」

「グレート・マグナスのランクは12だから……攻撃力4800!?」

「バトルだ! グレート・マグナスで守備表示のカレイドスコーピオンに攻撃ィィィ!」

 

 カレイドスコーピオンの守備力は2300。グレート・マグナスの攻撃力との差は2500で、コレが通ってしまえばライフが尽きてしまう。

 そうはさせまいと、遊矢がデュエルディスクを操作して前のターン伏せていたカードをオープンした。

 

「攻撃宣言時にトラップ発動! 《エンタメ・フラッシュ》! 相手フィールドのモンスターは全て守備表示になり、次のターン終了時まで表示形式を変更できない!」

 

 遊矢が発動させた(トラップ)カードから眩い光が放たれ、鋼司のフィールドを包む。

 

 が、グレート・マグナスは止まらずにカレイドスコーピオンへ必殺剣を振り下ろそうとしている。

 

「そんな!? グレート・マグナスの表示形式が変わっていない!」

「グレート・マグナスはオーバーレイ・ユニットが四つ以上の時、【超量】と名のつくカード以外の効果を受け付けない! 攻撃は続行ッ!」

 

 前のターンに伏せたのは、相手の攻撃を抑制するカード。これによりジャガーノートは攻撃できなくなったが、グレート・マグナスは装甲から火花を散らすだけに留まった。危機感を覚えた遊矢は、拾ったアクションカードに希望を託して発動する。

 

「アクションマジック、《回避》! 相手モンスター一体の攻撃を無効……あぁっ!」

「無駄だッ! そいつも無効になり攻撃は続くッッッ!」

「だったら墓地の《EMユニ》の効果発動! ユニと《EMディスカバー・ヒッポ》を除外して戦闘ダメージを一度だけ0にする!」

「グレート・マグナスの攻撃! マグナスレイヤー、スーパーマグナクラッシュ!!」

 

 必殺剣が一直線に振り下ろされ、カレイドスコーピオンは光の粒子となってフィールドを去る。シルクハットをかぶったピンク色のカバと一角のポニーテールの少女が、必殺剣の風圧から遊矢の身を守る。

 これで遊矢のフィールドには攻撃表示のモンスターが二体、対して鋼司のフィールドには守備表示のジャガーノートと攻撃を終えたグレート・マグナス。遊矢は大型モンスターの猛攻を乗り切ったと、ほっと胸を撫で下ろす。

 

「危なかったぁ……けど、なんとかしのぎ切れたな――」

「何勘違いしているんだ……」

「え?」

「まだ俺のバトルフェイズは終了していないぜ!!」

「何を言っているんだ……お前のモンスターは全部攻撃を終了したじゃないか」

「装備されているマグナスレイヤ―を墓地に送り、効果発動! このカードを装備していたモンスターはこのターン、三回のバトルが行える!」

「……マズい!」

 

 しかし、鋼司は容赦なく攻撃を続け遊矢のライフを削りきろうとしてきた。何とかすべく遊矢が駆け出すが、頼みの綱のアクション魔法はグレート・マグナスに通用せず、また周囲に瓦礫が散乱して遊矢の行く手を塞いでいる。これでは遠くへアクションカードを拾いには行けないだろう。

 遊矢は望みを託して、近くにあったアクションカードを拾って発動させる。

 

「グレート・マグナス! ミラージュ・ドラゴンに追加攻撃!」

 

 オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴン ATK1200

 

「アクションマジック《奇跡》! これによりミラージュ・ドラゴンは破壊されず、戦闘ダメージを半分にする! ぐうぅぅ……!」

 

 遊矢 LP2000→800

 

「グレート・マグナス、追加攻撃! 対象はジズキエル!」

「ミラージュ・ドラゴンじゃないのか!?」

「後始末はちゃんと付けとかねぇとなぁ! スーパーマグナクラッシュ!!」

 

 驚く遊矢を他所にジズキエルが必殺剣で横一文字に切り裂かれ、機能停止しながら爆散していく。

 

 遊矢 LP800→500

 

「……けど、これで今度こそグレート・マグナスは攻撃を終了させた! 次の俺のターンで――」

「いや、これで終わりだ! アクション魔法《スカイスクレイパー・アタック》!」

「!!」

「このカードの効果はお前も知っているはず。戦闘で破壊したモンスターの攻撃力の半分のダメージを受けてもらうぜ!」

 

 遊矢 LP500→0

 

 ライフが0になった事でデュエルの決着が付き、デュエルディスクからブザーが鳴る。それから少し遅れて、アクションフィールドも解除され元の景色に戻った。

 

「ぃぃぃやったぜぇ!! グレート・マグナス大勝利!!!」

 

 ハイテンション状態を維持しながら、鋼司が拳を天に突き上げながら勝利に喜ぶ。

 肩を落としてフィールドから出て行こうとする遊矢の背を見ると、彼に向かって声をかける。

 

「遊矢!」

「……!」

「お前とのデュエル、すっげぇ楽しかったぜ! またやろうな!」

「……あぁ! 次は負けない!」

「へへっ、次も俺が勝つ!」

 

 二人はどちらからともなく、互いに固い握手を交わすのだった。

 




 
 一発ネタの短編だから続きはありません。相対する怪獣と合体ロボの構図を書きたかっただけです。
 効果処理等が間違っておりましたら、メッセージで教えて頂けると幸いです。

 以下、オリジナル要素解説。


アクションフィールド『摩天楼』
・夜の摩天楼をイメージしたフィールド。モンスターの元々の攻撃力の半分を参照するアクションマジックが多い。

アクションマジック《スカイスクレイパー・アタック》
(1)自分フィールドのモンスターが相手フィールドのモンスターを戦闘で破壊した場合に発動できる。戦闘で破壊したモンスターの元々の攻撃力の半分のダメージを相手プレイヤーに与える。

・元ネタはまんまGXのアレ。流石に攻撃力そのままは強すぎると感じたので半分に調整。

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