『大阪』から来た先生   作:ゆっくりいんⅡ

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 エデン条約におけるミカのIF√。ミカに反感を抱いていた生徒達のある行動が、彼女と先生の関係を変えていく。
 誕生日に何書いてるんだと言われたらその通りですが、以前ナギサで書いたものもヤンデレシリーズだったので許してください(?)

※本作で出てくる『大阪』は、とあるゲームにおける治安が終わった都市のことを指します。リアルでは修学旅行とイベントでちょっと言ったくらいで、ほぼ知らいないです()


無邪気な天使の羽を掴んで(聖園ミカIF)

 

 

 

 

 

 

「ミカー、来たぞー」

「ーーあ、先生いらっしゃ~い! 来てくれて嬉しいよ、ちょっと待っててね☆」

 

 トリニティの離れにある、反省室という名の監禁部屋。その一室に収監されているティーパーティホストの一人、聖園ミカは俺の

 

「何、見せられないもんでもあるの?」

「もー、女の子が人と会うのには時間がいるの! 急かさないで待ってくれないと困っちゃうな―」

「はいはい、ナギサへの要望という名の無茶振りを書いた紙は見ないでやる

から」

「え、何で知ってるの!? ひょっとして先生も見た!?」

「いや冗談だったんだけど」

 

 マジで書いてたんかい。となると食事は三食ロールケーキとかナギサが言ってたけど、可能性あるのか。いやないよな。

 

(……涙の跡によれた服、散らかった部屋。自暴自棄になって暴れたというより、誰かに暴行を受けたっぽいな)

 

 そういえばここへ来る途中、陰湿ながらすっきりした顔で笑い合っていた、女子生徒の一団とすれ違ったことを思い出す。俺のことに気付いた瞬間、慌てて離れていったけど、どう見ても後ろめたいことしたやつの行動パターンなんだよな。

 

「お待たせ―! 先生の可愛い生徒、聖園ミカがより可愛くなって登場だよ☆」

「言ってて恥ずかしくないのか、それ」

「いやー、ここそこそこ快適だけど色々没収されて暇だからさー。何か色々なキャラに挑戦してみたりしてるんだ」

「キャラ崩壊起こしてね?」

 

 などと無駄話からスタートし、近況や愚痴などを聞いたり答えたり、ツッコミを入れたりして会話に華を咲かせる。お喋りが好きと言うだけあって、ミカとの会話は楽しいし、こちらを飽きさせない。

 同時に、いつもより無理して明るく振舞い、多弁なのも理解してしまう。誤魔化すのが上手いミカだから分かりにくいが、悲しいかな、前職と今の職業柄、こういうのを察してしまうのだ。

 とはいえ、このままだと雑談だけで終わってしまいそうなので、直接切り込んでみることにする。

 

「なあ、ミカ」

「んー? 何、先生?」

「何かあったか?」

「ーー何かって言うと、何かな?」

 

 一瞬間があったが、ミカは変わらぬ笑顔で問い返してくる。だが残念、語尾が少し震えてるぞ。

 

「んー、そうだなあ。ここに来る時すれ違った、パテル派の面々を中心とした面々のこと、とかかな? 部屋が荒れてたのも、気になるしな」

「……あー。そっか、先生は気付いちゃうかあ」

 

 隠したかったのになあ。ミカは諦めを多分に含んだ溜息を吐き、俺から目を逸らす。

 

「……言いたくないなら、言わなくてもいいぞ。無理に聞き出すことでもないしな」

「えー、自分から言ってきてその選択肢はズルいよ、先生? こうなったら地獄の底まで付き合ってもらわないと☆」

「了解、それがお望みなら付き合ってやるよ」

「……わーお。もう、そんなこと言うと気軽に頼りたくなっちゃうじゃん」

 

 ズルいなあ、とほんの少しだけ明るさを取り戻した、苦い笑みを向けてくるミカ。話す気にはなってくれたみたいだな、確実にろくでもないことだろうが、聞かないという訳にもいくまい。

 見張りの正義実現委員会の子に目配せをしてみると、察してくれたのか無言で頷き、会話が聞こえないよう部屋から出てくれる。

 

「先生、こっち来てもらっていい?」

「あいよ、鍵は預かってるからちょい待ち」

「……簡単に来てくれるねー。先生拉致して逃げ出すとか思わないの?」

「愛の逃避行に興味がないと言えばウソじゃないが、逃げようと思えばエデン条約の時に出来ただろ。

 ここで逃げ出されたとしても、鍵を預かってる俺の不手際で済むしな」

「……もー、冗談だって! あれだけやらかしちゃった後だけど、先生に迷惑掛かることするわけないから!」

「今ちょっといいかもって思っただろ、ミカ」

「ナ、ナンノコトカナー」

 

 目が泳いでるぞ、もうちょっと隠す努力しろよ。変な所で分かりやすいな、ミカは。

 

「……あはは、先生と話してると何も変わらないように感じちゃうなあ。自分が悪いことしたって、忘れちゃいそう」

「んじゃあ忘れたついでに、どんな酷いこと起こったか被害者目線で語ってくれ」

「私は悪い子なんだし、加害者かもしれないよ?」

「加害者はそういうこと言わずに誤魔化すもんだよ。もしくは開き直るか」

 

 後者は大体ろくでもないけどな。肩を竦めながら進められたソファに腰掛け、そっかーとミカは俺の隣、少し距離を開けた場所に腰掛ける。

 

「……さっきの子達ね、面会だって言って来たんだ。見覚えない子もいたからおかしいなーと思ったんだけど、何してきたと思う?」

「罵声と暴力、か?」

「うん、正解★ お前のせいで私達の派閥は滅茶苦茶になったとか、こんなことされて当然だろとか。好き放題言いながら、無抵抗なのをいいことに殴ったり蹴ったりしてくれたよねー」

「……暴力に当然なんてないけどな」

 

 顔こそ笑っているが、金色の瞳は溜まった水滴で揺れ動き、話すごとに感情の光が徐々に失われていく。

 

「あは、先生優しいね★ まあ、そっちはいいの。私がやったことは、それくらいされて当然だと思ってるから。

 でも、ね」

 

 ここからが核心なのだろう。ミカの瞳の濁りは加速度的に増していき、震えもどんどん大きくなっていく。

 

「あの子、達、笑いながら、私の部屋にある、もの、全部燃やした、って。お気に入りのシュシュも、ナギちゃんとの思い出のものも、全部……」

「……」

「その、上、私が何されて、も、反応しないから面白く、ないって。持ってきた棒みたいなのを、無理矢理……

 無くしちゃった、失くしちゃった。ナギちゃんやみんなとの思い出も、大切なものも、汚され、て、私……」

「ミカ」

 

 嗚咽に言葉が塗り潰されていったミカを見ていられず、

 

「もう、いい。辛いこと、言ってくれてありがとう。 

 ……そしてごめんな、そういう事態も予測して、対処しておくべきだった」

「せん、せいは、悪くな、い、からぁ……!!」

 

(……大切なものを、か)

 

 自分ならどうだろうか。集めた嗜好品や思い出の品ーー家族の写真が壊されたのを想像し、容易に答えは浮かんでしまう。

 多分、先生などという立場を忘れて怒り狂い、最大限の報復を企てるだろう。冷静さや配慮なんて、彼方へ投げ捨てて悪鬼のように。

 そう思うと、ミカを離せなくなってしまう。泣き止むまで、いや、泣き止んでも気が済むまでこうしてやろうと思っていると、不意に鳴き声を止めたミカが、真っ赤に腫れ上がった目で俺を見上げてくる。

 

「ねえ、先生。私、私なりに頑張ったよ?」

「そうだな」

「皆が求めたから、パテル派の長として、ホストとして、私なりにらしく振る舞ったよ?」

「期待に応えようとは、していたな」

「アリウスの子達にも仲良く出来るよう、私なりに最善を尽くしたんだよ?」

「その結果がクーデターなのは、ちょいとやりすぎだけどな」

「……なのに、その結果がこれって……あんまりじゃない?」

「望んだ結果を出せない上の人間に、下は辛く当たるもんさ。それがどれだけ理不尽だとしても、な」

「…………っ」

「まあ、独断専行だしやりすぎだったのは事実だ、がっ!?」

「……何で、そんなこと言うの。先生」

 

 敢えて煽るような、容赦のない事実の羅列をしてやったら、案の定ミカの逆鱗に触れてしまったらしい。

 

「う、げえ……」

 

 女子らしい細さからは想像出来ない、それでも首が折れない絶妙な力加減で首を絞められ、酸素を絶たれて悶える俺の上で、馬乗りになったミカが底無しの憎悪をぶつけてくる。

 

「傷口を掘り返して、慰めてくれたかと思ったら今度はバカにしてるの?

 私がどんな気持ちでナギちゃん達と並んできたのか、知りもしない癖に!」

「ぎ、い……」

「ねえ先生、私が何て言われたか知ってる? ティーパーティーの恥さらし、政治を理解できない女だってさ。

 笑っちゃうよねえ。血統だけで私を祭り上げたのは、あなた達たちなのにさあ!?」

 

 溜め込んだものを吐き出していき、首にかかる力も徐々に強くなっていく。へし折れていないのが不思議なくらいだが、息苦しいのに変わりはない。

 ミカのこれは、八つ当たりだ。吐き出したところでどこへも届かない、溜め込んでいた不満だ。

 意味がないのかもしれない。それでも、ここで言わせておくべきだと、俺は自分の直観に従った。お陰で死にかけてるが。

 

「挙句の果てに殴って蹴って、人の初めてまで奪って。

 あれのどこに、正しさなんて、正義なんてあるのさ!?」

「あ、があ……」

「ねえ先生、先生は私の味方なんだよね? あの時敵対しても裏切っても、『トリニティの裏切り者であるのと、聖園ミカ個人は別だ』って言ってくれたもんね?

 じゃあ、私のために死んでよ。ここで私と一緒に、好きな人とエデンへ行かせてよ。

 出来ないでしょ、そんなこ――」

 

 一方的に、支離滅裂にまくし立てていたミカだが、呼吸を阻害されながらも俺が伸ばした手に、一瞬だけ震えるも光のない瞳で睨み返し―― 

 

「いい、ぞ」

「――――え」

 

 頬に触れた手と絞り出された言葉を耳にした瞬間。思わずと、信じられずと言わんばかりに力が弱まる。

 

「ミカが、それで、満足する、なら。俺の、命一つで、済むなら。安い、もん、だ」

 

 せき込もうとする脆弱な肺機関を無理矢理沈め、破滅的なミカの願いを肯定する。

 酸欠で上手く笑えているかは分からない。でも、吐いた言葉は紛れもない本心だ。

 死にたくはない、今だって。だけど、掃き溜めの中で生きてきた俺が生徒のために死ねるなんて、上等過ぎる結末だろう。

 生徒のために命を賭けるというのが、ただ有言実行になっただけだ。

 息だけでなく視界も赤く染まってきた俺は、それでも抵抗せずに。

 

「……? ケホ?」

 

 覚悟していたつもりだったが、不意に圧迫感が消える。回復した視界で咳き込みながら目に入ったのは、

 

「ち、がう……違う、よ……」

 

 両手を眼前に置いて震え、怯えているミカの姿だった。

 自分の凶行が、最悪の結果を招きかけたことに恐れを抱いたかのように。

 

「私がしたかったのは……こんなことじゃ、ないの。ただ、先生に、汚された女だって、嫌われたくなくて……」

「げほ、げほ。ミカ?」

「先生は何も、何も悪くないのに。私、自分から、傷付けて……また、間違えて……

 う、ああ、あああああ……」

「……ミカ」

「ああ、あああ……ごめん、なさい、ごめんなさい、先生。ごめんなさい……」

 

 裏切っちゃってごめんなさい

 汚れちゃってごめんなさい

 八つ当たりしちゃってごめんなさい 

 殺そうとしちゃってごめんなさい

 

 堰を切ったように、ミカは涙と謝罪を零し続ける。溜め込んだもののせいとはいえ、先程の願いは本気じゃなかったということなのだろう。

 

(どうにか、吐き出してくれたかね)

 

 いくらティーパーティーのホストという立場だったとはいえ、まだ少女なのだ。その結果が先程の八つ当たりであり、今の子供のように泣きじゃくる姿なのだろう。

 

「ミカ」

 

 だから俺は、何も言わずミカを抱きしめる。これが救いになるなんて思っていないが、少しでも温もりになればと思って。

 

「せんせ、え。離してぇ……」

「落ち着いたら、お望みどおりにしてやるよ。けほ、自殺とか考えるなよ? 俺の苦労が水の泡だ」

「こういう、時だけえ……ズルいよ、先生……」

「大人ってのはズルいもんだよ。子供のためなら、特にな」

 

 頭を撫でてやると、ミカは俺の胸元に縋りつく。嗚咽は押し殺されたものだったが、それでも先程の悲壮なものよりは、ずっとマシだと思う。そう、願いたい。

 

 

 

「あーあ。先生にいっぱい泣かされちゃったなあ」

「言い方よ。素直になれない子がいるから仕方ねえだろ。」

「どうせ私は言いたいことも言うべきことも言わない悪い子ですよーだ。

 ……ねえ、先生。ここを出られたら私、何をするべきなのかな?」

「別に、好きにすればいいんじゃねえか? ナギサとかと一緒に改めて買物するもよし、やらかしてくれた奴らにお礼参りするも良し、だ。

 度が過ぎてるし、必要なら俺も手を貸すぞ」

「わー、頼もしい―☆ ちなみに先生だったら、どんな復讐をするの?」

「え? あー……逆さ吊りにしてから髪に火を点ける、とか? 女の命って言うし」

「うわあ……それは、すごく過激だねえ……」

「引くなよ、実際にはやんねえよ」

 

 膝の間で体育座りをしながら寄りかかっていたミカの顔は、嬉しそうなものから一転引き攣っていた。いいじゃん、もっとやばいの(当社比)言ってないんだし。

 

「うん、じゃあやりたくなったら先生にお願いするね~。

 ……ところで、その、先生。私が寄りかかってるの、嫌じゃない?」

「え、何がよ。嫌ならとっくの昔に振り落としてるが」

「それはそれで酷くない? 

 えっと、私……もう、綺麗じゃなくなっちゃった、し」

「あ? お前のどこが汚れてるって言うんだよ」

「だ、だって……あの、その。私、あの子達に初めてを……

 先生は、嫌じゃないの?」

 

 そういやさっきもそんなこと言ってたな。不安げにこちらを見るミカに、俺は首を傾げる。

 

「って言われてもなあ……初めての有無なんて、大阪じゃあってないようなもんだし。俺だって別に童貞じゃないし」

「――――え?」

「涙引っ込むほど驚くことなのかよ」

 

 残滓すら消え去ったぞ、この辺は価値観の違いか、それともキヴォトスが女子ばかりだからだろうか。

 

「だ、誰!? 私の先生に手を出したのは誰なの先生!? それとも先生が襲っちゃったの!?」

「誰がお前のじゃい、生徒に手を出すほど耄碌してねえよ。

 大阪にいたら、余程安全が保障されてない限りどっかで襲われるもんだよ。男女問わず」

「え、それって……先生、いつ頃の話?」

「……二桁いってない頃かなあ。最悪だったとは言っておく」

「……何か、ごめん」

「……いいよ別に」

 

 何ともいたたまれない空気になってしまう。あの襲ってきた奴、いつかぶっころーーいや、どっかの盟約にちょっかい掛けたとかで鮫の餌になってたわ。

 

「えっと、あの、でも‥‥…私……」

「……はあ」

「ひゃっ!? あの、先生……?」

 

 ミカの肩を掴み、ソファの上に押し倒す。先程とは逆に追い詰められる立場となり、押し返すことも出来ずあわあわしている。本当、責められると弱いなコイツ。

 

「そんなに嫌だって、汚れたって言うなら、俺が慰めてやるよ」

「え? え、ええ、えええええ!?」

「嫌なもの以上で上書きしちまえばいいだろ。いっそ何も考えられないくらい、快楽に溺れちまえ」

「え、うえ、あ、そ、そんないきなり……ど、同情なら、無理しなくてもいい、よ? 先生」

「……そう見えるか?」

「あ、う……ちょ、ちょっとだけ……」

 

 腕の間で真っ赤になったミカは、不安と希望で揺れていた。これが救いになるかは分からないが、今の俺に出来ることなんてこれくらいだ。その他のケアはまあ、他の生徒達と協力してどうにかしよう

 

「ほら、力抜け。駄目になるくらい愛してやるから、覚悟しておけよー」

「あの、えと……や、優しくしてください……」

「それは保証できんな」

「嘘でも優しくするって言ってよお……先生、目が怖いよ?」

「男なんて一皮剥けば大体ろくでもないもんだよ。ミカみたいな綺麗でかわいい子を前にして、本能剥き出しでいいなら喰い尽くさないでいられるかっての」

「ーーわ、わーお。先生、あの、褒め過ぎで、あのー……あうう、どうすればいい、のかな?」

「嫌なら力づくで逃げていいぞ? 嫌じゃないなら、身を委ねりゃいい」

「…………っ」

 

 ミカの選択は、後者だった。目を瞑り、俺に手を伸ばしてくる。

 

「いい子だ」

 

 頭を撫でてやり、抱きしめ返しながら唇を奪う。多分初めてだろうミカとのキスは、口を切ったのかほんのり鉄臭く、それを上回るほど甘美で、柔らかかった。

 その後、やることやってからミカが服を直しながら「……先生のバカ、大好き」と甘えてきたり、何かを察したらしい正義実現委員会の子が真っ赤な顔でこちらを見つめていたが。まあ、些細なことである。

 さて、ナギサにどう報告するべきかね。とりあえず、責任は取らないとなあ。

 

 

 

「悪役登場☆ ってとこかな? まあそんなことはどうでも良くて。

 ―ー私の大切な王子様を勝手に連れていくなんて、どういうつもりなのかな? アリウススクワッドのみ・な・さ・ん?」

「ー―聖園、ミカ」

 

 アリウス分校の入り口前。もうすぐ閉まる時間になるというクソみたいなギミックを通ろうとする俺達の前に、いるはずのない聖園ミカが立っていた。いつものように無邪気な笑みを浮かべながら、目に光がなく憤怒に染まった状態で。

 

(……あー。これ、やらかしたというか見落とされたか)

 

 予想外な相手に、横のサオリが頬を引きつらせている中、俺は連絡不備になったことを予測し、額へ手を当てる。脱走したならモモトークを見るかと思ったけど、この様子じゃ

 

「ーーミカ」

「あ、先生無事で良かった……大丈夫、怪我してない?

 ちょっと待っててね、今そこの(禁止用語)達をすぐに(禁止用語)しちゃ」

 

 物騒なのがデフォとはいえ、キヴォトスの生徒が言うには中々過激なことを口にするミカへ足を進める俺。サオリ達に危険だと止められるが、俺に限って言えばその心配は無用である。

 

「あ、あれ? 先生、捕まってた、ふえっ?」

 

 アリウスに捕まっていたと思い込んでいたのだろう、混乱した様子のミカが状況を把握する前に抱きしめ、

 

「せんーーんむう!?」

 

 問答無用で、唇を奪ってやった。お、この前より柔らかい。自暴自棄の時よりちゃんと手入れしたみたいだな。

 

「なっ」「……は?」「ええぇ!?」

「んゆ、んっ、んんん!?」

 

 スクワッドの面々が唖然としているのを無視し、唇を割って舌を捻じ込んでやる。ミカは腕の中で身体を捩らせていたが、数秒もすればか弱い抵抗も無くなり、されるがままになっていた。

 

「ーーぷは。ミカ、ちゃんと聞いてな? モモトークでも送ったが、セイアが倒れたのはアリウスの生徒会長? が原因らしい。夢を通じて、本人から告げられた」

「……」

 

 数十秒くらい経ってから唇を離し、メッセージの内容を伝えていくが、ミカは夢見心地のような表情でこちらを見上げ、返事はない。

 やべ、誤解を解くのと暴れる前にと思って先手を打ったつもりだったが、やりすぎたか。

 

「スクワッドの面々からも話を聞いたが、そいつはアリウスのロイヤルブラッド、秤アツコを生贄にして何かするつもりらしい。以前セイアが言ってた、キヴォトスの破滅というのもそれに繋がってるのかもしれん。

 ミカ。セイアを助けるのと手を取ろうとアリウスの生徒を助けるのに、手を貸してくれないか?」

「ー―――ふ、ふあぃ」

 

 よし、ちゃんと返事してくれたな。声はふにゃふにゃだし、目は蕩けてるけどミカなら大丈夫だろ(謎の信頼)

 その後、サオリが熱で倒れたため休憩していたところ、何故かミサキから湿り気のやばい目で睨まれたが。お前余は無常みたいなこと言ってたのに、感情出せるやん。

 

 

 




あとがき
 ギリギリ間に合わなかった……ミカ、二重の意味で本当にごめん。気付いたら文字数重ねまくっちまったから……(言い訳)
 という訳で、エデン条約及びミカのIF√でした。この後快進撃でアツコを助けたり、ミカと先生がお付き合いを始めたことにキヴォトス中が大騒ぎしますが、それはまた別の話。、幸せになれるかは美香と、先生次第ですね。
 ……正直書きたいことはまだいくつかあるのですが、これ以上は本気で遅れるのでここまでにします。続きっぽいものは時間があれば…… 
 それでは読んでくださり、ありがとうございました。

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