『誕生日のプレゼント? じゃあ……D.Uにある1日40食限定スイーツをお願いしてもいい? 私とアイリ、二人分で。
ふふ、冗談だからそんな顔しないでって。先生が忙しいのは知ってるし、流石に朝イチ並んでギリギリ確保できるかどうかのものを頼むのは、気が引けるしね』
「ほいカズサ、これ。前に誕プレで頼まれてたやつな」
「……え、本当に買ってくれたの? しかも私だけじゃなく、アイリの分まで……」
「ご注文通りにお届けしましたよっと。そのビックリ顔が見れたなら、早朝から並んだ甲斐があったわ」
「……モモトークで『買えたぞ。お前とアイリの分』ってメッセージが来た時は何事かと思ったけど……先生、寝不足じゃない? 大丈夫?」
「いつもより二時間は早く寝たから大丈夫」
その分日付変わる前には眠くなりそうだけど、まあ寝落ちにだけは気をつければいいだろ(雑)
本日8月5日、キヴォトスでも大阪でも変わらず、太陽が俺達を殺しに来てる陽光の中。寮からクーラーの効いたシャーレ内に呼び出された本日の主役、杏山カズサは寄せていた眉間を驚きで見開かせ、妙な質問をしてくる。顔から動揺が伝わってくるな。
「これって、前に話してたあのスイーツ店……!? わ、私もいいんですか先生?」
「もちろん、本日の主役たっての希望だしな。そのためにわざわざシャーレまで来てもらったんだし。
じゃあ、これ。カズサにはシャインマスカット、アイリはチョコミントのパフェな」
「わああ……! えへへ、ありがとうございます先生♪
カズサちゃんカズサちゃん、早速食べようよ!」
「わ、わ。アイリ、そんなに引っ張らなくてもパフェは逃げないから、落ち着いてって……」
「カズサ、そう言いながらちょっと笑ってないか?」
「……そういうこと言わなくていいから、先生」
横で汗を拭っていた同行者、放課後スイーツ部の良心である栗村アイリが目を輝かせ、カズサの手を引いてパフェを並べたテーブルに座る。相方は睨んでくるけど、
「ほい、飲み物どうぞ。暑い中わざわざ来てくれてすまんね。本当は届けに行ければ良かったんだが……」
「まあ、これは奪い合いになるから仕方ないよね……途中で銃撃戦になったりしてダメになったら、ヤカラのアジト見つけ出して徹底的に潰しかねないし。
……あ。ち、違うよアイリ? 今のはそれくらい怒るって意味で、実行するわけじゃ」
「んー、おいしー♪ 幸せ―♪」
「……聞いてないし」
ええことやん、その複雑そうな顔は何なんだよ。
肩の力を抜いてスプーンでパフェを一掬いしたカズサも、程なくアイリと同じく頬に手を当て、ふにゃけた顔になる。美味いスイーツを食べると幸せになるからな、分かるわ。
「カズサちゃん、こっちもすごく美味しいよ。はい、あーん♪」
「え? あの、アイリ? 私ミントはにが「あーん♪」……あ、あーん」
テンションが上がりきっているのか、満面の笑みで善意100%に差し出された
「……あ、本当に美味しい」
「そうでしょ!? えへへ、カズサちゃんも美味しいって言ってくれて良かったあ」
「アイリ、急に出さないでよ、ビックリしたでしょ。
じゃあ、お返しに。あ、あーん」
「あーん♪ えへへ、美味しいお返しだね、ありがとうカズサちゃん」
「……そっか。それなら良かった」
笑顔を崩さず、まぶしいばかりの感情を向けてくるアイリから目を逸らすカズサ。気持ちはわかる、俺も同じ立場だったらまともに見られんわ。
(とりあえずもう一個のプレゼントは食べ終わってからにするか)
机の中にしまっている、丁寧にラッピングされたサプライズプレゼントをいつ出すか、タイミングを考えておく。アイリチョイスだから拒みはしないだろうけど、気に入ってくれるかね。
「……あと、予定も明けておかないとな」
『あ、そうだ。なんでもいいって言ってたし、今流行ってるみたいだから、先生の時間を一日貰っても……
いやごめんやっぱ今のなし、忘れて。恥ずかしく……いやあっさり頷かないでって!? 私のために時間を使うなんてお安い御用とか言わないで!?
もう、本当に先生は……勘違いしてもしょうがないじゃん、こんなの』
余談だが、アイリと二人で用意した(俺はほぼ金払っただけだが)プレゼントは、猫柄のフード付きパジャマだったのだが、
「こんなの、私には可愛すぎて似合わないって」
と困った顔になっていたが、後日。
『着てくれました! パジャマパーティーの様子です( ´∀`)bグッ!』
と、アイリからご機嫌なメッセージと共に、パジャマ姿で二人が並んだ自撮りを送られてきた。可愛いけど、これカズサの許可取ってるんだよな。
おまけ
「杏山カズサー!! お誕生日おめでとうございます!!!」
「宇沢、うるさ……って、私の誕生日知ってたんだ?」
「はい、先生からお聞きしました!
というわけでこちら、自警団のサプライズヒーロー宇沢レイサからのプレゼントです! お納めください!」
「……誕生日仕様の果し状とかじゃないよね?」
「違いますよ!? 流石の私も誕生日までそんなことしません!」
(まあ同じ形の封筒なら疑われるわな)
(あ、あはは……レイサちゃん、悩み抜いた末にそれにしたみたいです……)
「……これ、新しくできたスイーツバイキングの招待券? しかも四枚って、ウチの人数分じゃん」
「はい! 友達に相談したら残るものでもいいけど、みんなで思い出になるような場所へ行くのも良いんじゃないかと言われたので! こちらにしました!」
「…………」
(ナチュラルに自分を外してることに困惑してるな)
(レイサちゃん、そういうとこありますよね……)
「じゃあ、ありがたく使わせてもらおうかな。行く時は先生、宇沢の分と合わせて二人分、お願いね?」
「俺も行くの? まあレイサの分くらい出すけどさ」
「……? え、ええ!? 私も一緒に行くんですか!?」
「そう言ってるの。思い出作りにみんなで行くなら、一人二人増えたところで変わらないでしょ。ウチには騒がしいのがもういるんだし。
あ、言っとくけどこれは誕生日特権の行使で、拒否権はないから。予定空けといてよ?」
「……はい!!」
(素直じゃないねえ。一緒に行こうって言えばいいのに)
(そこがカズサちゃんの可愛いところですよ?)
「……何、先生、アイリ。そんなニヤニヤして」
この後めっちゃカズサに問い詰められた、俺だけ。
あとがき
カズサはアイリに甘いし、アイリはカズサのことを全力で愛でてそう、特に悪意なく、純粋に可愛いと思って。
そして今回先生は添え物です、読んでいただきありがとうございました()