ウマ娘 ~伝説の好敵手~   作:とんこつラーメン

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夏祭りの続き。

今回は、私が連載している他作品からのゲストが登場します。
あの子に関しては…普通に登場しても全く違和感が無いと思います。

それとは別に、作品に対するモチベーションを少しでも上げようとメジロモンスニーに関してもっと色々と調べられることが無いかと思い探っていたら、モンスニーの性格について書いてある記事を見つけました。

それを読んでびっくり。
なんと、史実のモンスニーも穏やかでのんびりとした性格だったそうです。
全く意識していなかったのに、まさか自然と史実と似たような性格になっていたとは。
また、モンスニーは割と体躯が大きかったようなので、途端にウマ娘になっても背が高い子になっているイメージになりました。





屋台

 夏合宿の夜に近所で開かれた夏祭り。

 トレセン学園のウマ娘達もそれに行き、楽しそうに色んな場所を回っている。

 それは、モンスニーやマックイーンを初めとしたメジロ家のウマ娘達も同様で、彼女達も普段は行く機会の少ない夏祭りというイベントを思い切り楽しんでいた。

 

 色んな屋台を回ったが、まだまだ遊び足りない&食べたりない彼女達は、とある屋台の前に来ていた。

 

「「「「「「「…………」」」」」」」

「んだよ? どした?」

 

 屋台には何故かピンクのフリフリエプロンを身に付けたゴルシが。

 何かの間違いかと思い周囲を見渡すが、屋台の持ち主らしき人物はどこにもいない。

 

「えっと…ゴルシはこんな所で何をやってるの?」

「んなの見りゃ分かるじゃねぇか。屋台だよ、や・た・い」

「いや…それは分かるんだけどさ…」

 

 どうしてゴルシが屋台をやっているのかを聞きたいのだが、彼女に関してはもう的確なツッコミをしても意味が無いと、トレセン学園の関係者は全員が非常に良く理解していた。

 

「えっとさ…ゴルシはここで何を売ってるわけ?」

「あ…パーマー…それ聞いちゃうんだ…」

「え? 拙かった?」

 

 誰もが言うべきかどうか迷っている話題をストレートに問うパーマー。

 ドーベルのジト目に冷や汗を掻いてしまった。

 

「お? それを聞くか? いいぜぇ…括目して見やがれ!!」

 

 バンッ!!

 そんな効果音と共に出したのは、パックの中に入っている焼きそば。

 その上には目玉焼きが乗せられていて、一緒にウィンナーも添えてある。

 

「焼きそばの屋台ですか。美味しそうですね」

「ちげーぞアルダン! こいつはそこらにある普通の焼きそばとは一味も二味も違うんだよ!! ここに書いてある文字をよーく見やがれ!!」

「「「「「「「ん?」」」」」」」

 

 ゴルシが指さす場所…即ち、屋台の看板を皆で見てみる。

 すると、そこには非常に達筆な筆遣いでこう書かれてあった。

 

【ハードボイルドウィンナー焼きそば】

 

「ハードボイルド…」

「ウィンナー焼きそば…?」

 

 一体どこがどうなってハードボイルドなのか。

 売っている商品自体は、どこにでもあるごく普通の焼きそばだ。

 そこにウィンナーと目玉焼きをセットにしただけで、どうしてハードボイルドになるのか。

 普段からゴルシと仲が良いモンスニーやマックイーンでも、全く理解が追いつかない。

 

「焼きそばと一緒にウィンナーをボイルする…。そこへ更に焼きたての目玉焼きをトッピング…これぞゴルシちゃん特製『ハードボイルドウィンナー焼きそば』だっ!!」

「え…っと…?」

「ん~…?」

 

 尤もらしく説明されても意味が分からない。

 寧ろ、もっと難しくなってしまった。

 実際、ライアンやアルダンはハテナマークを浮かべながら小首を傾げている。

 

「うだうだ考えず、とにかく食え!! ほれ!!」

「「「「「「「い…いただきます」」」」」」」

 

 なんか無理矢理に手渡され、一口食べてみる事に。

 

「あ…美味しい」

「意外と合いますわね…ウィンナーと焼きそば…」

「濃いソースと目玉焼きから崩れた黄身を合わせても美味しいね」

「モンスニーさんが言ってたことって本当だったんだ…ゴルシの女子力が凄いって」

「意外な人物の意外な才能だ…」

「思っている以上に美味しいですわ~」

「実に新鮮な組み合わせですね。食の道は本当に奥が深いです」

 

 想像以上の美味しさに、全員が黙ってしまう。

 幾ら言動が破天荒でも、味で納得させられたら何も言えない。

 

「そーだろ! そーだろ! にしても、こうしてメジロ家御一行様が揃ってるのも珍しいな」

「まぁ…偶にはね」

「いいじゃねぇか。いいじゃねぇか。仲良きことは美しきかなってな。よっし! モンスニーの復帰祝いだ! 今回はゴルシちゃんの奢りだ―――!!」

「復帰祝い遅っ!?」

 

 もうモンスニーが復帰してから一ヶ月以上経過している。

 それなのに今になって復帰祝いとはこれいかに。

 

「おーい。買い出し行ってきたぞー」

「おー!」

「「「「「「「え?」」」」」」」

 

 何やら急にどこかで聞いたことがあるような声が別方向から聞こえてきて、全員が揃ってそっちの方を振り向く。

 向いた先には、一人の少女が荷物の入ったビニール片手に笑顔で手を振っていた。

 

「う…嘘でしょ…?」

「そ…そんな馬鹿な……」

「ゴ…ゴ…ゴ……」

「ゴルシがっ!!」

「ゴールドシップさんが!!」

「「二人いる――――――――――っ!!??」」

 

 そこにいたのは、見た事の無い真っ白な制服を着たゴルシそっくりの美少女。

 顔だけじゃなく、髪の色、背丈、スタイルまで瓜二つ。

 違いがあるとすれば人間かウマ娘かだけで、それ以外は完全に同一人物と言っても過言じゃなかった。

 

「お疲れさん船子。全部買えたか?」

「おう。ちゃーんと買えたぜ。しかも、船子ちゃん驚異の話術で全部を半額にして貰った」

「スゲーじゃねぇーか! 流石はゴルシちゃんとクリソツなだけはあるな!」

「あったり前田さんのバームクーヘンだぜ!! これぐらい、この船子ちゃんに掛かればメインディッシュ前だぜ!!」

「「あっはっはっ!!」」

 

 全く同じテンション、同じ口調の二人が目の前にいる。

 カオスだった。完全完璧にカオスだった。

 

「あ…あの…ゴールドシップさん…? この方は一体どなたなのかしら…?」

「おー…そういやまだ話してなかったな。ほれ、自己紹介」

 

 ゴルシに話を振られ、船子と呼ばれた少女は急に歌舞伎のようなポーズを取りながら派手に自己紹介を始めだす。

 もうこの時点で全員が『こいつはゴルシと同類だ』を理解した。

 

「やぁやぁ! 遠からん者は音に聞け!! 近くば寄って目にも見よ!! このアタシこそが、暇潰しにD4Cで並行世界を巡り歩いていたら、偶然にもこの世界に辿り着いてしまった天下無双最強最大最高最後の究極美少女の『金野船子』様だぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!! このアタシと出会った事を幸運に思って、末代まで延々と語り継ぎやがれってんだっ!!!!」

 

 なんかもう気になる単語が山ほど出てきたけど、全員が完全にツッコミを放棄した。

 本能で『ツッコんだら負けだ』と悟ったからだ。

 

「船子とは、アタシが昼間に沖で小学生の頃からのダチ公であるホオジロザメの『権三郎』と一緒に昇竜拳の練習としていた時に、偶然にも空間の裂け目から出てきた所で出逢ったんだ。目を見た瞬間に理解したぜ…こいつとは絶対に気が合うってな!!」

「それはこっちの台詞だッつーの! ゴルシはなんだか他人な気がしねーんだよな! もしかして、あたし等って前世で世界を救うために一緒に戦った勇者パーティーの一員だったりしねーか?」

「それだ!! あたしが風水師で」

「アタシがモノマネ師だな!!」

 

 二人だけで話が盛り上がり始め、もう自分達の介入する余地が無いと判断したモンスニーは、全員に目配せをしてから頷き、手を振りながらしれっと、この場を立ち去ることを決めた。

 

「そ…それじゃー…私達はこの辺で失礼しまーす…」

「お邪魔しましたー…」

「おう! またな!!」

 

 去り際にモンスニーとパーマーが挨拶をし、なんとかこの場から逃げ切ることに成功した。

 だが、あのゴルシと何から何までそっくりな『船子』という少女には謎が残るのだった。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 ゴルシと船子の二人から逃げるように離れたメジロ家御一行は、射的の屋台の前で唸っているアグネスデジタルを見かけた。

 

「うぅ~…どうして上手く当たらないのぉ~っ!?」

「あっはっはっ! 筋は悪くねぇが、それじゃあ的はやれねぇな! ほれ! もっと上手く狙いな!」

「うき~!!」

 

 射的屋のおじさんに挑発され唇を噛み締めるデジたん。

 どうやら、彼女の狙いは的として並べられているウマ娘グッズの数々のようだ。

 

「あそこに…目の前に超激レアなグッズが並んでいると言うのにぃ~!! うぅ…弱いデジたんをどうかお許しください…」

 

 悔しがったかと思ったら、今度はガクーンと落ち込む。

 ゴルシとは別の意味で感情の揺れ幅が大きい子だった。

 

「射的かー…ちょっち行ってみる?」

「面白そう! あたしは行ってみたいかも!」

「デジタルが何を欲しがってるのか気になるかな」

 

 意外や意外。

 ライアンとドーベルが興味を示したことで次に行く屋台が決定。

 一行はそのまま射的屋まで行くことに。

 

「デージたん。何をそんなに唸ってるの?」

「ひょわぁぁぁぁぁぁっ!!?? メ…メメメメメジロモンスニーさんっ!? どうしてこんな場所にッ!?」

「どうしてって…普通に夏祭りを楽しみに来たんだけど?」

「そ…そうなんですね…って、よく見たらマックイーンさんにライアンさん、ドーベルさんにパーマーさん、ブライトさんにアルダンさんまでっ!? まさかのメジロ家のウマ娘全員集合ですかぁぁぁぁぁッ!? オラオラですかぁぁぁッ!?」

「別にオラオラはしませんわよ?」

 

 ここでマックイーンがまさかのネタツッコミ。

 意外と漫画を読んでいるのかもしれない。

 

「何を狙ってるのって…わぉ…」

「成る程…ウマ娘のグッズを狙ってるんだね」

「お恥ずかしながら…。中々取れないでいますが…」

 

 手元にある籠を見てみると、入っているのは何故かマルゼンスキーのぬいぐるみだけだった。

 

「よく見たら、ここにいる皆のグッズも普通にあるんだけど」

「あら~…本当ですわ~」

 

 マックイーンのマグカップに、ライアンのスポーツタオル。

 パーマーのTシャツに、ドーベルのブロマイド。

 ブライトの写真付きメモ帳に、アルダンの壁掛け時計。

 他にも色んなウマ娘達のグッズが所狭しと的として並べられていた。

 

「流石は有名人の皆だねー。メジロ家の誇りだわー」

「あの~…モンスニーお姉さま?」

「モンスニーお姉さまのグッズもありますよ?」

「え?」

 

 ブライトとアルダンに言われ、二人の視線の先を追っていく。

 そこには、非常に精巧に作られたモンスニーの勝負服フィギュアがあった。

 

「なんで私のだけ無駄にクオリティが凄いことになってるのッ!?」

「あのですね~…モンスニーさんのグッズって、物凄く沢山、世に出てますよ?」

「マジでッ!?」

 

 最後はデジたんからのまさかの情報に、モンスニー久し振りのびっくり。

 そもそも、今まで一度も自分のファングッズなんて見た事が無いモンスニーからすれば、一つでもあること自体が驚きなのに、まさか沢山あるだなんて想像もしていなかった。

 

「眼前に広がる宝の山を前に手も足も出ないデジたん…なんて情けないのでしょうか…! デジたんのウマ娘ちゃん達に対する愛は、こんなもんじゃないのに…!」

「んー…」

 

 色々と言いたい事はあるが、デジタル自身は至って本気だ。

 先輩として、ここは何かアドバイスぐらいはしてやりたいが…。

 

「デジたんや。ちょいといいかしらん?」

「ひゃ…ひゃいっ!? にゃ…にゃんでしょうかッ!?」

「ここは一つ『発想の転換』をしたらどうかな?」

「発想の転換…ですか?」

「そ。今やっているのは射的なんかじゃなくて、目の前にいる捕らわれのウマ娘ちゃん達を救う為に頑張ってる…的な?」

「ウマ娘ちゃん…捕らわれ……」

 

 何度も言葉を反芻し頭の中に染み込ませていく。

 数秒の後、目を見開いたデジたんの全身が真っ赤に燃え上がっていた。

 

「そうだ…私が…私が…!」

「こ…これは、まさかの界王拳っ!?」

「いや…違う! これは!!」

「「TRANS-AMだっ!!!」」

 

 GN粒子ではなく、全てのウマ娘に対する愛情が三倍になり、全身に行き渡っている。

 これこそ、イオリア・シュヘンベルグではなく三女神さまが残した大いなる遺産!

 

「って、なんか近くからトランザム時のBGMが聞こえてきてる? どこから?」

「私のスマホからですわ~」

「まさかのブライト!? 地味に準備が良い!!」

 

 スマホを掲げながら、スピーカーからはトランザム発動時に流れる例の神曲が。

 それを聞き、デジたんのテンションも最高潮になっていく。

 

「私が…私達がウマ娘だっ!!!」

「「「「「「おぉ~…」」」」」」

 

 あの気弱なデジたんは完全に消え、そこにはイノベイターに覚醒しそうな勢いのデジたんが。

 

「おじさん…もう一回お願いします…!」

「お…おぅ…」

 

 財布からもう一回分のお金を出してからの挑戦。

 だが、今度のデジたんは一味も二味も違う。

 

「アグネスデジタル…目標を狙い撃つ!!」

 

 コルク銃を片手で構え、そのままトリガーを引く!

 すると、勢いよく飛び出したコルクはイナリワンのミニぬいぐるみに見事ヒット。

 

「や…やるじゃねぇか…」

「それだけだとお思いですか?」

「なに?」

 

 ぬいぐるみの弾力とコルクの勢いを利用し、まさかの跳弾で前に置いてあるカレンチャンの手鏡に命中。

 見事なダブルヒットを成し遂げたのだった。

 

「なんかデジたんが凄いことになってる…」

「乱れ撃つぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」

「そして劇場版になったっ!?」

 

 どこから取り出したのか、コルク銃の二丁流で次々と景品を獲得していく。

 まさにそれは怒涛のラッシュだった。

 

「す…すげぇ勢いだ! だが、流石にもう…」

「ところがぎっちょん!!」

「なにぃっ!?」

 

 ポコンと右手に持ったコルク銃でモンスニーのフィギュアを狙い撃ち、見事にゲット。

 

「よっしゃぁぁぁぁっ!! お部屋に飾って毎日手入れをして大事にしますっ!」

「そ…それはどうも…」

 

 結局、残弾を全て使い果たすまで撃ちまくり、一発もミスすることなく使い果たした。

 その時間、まさかの三分間ジャストだった。

 

「感…無量…!」

「あ…デジたんが燃え尽きた」

「この場合は粒子が切れたって言うべきなんじゃないの?」

 

 恍惚の笑みを浮かべながらデジたんが天を見上げる。

 天命を全うした勇者のように。

 

「お疲れ様…デジたん」

 

 最後にモンスニーが一言呟き、射的屋の死闘は幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回もまだな夏祭りは続くんじゃよ。

多分、今度で夏祭りの話はラストです。
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