思いついた時間? 今日の午後九時ころです()
「……」
シャーレの執務室に入った瞬間、どこからか視線を感じる。
いや視線を感じるのはいつものことなのだが、常に遠くから感じるものが至近距離で感じれば、違和感を覚えるというものだ。
「ノドカ?」
知覚した方向、机の下から感じたものから該当する生徒の名前を呼ぶと、
「あいた!? え、えへへ、先生こんにちは……いいお天気ですね」
天板に頭をぶつける音と悲鳴の後に、頭を抑えながら誤魔化し笑いを浮かべて出てくるノドカ。
「はい、こんにちは。どうしたよ、いつもは屋上のどっかで視線を感じるのに」
「えっと、今日は屋上の寒さが異様だったので……」
「いつもクソ寒い旧校舎にいて何言ってるんだお前
…………」
「あえ? ど、どうしました先生。そんなに、ジッと見て……」
「いや、いつも見られてるからそのお返しに」
「お、お返しって……あうう……」
逆に観察されるのは落ち着かないのか、あわあわしながら目を泳がせるノドカ。いつもの涎を垂らしそうな表情とは異なる反応は愛らしさがあり、悪戯心が湧いてきた俺は手を伸ばし、
「ひゃう!? しぇ、しぇんしぇえ?」
「おお、もっちもち」
ノドカの頬を伸ばし縮み、痛くない程度に弄りまわす。あの環境にいて肌艶と触感がいいのは、若さゆえの特権だろうか。
(直接来たのは……誕生日だからかね)
顔をモチモチしながら、何してやろうかと思考するも。よく考えたら華の女学生が欲しいものなんて、アラサーの男に分かる訳ないので聞くことにする。
「ノドカ、何か欲しいものでもあるか? 誕生日だし、出来る範囲で買ってやるぞ」
「はう、はうう……もう、十分貰っているというか……」
「あん?」
真っ赤になってどうした、目も蕩けてて焦点定まってないし。なんか幸せそうだけど。
結局、ノドカが赤面フリーズから回復したのは三十分ほど経ってからだった。「これはやばいですよ!」と言ってるけど、何がやばいんだろう。
その後、ノドカに欲しいものが思いつかないと言われたので、プリンから連想してスイーツバイキングを提案してみたら、
「スイーツ食べ放題!? そんな夢のような場所があるんですか……!?」
驚愕と期待交じりの強烈な視線を向けられたため、シグレも呼んで三人でトリニティの有名なバイキングへ行くことにした。
「うう、もう食べれないです……」
「ほれ、胃薬。とりあえず横になっとけ」
「先生、やけに用意いいね」
だって予想してたし。シグレも喜び全開でスイーツを食べ続けるノドカをニコニコしながら見てただけで、止めなかったじゃん。
その後、お腹がいっぱいで動けなくなったノドカが落ち着くまで、膝枕してやったのだが。顔赤くしながら涎垂らすノドカに対し、どんな反応すれば正解だったのだろうか。
あとシグレ、何も言わず楽しそうに観察するのやめてくれ。お前が提案したんだろ、折角だし膝枕してあげたら? って。
余談だが、シグレが誕生日プレゼントとして用意した新しい手袋に、ノドカは大変喜んでいた。
「えへへ、シグレちゃんどうかな? 似合う」
「うん、似合ってる。かわいいよ、ノドカ
……先生、ありがとね。お金、用意してくれて」
「これくらい安いもんだよ」
あとがき
突発なんで短いです(言い訳)
ノドカとシグレの距離感というか、関係性っていいですよね……なんか手癖で書けちゃう。
読んでくださり、ありがとうございました