ウマ娘 ~伝説の好敵手~   作:とんこつラーメン

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のんびりと書いていたら、結果的に時事ネタになってしまった。








唐突

 ライアンが冴島と話して迷いを振り切った次の日。

 メジロ家邸宅にて、メジロ・クリスマス・ナイトで着る衣装が無事に完成したとの事で、皆で衣装合わせを行っていた。

 

「って事で…じゃじゃーん! クリスマス・ナイトでやる『謎解き宝探しゲーム』のサンタとトナカイの衣装が届きましたー!」

 

 パーマーがトナカイ、ブライトがサンタをイメージした衣装になっていて、パッと見は分かりにくいが、ちゃんと衣装の所々に衣装のテーマに沿ったアクセサリが付いていたりする。

 

「うっわぁ…二人とも、すっごく可愛い! その衣装のデザインって確か、あのお人形…マキちゃんのデザイナーさんに注文したんだっけ?」

「えぇ。ちゃんと、最後のお見送り用に全員分の衣装もご用意しておりますわ~。ドーベルも当日をお楽しみに~ですわ~」

 

 二人の衣装にドーベルも称賛を送り、着々と準備は進んで行く。

 そこへ、ちょっと様子を見に来たモンスニーが部屋にやって来た。

 

「お? やってるね~」

「あ、モンスニーさん」

 

 ライアンに言っていたにも拘らず、やっぱりモンスニーも彼女達の事が気になる模様。

 どんなに頭じゃ分かっていても、根の部分は『お姉ちゃん気質』なのだろう。

 

「ふぇ~…パーマーもブライトも可愛いね~! めっちゃ気合入ってるじゃ~ん!」

「へへ…そうでしょ? ちゃんと、モンスニーさんの分の見送り用衣装もありますからね~!」

「そうなんだ~…私も地味に当日が楽しみになってきたかも」

 

 メジロ家の実質的な長女として、これまでにも色んなクリスマス・ナイトに参加してきたが、今回はいつも以上に期待と興奮が増してきた。

 それはきっと、彼女達の頑張りを身近に見てきたせいもあるかもしれない。

 

「そうだ。実は、そのクリスマス・ナイトについて少し知らせることがあるんだった」

「知らせる事? 一体なんですか?」

 

 あのモンスニーからの知らせと聞いて、全員が耳を傾ける。

 

「あのさ、当日はマックイーンとアルダンが別の用事で出席できないでしょ?」

「そうですね」

「だから、その代打ってわけじゃないんだけど…今回、準備を手伝ってくれたターボちゃんも急遽、参加してくれることが決まりました~!」

「「おぉ~!」」

「それはいいですわね~」

 

 遠縁ではあるが、ターボも立派なメジロの血縁者。

 それに加え、今回はまさかの形で多大な貢献をしてくれた。

 故に、彼女の参加を反対する者は誰もいなかった。

 

「うん。凄く良いと思う! ターボのあの元気っぷりは貴重だしね! きっと、お客さんも盛り上がってくれると思うよ!」

「アタシも同感。なんて言うか…ターボを見てると、こっちも自然と元気になるんだよね」

「いつでもどこでも明るくて元気で…とっても可愛らしいですわよね~」

 

 何があっても絶対に諦めない。

 いつだって全力投球な彼女の姿勢に心打たれた者は少なくない。

 本人は自覚は無いが、実はかなりファンが多かったりするのだ。

 

「じゃあ、後でターボの分の衣装も追加発注しておかないとね。一着ぐらいなら、まだギリ大丈夫でしょ」

「そうだね。それじゃあ早速…」

「あー…ちょい待ち。実はもう一つ、お知らせしなくちゃいけない事がありまして~…」

「「「え?」」」

 

 さっきとは裏腹に、今度は非常に申し訳なさそうにするモンスニー。

 彼女の耳も、ペタリと垂れてしまっている。

 

「一体何があったんですか?」

「…変に誤魔化しても意味ないし、ここはストレートに言うわ。うん。それがいい」

 

 まるで自分に言い聞かせるような台詞。

 それ程の事が起きたのだろうか。

 

「…どこからか、ゴルシが今回のクリスマス・ナイトの事を嗅ぎつけて、ついさっき緊急参戦することを宣言してきたんだよ…」

「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」」

「あらあらまぁまぁ~」

 

 これは完全に予想していなかった展開。

 今まで影も形も見なかったから尚更だ。

 

「しかも、私の知らない所でおばあさまとも接触してたみたいで、もう既に参加の許可を得てるみたいなんだよね…」

「な…なんて用意周到な…」

「確かに…あの人もメジロ家とは無関係じゃない…というか、物凄く関係があるけどさ…」

 

 実際、血の濃さだけで言えばターボよりもゴルシの方が上であり、ターボの参加が認められて、ゴルシの参加が認められない道理はないのだ。

 

「まぁ…ゴルシの事だから、多少の暴走はしても場を壊したりするような事だけは絶対にしないと思う。あの子、ああ見えて周りへの気遣いはちゃんと出来る子だから」

「根は悪い子じゃないんだよね…根は…」

「実力は申し分ないし、黙っていれば物凄い美人なんだけど…」

「口を開いた瞬間に全てが台無しになっちゃうのよね…非常に勿体無いことに…」

 

 パーマーとドーベルとモンスニーが顔を顰めながらゴルシについて語り合う。

 最も質が悪いのは、普段の破天荒さを全て帳消しにしてしまえるほどにゴルシと言うウマ娘の他の部分が完璧すぎる事だ。

 本気で走れば連戦連勝は当たり前、スタイルも容姿も超抜群。

 更には頭脳明晰でテストでは常に全ての教科で満点近い点数を叩きだす。

 だからこそ誰も強く言う事が出来ない…あのマックイーン以外は。

 

「そういや、前にゴルシって何かの雑誌で表紙飾ってなかったっけ…?」

「あー…なんかそれ、どこかで見たことがあるようなー…」

「あたしも…すっごい美人のウマ娘が表紙にいるなーって手に取ったら、実はゴルシだったんだよね…あれには本気で驚かされたな…」

「その雑誌、買っておりますわ~」

「「「マジでッ!?」」」

 

 ニコニコしながら雑誌を見せるブライト。

 その表紙には最新の夏服を見事に着こなしてポーズを取るゴルシの姿が。

 

「なんつーか…」

「いつ見ても…」

「本当に…」

「「「勿体無いなぁ~…」」」

 

 表紙の中でキメ顔をしているゴルシを見て、改めてそう思う三人なのだった。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

「てなわけで来たぞ~!」

「来たぞ~!」

 

 今日はゲームのお宝プレゼントで配る物の一つである『限定版メジロ家カレンダー』の撮影日。

 撮影自体はスタジオではなく、色んな場所を背景にして写真を撮る予定となっている。

 撮る場所は各々に印象深い所にする予定となっている。

 

 今回は流石にマックイーンとアルダンも一緒に撮影をする事になっているのだが…何故かここにもゴルシとターボが来ていた。

 

「ちょっと! ターボさんはともかく、どうしてゴールドシップさんまで一緒に来ているんですのッ!?」

「別にいいじゃねっかよ~! ゴルシちゃんだって立派なメジロ家の血縁者なんだぜ~? 今度のクリスマス・ナイトに参加する事も決まってるしな~!」

「そ…それは…そうですけど! でも!」

「それに、少しでも写真のバリエーションがある方がカレンダーが映えるだろ~?」

「うぐぐ…こんな時だけ正論を言って…!」

「それに、ちゃ~んとおばあさまの許可は取ってあるんだぜ~? な~?」

「な~!」

「な…なんですってぇっ!?」

 

 マックイーン、完全敗北。

 

「まぁまぁ。落ち着いてマックイーン。来ちゃったもんは仕方がないよ」

「モンスニーお姉さま…」

「それに、こうなることは実は想定してたんだよね。写真撮影と聞いて、あのゴルシがジッとしてる筈がないってさ。だから…パーマー!」

「はーい! こんな事もあろうかと! 実はちゃんとゴルシとターボ用の撮影用の衣装も用意してました~!」

「「おぉ~!」」

 

 バっとパーマーがカーテンを開くと、そこにあったのは臨時の衣装スペース内にハンガーに掛けられた多種多様の衣装の数々。

 しかも、ちゃんとゴルシとターボに合わせてサイズも調整してある徹底っぷり。

 

「なんだよ~! ちゃ~んと用意してあるんなら最初から言っておけよな~!」

「なにこれすご~い! どれもこれもキラキラしてるー!」

 

 どれだけ破天荒でも、どれだけ元気っ子でも、やっぱり年頃の女の子。

 綺麗な衣装や可愛い衣装には目がなかった。

 

「と言う訳ですから衣装さん。この子達のコーディネートもお願いします」

「分かりました! 任せてくださいモンスニーさん!」

「片方は長身美人で、もう片方は天真爛漫な元気っ子! これは仕事のし甲斐がありますよ~!」

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「「「誰だお前はッ!?」」」

「んだよ失礼な奴等だな~! 何処からどう見ても世界的美少女のゴルシちゃんだろーがよ~!」

 

 着替えが完了したゴルシは別人かと思ってしまうほどに変貌していた。

 煌びやかに光り輝く漆黒のドレスを身に纏い、首元を中心にネックレスやらイヤリングやらを身に着け、その髪型はポニーテールで纏めてある。

 見た目だけは、まるでどこかの名家の御令嬢、もしくはどこかの国のお姫様だった。

 思わずモンスニーとパーマーとドーベルが一緒にツッコんでしまうほどに。

 

「いっや…確かにゴルシは美人だけどさ…これは変わり過ぎでしょ…」

「もうこれさ…普通にメジロ家のパーティーとかに紛れてても違和感ないでしょ…」

「学園の皆が見たら卒倒しそうな程に輝いてるんだけど…マジでなにこれ…」

 

 何故か、女として負けた気がした三人だった。

 

「どーよマックちゃーん! 美しくメイクアップしたゴルシちゃんの姿はよ~!」

「悔しいですけど…確かに美しいですわね…悔しいですけど…」

「なんで二回言ったし?」

 

 ゴルシの見た目だけは完璧なのはマックイーンが一番よく知っている。

 だからこそ悔しいのだ。

 今回の突然の来訪すらも一瞬で帳消しに出来るレベルの美貌を見せられたから。

 

「ツインターボさんも完了しましたー!」

「お? 向こうも出来たっぽいね」

 

 簡易更衣室のカーテンが開かれ、着替えたターボの姿が現れる。

 それを見た瞬間、ラモーヌとゴルシ以外の全員の目が輝いた。

 

「えへへ…どーだ!」

「「「「「「「可愛い!!!!!」」」」」」」

 

 ターボの撮影用の衣装、それはミニスカートなサンタを模した衣装だった。

 ちゃんと赤い三角帽子も被り、その手にはプレゼントの入った袋も持っている。

 ツインテールにも白いシュシュが付けられ、ターボが普段から持ち歩いているウサギのぬいぐるみ『トリプルターボ』にもサンタの衣装が着せられ、ちゃんとお揃いになっている。

 

「めっちゃくちゃ可愛いよターボちゃん! はぁ…本当に可愛いなぁ…♡」

「これは一本取られたね~。ファンの皆、大歓喜でしょ」

「そうだね。ターボはマジで参加してくれて正解だったかも」

「とっても可愛らしいですわ~♡」

 

 皆から大絶賛され、ターボも照れ臭そうに鼻を擦る。

 その仕草がまた可愛らしく、皆のハートを直撃した。

 

「今度こそ準備は完了だね。パーマー」

「はい! それじゃ改めて…撮影開始って事で!」

 

 こうして、カレンダー用の写真撮影が始まったのだった。

 

 

 

 

 

 

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