ウマ娘 ~伝説の好敵手~   作:とんこつラーメン

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うーわー。

すっごい久し振りの更新だー。







助力

 それは、ある日突然起こった。

 

 今日も今日とて、チームトレーナーである大久保と一緒にトレーニングに励むモンスニー。

 本日のメニューを全て終え、サポートしてくれているタイシンからタオルとスポドリを受け取りながら体を休めていると、いきなり彼女のスマホに着信が来た。

 

「およ? この私に着信とは、一体誰ですかいな?」

 

 待たせては悪いと思い、急いで着信に出ようとした時にピタリとモンスニーの手が止まる。

 

「ん? どうしたの? 早く出なよ」

「あー…うん。そーだね」

「なんか歯切れが悪いね。誰からだったの?」

「エアグルーヴ。あの子から私に電話なんて珍しいなーって思って」

「ふーん…」

 

 確かに、彼女とは少し前に一緒にお出かけはしたが、だからと言って普段からそこまで仲がいいと言う訳ではない。

 強いて言えば『知り合い以上友人以下』と言った感じか。

 モンスニーからすれば可愛い後輩でもあるのだが。

 

「まぁいいや。ポチッとな。もしもしもしもし? こちらメジロモンスニー」

『『もし』の数が多すぎです』

「まぁまぁ…細かいことは気にしない。で、どーしたの?」

 

 出た早々にツッコミを入れられた。

 他のウマ娘にする時よりは割とマイルドなツッコミだが。

 

『実は…会長の事で御相談が…』

「会長って…ルドルフ? あの子がどうしたの? また変な親父ギャグでも言われてやる気が下がった?」

『いえ…それはもういつもの事なんで諦めました…』

「遂に諦めちゃったんだ…」

 

 モンスニーが知るシンボリルドルフと言うウマ娘は、基本的に品行方正のお手本みたいな感じだ…あの変な趣味さえ除けば。

 別に副会長であるエアグルーヴが相談するような事は無いとは思っている。

 だからこそ分からない。

 一体何を相談しようとしているのかを。

 

『モンスニーさんは、もうすぐ『駿大祭』が行われる事はご存知ですよね?』

「そりゃまぁね」

 

 と答えつつも、心の中では…。

 

(そっかー…もう駿大祭の季節かー。戻って来てからコッチ、ずっとトレーニングばっかりやってたから普通に忘れてたわー)

 

 と、呑気に考えていた。

 

『毎年、駿大祭はウチの生徒会も運営に深く関わっているのですが…』

「あー…何か話が読めてきた」

『本当ですか?』

「うん。大方、ルドルフが一人で頑張り過ぎて自分達の出る幕が無いよー…的な感じでしょ?」

『さ…流石は会長と長い付き合いのあるモンスニーさん…お見事です』

「それ程でもー」

 

 大当たり。

 優秀過ぎるが故の弊害と言う奴で、ルドルフは昔から他人に頼るという事を最も苦手としている。

 なんせ、本当に一人で大概の事をどうにか出来てしまうから質が悪い。

 そのせいで自信を無くし、生徒会を去って行ったウマ娘がこれまでに何人いた事か。

 

『ですが、普段の仕事に加えて駿大祭の事も一緒にとなると会長も疲労の度合いが激しいらしく…』

「でも、その事を皆に隠して、何にも無いように振る舞って仕事をしている?」

『その通りです…。一応、私やブライアンからも何度か『休んでほしい』という旨の言葉を言いはしたのですが…』

「結局は、どこかで仕事をしていた…か。まだ学生なのに仕事が恋人になってどうするのよ…あの子は…」

 

 本人には全く悪気はないのだろうが、それでも見ている方は溜まったもんじゃない。

 ルドルフの数少ない欠点であり、本人も自覚はしているようではあるが、それでも中々に改善は出来ていない様子だ。

 

『なので、どうすればいいのかと思いモンスニーさんにご相談をしようと…。そちらもお忙しいことは重々に承知しているのですが…』

「あー…それなら大丈夫。丁度今、トレーニングが終わった所だから」

『そうですか…』

「しゃーない。他ならぬエアグルーヴからの頼みだし、私としても無理をするルドルフの事は放置できないし」

『では…!』

「うん。今からそっちに…生徒会室に向かうよ。ちょっとした助っ人たちも連れて」

『助っ人? それは一体…?』

「見てからのお楽しみ。んじゃ、また後で」

『はい。お待ちしております』

 

 通話を切ってから深い深い溜息を吐く。

 溜息には呆れの感情が含まれていた。

 

「なんとなく話は聞こえてたよ。会長にも困った一面があったりするんだね」

「そりゃね。あの子だって完璧超人ってわけじゃないから。今の中等部の子達には分かりにくいとは思うけど」

「かもね…」

 

 後輩…特に中等部のウマ娘達の大半が、異例とも言える7冠という偉業を達成したシンボリルドルフと言う存在を英雄視、もしくは神聖視している節がある。

 トウカイテイオーのように、純粋な憧れの対象と見ているのは本当にごく少数しかいない。

 

「ルドルフとは入学した時からの付き合いだし…ほっとくわけにはいかないよねぇ…」

「その気持ち…なんとなく分かるかもしれない」

 

 タイシンにも、ウィニングチケットやビワハヤヒデと言った昔馴染みが存在している。

 表面上こそはぶっきらぼうにしているが、いざ彼女達に何かあれば真っ先に動くであろうことは容易に想像が出来た。

 

「だからー…トレーナー」

「分かってる。遠慮なく行ってこい。学生時代の友人は大切にしないとな」

「わー…トレーナーが言うと説得力があるなー」

「それはどういう意味だ?」

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 と言う訳でやってきた生徒会室。

 その途中で二人のウマ娘を拾って連れてきた。

 

「ノックしてもしもーし。メジロモンスニー入りますよー」

 

 中からの返事がある前にドアを開けてはいるモンスニー。

 ルドルフが生徒会長になってから頻繁に入っているので、もう殆ど自室に近い感じになっていた。

 

「あぁ…モンスニーか。よく来たな」

「やっほー」

 

 机に座っているルドルフの顔を見て、即座に事態の深刻さを理解する。

 口調こそは普通を装ってはいるが、明らかに顔色が悪い。

 病気や怪我などではなく、純粋に疲労が溜まっている様子だ。

 

「いかがですか? モンスニーさん」

「うん…ある程度の予想はしてたけど…まさか、ここまでとはね。だからこそ言わせて欲しい。こ・れ・は・ひ・ど・い」

 

 幾らウマ娘とは言え、連続で体を酷使し続ければ当然のように心身ともに疲労は蓄積していくし、それが切っ掛けとなって体調不良に繋がることだって決して珍しくは無い。

 

「矢張り、お前から見てもそう感じるか」

「と言うか、これはもう私じゃなくても一発で分かるでしょ。駿大祭が大事なイベントだって事は私も理解しているけどさ」

 

 生徒会副会長であるにも拘らず、普段は殆ど生徒会室にいないナリタブライアンも珍しく苦言を呈した。

 彼女の場合、こうして生徒会室にいること自体がレアなケースなのだが。

 

「私達じゃもう止められそうにないんでな。となると、同年代であるアンタらに頼むのが一番じゃないかと思ってな。まずはモンスニーに頼んでみる事にしたんだ」

「もしも私が駄目だったら?」

「その時は、シービーやカツラギに頼んでいた」

「うーわー…見事なローラー作戦だー」

 

 そうなると、最初からモンスニーに連絡をしたのはある意味では英断だったかもしれない。

 普段から色んなウマ娘やトレーナーから相談事を持ちかけられているモンスニーは、基本的に頼みごとを断ったりはしないから。

 

「さっきから何を話しているんだ?」

「んー? ルドルフの事を話してたんだよー」

「私の事を?」

「そ。こっちの予想以上の事態だったって」

「え? は? わ…私がどうかしたのか?」

「「「…………」」」

 

 自覚なし。

 モンスニーとブライアンとエアグルーヴが揃って呆れた目をルドルフに向けた。

 

「なんつーか…駄目だこりゃ。マジで助っ人呼んでおいて正解だったわ」

「助っ人だと?」

「そう言えば、さっきの電話でもそんな事を言っていましたね。一体誰なのですか?」

「ルドルフに尤も効きそうな清涼剤を持ってきたの。助っ人ちゃん達! カームヒアー!」

「お前はどこの噂の快男児だ」

 

 ブライアンから、まさかのツッコミを受けてしまったが、そんな事は気にせずに廊下で待っていてくれた子達を生徒会室に招き入れた。

 

「んもー! 待たせすぎだよー!」

「お邪魔しまーす…」

「あいつ等は…」

 

 入ってきたのは、トウカイテイオーとツルマルツヨシ。

 どっちともルドルフに強い憧れを抱いているウマ娘達だ。

 同時に、ルドルフの事を色眼鏡無しで見ている数少ない中等部のウマ娘でもある。

 

「おい。まさかとは思うが、お前の言っていた助っ人と言うのは…」

「あの子達だよ?」

「マジか…」

 

 モンスニーのことだから、てっきりライバルで同級生でもあるシービー辺りを連れてくると思っていたブライアンは、完全に虚を突かれる形となった。

 それはエアグルーヴも同じようで、まさかの人選に驚きの顔を隠しきれない。

 

「あれ? カイチョー…もしかして疲れてる?」

「ホントだ…なんか顔色が悪くありません?」

「いや、私は別に…」

 

 ルドルフの異変を初見で看破してみせた二人。

 これには副会長二人も開いた口が塞がらなかった。

 

「やっぱり、二人にはルドルフの事が分かるんだね」

「もっちろん! カイチョーの事はいっつも見てるからね!」

「私もです! 憧れの人を良く観察するのは当たり前の事ですから!」

 

 腐れ縁とも言えるほどの付き合いであるモンスニー達や、生徒会でよく顔を合わせているブライアンやエアグルーヴ達しか分からなかった事を、彼女達は一発で見抜いてみせた。

 それだけ、ルドルフに対する憧れが本気であるという証拠だ。

 

「どう? 少しは気が楽になった?」

「あ…あぁ…」

 

 まさかの来訪者に肩の力が抜けたのか、少しだけ呆けた顔になる。

 今までは、こんな顔をするのはモンスニーやシービー、シリウスのような同世代と一緒にいる時だけに限定されていた。

 それをこうして見せてしまう程に、今のルドルフは疲れているという事だ。

 

「はいはい。悪いけど、二人は少しだけ離れててねー」

「「えー?」」

「大丈夫。ちゃんと後で二人にはやって欲しいことがあるから。と言う訳で…ルドルフ?」

「ど…どうした? 急に怖い顔になって…」

「今から…楽しい楽しいお説教タイムの始まりだよ~」

「お…お説教タイム…?」

「そ。覚悟は出来てる? 私は出来てる」

 

 実に『良い笑顔』をしながらにじり寄っていくモンスニー。

 これは、彼女が本気で怒っている証拠だった。

 過去にこれを見せた時は、マックイーンが己の中にある内なる欲望に負けて、モンスニーが密かに取っておいた限定ショートケーキを食べてしまった時だけだ。

 

 ここから、昔からの友人であるが故の説教が始まる。

 

 

 

 

 

 




やっぱり一話じゃ収まらなかった。

既に話は出来ているから問題は無いけど。
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