『大阪』から来た先生   作:ゆっくりいんⅡ

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 シグレの誕生日SSです。
 この子、通常から温泉衣装になると急に距離詰めてくるよね……
 ダメだよ? 先生好きになっちゃうから()


酒は呑むより呑ませるべき(間宵シグレ)

「それじゃ、シグレ。誕生日おめでとうな」

「ありがとう、先生。それじゃあ」

「「乾杯」」

 

 キン、とグラスの触れ合う音が響き合い、互いに一口。うん美味い、ノンアルであるのが悔やまれる(酒カス並感)

 キヴォトスでは数少ない、こじゃれた雰囲気のバー。俺は本日の主役であるシグレを伴い、カウンターに並んで酒杯(ノンアル)を交わしていた。

 

「それにしても、誕生日プレゼントにバー行きたいなんて、変わったお願いしてきたな」

「カクテルのバリエーションを増やしたいから、一度こういう場所に来たかったんだよね。先生なら詳しそうだし」

「たまに飲みに来るからな、実際そこそこは詳しいよ」

「嘘吐かないでくださいよ、先生。平均で週二回は来てるじゃないですか」

「マスター、シャラップ」

 

 ロボ頭のマスターに手をかざして制止を促すが、時既に遅し。横とカウンター越しから苦笑をいただいた、体裁くらい整えさせろよ。

 

「先生がお酒好きなのはみんな知ってるし、取り繕う必要はないんじゃない?

 正直、ここに来ても飲んでないのが予想外だし」

「バーに来て酒飲めないとか、何の罰ゲームかとは思ってる」

 

 一応生徒の前では飲まないようにしてるけど、今日ほどそれを後悔したことはない。

 

「飲んでても私は気にしないけど」

「先生としての自制心を最大限発揮してるから、大丈夫」

「本音は?」

「クっっっっっっっっソ飲みたい」

「うわあ、顔が凄いことになってるね。

 じゃあ、私から一杯注いであげるよ。どうぞ?」

「折角我慢してるのを台無しにするとか、タヌキじゃなくて鬼かお前」

「いいじゃん、こういう時は全力で楽しまないと損だし。

 誕生日の特権として、先生が飲むことを許可しましょう」

「……本音は?」

「酔ってる先生とか普段見せないレアな姿が拝められるかなって。写真撮ったら、ノドカが喜びそうだし」

 

 思ったより裏のない理由だった。そんなもん見て誰が喜ぶんだよとツッコミ入れたいが、実際シグレの幼馴染はヨダレ垂らす勢いなので何も言えねえ。

 

「……まあ、それくらいで飲めるなら別にいいか」

「葛藤短かったね。あ、写真売り捌いてもいい?」

「多分速攻で販路抑えられるか、海賊版出回るかで儲けは薄いぞ」

「……既に売られてるの?」

 

 冗談で言ったのだろう、シグレの顔がマジかと引き攣っていた。だが残念、筆頭でやってるところがミレニアムにいるからな。もう止めるのも面倒だし、黙認してるけど。

 

「うーん、じゃあ私と先生、ノドカだけのものにしておこうかな」

「それでもノドカには渡すのか」

「独占するのも悪くないけど、バレた時ノドカが発狂しながら迫ってくると考えると、ね……」

「何それ怖い」

 

 あいつどれだけ俺の写真に命賭けてるんだよ。幼馴染に迫るな、殺してでも奪い取るの勢いじゃないんだし。

 何となく発狂するノドカが想像付いてしまい、グラスに注がれた甘露(酒)を流して忘れることにする。

 洋梨の甘みにアルコールが程良い塩梅となっており、慣れ親しんだ味と刺激が舌と喉を伝い、楽しませてくれる。

 

「ふいー……これのために生きてるのは、最近だと過言かね」

「ーーへえ~」

「何だよ、ニヤニヤして」

「別に。先生の中で私達の存在が大きいんだなーって」

「……口が軽くなってるんだよ、流せ」

「ふふ。じゃあお酒の席での話は、お酒で流そうか」

 

 言いながら、シグレは素早く俺の前に置かれたグラスを掴み、口を付ける。こいつ店員の前で堂々と飲みやがった。

 

「ぷあ。意外と強くないんだね。これならジュース感覚で飲めちゃいそう」

「まあ最初のだし、度数低めだから飲みやすいけどな……調子乗ってリバースするか、泥酔してお持ち帰りされる奴はよく見たよ」

「んー、それは怖いね……このまま飲み続けたら、先生にお持ち帰りされちゃうのかな?

 それとも、しちゃう?」

 

 グラスを揺らしつつ、頬杖を突いて俺を見るシグレ。飲み慣れてないせいか、潤った瞳は蕩けており、官能的な色を宿しており。

 

「三年はえーよ。堂々と飲める年になってから再チャレンジしてこい、未成年」

「……先生の、いけず」

 

 グラスを奪い返すと、シグレはつまらなそうに頬を膨らませていた。そういう安易な求め方をして破滅の道なんざ、まっぴらごめんだよ。

 なお、会話を聞いていたマスターは「私は何も見てませんよ。生徒さんにお出ししたのはジュースですから」と、分かりやすく目を逸らしてくれた。

 

 

「…………」

「なんぞい、もう酒はやらんぞ」

「ん? ふふ、一緒に飲める日が楽しみだなってだけ。『可能性』があるんだから、ね」

 

 笑いながら自分のカクテル(ノンアル)を傾けるシグレは、何故か楽しそうだった。やめなさい、顔の赤味もあって魅力的に映るんだから。

余談だが、結構(シグレのお酌で)呑まされたけど潰れる様子がない俺を見て、シグレは残念そうにしていた。普段から飲み慣れてるんだし、そんな簡単にダウンするかっての。

 グロッキーからのリバースなら有り得るが。

 




あとがき
 短い、けどギリギリ間に合う(オイ)
 今回バーでしたけど、実際227号温泉郷にシグレが経営するバーなり居酒屋があったら、絶対通いますよね……次回あったら作ってくれ(願望)
 それでは、今回はここまで。よんでくださり、ありがとうございました
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