『大阪』から来た先生   作:ゆっくりいんⅡ

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 ウイのお誕生日SSです。珍しく誕生日前に書いてるんですが、生放送でウイの別衣装とか来ませんかね?

 ……ない? いや、きっとあるはず……!!(願望)




外で迎える特別な日(古関ウイ)

 ぺらり

 頁が捲れる音を聞きながら、俺は緑茶を一口喉へ流し込む。淹れてから時間が経っているため少し温くなっているが、喉を潤すにはちょうどいい。

 

「むう……」

 

 ぺらり

 静かな部屋の中に響くのは、紙が擦れる音と小さな唸り声。何か壁にぶつかったのだろうか、眉を高く尖らせている。

 

「ふむ……」

 

 ぺらり

 少ししてから上手くいったのか、眉間に寄せられていた皺が解されていく。うん、しかめっ面よりそっちの方が先生良いと思うぞ。

 

「へへ、ふへへ……」

 

 ぺらり

 と思ったら、すぐに相好を笑みの形に崩す。何かいいことでもあったのだろうか、見ているだけでは分からないな、いいことだと思うけど。

「……んい?」

 

 ぺらり

 どこか間の抜けた声。天井の光が煩わしいのか手で影を作り、閉じていた瞳を僅かに開く少女、ウイ。

 目が覚めたのを確認した俺は読みかけの本を閉じ、眼鏡を外してから寝ぼけ眼の彼女に話しかける。

 

「おはよ、ウイ。よく眠れたか?」

「あ、えっと……おはようございます、先生。

 ……え、先生? えあぁ!? な、何で先生がいらっしゃるんですか!? それに、この状態は……!?」

 

 半開きだった瞳が一気に見開かれ、ウイは自分の状態――ソファの上で俺に膝枕されているのを自覚し、眼球と頭を忙しなく左右に振る。落ち着け、髪擦れるとくすぐったいから。

 

「寝惚け眼で作業してたから、横にしてやったんだよ。机から離すために持ち上げたの、覚えてないか?」

「えっと……すいません、あまり記憶が……え!? そ、そんなことされたんですか、私!?」

「猫つまみされたのに記憶ないとか、やっぱ相当眠かったんだな。あ、翻訳作業してた子は栞を挟んでそっちに置いといたから」

「あ、ありがとうございます……その、私、重くは……」

「寧ろ身長の割に軽すぎてビビった。ウイ、ちゃんと食べてる?」

 

 女子に聞くのはどうなんだと思う質問も、「えっと、はい」と素直に頷くウイ。目を逸らしてるから嘘なの丸分かりだけどな、作業のお供的なものばっか食べてるんじゃないか。

 余談だが、立ったまま寝惚けてたウイは猫つまみしてソファに座らせた時、「まだ、大丈夫ですよぉ……」とか言って首が振り子状態になっていた。その状態でも作業を続けようとしたのはさすがだよ。

 

 

「な、何をしていらっしゃったんですか……!?」

「何って……借りた子を読みながら、某セミナー書記の真似してウイの観察?」

「か、観察って……起こしていただければ、良かったのに……」

 

 両手と髪で遮蔽物にし、隠蔽状態にするウイ。見えなくなる前、その白い顔には朱色が強く差していた。

 

「当番で疲れてただろ? 今日は外出よりもシャーレ内での業務が多い関係で、人と触れ合うことが多かったしな」

「当番……あ、そうでした。他の、方達は?」

「もう帰ったよ。結構遅い時間だしな」

「遅い……あれ、先生。今、何時でしょうか……?」

「んー、ちょっと待って。もう少しでキリのいい時間になるから」

 

 横に座り直したウイが首を傾げているのを尻目に、俺は腕時計に視線を落とす。ある意味ちょうどよかったな、時計の針は間もなく頂点を刺そうとしている。

 

「3,2,1……0。誕生日おめでとう、ウイ」

「あ……そっか、今日、23日……

 ありがとう、ございます、先生。最初に祝ってもらえるなんて……えへへ」

 

 変わったばかりの日付が生まれた日であることに気付いたウイは、理解が及ぶと俺の方を見ながら、心底嬉しいと伝わってくる笑顔を向けてくれる。

 うん、そういう顔を見せてくれるなら、眠いのを我慢していの一番に祝った甲斐があったな。

 

「どういたしまして。今日改めて起きたら、何かプレゼントでも買いに行くか?」

「そ、外は怖いですが、先生からいただけるなら……あ、そういえば、終電が」

「今からだと走って……いや、流石に厳しいかな。タクシーでもいいけど、シャーレに泊まってったらどうだ?」

 

 人によっては間に合うかもしれんが、ウイの身体能力と恰好を考えると難しい。ロングスカートだし、俺の方が走るの速いくらいだからな。

 

「そうですね、泊まり……うえあっ!? せ、先生と同じところに、ですか!?」

「? 別に当番の奴とか常駐で居住区に泊まってるやつもいるし、部屋も余ってるから問題ないぞ。俺だって仕事の時は大体泊まってるし」

 

 一応自宅はあるけど、帰るの面倒なんだよな。何だったらシャーレ内の私室(居住区の一つを勝手に改装して占拠してるだけ)に酒もタバコも常駐してるし。

 

「あ、そう、そうですよね、別室ですよね……すいません、何故か一緒の部屋で過ごすのを……いえ、何でもないですっ」

「あー……非常事態ならともかく、男女が一緒に泊まるのは問題だろ。どんな噂立てられても文句言えん」

 

 まあ古書館で寝たり寝てたりするので、今更な気はするが。施設と部屋で規模が違うとはいえ、一緒に過ごしてるわけだからな。気にしたら負けなんだろうが。

 余談だが、シャーレに泊まってると部屋に突入してきたり、添い寝を希望する連中もそこそこいる。年頃の女の子がアラサーの所に来るんじゃない、いくら親しいとはいえ何されても文句言えんぞ。

 

「う、噂……私は、先生となら、全然……先生は、ご不満かもしれませんが……」

「こんなおっさんとなんて、お前が困るだけだろ。

 ふあ……とりあえず、部屋に案内してやるから、って何よ」

「いえ……何でも、ありません」

 

 そう言いながら、何で俺の袖を握りながら見上げてくるんですかね。不満そうなのは分かるけど、日付も変わって眠気が限界だから頭回らねえんだよ。

 

「……まあ、今はいいです。先生もお疲れでしょうし、ご無理をさせるのは本意ではありませんから」

「よく分からんが、気遣い感謝ということで。まあ出掛ける時は、出来るだけウイのご要望にお応えするよ」

「そ、そうですか。それじゃあその、先生……期待、させていただきますね?」

「おーう、先生嘘吐かない。よっぽどの無茶振りじゃなければ構わんよ」

 

 寝惚け頭で安請け合いした気はするが、機嫌が直ったから良しとしよう。ウイならそんな無茶な提案はしないだろうしな(安易な考えと信頼)

(独力で何かしようとすることの多いウイが、人に期待するわけだし。悪いことではないんだろうな)

 

 

 そんで翌日。起きて朝食でも摂るかとカフェに向かったら、

「ウイちゃん、誕生日おめでとー☆」

「おめでとー」

「うわわ、ミカさん!? と、ど、どなたですか……!? えっと、ありがとうございます……?」

 

 常駐組のミカとアツコに絡まれているウイが、されるがままに撫で回されたり祝われたりしていた。というかアツコ、ほぼ初対面でその距離感なのかよ、相変わらずメンタル強いな。

 遠目で見ていたらウイに視線で助けを求められたが、もう少ししてから行くか。困ってるのは事実だけど、祝われて自然と笑顔になってるのは事実だしな。

 

 

 

 




あとがき
 二周年の集合写真を見て、ウイも図書委員やヒナタ以外の知り合いや友人もいると思うんです(願望)
 ライブ見ましたが、ウイの別衣装ありませんでしたね……代わりにバニートキが出てきた時、嬉しいのと早スギィ!? という気持ちが同居しましたが。
 それでは、読んでくださりありがとうございました。またギリギリだったのは……突っ込まないでください。

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