ウマ娘 ~伝説の好敵手~   作:とんこつラーメン

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商売

 そうして、約束の日曜日になった。

 モンスニーは見事に『彼女』を連れてくることに成功し、エアグルーヴやタマモクロスと一緒に街中へと出かける事に。

 

「ってことで、今日はどうかよろしくね。デジたん」

「は…はいぃぃぃぃぃぃぃぃっ!! こんなデジたんで良ければ、どうかよろしくお願いしまぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!」

 

 半ば強引に連れてこられたとはいえ、今のデジタルの心の中はとんでもないことになっていた。

 

(ど…どどどどどどどどどどどどどどどどどどどうして、こんな私がこのお三方と一緒に休日にお出かけなどと言うライトニングリア充神イベントをする羽目にっ!? しかも、お相手はあの『女帝』エアグルーヴさんに『白い稲妻』タマモクロスさん、『伝説の好敵手』メジロモンスニーさんという最強トリオ!! 私何かしちゃいましたかぁぁぁぁぁっ!? もしかして、今日一日で一生分の運は愚か、来世や来々世の分の運すらも全て使い果たしてしまっているのではッ!? はっ!? そう言えば、この間、畏れ多くもマチカネフクキタルさんに私の運勢を占って貰った時、近日中に特大級の幸運が訪れると仰っていたけど…まさかこれのことっ!?)

 

 この間、僅か3秒。

 デジたんは思考の速度すらも超速だった。

 

「ふ~…ターセル様々やわ~」

「いきなり何言うとんねん」

 

 などと言ってツッコミを受けながらも平静を装ってはいるが、本当は…。

 

(何がどーしてこうなったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!??)

 

 全くターセル様々ではなかった。

 

「それで? ウマ娘のグッズが販売されている店と言うのはどこにあるんだ?」

「えっ!? あ…こ…こちらデス!」

 

 エアグルーヴから放たれる女帝オーラを眼前でモロに浴びて僅かながら正気に戻ったデジたんは、言われるがままに自分の行きつけとなっている店へと案内した。

 

「ここを真っ直ぐ行って…右に曲がってからの…ここです!」

「「「おぉ~」」」

 

 到着した場所は中々に大きな店で、看板には堂々と『ウマ娘グッズ専門店』と書かれてあった。

 

「デジたんは、いつもここで買い物をしているの?」

「いつもってわけじゃないですね。ここほどでは無いですが、他にも専門店は沢山ありますから」

「そうなんか?」

「はい。お店ごとに置いてあるグッズは違いますから。新しく入荷している場合もありますし、割と細目にチェックはしてますね」

 

 流石は全てのウマ娘を推しているウマ娘。

 推し活への情熱は誰にも負けてない。

 

「では、どうしてここに?」

「単純に、このお店が一番大きくて、グッズの種類も豊富だからですね。あと、顔見知りの店員さんもいますし」

「「「ほぉ~…」」」

 

 もう完全に専門家と化しているデジたん。

 この場で何か分からない事があったら、全てデジたんに聞こうと思った三人だった。

 

「それじゃあ、中に入りましょうか。今日は何があるのかな~♪」

 

 初めて入る店に緊張している三人を余所に、デジたんはウキウキワクワクしながら店内へと入って行く。

 そんな彼女に続くようにして、モンスニー達も店内へと入っていった。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

「ほぇ~…」

「なんじゃこりゃ…」

「これはまた…」

 

 店の中内入った三人は、己が目を本気で疑った。

 至る所にウマ娘のグッズが、所狭しと展示してあった。

 当然のように、彼女達もよく知っている名前も沢山あった。

 

「ある程度の想像はしていたが…これは凄いな…」

「ホンマやな…まるで別世界や…」

「ん? これって…」

 

 早速、何かを見つけたモンスニーがある商品を手に取った。

 

「マジかー…これ、バクちゃんの勝負服フィギュアじゃないの…完成度たかー…」

「こっちには、ブルボンのぬいぐるみがある…」

「なんやこれ…え? イナリ印のサンダルっ!? あいつ、いつの間にこないなもんを出しとったんやっ!?」

 

 入店数秒ですぐに知り合いのグッズを発見した。

 この分だと、トレセン学園で活躍しているウマ娘達のグッズの大半はあると考えて良さそうだろう。

 

「ところで、デジたんはどこに行ったのかしら?」

「入ってすぐに見失ってしまいましたね…」

「アイツのことやから、またぞろどこかでウマ娘のグッズでも漁っとるんとちゃうか?」

 

 タマモクロスの予想は大当たりで、店に入ったデジたんは即座に狙っていた推しグッズの所に直行して、血走った目で吟味をしていた。

 

「むむむ…流石は有名メーカーで造られた一品…どれもこれも非常に出来が良い…! 本当は全部買いたいけど、そうしたら別のウマ娘ちゃんグッズが買えない…! あぁ~! なんで贅沢な悩みなのぉ~!」

 

 別に贅沢でもなんでもないのだが、本人からしたらそうでもないのだろう。

 その心境は神ならぬデジたんのみぞ知る。

 

「ま、店の中を見て回っていればいずれどこかで合流するでしょ」

「それもそうですね。我々は我々で見て回りましょうか」

「そやな。ほな、いこか」

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 ウマ娘のグッズは何もバラバラに置いてあるというわけではなく、場所によっては世代やグループなどによってコーナーが作られているようだ。

 

「ねぇねぇ。あそこに『黄金世代コーナー』ってあるわよ」

「本当だ。スペシャルウィークやエルコンドルパサーのグッズが並んでいる」

「キングにグラス、スカイやツルマルのもちゃんと揃っとるな」

 

 流石は人気の高い黄金世代。

 誰の、どのグッズも非常に売り上げが好調なようで、所々に売り切れの張り紙が貼ってあった。

 

「こっちには『覇王世代』と書かれたコーナーがあります」

「ってことは、オペちゃんやトプロちゃん、ドトウちゃんにアヤベちゃんたちね」

「しれっとウララのグッズも混ざっとるな。忘れとったけど、あいつもオペラオー達と同世代やったっけ」

 

 本人も良く歌劇の公演をしているだけあって、オペラオーのグッズには派手な物が多い。

 アドマイヤベガのグッズには星座関係や、何故かフワフワモコモコのクッションがあったり。

 どれもこれも、本人達の特徴を良く捉えてあった。

 

「え…なにこれ…」

「どないしたんや?」

「いや…クリークのグッズが売ってあったんだけど…これ…」

「『スーパークリークの特製哺乳瓶』…って、なんでやねん!!!」

 

 本日初の超弩級のツッコミが炸裂。

 これに関しては、別にタマモクロスでなくてもツッコむと思うが。

 

「いや…確かにクリークはママ属性だけどさ…これは流石に…」

「やりすぎやろ…」

 

 ちょっと油断すれば、誰も彼もが彼女の前で赤ん坊と化す危険性が高い。

 過去には、あのメジロラモーヌすらも陥落寸前まで追い詰められた実績がある。

 

「モ…モンスニーさん…」

「ん? どしたのエアグルーヴ?」

「こ…これを…」

 

 震える手でエアグルーヴが差し出した一冊の本。

 その表紙には驚くべきタイトルが書かれてあった。

 

【明日から君も人気者! 『皇帝』シンボリルドルフの爆笑一発ギャグ100連発!】

 

「「…………」」

 

 一瞬、本気で時が止まった。

 比喩でなく。

 

「ルドルフ――――――――――――っ!!??」

「なんちゅーもんを出版しとんのや―――――――っ!!!」

 

 本日二回目のツッコミ来ました。

 今度はモンスニーのおまけ付きで。

 

「あの子ったら…なんてもんを出してんのよ…」

「絶不調待ったなしやな…」

「これで喜ぶのは、会長のギャグを好いているナイスネイチャぐらいだ…」

 

 実は、ネイチャは既にこの本を購入済みで、既に何回も読んで部屋で笑い転げているとかなんとか。

 

「ある意味、見に来て正解だったかもしれん…」

「他にも何か無いか見ておかないとね…ん?」

「今度は何や?」

 

 また何かを見つけたのか、モンスニーが一本のはたきを手に取った。

 

「『エアグルーヴ監修。特製はたき』…だって。知ってる?」

「それは…知ってますね。前に一度、業者の方とグッズの話をした時に、これを出すことになったような…」

「他にもあるで。箒にちり取り、モップに雑巾5枚セット。見事に掃除道具系ばっかりやな」

 

 エアグルーヴの綺麗好き…ならぬ掃除好きは周知の事実なので特に何も言わないが、まさかグッズまで掃除道具だったとは。

 らしいと言えば非常に『らしい』グッズだった。

 

「それを言うなら、こっちにはタマモクロスのグッズもあるぞ」

「え? マジで?」

 

 エアグルーヴが指さしたところには、一台のタコ焼き器が置いてあった。

 

【タマモクロスのタコ焼き器! これで激ウマたこ焼きを量産や!】

 

「…そういや、こないなもんもあったな。普通に忘れとったで」

「他にも、鉄板プレートに竹串にヘラに…見事に粉物系料理で統一されてるね」

「これ以外に特に思いつかなかったんやからしゃーないやんけ。そういうモンスニーのグッズはどないなっとんねん?」

「私? 私のはー…どんなのがあったかなー…」

 

 店内をキョロキョロと見渡すと、ありましたモンスニーのグッズ。

 

「あったあった。私のはー…これ」

「なんやこれ? 電車の模型かいな?」

「だが、ただの模型じゃないな。モンスニーさんの顔が描かれている」

「そ。ぬいぐるみやブロマイドみたいな共通グッズ以外だと、私は基本的に『鉄道系』になるね」

 

 よく見てみると、他には『モンスニー印の切符入れ』や『モンスニーの勝負服カラーのプラレール』、『モンスニー監修の一眼レフカメラ』なんかもあった。

 

「なんでカメラ?」

「電車を取る用」

「「あぁー…」」

 

 そう言えば忘れていた。

 モンスニーは熱狂的なまでの『撮り鉄』だったことを。

 

「他にも色々とあるわね~。全部見ていったらキリが無いわ」

「そうですね。ですが、来た意味はありました」

「そやな。驚きはしたけど、変なもんとかは売っとらんかったし。これはこれで良い気晴らしになったわ」

 

 普段、こうして自分達のグッズを客目線で見る事など無いので、今回は新鮮な体験が出来た。

 結果として、三人的には充実した休日となったようだ。

 

「どうせなら、何か買って行ってみる?」

「そうですね。ならば、私はこの『サイレンススズカの勝負服カラーのランニングシューズ』を」

「ほなら、ウチはこの『ヒシアケボノの調理グッズ一式』にしよか。この値段でこの数はかなりお得や」

「それじゃー…私はこの『ゴルシと行く冥王星六泊七日旅行券』を…」

「「なんでそんな物があるっ!?」」

 

 その短い一文に山のようにツッコミ所があるが、たった二人ではそれを処理しきれなかった。

 

 一方その頃、さっきからずっと姿が見えなかったデジたんはと言うと…。

 

「はぅぅ…見目麗しいウマ娘ちゃん達が、私の行きつけのお店で他のウマ娘ちゃんグッズに囲まれながらキャッキャウフフしてる…感・無・量……ガク」

 

 物凄く幸せそうな顔をしながら、今日もまた天に召されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




他にも色んなウマ娘のグッズを書きたかったのですが、全部書いていったらキリが無さそうなので泣く泣くカットしました。

どこかで出せたらいいな…。




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