『大阪』から来た先生   作:ゆっくりいんⅡ

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 カズサに言われたので(オイ)、アイリの誕生日SSです。
 何か深掘りしていくごとに好きの深度が増していくんですよね、この子……実はスイーツ部で一番好きかもしれない。



一日限定スイーツな関係(栗村アイリ)

 

「だーれだ」

「アイリだろ、さすがにわか、モゴッ」

 

 最近色んな生徒からやられる、だーれだに答えながら振り向こうとしたら、視界の代わりに口を封じられた。

 いや、チョコミントアイス突っ込まれただけだけどさ。

 

「えへへー。ビックリしました、先生?」

「モゴゴ……そりゃあな。まさか二段仕掛けだとは思わんかった」

 

 お陰で口の周りがベタベタするよ、割と容赦なく突っ込んでくれたからな。こっちに手を出しているスイーツ部1の良心にしてチョコミント狂い、栗村アイリが座った俺をニコニコしながら見下ろしていた。

 

「えへへ、それなら良かっーーんもっ」

「ほい、お返し」

 

 なのでお返しに、用意しておいた新作ロールケーキ(チョコミント味)の一切れを放り込んでやった。目を白黒させていたと思ったら、気に入ったのか頬を緩ませていたが。

 

「アイリ、溶けてる溶けてる」

「え? あ、ああ! 大変、あむっ、れろっ」

(いやそのまま食うのかよ)

 

 溶けたアイスを舐めているアイリにどういう顔をすれば分からなくなった。ストローとか口ならともかく、さすがにこのクラスは反応に困る。

 

「……あ」

 

 食べ終わったあたりでようやく、アイリも気付いたようだ。コーンだけとなったアイスを両手で掴んだまま固まり、眼だけ錆び塗れのロボットみたいな動きで向けてきたため、無言で頷いてやった。

 俺とアイスの間で視線を何度も往復させ、アイリの顔色は白から赤に転じていき、

 

「あう、あうううう……」

 

 頭を抱え、その場にへたり込んでしまった。恥ずかしかったらしい、そりゃそうだろうな。

 

「えーと、あれだ。とりあえず誕生日おめでとう、アイリ」

「はう……あ、ありがとうございます……

 あはは……間違った後だと、恥ずかしいですね……」

「そーね。こういう時、どういう顔すればいいんだろうな」

「えーと……笑うしか、ないんじゃないですかね」

 

 そりゃそうかと、お互い苦笑するしかなかった。誕生日で醸し出す空気じゃねえだろ。

 

「……ほえー」

「何よ、そんな目をして」

「え? あ、いえ、先生がそんな、照れた反応するのは珍しいなって」

「俺のこと、鋼鉄の顔面か何かだと思ってる?」

「いえ、かわいいなーって」

 

 男にそういうこと言うんじゃありません。

 足を組んで溜息を吐くと、アイリは不思議そうに首を傾げていた。天然怖い、実はもう堕とされてる奴いるんじゃーーいたわ、友人のプレゼントを催促する猫耳が。

 

「それでアイリ、今日はどうしたんだ? カズサからスイーツ部で誕生日会をやるとは聞いてたけど」

「あ、そっちはみんなが気を利かせてくれて、夜からになったんです。

 えへへ。今日は~、先生にお願いがあって~、聞いてくれますか?」

「カチコミ用のバイクとか言われたら、すぐ用意は出来ないぞ」

「違いますよ!? 私そんなに物騒な子に見えますか!?」

「前にバット欲しがったのは誰よ」

 

 わざわざこん棒みたいな奴選んだあたり、素質あるなと思ったぞ。今は知りませんと言わんばかりに目を逸らしたけど、まあただの勘違いだったしな。

 ちなみに釘バットもあったんだけど、「これはさすがに、危ないんじゃ……」と軽く引いていた。キヴォトスの人間なら痛いで済むと思うし、大丈夫じゃね(適当)

 

「えっと、物騒なのは一旦忘れましょう!

 私がお願いしたいのは、こちらです!」

 

 じゃん! と自前で効果音を付けながら出してきたのは、一枚のチラシ。百鬼夜行で経営している和菓子屋で、期間限定のメニューをやっているようだが。

 

「カップル限定メニュー?」

「はい! 来店した人は、チョコミントを乗せた和風デザートを食べれてるんです!」

「中々挑戦的なメニューだな。

 ……で、これ食べたいってこと?」

「はい! えっと、それで、その……」

 

 勢い良く返事をしたと思ったら、今度は指を突き合わせて言葉に詰まるアイリ。何言いたいのかは分かるけど、彼女からすれば勇気のいる一言なようだ。

 

「きょ、今日一日……私の、恋人に、なってくださいませんか……?」

 

 上目遣いで自信なさげ、だからこそこちらの何かを掻き立てる目をしたアイリに見詰められ、俺は少しだけ頬を緩ませて立ち上がり。

 

「それくらいなら、お安い御用だよお嬢さん。どこへなりともご一緒しますとも、貴女のご要望通りに」

「え? あ、あの……あうう……」

 

 手を取って冗談めいた言い回しをしてみたら、面白いくらい狼狽して真っ赤な顔になった。初々しいねえ、これは守ってあげたくなっちまうよ。身体能力は俺の方が弱いけど(白目)

 

「そ、それじゃあ……よろしく、お願いしましゅ……」

「なんでそんなに緊張してるんだよ。

 あ、恋人なら手でも繋いでおくか?」

「ふえ!? え、ええっと、えーーーっと……」

「……いや落ち着けって」

 

 再度差し出した手と俺の顔を交互に見やり、目を白黒させるアイリ。そこまで動揺されるとマジの初々しいカップルみたいで、こっちまで恥ずかしくなってきた。

 結局、アイリはガチガチのまま手を繋いでそのまま外出したのだが。目的のスイーツ店に着いたらいつものテンションに戻っていたどころか、興奮で俺が引っ張られていた。

 店員(ロボット型)の微笑ましい視線が痛かった、マジで。

 

 

 その後、スイーツ部の面々+αでアイリの誕生日を祝っていたのだが。手を繋いで一緒へ来たことにツッコミが来たのだが、

 

「せ、先生は(今日限定で)私の恋人だからっ……」

 

 と、微妙に足りない言葉で場が騒然とし、「いや、そっか、でもアイリなら……」とか情緒不安定な顔でつぶやいてたカズサが怖かったので、事情を説明したら何とか納得された。

 

((……これつまり、先生に頼めば一日だけ恋人になってくれるってこと?))

 

 何か約二名から悪寒を感じたのはスルーした。

 ナツはレイサの口にマカロンを詰め込んでいた。可哀想だからやめてやれ、マジで。

 あとアイリは指を絡めようとしないでくれ、解けた誤解が再燃するでしょうよ。

 

 

 

 




あとがき
 カズサ、アイリごめん、私は……
 当日どころか一週間過ぎての投稿となりましたが、これ以上死蔵するのもあれだと思い投稿しました、どうも愚かなりいんです()
 誕生日SS、遅れることはあっても一週間は初めてですね……いや本当になんで書けなかったんだ私、動画見てる場合じゃねえぞマジで。
 次回は……何書くか決めてないですが、生暖かくお待ちください。
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