『大阪』から来た先生   作:ゆっくりいんⅡ

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 今回は、皆さんの心を代弁して書きました(多分)


テンバイヤーシスベシジヒハナイ(覆面水着団)

「て、敵襲ー! 裏口か、があ!?」

「ちくしょう、何でこいつら急に、ぐぶっ!?」

 

 ブラックマーケットの一角に存在する、あちこちにヒビが入ったビルの一つ。持ち主が店舗兼倉庫として利用しているそこは、突然の襲撃で混乱に包まれていた。

 護衛として雇っていた人員が、ヘイロー持ちも無しも関係なく、瞬く間に制圧されていく。

 

「ふ、覆面水着団だー!?」

 

 楽な仕事だとたかを括っていた某ヘルメット団の少女が、恐怖のままに叫び声を上げる。

 なんか三国志の漫画で似たようなの見たな、とどうでもいいこと考えてたら綺麗なヘッド&ハートショットを受けて倒れた。うーん、的確で容赦なし。

 

「クリア! みなさん、事前の打ち合わせ通りに分かれて行動してください!

 それとターゲットには傷一つ付けないよう、細心の注意を払うようお願いします!」

「おー、リーダー張り切ってるねー。んじゃあおじ、1号達もやりますかね~」

「ん、それじゃあ店舗を襲撃する」

 

 リーダー、トリニティの制服着て額に『5』と書かれた紙袋を被ったファウストーーヒフミの指示に素早く、覆面を被った水着団のメンバーーーアビドスの面々が制圧を進めていく。いや動きはええな、襲撃に手慣れすぎだろ。

 え、身バレしないのかって? 馬鹿正直な恰好をする訳がないと深読みされてるから、今のところは問題ない。まあ俺だってそう思うし、結果オーライではある。

 

「モモフレンズのグッズを独占するばかりか、転売に掛けるなんて許せません! 転売ヤー死すべし!!」

「「「「テンバイヤーシスベシ!!」」」」

「「「ひいいいぃぃぃ!!?」」」

「・・・・・・・・・・・・これ、俺必要か?」

 

 物騒な唱和に雇われのヘルメット団とスケバン、メカ兵士達が恐慌状態に陥る。数では向こうが上だけど、奇襲受けたのと士気の差で圧倒的になってるな、我が覆面水着団は。

 さて、何故ブラックマーケットで俺達が暴れているのかというと。遡ること、ヒフミがシャーレに殴り込んできたところが最初である。

 

 

 

『先生! ちょっとブラックマーケットで襲撃したい場所があるのでお手伝いいただけませんでしょうか!?』

『何言ってんだお前』

 

 シャーレに殴り込んできたヒフミの第一声がこれである。怒りで興奮しきってるのは分かるけど、当番の生徒もいるんだからその発言はアカンやろ。ゲヘナならともかく、お前さん体裁を気にするべきトリニティなんだから。

 まあシロコだったから良かったというか、

 

『ん、付き合う。また銀行強盗?』

 

 ノリ気になってるけど。銀行強盗が日常茶飯事とかヤバ、いや良くある話か(大阪並感)

 

『いえ、銀行じゃないですシロコちゃん・・・・・・今回はそんなものより、遥かに邪悪な組織が相手なんです!』

『邪悪?』

『戦隊ものの悪役側みたいな表現だな。いやカイテンジャーもいるんだから間違いではないか?

 で、どこのこと言ってるのよ。多分モモフレンズ関係だろうけど』

『その通りです先生! 今回襲撃をするのはーー転売ヤーの倉庫兼販売所です!!』

『あー。あーまあ、成程ね?』

『ん・・・・・・? てんばいやーって、何?』

『簡単に言うと『グッズ等を真に欲しい人から奪って他人に高値で売りつけるコレクターいえ人類の敵です!!』いや早口早口』

『大体分かった。覆面水着団、出撃準備するよ』

『何で???』

 

 

 

 

(本当に呼ぶどころか、速攻で作戦決めてその日のうちに動くとかアクティブ過ぎるやろ)

 

 集められた人員は事情を聞いて困惑していたが、何故かセリカが一番やる気というか殺る気になっていた。どうしたと聞いてみたら、

 

「人が苦労して作ったものを、自分が得するためだけに集めるなんて生産者と販売者を侮辱してるわ!!」

 

 と、バイト戦士らしい理由で怒髪天を衝いていた。生産側の目線でシャーって言うくらい怒ってるのね、猫やん。

 そして現在に至る。警備員や販売員はシバかれ縛られ、その他レジ等の機材や壁に無数の弾痕が刻まれているが、販促用のポスターや置かれたグッズには傷一つ無かった。プロ? の犯行なんよな、手際が良すぎる。

 

『1号、二階の販売所制圧完了したよ~』

『ブルー、三階の制圧完了。残敵は見た限り無いよ』

『クリスティーナ、地下倉庫を制圧だお♧ うわー、色々ありますね~』

『4号、一階制圧完了! ちょっと、大人しくしないと一発じゃ済まないわよ!?』

『ファウスト、裏口のスタッフルームを制圧しました!』

「あの皆さん、呼称は番号で統一してください!?」

「連携の素晴らしさに対してちぐはぐすぎる報告」

 

 無線からの連絡に、敷地前で一緒に待機している横の0号ーーアヤネが苦情を告げ、俺がツッコミを入れる。これで上手くいってるんだから何とも言えねえ、制圧まで10分掛からなかったし。

 

「あー。各員伏兵や死んだふりがいるかもしれないから、出来るだけ縛っておいてくれ。あと、隠蔽されたドアとか床下収納がないか確認を頼む」

『なるほど、悪の組織に隠し部屋は付き物ですからね!!』

「このスピードで制圧される悪の組織って何だよ、ギャグ漫画か?」

 

 もしくは強化し過ぎた勇者パーティーにやられる敵モンスターみたいな。まあファンタジーも現実も悪人は物を隠すもんだけど。

 

『ありました! ファウスト、机の下と裏口に隠し扉発見です!』

「いや二つあるんかい。4号、5号が抜ける分のフォローに『突撃します!』はえーよホセ」

 

 あと後ろで銃声と悲鳴が聞こえるんだけど。マジで一発かましでもしたのか4号もといセリカ。

 

『・・・・・・先生』

「おう、お目当てのものはあったのか?」

『これ・・・・・・モモフレンズじゃないです!! 詐欺です!?』

「はい?」

 

 

 

 

『ふなっっっし~~~~!!!』

「いや何をどう間違えたらこれがモモフレに見えるんだよ」

 

 隠し部屋の中には、癖の強い鳴き声? を叫ぶ、某千葉県の非公認ゆるキャラグッズが大量に安置されていた。勝手に叫んでて怖いんだが。

 これどこで手に入れたんだと、ふん縛っていた代表らしいロボスーツに尋も、聞いてみたのだが。

 

「モモフレのレアなキャラクターじゃないのかこれ!? 取引先からそう言われて一攫千金だと思ったのに!」

「いや紹介動画とかにコイツいないだろ」

「キモカワイイ系のマスコットなら大体同じだろ!?」

「全然違います! いいですか、モモフレンズというのはーー」

 

 どうやらただの間抜けだったらしい。ガチファンのヒフミに火を点けて説明されてる輩は置いといて、もう一個の隠し部屋に入ってみると。

 

『オンギャーーーー!!』

「キャアア!? な、何こいつ!?」

「あーこれ、金魚草か」

「金魚草!? こんな文字通り金魚と草が合体したようなのじゃないでしょ!?」

「地獄で繁殖されてるやつだからじゃねえかな」

「地獄!? 地獄って何!? 先生何を見て言ってるの!?」

 

 アニメだよ。まあ大阪でも似たような場所の噂はあるし、地獄くらいあっても不思議じゃないだろ、ベアトリーチェもそこにいるだろうし(確信)

 4号、もといセリカが叫びの唱和を奏でる金魚草に脅え、俺の背に隠れながら裾を掴んでくる。まあ怖いよな、血走った目をかっぴらきながら鳴いてるし。

 

「というかここまで動物ゼロじゃねえか。モモフレって哺乳類モチーフのキャラじゃねえの?」

 

 転売ヤーにしても知識無さすぎだろ。その辺に転がってる店員達を見て呆れつつ、最後の地下倉庫に足を踏み入れると。

 

『焼きたてのポップコーンはいかが~』(一オクターブ上げた声)

「一番アウトだよ」

 

 ペロロのブランケットを纏ったキ〇ィ先輩が大量に置かれていた。当たり前だが公式で販売していないものである。

 一応哺乳類の類だけど、他二つよりやばいだろこれ。あとボイス割れてるからホラーみたいになってるぞ。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・これ、実際にコラボしませんかね先生?」

「俺に振るなよ、サンリ〇に聞け」

 

 あとヒフミ、持って帰るか悩むのやめなさい。普通に訴えられたら負けるぞ。

 

 

 

 

 結局、モモフレンズ関連の商品は何一つ無かった。おまけに置いてあったのは大半が盗品というオチまで付いたため、ヴァルキューレに匿名通報してエンドである。

 

「ん・・・・・・残念。結果は良かったたけど、儲けにはならなかった」

「ですが、この世の悪は一つ減りました! この調子で、世に蔓延る転売ヤーを滅ぼしていきましょう!!」

「言ってることが過激派な正義の組織なんよ」

 

 神風師団思い出すわ、あそこみたいに判定ガバガバにならないといいけど。

 余計な心配を抱えつつ、どこか満足気に覆面と紙袋を抱えながら、帰路に着く覆面水着団であった。隠せよ、正体バレるぞ。

 

 

 

おまけ

「先生のところでは転売って、犯罪にならないんですか?」

「あー。大阪でも罪にはならんから、チンピラが小遣い稼ぎにやってるな。大半は恨み買ったオタクとかに集団でボコられてるけど。

 前にマリアさんがお目当ての子が転売されたから嬉々として買ったら、性別詐欺喰らってガチギレして出品者を吹き飛ばしたなんて話も聞いたことあるし」

「転売してるものがおかしい気がするんですけど……」

 

 それはそう。春の転売ってなんだよと心の中でツッコミ入れたしな。

 そしてすまん、特殊事例しか知らんとはいえ華の女学生に言う話じゃ無かったな。耳まで真っ赤になったヒフミを視界に収め、自省しておく。やはり大阪基準モラルは良くない(戒め)

 

「……マリアさんって、女の方の名前ですよね? 先生、仲がいいんですか?」

「んあ? 

 ……ああ、あの人女だけど、生粋の同性年下好きだからそういうのじゃないぞ。

 寧ろヒフミとかがドストライクなんじゃねえかな、あの契約刑事」

「ーーえ。ちょ、ちょっと待ってください。その人警察の方なんですか!?」

「その辺のチンピラ脅して小遣い稼ぎしたり、亜狭に面倒な仕事を投げてきたりするけどちゃんとした警察だよ」

「……ちゃんとしたって、なんなんでしょうね」

「俺はそっちが基準だったから、ヴァルキューレってマジで偉いと思う」

 

 いやホントに。あの隙見ておサボりしようとするフブキですら、ドーナツ要求された時にこっちでの賄賂用の隠語? って聞いたら、

 

「違うよ!? というか警察がそんな堂々と要求する訳ないじゃん!? したこともないし!!」

 

 って全力で否定してたから、キヴォトスの警察はめっちゃモラル高いんだなって感動した。その後ドーナツ奢ったらめちゃめちゃ微妙な顔されたけど。

 

 

 




登場人物紹介
先生
 覆面水着団の活動にも手を貸すシャーレの先生。原作の『先生』と違ってフィギュア類への熱意は特にないため、転売に関してはアコギな上に儲けの少ない商売してるなーくらいしか思ってない(酒かタバコだったら別だった)。
 今回ツッコミしかしてないように見えるが、指揮もやっていたため迅速な制圧に貢献した。
 大阪ではしょうもない偽物や粗悪品を良く見てるため、まあそういうもんだよなと激怒しているヒフミを見ていた。


ファウスト(阿慈谷ヒフミ)
 覆面水着団のリーダー。お嬢様学校トリニティのごく普通(?)の生徒。
 本作ではブラックマーケットへ定期的に通っており、絶版によるプレミア価格は許せるが転売は絶許らしい。
 サンリ〇にモモフレコラボを打診したかは不明。やりそうかといえばやりそう。


覆面水着団
 裏社会で名の知れたアウトロー集団。今回の襲撃もヴァルキューレや他組織が察知する前に手早く済ませ、手早く撤収していった。何も盗っていないことに首を傾げられたが。
 リーダーの意向により、しばらくの間転売関係の業者が複数襲撃にあい、転売ヤーは減少傾向になっている。


神風師団
 大阪に存在する犯罪組織、五大盟約『地獄組』の下部組織。
 外国人の排斥を訴えているが、その判断基準は『名前にカタカナが入っているかどうか』。ガバガバである。

銀行強盗
 大阪では毎日のように襲われている銀行もある(ガチ)


登場人物おまけ
マリア・ヴィスコンティ
 大阪を牛耳る犯罪組織、五大盟約の一つである『大阪市警』に所属する契約刑事。年下の美少女が好みである生粋のレズビアン(ほぼ原文ママ)。武器はショットガン。
 多分キヴォトスに来たら一番喜ぶ女。先生の境遇を聞いたらガチギレして八つ当たりでショットガンぶっ放す(確信)




あとがき
 転売が社会的な悪かどうかはともかく、多くの人間の恨みを買っていることを忘れてはいけない(何)
 というわけでどうも、りいんです。キヴォトスでも多分こういう輩は一杯いる(スイーツを転売するくらいですし)と思い、今回の話もありそうだなーと思いました。あとSNSでも転売に対する怨嗟はよく聞きますので。
 内容はタイトルが全てです(真顔)。そしてブラックマーケットでやってるならヒフミ→覆面水着団の出番ですね! と安直に想像しました。
 この話が少しでも転売ヤーへ憎悪を燃やす方への慰めになったら幸いです(何目線)
 今回も読んでくださり、ありがとうございました。感想・誤字訂正・評価等いただけますと、大変励みになります。


10/15 おまけ追加しました
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